意識を飛ばした私を心配そうに覗き込む10体の尾獣。
意識を飛ばす前と景色が変わらない為、
寝転んだままウィンドウを開いて確かめると、ちゃんと移動は出来ていた。
「みんな、ありがとう。私だけだったら…こんなにスムーズに行かなかったかも。」
恐らく、
『トウカのお陰でハゴロモと会えたんだから、力を貸すのは当然だ。
それに…俺ら友達だろ、ウキキーッ!』
『そうですよ、トウカのお陰でハンとも良い関係を築く事が出来たんですから。みんな、トウカに感謝してるんですよ。』
体を起こし、みんなの優しさに思わず笑みが零れた。
尾獣達全員のチャクラを宿した事により、
まぁ、全てのチャクラを集めた訳でも無いし、十尾となる事は無いだろう。
だが、十尾にならないとはいえ全尾獣のチャクラを宿した為、求道玉などは使えるし全ての性質変化が使える。
私に危害を加えようとしても、指一本触れる所か近づく事さえ出来ないだろう。
目の前が真っ暗になりかけたため、傍らにいた犀犬をむきゅむきゅと揉む。
柔らかくてほんのり冷たく、癒し系だ。
「犀犬、モチモチだね〜…」
『
「犀犬は現実逃避にて最適だからね。」
周りにいた尾獣達が笑う。
…忍を引退したら山奥でのんびり暮らそう。
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「トウカちゃん、誕生日おめでとう。」
「ありがとう、やぐらさん。」
「これは俺達からだ。…メイさんも長期任務でなければ直接祝ってたんだろうが…」
私の
時間が飛びすぎ?…キノセイデスヨ。
「トウカちゃんが14…つまり、再来年には結婚出来る歳…他の男が触れる前にトウカちゃん用の檻を…」
「やぐら?…おーい。」
…返事がない、ただのしかばねのようだ。
「…はっ!
ご、ごめん…トウカちゃんの事になると…どうしても、ね。」
「……。」
君麻呂は面倒くさそうにしている。
…メイさんが長期任務に出ているから、恋人…いや、新婚である君麻呂はイチャイチャ出来ていないのだ。
やぐらさんのヤンデレ思考に慣れて─毒されたとも言える─少しキュンとする場面が増えた。…私も末期かな。
どうしよう、もうすぐで崖下に落とされそうなんだけど。
『よく14まで持ち堪えたやよ。そろそろ諦めたら?』
…度々送られてくるピンクな映像に当てられてるだけだ…よ?
(好きになってないとは言ってない)
「やぐら、トウカ…俺そろそろ帰る。
メイさんは明日には帰ってくるはずだから、家も綺麗にしてあげたいし…。」
「君麻呂、それはトウカちゃんに10年間片思いしている俺に対しての宣戦布告か?
最近中々ムラムラが治まらない俺に対して嫌がらせか?」
「…トウカ、やぐらの事好きだよな?
そうだと言え…言ってくれないと、俺の肩の骨がイカれそうだ。」
「君麻呂の骨が、イカれる…?」
はて、今まで君麻呂の骨がイカれる事があっただろうか?
というより、仮にイカれても君麻呂なら何とかなるのではなかろうか。
「君麻呂の骨はともかく…やぐらさんの事、好きだよ?」
「…トウカちゃん、俺にキスされても嫌じゃない?」
やぐらさん可愛すぎ警報が頭の中に鳴り響いている。
顔を赤くして、不安そうに言うやぐらさんを見て落ちない女性はいるのか?
居ない。目の前で見た私が断言する。
「嫌じゃないよ?」
「トウカちゃん…!」
「…俺の事忘れてないか?」
「「…。」」
…君麻呂を送ってからめちゃくちゃイチャイチャした。
Q.なんでかなり時間が飛んだのか。
A.作者に成長過程を書く文章力と根性が無かったから。