緋色に並ぶΑ   作:ノムリ

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似た境遇の友人

 上を見上げると背の高いビルが一つ。

 外から見ればただのビルの中は特権階級の金持ちが集まっている。

 

 その中に上層四十五階にいる変態共が今回殺す相手だ。

 子供を二人買った大人。

 薬物を密輸している大人。

 殺すのは十人。

 

 エレベーターに乗り45のボタンを押して閉ボタンを押す。

 独特の浮遊感を味わいながらポケットからフェイスマスクを取り出し取り付ける。

 グロックやナイフのチェックをしながら時間を潰す。

 

 階数を確認する為に上を見上げれば順調に四十一、四十二、四十三とエレベーターは上がっていく。

 

 ―――ピンポン―――

 到着したという合図の音がなり、エレベーターのドアが開く。

 

 エレベーターから降りようと歩き出すと左右から人が出てきて止められた。

「すいません。止まってください」

「両手を上げて」

 

 黒スーツにサングラスとか何処のマフィアだよ。

 ゆっくりと両手を上げながら目だけは動かす。

 

 左に立つ男は黒のベレッタを抜き構え、右に立つ男は凶器を持っていないか触れて探し始める。

 凶器を探す手が脇腹を超えてあたりで上げていた手を動かした。

「油断しすぎだろ」

 

 右手を中指と薬指の間を大きく開けて変な形のピースの状態にする。そして、男の両目に指を勢いよく突き立てた。

 眼球は潰れ血の涙が流れる。四本の指には血がべったりと付いて床に赤い染みを作っていく。

「あぐぁ!?」

 男は膝を付き両手で自分の顔を覆う。

「お前!」

 両目を潰された男は苦痛の声を上げ、ベレッタを構えていた男は予想外の行動に動くことが出来なかった。

 

 左手で腰にあるトレンチを抜き、ベレッタを構えた男の首に向かって投げる。

 グサ、と効果音が出そうなほど綺麗に首の動脈に立ち切り肉に食い込んだ。

 

 銃を持っていた男は膝から崩れ落ち、仰向けに倒れ込む。

「―――くっ!」

 

 激痛と見えない目で懐からワルサーを取り出し、震える片手でワルサーを構える。

「無駄な努力に拍手を送ってあげたくなるな」

 

 ポケットからカラビットを抜き首を掻っ切る。

 ドサ、と男はワルサーを握ったままうつ伏せに倒れ、数秒はピクピクしていたがすぐに動くことも無くなった。

 

「さっさと、ゴミを片づけて帰ろ」

 トレンチを死体の首から抜き取り、死体の黒スーツでトレンチとカラビットについて血を拭いしまう。

 転がる二つの死体の手からベレッタとワルサーを抜き取る。

「リサイクル。リサイクル」

 わざわざ実費で銃を使う理由なんて無い。現場にあるものを使えばいいのだから。

 右手にベレッタ左手にワルサーを持ってメインターゲットの居る部屋のドアを開けた。

 

「………これは流石に引くわ」

 

 部屋の中には白い煙が立ち込め。汗と体臭といろんなものが混ざった匂いが鼻を刺激する。

 十代前半の男女の子供が数十人が裸のまま床に倒れている。その中で全裸のおっさんが十人。

 

 俺が入ってきたことに目は向けるも驚く様子もなく、腰を振っているおっさんたち。 

「今から、始めるのはゴミ掃除だ」

 

 両手に持ったベレッタとワルサーをおっさんたちに向けて、引き金を引く。

 

 バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン

 

 全員の頭に銃弾を撃ち込む。

 眠っていようと腰を動かしていようと例外なく。

 念の為に一人つづ近くまで行って、もう一度頭に銃弾を撃ち込む。 

 部屋からは叫ぶ声もなくただ銃声だけが響いていた。

 撃ち尽くしたベレッタとワルサーを床に投げ捨てポケットから

 

 スマホを取り出し、G(サード)に電話を掛ける。

『また、お前か、なんのようだよ』

 

