兵藤一誠のダークライダー戦記 【凍結】   作:ロボ戦極凌馬

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お待たせ致しました!
今回は、悪維持さんの作品【煉獄の義姉弟】から鬼崎陽太郎と鬼町夏煉が登場します!

活動報告でアンケート実施しています。宜しければご参加下さい!

では、どうぞ!




コラボ回 煉獄の義姉弟
コラボ回 前編 煉獄のライダー、悪魔との戦闘


 ━━駒王町━━

 

 

 

 

 

 日が傾き、夕焼けによって町の空は赤く染まっている。

 町の中心部辺りでは、学校帰りの学生や会社帰りのサラリーマン、買い物に行っていた主婦などが道を行き交っている。

 

 

 そんな町の中心部からかなり離れた所に工場が存在する。と言っても、もう何年も前に閉鎖され、場所も町から離れているので誰も近寄らない。精々、野良猫が住み着いているぐらいだ。

 

 

 だが、今日は違った。

 工場の上空、そこの空間が突如歪みだしたのだ。小さい歪みが少しずつ大きくなっていく。ある程度大きくなると、歪みの中から信じられない物が現れた。

 

 

 それは━━━列車だった。ただの列車ではなく。先頭部が人間の頭蓋骨のような形をした不気味な蒸気機関車である。

 

 

 その列車の名は━━━━『幽霊列車』。

 とある人物が造り上げた異世界渡航専用列車なのだ。

 歪みから現れた幽霊列車は、そのまま工場の開けた場所に停車した。

 

 

 暫くすると、車両の扉が開き、中から二人の男女が姿を現す。

 

 

 一人は、白髪で左目を前髪で隠し、黒い軍服のような格好をした青年。

 もう一人は、黒のセミロングで首もとに蒼いスカーフを巻き、白黒の縞模様のシャツと膝くらいの長さがある山吹色のスカートを穿いた女性だ。

 

 

 青年の名は『鬼崎陽太郎(きざきようたろう)

 

 女性の名は『鬼町夏煉(きまちかれん)

 

 

 二人は、『煉獄の園(パーガトリー・エデン)』と呼ばれる世界の住人である。二人は、とある理由があってこの世界にやって来たのだ。

 

 

 すると、陽太郎の義妹である夏煉が口を開く。

 

 

「ここが陽太義兄さんが言ってた世界なの?」

 

「そうだよ。この駒王町に僕達の探し求める人物が居るんだ」

 

 

 そう言って、陽太郎は夏煉に答える。

 そう、二人はある人物と会うために遥々この世界にやって来たのだ。

 

 

 実は、二人が住む煉獄の園であることを耳にしたのだ。内容は『無限に存在する平行世界の1つに、複数のダークライダーの力を使う者が存在する』というモノだった。

 

 

 これを耳にした陽太郎は、直ぐにこの世界の情報を集めて、義妹である夏煉を連れてこの世界にやって来た。全ては夏煉の修行の為だ。これまでにも、夏煉の修行の為に異世界に存在するライダーの元へ赴き、訳を説明して戦闘を行ってきた。今回も同じである。

 

 

 この世界に存在する、複数のダークライダーの力を使う人間━━━━『兵藤一誠』と戦うために。

 

 

「さて、彼を探しに行こうか……その前に、アレの相手をしなくちゃいけないようだけど」

 

「そうだね」

 

 

 二人は気付く、工場の建物から異形の存在が出てきたことに。

 頭から一本の角が生え、上半身裸の大きな化け物━━━はぐれ悪魔である。

 

 

 はぐれ悪魔は陽太郎と夏煉を視界に捉え、ニヤリと笑い、口を開く。

 

 

「旨そうな匂いがする、人間の匂いだ。腹が減った、お前達、食べていい?」

 

「お断りだね。私達にはこれから予定があるの」

 

「そうか……なら、お前達を食う!」

 

「どうしよう陽太義兄さん、会話が成り立たないんだけど」

 

 

