緋色に並ぶΑ   作:ノムリ

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Nの思いとHの作戦

 26人の中でアルファベットのNを頭文字にした少女ネイナ。

 

 26人の中で最も電子機器操作・電子技師として優れている。

 ハッキングをやらせれば、アメリカの重要情報を僅か一時間で手に入れてくる程だ。

 

 ただ、天才の代償と言うべきか性格に難があると言うべきか、凄まじい生活破綻者だ。

 極度の運動音痴、料理はできない、掃除はできない等々。

 

「どうやって俺の事を調べた、軍の情報にイ・ウーの事はあっても本名は載ってないはずだ、あと見えるからチャックをしめてくれ」

 

 素肌に直接パーカーをきているネイナはチャックをしめていないと前が丸見えになる。

 年頃の男子高校生には刺激が強すぎる、死体は見慣れていてもそれとは違う。

 

 下を向いて自分の姿を確認した後、下の部分で止まっていたチャックをお腹が隠れる高さまで上に上げた。

 

「簡単だよ、軍を調べて載ってた、武偵の事を調べて、最後にイ・ウーについて調べたんだよ」

 わかりやすい説明をしながら、キッチンに行き、冷蔵庫を開けてコンビニで売っている300円位のデザートを出してきた。

 口にスプーンを加えて片手に蓋の外されたデザートを片手に戻ってきた。

 

 軍をハッキングするだけじゃなくて、武偵もハッキングして、その後にイ・ウーの事を調べたのか。

 頭を抑えながら、軍と武偵のハッキング対策の弱さとネイナのハッキング技術のスゴさを改めて思い知った。

 

 よしょ、と言いながら椅子に座り、机のキーボードを操作し始めた。

 椅子を囲むように設置されて大小様々なサイズのディスプレイにバラバラの情報が出された。

 

 靴を脱ぎベランダに置いて、ネイナの操作するディスプレイに次々の俺の情報が出されていく。

 武偵校に登録してある偽の個人情報、裏の仕事をしている時の名前・写真・履歴全てが出てくる。

 そしてイ・ウーへ繋がる。

 

「俺の個人情報を武偵局から調べてイ・ウーまで繋げたのか」

 

「ねえ、みんなでと別れた時に、言ったこと覚えてる?」

 

「……覚えてる」

 

 ―――ねえ、一緒に居てよ―――

 

 そう、ネイナに言われて俺は無理だ、と答えた。

 

「ねえ、一緒にいてよ。ずっと一番じゃなくていいから」

 カチカチ、とキーボードを入力する音だけが部屋に響く。

 

「無理だ。俺はうぉ!」

 

 そこで、俺の言葉は途切れた。正確には椅子から飛びつてきたネイナを反射的に受け止め、勢いのまま床に倒れた。

 後ろでガタン、と椅子が床に倒れる。

 

 床に仰向けで倒れると、ネイナは馬乗りになっていた。

 どかそうと肩を掴むと胸倉を掴み泣きそうな声で叫ぶ。

 

「私、私ね!やっと分かったんだよ。あの時、みんなと別れる時になんでアスカと一緒に居たいと思ったのか!最初はただ寂しいだけだと思ってた、その後は私はアスカに依存してるんじゃないかって思った、けど違ってた!私は………アスカが好きだから一緒に居たいって思ったんだよ!」

 

 ポタポタと目から涙を零し頬を伝って流れていく。

 

 10年振りに会う友人にまさか告白をされるとは思ってなかった俺は手から力が抜けて肩を離した。

 

「……え~と、まあ、ありがと。好きになってくれて。返事は正直、待って欲しいけど」

 

 ネイナは手の甲で涙を拭いながら俺の上からどくと、机から小瓶を一つ取り出し蓋を開けて一気に飲み込んだ。

 

「おい!なに飲んだ!」

 この状況で考えるなら追い詰められて人間は飲むのは毒薬が一番あり得る。

 人生初の告白にフリーズしてる思考を一度リセットして、立ち上がりネイナに手を伸ばそうとした時、頬を両手で掴まれ、そしてキスをされた。

 

