古城くんは基本けだるげ   作:トマボ

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読み直すと、無理矢理感のある配役に泣きたくなっております。申し訳ねぇ…

そして、ユッキーが別枠話にしか出ていないといつ事実に今更ながら気づき始めました。あれ?


いや、そのですね、田中さんは漫画だからすぐ読めるんですけどね、最近小説の新刊がめっちゃ積み上がってまして……まとめて読み漁るまでちょっとですね…

さーせん。ただの言い訳ですが何か?(土下座


とりあえず……一狩り行こうぜェ!!(せめて目の前のpdf作り終えてからにしろよ)







別枠 普段通りが一番だ(by古 1

 

 

 

それは、何気ないクラスメイトの一言から始まった。

 

 

「雪菜ちゃんはかったいなぁ〜。」

 

 

会話途中の軽いノリで発せられたその一言は、色々なところで散々と同じことを言われ続け、悩み続けた結果、限界まで伸びた輪ゴムの如く心が張り詰めていた少女の糸を断ち切るのに、充分な威力を持っていた。

 

 

「……固い…ですか……そうですか…。」

 

「えっと、雪菜さん?」

 

「…姫柊、さん?大丈夫?」

 

 

突然俯いた少女の不審な様子に、複数名で盛り上がっていた会話の参加者たちは会話を止め、訝しげに様子を伺う。

 

 

「……ですよね……ふふ……ええ……ふふふ」

 

 

いつもの如くマシンガントークをしている妹属性を持った彼女の友人以外は、俯いたまま笑い出した彼女の席から思わず一歩後ずさってしまう。

 

何故か?彼女の背後から思わず可視化されているのでは?と思ってしまうほどの陰鬱なオーラが漏れ出しているからだ。

 

 

効果音をつけるならズモモモモ〜ッと、黒いオーラが噴出しているかのような錯覚に、何人かは目をこすり出す。

 

彼女は、美人で転校生で真面目なクラスのアイドル的なイメージを持たれているが、その実、裏の世界のことも知っている、プロの方である。

 

マジモンの黒服さんたちも逃げ出すかもしれない気迫をお持ちのこの方は、普段は隠すように訓練されているので、学園にも溶け込んでいるが、今は制御が出来ていないので、割と本気で怖い。

 

前髪で目元がいい感じに隠れているのも相まってすごく怖い。真面目で誰にでも優しく接するいつもの様子しか知らない関わりの薄い男子生徒などは、ギャップの大きさに処理が追いついていない者もいる様子である。

 

 

実際、魔力的な何かも混ざっているのかもしれないので、それを肌で感じ取って引き下がりはじめたクラスメイト達は、案外魔導犯罪に常に狙われ続けて居るこの島の均衡が崩れ去っても逞しく逃げ延びるかもしれない。

 

 

何時ぞやの奴さんは、どんな場所に居るのかも自覚していない平和ボケした住人どもめ!などと言っていたかもしれないが、この魔族特区の住人は、別の意味でもその通りの意味でもかなりのハングリー精神の持ち主だと思われる。

 

 

どんだけ壊滅の危機迎えてんの?マジで。

 

 

否、どちらかというと言及すべきは、(魔族特区の脅威とタメ張れるんじゃねーの?) と、その様子を能力で感じ取った我らが矢瀬さんに、冷や汗をかきながらそんな感想を抱かせるほど、溜め込んでいたストレス他を溢れさせている姫柊雪菜嬢の方である。

 

 

(そういうところだよ、全く…)と、木の上から眺めていた通りすがりの黒猫が呆れていたりもするが、今は置いておこう。

 

 

「それでね〜、その時の雪菜ちゃんすっごい慌てちゃってね〜。」

 

知らぬが仏か、相変わらず話し続けている少女は、指を立てて得意げな顔で眼を閉じたままであるので、周りの様子に気付かない。

 

 

「あっはは。可笑しくってさ〜。」

 

「ええ、ええ、そうですね…ふふふ。」

 

 

やめろ、やめてくれ。これ以上はいけない!自覚ないんだろうけど、これ以上刺激しないで!!

 

 

あわわわわ、といった様子で、口を挟めずに見守るクラスメイトの心は多分今一つになっていた。

 

「あはははははは。」

 

「ふふふふふふふふふふふ………。」

 

 

そして、二人揃って笑い出したのだが、直ぐに片方は、唐突に笑いを止めた。

 

 

ごくり…。気付かない妹殿の笑い以外の物音が聞こえなくなった教室には、誰かが、唾を飲んだ音がよく響く。

 

ゆらりと、まさにその表現が相応しいほどに、人形の様に立ち上がった彼女は、怯えるクラスメイトの方へと歩みを進め出す。正確には、その先の出口へと。

 

 

今、彼女の邪魔をしてはいけない、と本能的に感じ取ったクラスメイトは速やかに道を開け、担任の教師は、黙って出席簿に早退の文字を記入をした。

 

 

「そうですよ……私の周りには、良い見本があるじゃないですか…。」

 

姿が廊下に消える瞬間に呟かれたその一言で、ゾワりと震えた人物がいたかどうかは、矢瀬さんぐらいしか知らないことだ。

 

 

 

 

 

 

 





続く

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