 はぐれ悪魔との会話のキャッチボールが出来ないことに、夏煉は少し戸惑う。陽太郎はそんな夏煉にこう答える。

 

 

「無視して行くことも出来るけど、このまま放っておいたら無関係な一般人に被害が行くかもしれないから、ここで倒した方が懸命かな」

 

「分かった。じゃあ、私に任せて」

 

 

 夏煉がそう言うと、自身の下腹部辺りに両手を翳す。すると、黒い霧が下腹部に発生し、目の形をしたクリアグレーのベルト『ゴーストドライバー』が出現した。

 夏煉は、懐から黒紫色の目玉━━『ヘレナ眼魂』を取り出し、眼魂の横のスイッチを押す。押したことで眼魂の絵柄が変わり、アルファベットの『H』が表示された。

 

 

 ドライバーのカバーを開き、アイコンスローンと呼ばれる中央に配置された眼魂のスロットにヘレナゴースト眼魂をセットしてカバーを閉じ、ドライバーの右側に取り付けられているデトネイトトリガーと呼ばれるレバーを一度引く。

 

 

 《アーイ!》

 

 《バッチリミトケー!バッチリミトケー!》

 

 

 ドライバーから音声が鳴ると同時に、黒地に紫の縁取りのパーカーを着た幽霊━━━パーカーゴーストがドライバーから出現し、はぐれ悪魔に体当たりする。

 いきなりの攻撃だったせいか、はぐれ悪魔は防ぐことができず、転倒してしまう。

 

 

「変身!」

 

 《カイガン!ヘレナ!》

 

 

 その隙に夏煉は、あらかじめ引いておいたレバーを押し込む。すると、回りに黒い霧が発生し、全身を紫のラインが入った黒いボディースーツに包まれる。

 そして、夏煉の頭上をぐるぐる回っていたパーカーゴーストを纏う。纏うと、紫と黒で顔が描かれ、額に炎の様な紫色の二本の角がつく。

 

 

 《デッドゴー!覚悟!キ・ラ・メ・キ!ゴースト!》

 

 

 15のD(ダーティー)眼魂を統べる煉獄のライダー【仮面ライダーヘレナ】へと変身を遂げる。

 

 

「なんだ、それは?神器か?」

 

 

 立ち上がったはぐれ悪魔は、目の前で姿を変えた夏煉を見て動揺する。

 

 

「私は仮面ライダーヘレナ。渾沌の定めに舞い殉じます!」

 

 

 被っていたフードを取り、ヘレナは走り出す。

 

 

 はぐれ悪魔は、走り寄ってくるヘレナに右腕の鉤爪を横から振るう。ヘレナはドライバーに手を翳し、そこから黒い両刃の剣『ガンガンセイバー』を取り出して攻撃をそれで防ぐ。

 今度は、左腕の鉤爪が迫って来たがヘレナは体勢を低くして攻撃を避け、ガンガンセイバーではぐれ悪魔の左腕を切り落とした。

 

 

 はぐれ悪魔は軽く悲鳴を上げるが、直ぐに反撃に移る。残った右腕の鉤爪を思いっきりに降り下ろすが、ヘレナはガンガンセイバーの腹で受け止める。受け止めた鉤爪を払い、素早く剣を振るい、右腕を斬り飛ばす。

 

 

 両腕を失ったはぐれ悪魔の顔は恐怖に染まる。戦闘を初めて三分も経っていないのに、この様である。はぐれ悪魔はヘレナとの圧倒的な差を思い知り、この場から逃げ出そうとするが、ヘレナがそうさせてはくれなかった。

 

 

 《ダイカイガン!ガンガンミイヤー!ガンガンミイヤー!》

 

 

 ヘレナはガンガンセイバーをベルト翳し、アイコンタクトを取る。セイバーの刀身に黒紫のオーラが纏う。

 

 

 《オメガブレイク!》

 

 

 ガンガンセイバーのトリガーを引き、セイバーを縦に振るう。振るったセイバーから三日月状で黒紫の衝撃刃を飛ばし、はぐれ悪魔を真っ二つした。

 

