「これからアカデミー生として─…」
壇上に立っているアカデミーの校長の有難い長話がやっと終わり、初めてのホームルームがある為案内に記されていた教室へと向かった。
私が歩けば距離を取られ、誰かと目線が合うこともない。
周りからは私への得体の知れない恐怖や、関わりたくない拒絶感が〝入って〟きた。
まぁ、私はすぐに卒業するハメになるだろう。
戦時中に人柱力をアカデミーで眠らせるなど、上層部が許すはずもない。
お父さんとの修行により瞳力が上がった結果、周りの人間の強い感情が何もしなくとも入って来るようになった。
あくまでも強い感情だけだし、正確に分かるわけでもない。
伝えたい、とその人が思っていれば別だが。
悪意の類は分かりやすいため、奇襲は効かない。
これでまた、強くなれた。…気がする。
お父さんから一本も取れずしまいだったため、余り実感は湧かないけれど。
それはともかく、教室へ入って椅子へ座る。
「みんな、席につけ!
このクラスの担当となったミシマだ。
まずは自己紹介から、廊下側の一番前の席に座ってる奴からだ!」
…最初ってツイてないな。
席を立ち、どうせ一年しかいないだろうし必要最低限でいいかと口を開く。
「私の名前はトウカ。…将来の夢は強くなって大切な人を守る事。」
犀犬と、写真の中の両親と、家の巻物、メイさんとやぐらさんかな。
…思ったよりも多い。
本当に霧隠れが嫌になれば、山奥に家ごと転移してやろう。
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「晶遁・翠晶結界の術!」
私を中心に、半径2mの地面が水晶のように輝き、そこに入ってきた暗殺者と思わしき者が水晶の鎖に繋がれる。
外そうともがく事も出来ない暗殺者の額宛は、岩隠れの物だ。
…忍者なのに、一発で所属が分かる額宛をしているのはどうなんだろう。
忍者と名乗るなら、敵国の下忍を殺して額宛を手に入れて紛れ込むくらいはして欲しい。
簡単に所属をバラすとは…他国で秘密裏に活動する時くらい、額宛は隠すなりしないと無駄な戦闘が増える事が分からないのだろうか。
だから忍者ではなくNINJA風魔法使いって言われるんだ。
それはともかく、
とりあえず
下手な幻術よりお手軽簡単確実な物だ。
襲ってきた忍は、白目を剥いて穴という穴から色々な液体を出し、ピクピクと痙攣しながら「あへぇー…」などと口走っており、精神崩壊を起こしてしまっている。
…ちなみに何を見せたのかと言えば、〝
『なぁ、あのガチムチ達は何でお揃いのパンツ穿いてるん?』
「あれ、パンツじゃなくて模様らしいよ。♂も♀も一緒とかおかしいでしょ?」
『つまり…安心してください、穿いてませんよってことやね。』
…ちなみに公式設定だ。
それはともかく、晶遁分身を飛ばして水影へ手紙で言い訳を伝える。
〝岩隠れのおじさんに襲われて返り討ちにしたら(精神的に)壊しちゃった(てへっ)〟