封印のクール期間の為に三日間休みを頂いていたため、徹夜で作業に当たる。
二日目の朝方にチャクラ不足になりつつも、何とか九割方終わらせた。
…そう、チャクラ不足。
私には一生縁のない言葉だと思っていたが、神に近い事をやってのけているだけあり、チャクラがごっそりと持っていかれる。
蘭寿と犀犬の人柱力でなければ、とっくにチャクラ枯渇で死んでいただろう。
それはともあれ、かなり眠い。
「もう、寝る…。」
『トウカちゃん、お疲れ様。』
『お疲れ様やよ。おやすみ。』
うん、やっぱりうちの尾獣達は天使である。
そんな事を思いつつ、意識を手放した。
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「うぅん…犀犬?蘭寿?」
寝たと思えば、精神世界のような場所に立っていた。
「桃水晶の者よ、良く来たな。」
「…ぇ…り、六道仙人…と、大筒木ハムラ…?」
片や輪廻眼、片や転生眼を持つ鬼のような角が生えた、人間離れしている容姿の2人。
「うむ、確かに儂は六道仙人こと、大筒木ハゴロモじゃ。」
「俺はハムラ、お前に生えてきた前世の記憶に間違いないようだな。」
「…生えてきた…まぁ、間違いではないか。」
4歳の頃、記憶を失う程の暴力を受けた(らしい)為、何故か前世の記憶を生やした、確かに間違ってはいないが。
『おじいちゃん!久しぶりだよ〜!』
「磯撫か。大きくなったな。」
ぴょこぴょこと駆け寄ったのは磯撫。
スリスリと甘えるようにハゴロモへ貼り付いている。
それを追いかけるようにして私の中にいた尾獣達もハゴロモへと向かって各々甘える。
『ハムラおじしゃま、また会えた〜!』
「うむ、久しぶりだな。」
ハムラへと向かい、撫でられてうっとりしているのは蘭寿である。
ハムラも蘭寿をもふもふとしており、表情も柔らかい。
ひとしきり尾獣達の相手をしていた2人は、ようやく私に向き合った。
「ここに呼び出したのは、世界線の事に関してじゃよ。」
「世界線の事?」
「うむ。この世界の代わりに作っている世界線に、結界外へ尾獣達の居住空間を創り、尾獣達は自由に行き来できるようにしてほしいのだ。
トウカとは友達になれたとはいえ、これから人間のせいで辛い思いをしないとは限らない。…頼む、尾獣達の安寧の空間を作って欲しいのだ。」
「はい、分かりました。
その代わりとは言ってはなんですが…。
出来れば、尾獣達全員を連れて貴方達に会わせてあげたい。だから、全員からチャクラを貰い終わったら、またここへと呼び出して欲しいんです。」
「うむ、承った。儂も皆と会いたいのぉ。」
そのやり取りに色めき立つのは、尾獣達だ。
『またお爺様と会えるのですか!?』
「みんないい子にしてたらね。」
『ウキキィー!何でも手伝える事は何でも言え!』
「なら、尾獣達と会えるように精神世界を繋げてくれる?
皆所属する国が違うから、戦争が終わった今表立って会う訳にはいかないの。
精神世界を繋げる事が出来ればそれが一番よ。
特に、国境を面してない上に風影の息子である我愛羅の中にいる一尾は難しいから。
尾獣達と接触する切っ掛けを作って欲しいの。…お願い出来る?」
『『『『『おう!』』』』』
「楽しみに待っておる。では、またな。」
ハゴロモとハムラのチャクラが薄れて行くと共に、皆悲しげな表情を見せる。
沈みがちになっている皆の雰囲気を遮るように声をかける。
「よし、みんな!ハゴロモ様にもう一度会うために頑張るわよ!」