 

「以外と呆気なかったな~」

 

「それ程強い敵じゃなかったからね」

 

 

 ヘレナとはぐれ悪魔から距離を取っていた陽太郎は、戦闘が終わったのを確認してヘレナの元に近付く。

 

 

 

「それじゃあ、彼を探しに行こうか」

 

「うん」

 

「待ちなさい!」

 

 

 二人は再び兵藤一誠を探しに行こうとした時、声を掛けられる。声のした方を向くと、赤い長髪の女性とその他四人の男女━━━リアス・グレモリー率いるグレモリー眷属だった。

 

 

「僕達に何かご用でも?」

 

「貴方達、一体何者かしら?仮面ライダーの仲間なのかしら」

 

「何者かって言われても、通りすがりとしか言えないよね?」

 

「そうだね。それと、僕達はそちらが言う仮面ライダーの仲間ではないよ」

 

「どうかしらね」

 

 

 陽太郎とヘレナは本当の事を言っただけなのだが、リアスにはそうは聞こえなかったらしい。

 

 

「本当の事を言ったまでだ。悪いけど、僕達には予定があってね。用が無いなら行かせてもらうよ」

 

「それは出来ないわ。貴方達には聞きたいことがあるの。小猫、あの二人を押さえて」

 

「分かりました」

 

 

 リアスの命令で小猫が二人を押さえようと飛び出す。一番近かった陽太郎を先に捕まえようと接近する。

 陽太郎は小さく溜め息を吐く、陽太郎からしたらグレモリー眷属の実力は大したことないので軽くあしらおうとした瞬間、隣に居たヘレナが陽太郎の前に出た。

 

 

「夏煉?」

 

「ここは任して、陽太義兄さん」

 

 

 ヘレナはそう陽太郎に返すと、小猫が繰り出したパンチを片手で受け止める。

 

 

「貴方、陽太義兄さんに攻撃しようとしたよね?」

 

「ッ!?」

 

「許さない」

 

 

 大切な家族に危害を加えようとした小猫にヘレナは殺気とプレッシャーが小猫に放つ。小猫は危機を察知してヘレナから距離を取ろうとするが、拳を掴まれたままなので動くにも動けなかった。

 ヘレナは小猫の腹部に掌底を打ち込む。打ち込むと同時に掴んでいる拳を離すと、小猫はグレモリーの元へ吹き飛んで行く。

 

 

「小猫!」

 

「小猫ちゃん!大丈夫かい?」

 

「うっ、ぐっ……!ゆ、祐斗先輩、大丈……夫です」

 

「……ノーヴェ、行くよ」

 

『任せな!』

 

 

 ヘレナは懐から青紫の眼魂『ノーヴェ眼魂』を取り出してスイッチを押すと、09という数字が表示された。ゴーストドライバーのカバーを開けてヘレナ眼魂を取り外す。瞬間、ヘレナの纏っていたパーカーが消滅して素状態━━━トラジェントになる。

 

 

 

 《アーイ!》

 

 《バッチリミトケー!バッチリミトケー!》

 

 

 そして、スロットにノーヴェ眼魂をセットしてカバーを閉じる。ドライバーから青と紫の薄手の生地に胸元にⅨのマークが入っており、両腕に籠手の形をしたグローブが付いたパーカーが飛び出す。

 ヘレナはドライバーのレバーを一度引いてそのまま押し込んだ。

 

 

 《カイガン!ノーヴェ!!》

 

 《格闘!疾走!敵を討つ!!》

 

 

 音声が鳴ると同時にパーカーを纏う。

 顔には二本の角とパーカーの胸元と同じ数字のⅨが描かれ、両腕には専用装備である『ガンナックル』が装着される。

 

 

【仮面ライダーヘレナ ノーヴェ魂】にゴーストチェンジしたのだ。

 

 

「姿が……!」

 

「フッ!」

 

 

 ヘレナは地面をまるでローラースケートで滑るように移動する。小猫に急接近し、小猫も迎撃するために駆け出した。接近した二人は右腕を同時に振り抜いた。拳と拳がぶつかり合い、衝撃波が生まれる。