 あれ、俺今キスしてないか。

 唇に当たる熱く、柔らかなネイナの唇の感触。

 ほんのり甘くクリームの味がする。

 

「ぷはっ」

 さっき、泣きながら告白をしていたネイナは顔をリンゴのように真っ赤になっている。 

「お前!いきなり何してんぐ!?」

 

 また、唇を塞がれた。

 今度はより深く。

 触れるだけじゃなくて繋がるように、唾液を交換するように、舌を絡ませてきた。  

 何分続けたか分からないディープキスは終わり、唇同士を離すと糸が引いた。

 

 キスで終われば雰囲気も良かったのだが、……おかしい、体温が何故か高い。

「……ネイナ、さっき飲んだのって媚薬とかじゃないよな」

 

「媚薬だよ。強力な、正確には男性が狼になっちゃ系のやつ」

 

 アウトだ、普通にアウトだ。俺も見た目からは分からないだろうがネイナも同じ16歳だ。

 

「アスカは多分、私の事をそういう目では見てないから、でも一緒に居たいからアスカが私を離せないようにする方法を考えてもらったんだよ。ヒューゴに」

 

 ヒューゴ、26人の中でアルファベットのHを頭文字女の子。

 ネイナとヒューゴはペアだ、情報を収集するネイナと完全記憶するヒューゴ。

 

 道理で手際が良いわけだ。ヒューゴが考えた作戦か。

 

「アスカは自分で自分を操作できるから、媚薬が効いても無視することが出来るのは分かってる。それでも、私は恋人じゃなくてもいいから、愛人にもなれなくていいから、奴隷でも!玩具でもいいから!ずっと一緒に居たいよ」

 

 顔を真っ赤にして本日二回目の告白を受けた。

 

 ああ、クソ、俺って愛されてるな。

 家族愛も愛情も知らないけど、生まれて初めて異性からの好意を向けられた。

 好きが理解出来ない俺が好きになられるってマジで幸せだな。

 

「俺は、好きだってのが良く分かんなけど、でも先に言っておくぞ!俺は別にお前の事を女として見てないわけじゃないからな!部屋に入ってきて姿を見た時は綺麗だと思ったし、背も大きくなってたり、胸も大きくなってるし、そのくせ、服は裸にパーカーとか正直誘ってんじゃないかと思ったよ!」

 

 部屋に入ってきてから口には出さずに心に溜めてきた言葉を吐き出す。片っ端から吐き出す。

 

「あと、正直一杯一杯なんだけど、ヒューゴの考えてた作戦の続きはどういう内容だよ」

 

「えっと、媚薬を飲ませたアスカを私が上手くベッドまで誘って……その、えっと、だから抱いてもらう予定」

 

 ヒューゴお前はよく考えたな。俺が今POを使ってなかったらネイナに襲い掛かりそうだよ。

 

「告白して数分で悪いんだけど、ネイナ抱いていいか」

 

「ど、どうぞ、でいいのかな」

 

 俺は今日、大人になって、恋人?が出来た。

 

 




名前:N・ネイナ 女

見た目:身長150、Bカップ、幼顔、灰色の髪肩に付く長さ。

好きな物:甘い物全般、アスカ(引っ付く、膝枕等)

嫌いな物:甘い物以外、ゴキブリ、デカイ蜘蛛

特技:電子機器操作、ハッキング(軍の情報をハッキングした事をバレずにいられるレベル)

高級マンションから出ない引きこもり、下着や服などを身につけずに生活を送っている。着るのはオーダーメイドの高価なパーカーとワンサイズ大きいワイシャツ。食べるのはコンビニやケーキ店で通販で取り寄せることが出来るケーキやパフェ、プリンなどした食べない偏食家。アスカの作った物が食べる。部屋の掃除は自作の自動掃除機がしている、洗濯もどうように機械任せ。

同じ研究所から脱出した26人の一人ヒューゴとコンビを組んでいる。
情報収集のネイナと記憶するヒューゴ。
研究所から脱出後にもネイナが場所を調べて手紙を送り交流が続いている。アスカを襲う作戦もヒューゴが考えた。

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