「預ける子供さ、人数増えても大丈夫だよな」

『大丈夫かどうか聞く前に、大丈夫だよなって、どうなんだよ!』

「出来れば迎えにきて欲しいだけど」

『お前図々しいな……場所送れ』

 相変わらず優しすぎるこった。

「メールで送っておくから頼むわ」

 通話を切ってメールで現在地を送る。

 

 さて、メインの二人を探すか。

 部屋を回って子供の顔を一人つづ確認していく。

「コイツらか」

 売られた女の子二人と一致する二人を見つけて声を掛けるが、返事は帰ってこない。

 頬を軽く叩いてみるが、生気のない目は此方を向くだけで体は一切動かない。

「部屋に何に焚いたんだよ。媚薬じゃないなら麻薬かなんかだろうけど」

 

 布団を探すが無いので代わりにカーテンを取り外し手頃なサイズにトレンチで切って転がっている子供全員を包み部屋の外に運び出す。

 

 ピンポンとエレベーターが到着する。

 

 エレベーターが左右に開く中からは、肩や腕などにプロテクターを取り付けた服を着ているGⅢとその妹に当たるG(フォース)。それとGⅢの部下の一人であるツクモが出て来た。

 

「久しぶり、アスカ」

 最初に挨拶をしてきたのはⅣだ。

「久しぶり、フォース。サードとツクモもな」

 サードとフォースはアメリカ政府の機関ロスアラモスで人口的に作られた人工天才(ジニオン)だ。

 

「早く片付けるぞ」

 口ではそういうものの床で眠っている、子供を抱くサードの手は優しい手つきだ。

「だな」

 片っ端から抱いてはエレベーターに移動させる作業を繰り返す。

 

「アスカ。そういえばお兄ちゃんは学校でどんな感じなの」

「ん~」

 お兄ちゃんと言うのは同じクラスのキンジのことだ。

 サードとフォースの遺伝子の半分。父親にあたる方はキンジの父親、遠山金叉(こんざ)の遺伝子を使ってるつまりサードとフォースそしてキンジは遺伝子的には半分は兄弟ということになる。

 

「HSSは入学式で見たぞ。素手が得意見たいだな、あとはサードと一緒に鈍感。幼馴染の星伽さんのアピールにも気づいてないみたいだしな。そのあたりはキンジとサードは似てるな~って思った。ツクモも頑張んないと付き合うことすらできないぞ」

「~~~~っ!!いきなりなに言うんだ!?」

 突然、話しを振られたツクモは顔を赤くしながらつっかえてからしゃべり

 ツクモはサードに思いを寄せているが鈍感なサードは一向に気づく気配がない。

 

「お前だって彼女居ないだろ!」

「彼女に限りなく近い子は出来たよ」

 年頃の乙女のフォースはキランと目を輝かせて詰め寄ってきた。

 

「ねぇねぇ!どんな子?可愛い?綺麗?もう抱いたの?」

 子供を抱いて移動させながら話しを続けていく。

 

「綺麗ってよりは可愛いな、告白された時に見事に媚薬盛られて抱いたよ。同じ研究所出身だから気兼ねしなくていいし多分電子機器ならサードとフォースにも迫るくらいじゃないかな」

 

 へ~、と言いながら興味を持ったようだ、会話に参加しなかったサードもその言葉には僅かにだが反応していた。

「おい、喋ってないで行くぞ」

 四人で同時に行うとあっという間に終わった。

 

「はいはい、じゃあ、閉めるぞ」

 ”閉”を押してドアを閉め、1のボタンを押して後は一階に到着するのを待つだけだ。

 

「そういえば、警察に保護された子供たちは無事そっちに合流したのか」

「大丈夫だったよ。リーダーの女の子がストラップをアスカから貰ったって大事に持ってたよ」

「そっか、サード済まないけど頼むな。俺は仲間は居ないから友達頼るしかないから」

 サードと俺は近い境遇に居る分だけそれなりに親しい関係だ。

 

 同じく研究所出身で自力で脱出した。違いがあるとすれば、生まれが外か研究所かと部下が居るか居ないか位だサードと会ったのもサードの殺しの依頼が来て様子見に行った時だったし。

 

 サードと最初に出会った時の事は思い出すと少し懐かしく思う。

 

 


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