 

 

 そこから二人は互いに拳によるラッシュを繰り出す。拳がぶつかり合い度に鈍い音が工場内に響く。

 ラッシュ合戦をしていると、押され始めたのは小猫だった。ヘレナの繰り出す素早く重い攻撃に段々とついていけなくなり、小猫は防御に徹し始めた。

 

 

「ハァッ!」

 

「ぐっ!?」

 

 

 ヘレナの繰り出したパンチの衝撃で一瞬バランスが崩れる。その隙をヘレナは見逃さず、ドライバーのレバーを引いて押し込む。

 

 

 《ダイカイガン!ノーヴェ!オメガドライブ!》

 

 

「エアライナー!」

 

 

 ヘレナは足首部分に黄色い歯車状のエネルギーギアを纏わせて小猫を左アッパーで空に高く上げる。そして、空中に『エアライナー』と呼ばれる帯状で黄色の道を造り出すと、その上を疾走して行く。

 エアライナーで道を造りながら、先程アッパーで空に上げた小猫の元まで近付いて小猫のボディに連続でパンチ・キック・アッパー・膝蹴り等を叩き込み、最後はエアライナーで上空へ駆け上がった後にジャンプし、前転の勢いを乗せた踵落としを食らわせる。

 

 

 直撃した小猫は、そのまま地面に落下した。

 

 

「小猫ちゃん!」

 

「余所見は駄目だよ」

 

 

 一方、陽太郎は愛用の武器である鎌を使って残ったグレモリー眷属と戦っていた。

 いや、戦っていると言うより遊んでいるのが正しい。陽太郎はグレモリー眷属を倒す気がない、ヘレナに全員倒して貰う算段だからだ。

 決して、義妹に面倒事を押し付けているのではなく、ウォーミングアップには丁度良いだろうと考えているからだ。

 

 

 陽太郎はヘレナが地面に着地したのを確認すると、相手している祐斗をヘレナの所に蹴り飛ばした。

 

 

「くっ!」

 

「ほら、君の相手はアッチだよ」

 

 

 陽太郎は再びグレモリー眷属の相手に戻る。

 蹴り飛ばされた祐斗は上手く受け身を取って立ち上がると、ヘレナに視線を移す。

 

 

「今度は貴方が相手?」

 

「そうみたいだね。悪いけど、小猫ちゃんの安否が気になるから早く終わらせて貰うよ」

 

 

 ヘレナと言葉を交わす祐斗。一本の魔剣を造りだして右手で握る。騎士の駒の特性を活かして素早く動き、ヘレナに肉薄する。

 魔剣を一閃ニ閃と振るい、ヘレナはガンナックルで防御する。

 

 

「剣を使うのなら……あれかな」

 

 

 案を思い付いたヘレナは祐斗から距離を取り、ガンナックルからエネルギー弾を生成して祐斗に複数撃ち出す。

 

 

「日影、お願い!」

 

『任せとき』

 

 

 祐斗がエネルギー弾に気を取られている間に、新たに眼魂を取り出す。その眼魂は黄色と黒で塗装されており、スイッチを押すと『12』というナンバリングが施されいた。

 

 

 《アーイ!》

 

 《バッチリミトケー!バッチリミトケー!》

 

 

 ドライバーからノーヴェ眼魂を取り外し、ヒカゲ眼魂をセットする。再びトラジェントになり、ドライバーから黄色と黒を基調とした所々破れているパーカーゴーストが飛び出した。ヘレナはレバーを引いて押し込む。

 

 

 《カイガン!ヒカゲ!!》

 

 《皆無な感情!容赦は無用!!》

 

 

 パーカーを纏うと、顔にはクロスした二本のナイフが描かれ、パーカーの袖部分には『喚蛇』と呼ばれるナイフケースが付いている。

 

 

【仮面ライダーヘレナ ヒカゲ魂】にゴーストチェンジした。

 

 

 ドライバーからガンガンセイバーを取り出し、二刀流モードに移行する。セイバーを順手、小太刀を逆手持ちにして構える。

 

 

「二刀流か、ならば僕も二刀流で行くよ」

 

 

 祐斗は、二刀流で構えるヘレナに合わせて魔剣を一本造りだして空いている左手に持つ。

 

 

 先に攻撃を仕掛けたのは祐斗だった。勢いよく駆け出して二本の魔剣を巧みに振るい、ヘレナに攻撃する。

 ヘレナもセイバーと小太刀を使って祐斗の攻撃を防ぎ、時には受け流す。

 

 

 二本の魔剣とセイバーと小太刀が打ち合う度に火花を散らし、キィン!という金属音が響く。

 暫く打ち合っていると祐斗の魔剣に異変が起き始めた。ヘレナのセイバーと小太刀により魔剣に皹が入ったのだ。

 遂に二本の魔剣が砕け散り、後ろに飛んでヘレナから距離を取る。同時に新たな魔剣を二本の造り出して構える。

 

 

 ヘレナは距離を取った祐斗の元へ駆け出し、駆け出しながらセイバーと小太刀から高速斬撃を幾つも放つ。

 その攻撃に対して、祐斗は直撃しそうな斬撃は魔剣で弾き、それ以外は体をずらしたりして回避した。

 

 

 《ダイカイガン!ガンガンミイヤー!ガンガンミイヤー!》

 

 《オメガスラッシュ!》

 

 

「『秘伝忍法【ぶっさし】!!』」

 

 

 祐斗との距離が後数メートルに差し掛かった瞬間、セイバーをベルトに翳してアイコンタクトを取る。

 セイバーと小太刀にオーラを纏わせ、一気に加速して二本を振るう。

 

 

 祐斗も魔剣で防ごうとするが、打ち合った瞬間に魔剣が二本共砕けてしまい、がら空きになった祐斗のボディに力を込めて蹴る。

 祐斗の体がくの字に曲がり、工場の壁まで吹き飛びめり込む。

 

 

 戦闘不能になったことを確認したヘレナは二刀流から元のガンガンセイバーに戻す。

 再び懐から新たな眼魂を取り出す。今度は白と青で塗装された眼魂『イカムスメ眼魂』のスイッチを押すと、『03』とナンバリングが表示された。

 

 

 ドライバーからヒカゲ眼魂を取り外し、イカムスメ眼魂をセットすると、白を基調としたワンピースでパーカーの袖に2本と裾部分に8本と計10本の青い触手が生えている。

 レバーを引いて押し込み、ゴーストチェンジする。

 

 

 《カイガン!イカムスメ!!》

 

 《侵略!征服!海の使者!!》

 

 

 パーカーを纏った姿は、顔にはデフォルメされたイカが描かれ、袖と裾にある青い触手『カラメルショクシュ』がウネウネと動いている。

 

 

【仮面ライダーヘレナ イカムスメ魂】へとゴーストチェンジした。

 

 

「イカちゃん、力を貸してね」

 

『任せるでゲソ!』

 

 

 体を陽太郎とグレモリー眷属が居る方に向け、触手を2本動かす。触手は勢いよく伸びてグレモリー眷属の女王である姫島朱乃と兵士の赤羽健次の体に絡めて引き寄せる。

 

 

「う、うわぁぁあああああ!!?」

 

「キャァアアアアアアアア!!?」

 

「朱乃!健次!」

 

『ぶっ飛ぶでゲソーーー!』

 

 

 触手に捕縛された朱乃と赤羽は、地面や工場の壁や屋根に叩きつけられて、朱乃らヘレナから少し離れた場所に放り投げられ、赤羽は空高く投げられる。

 

 

 持っていたガンガンセイバーを変形させてガンモードに移行する。ガンモードにしたセイバーをベルトに翳してアイコンタクトを取る。

 ガンモードの銃口にまるでイカ墨を凝縮した黒いエネルギーが充填され、それを空の赤羽に向ける。

 

 

 《ダイカイガン!ガンガンミイヤー!ガンガンミイヤー!》

 

 《オメガシュート!》

 

 

 トリガーを引くと黒いエネルギー『イカスミ爆弾』が発射され、まるで吸い込まれるかのように落下中の赤羽に命中し、爆発した。威力を落として撃ったので死にはしない。

 

 

 全身がイカスミで真っ黒になりながら落下して、ガシャンッ!という音を立てながら工場の屋根を突き破った。

 

 

「真っ黒になったね」

 

『ざまぁ見ろでゲソ!って、夏煉避けるゲソ!』

 

 

 イカムスメの言葉で攻撃を察知したヘレナは即座に前転して回避する。

 先程まで立っていた場所は、朱乃から放たれた雷で黒焦げになっていた。

 朱乃はヘレナに怒りを向けながら口を開く。

 

 

「よくも健次君を!これはお仕置きが必要ですわね!」

 

 

 両手に雷を纏わせてヘレナに放つ。それをバックステップ等で回避しながらヘレナは新たに眼魂を取り出す。

 

 

 緑色の眼魂『パティ眼魂』のスイッチを押すと、『07』というナンバリングが表示される。

 

 

「パティ、力を貸して!」

 

『えぇ、任せて』

 

 

 《アーイ!バッチリミトケー!バッチリミトケー!》

 

 

 ドライバーにパティ眼魂をセットしてカバーを閉じる。ドライバーからフードの頭部に青いカチューシャを着けた緑で長袖のパーカーゴーストが現れた。

 

 

 《カイガン!パティ!!》

 

 《粒子と変化し!不思議な女子!!》

 

 

 ゴーストチェンジしたヘレナは顔を粒子で形成し、身体そのものを粒子気体に変化させる 『パーティクル・トランスコート』を纏った姿。

 

 

【仮面ライダーヘレナ パティ魂】である。

 

 

「幾ら姿を変えても無駄ですわ!」

 

 

 悪魔の羽を広げて空に飛んだ朱乃はヘレナに雷を幾重にも放つ。だが、ヘレナはパーティクル・トランスコートの能力で身体を粒子に変化させて攻撃を回避した。

 

 

 粒子から元に戻ったヘレナは、ガンガンセイバーを薙刀モードに移行して右手で握る。

 朱乃は再び雷の攻撃を放ち、ヘレナは走って移動しながら攻撃を回避しながら薙刀モードの両刃に紫電を纏わせて、そのまま紫電を纏った斬撃を朱乃を放つ。

 

 

 一閃ニ閃と薙刀を振るって紫電の斬撃を飛ばし、朱乃は雷で打ち消したり空中で回避する。

 

 

 《ダイカイガン!ガンガンミイヤー!ガンガンミイヤー!》

 

 《オメガストリーム!》

 

 

 薙刀モードのガンガンセイバーをベルトに翳してアイコンタクトし、ガンガンセイバーを風車の様に勢いよく回転させることで粒子竜巻を発生させる。

 粒子竜巻から離れようとするが、予想以上に竜巻の威力が凄く、朱乃は呑み込まれてしまう。

 ヘレナは竜巻に突撃し、呑み込まれた朱乃に目掛けてセイバーを斬りつけた。

 

 

 斬りつけたと言っても、実際は斬ってなく峰打ちで済ましたのだ。

 

 

 自分の眷属が手も足も出ないで負けた姿を見たリアスは顔を恐怖に染める。

 

 

「そ、そんな……!私の可愛い眷属達が、一方的に……!」

 

「言っておくけど、次は君の番だよ?夏煉!」

 

「うん!」

 

 

 陽太郎はリアスとヘレナから充分に距離を取る。

 

 

「最後は貴方だね」

 

『娘よ、妾を使え。トドメを指すぞ』

 

「分かりました、羽衣狐さん」

 

 

 ヘレナの懐から勝手に飛び出した漆黒の眼魂『ハゴロモギツネ眼魂』を手に取りスイッチを押す。『02』というナンバリングが表示される。

 

 

 《アーイ!バッチリミトケー!バッチリミトケー!》

 

 

 アイコンスローンに眼魂をセットすると、ドライバーから漆黒のセーラー服で裾の部分には九つある白銀に煌めいた狐の尻尾が生えたパーカーゴーストが出現する。

 

 

 《カイガン!ハゴロモギツネ!!》

 

 《魅惑の妖狐!統べるは漆黒!!》

 

 

 顔には九本の尻尾を持った狐の後ろ姿が描かれ、裾には『ミスティックナインテール』と呼ばれる九つの尻尾がある。

 

 

【仮面ライダーヘレナ ハゴロモギツネ魂】である。

 

 

「ッ!!いいわ、私が消し飛ばしてあげる!喰らいなさい!」

 

 

 リアスは自身の滅びの魔力を凝縮した魔力弾を放つ。その辺のはぐれ悪魔が当たれば完全に消滅してしまう程の威力だが、今のヘレナには無意味だった。

 

 

 ヘレナのミスティックナインテールの一つである二尾が展開し、そこから鉄扇が現れた。その鉄扇でリアスの魔力弾を防ぎ、鉄扇を扇ぐことで突風を引き起こしてリアスを吹き飛ばした。

 

 

 リアスは直ぐに立ち上がり、両手から次々に滅びの魔力を撃ち出す。ヘレナは三尾から太刀が、四尾からは槍を展開させる。太刀で魔力弾を真っ二つにし、伸縮自在の槍で魔力弾を次々に突き刺し、太刀と槍から逃れた攻撃は鉄扇で防いだのだ。

 

 

「そ、そんなッ!?」

 

「もう、終わらせよう」

 

『そうじゃな』

 

 

 《ダイカイガン!ハゴロモギツネ!!オメガドライブ!!!》

 

 

 ミスティックナインテールにオーラを纏わせ、高速で連続攻撃を繰り出した。リアスは防御魔法陣を展開するも、連続で繰り出される尻尾の攻撃に魔法陣が耐えきれず破壊されてしまい、そのまま食らってしまい、戦闘不能になる。

 

 

「やり過ぎたかな?」

 

 《オヤスミー!》

 

 

 ドライバーから眼魂を取り外し、そのままカバーを閉じると変身が解除される。

 

 

「夏煉、お疲れ様。どうだった?」

 

「うん。充分ウォーミングアップになったよ、陽太義兄さん」

 

「それは良かった。それにしても、彼らの相手をしたせいで予定より大分時間が遅れてしまったね」

 

「それもだけど、この人達どうしよっか」

 

「それは俺に任せて貰う」

 

 

 二人がグレモリー眷属達をどうすればいいかと考えているとき、男の声が聞こえた。

 二人が声のした方を向くと、金色と黒で彩られた身体で頭部には黄金のトンガリ帽子を被り、顔は原石のような造形ででカイゼル髭が生え、下腹部には赤い枠で手の形をしたベルトを巻いていて、その姿はお伽噺に出てくる魔法使いを彷彿させる。

 

 

 あらゆる魔法を使いこなす金色の魔法使い【仮面ライダーソーサラー】である。

 

 

「ソーサラー……ということは、君がこの世界のダークライダー……兵藤一誠かな?」

 

「そう言うことになるな」

 

「……あの人が」

 

 

 陽太郎は探していた人物が向こうからやって来てことに内心喜び、夏煉は今から戦うであろう人物を前にして少しばかり緊張し出す。

 

 

「あんた達のことは途中から見てたよ。俺を探してたんだろ?だけどその前に、グレモリー先輩達を学園の部室に届けるから少し待って欲しい」

 

「なら、僕達も手伝うよ。彼らがあぁなったのは僕達の責任にでもあるからね」

 

 

 三人は散らばっていたグレモリー眷属五人を一ヶ所に集める。集め終えると、ソーサラーがベルトのパームオーサーを操作して右手の指に嵌められている指輪『コモンウィザードリング』をベルトに翳す。

 

 

 《ルパッチマジック・タッチゴー!ルパッチマジック・タッチゴー!》

 

 《 CURE(キュア)!NOW!》

 

 

 ソーサラーの持つコモンウィザードリングは、その指輪一つであらゆる魔法を扱うことが可能な指輪。その数々の魔法の中から今回選んだのは回復の魔法である。

 

 

 右手を前に突き出すと、そこから緑色の光がグレモリー眷属達を包み込んだ。光が消えると、傷跡が跡形も無く消えていたのだ。制服はボロボロのままだが。

 

 

「後はこれだな」

 

 

 《ルパッチマジック・タッチゴー!ルパッチマジック・タッチゴー!》

 

 《 TELEPORT!NOW!》

 

 

 転移の魔法を発動し、五人を学園のオカルト研究部の部室に転移させた。

 転移を終えると、ソーサラーは変身を解除する。

 

 

「それで、何で俺を探してたんだ?」

 

 

 そして陽太郎と夏煉の口から、自分達はこことは別の世界からやって来て者で、陽太郎の義妹である夏煉の修行相手を探していたこと。この世界の唯一のライダーである兵藤一誠のことを耳にして、遙々やって来たことを全て話した。

 

 

 話を聞き終えた一誠は、二人に話す。

 

 

「良いよ。俺で良いなら修行相手になるよ」

 

「ホントに?ありがとう!」

 

「良かったね、夏煉」

 

「俺も異世界のライダーに興味があるしね。それじゃあ、戦っても大丈夫な場所に移動しようか」

 

 

 《 STAGE!SELECT!》

 

 

 腰に装備していたキメワザスロットホルダーでステージを選択。場所はこの前コカビエルと戦った採掘場である。

 

 

 夏煉はゴーストドライバーを出現させ、カバーを開いてヘレナ眼魂をセットする。

 

 

 《アーイ!バッチリミトケー!バッチリミトケー!》

 

 

「変身!」

 

 《カイガン!ヘレナ!》

 

 《デッドゴー!覚悟!キ・ラ・メ・キ!ゴースト!》

 

 

 夏煉は仮面ライダーヘレナに変身し、準備万端である。

 

 

「やっぱりスペクターに似てるな。なら、俺もそっちに合わせるか」

 

 

 一誠は下腹部にヘレナと同じくゴーストドライバーを出現させる。

 

 

「ゴーストドライバー!?」

 

 

 ヘレナは一誠がゴーストドライバーを持っていることに驚きの声を上げる。

 一誠は懐から眼魂『ダークゴースト眼魂』を取り出しスイッチを押す。ドライバーのカバーを開けてアイコンスローンに眼魂をセットしてカバーを閉じる。

 

 

 《アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!》

 

 

 ドライバーから黒を基調としたパーカーが飛び出し、一誠の回りをグルグルと回る。

 

 

「変身!」

 

 《カイガン!ダークライダー!》

 

 《闇の力!悪い奴ら!!》

 

 

 全身を白いラインが駆け巡りトラジェントになり、パーカーを着込む。

 生える一本角と禍々しい邪悪な模様の目が刻まれ、黒いフードを脱ぐ。

 

 

 嘗て全人類をゴーストにする計画を企て、100の英雄眼魂を手にした闇の幽霊【仮面ライダーダークゴースト】へと変身を遂げる。

 

 

「仮面ライダーヘレナ、渾沌の定めに舞い殉じます!」

 

「仮面ライダーダークゴースト……さぁ、戦いを始めよう」

 

 

 今、煉獄のライダーとダークライダーがぶつかり合う。

 

 

 

 




如何でしたか?次回はダークゴーストとヘレナの戦いになります!ゴーストチェンジ合戦をご期待下さい!
仮面ライダーヘレナの設定を詳しく知りたい方は、悪維持さんの【煉獄の義姉弟】をご覧下さい!

次回 兵藤一誠のダークライダー戦記

コラボ回 後編 激闘!ヘレナVSダークゴースト

次回もお楽しみに!
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