「…新種の尾獣、か。
新しく人柱力を探さねばな。」
蘭寿の前で水影様が唸っていた。
〝人柱力の適合者が…いるだろうか〟〝六尾と三尾の人柱力でさえ、適合者が2人以外にはいなかったのに…〟〝…2人に、分割して…〟
「トウカちゃん、やぐら君…頼む、蘭寿の人柱力となってくれ。
陰と陽に分けて2人に入れる。適合者が居ないのもあるが、尾獣といい関係を築けている2人以外に適任が思い浮かばない…。」
「「はい!」」
…モフモフ、ゲットだぜ!
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封印はすぐに行われ、私には陽の蘭寿のチャクラが入ってきた。
新しく蘭寿の人柱力となり、ますますチャクラオバケとなった私達。
恐らく、地球征服も片手間に出来てしまうだろう。…闇落ちしたら、マダラ以上に手を付けられない。
「犀犬、蘭寿…私が闇落ちしそうになったら迷わず無理矢理にでも外に出て阻止してね。」
『大丈夫やよ。トウカやもん。』
『そうだよ、トウカちゃんはいい子だから。』
…うちの尾獣が優しすぎて辛い。
「そういえば…〝月の尾獣〟は十五尾までいるんだよね?他の子はどこに行ったの?」
『うーん…良くわかんない。
皆仲良くしてたけど、こっちに来た時にはぐれちゃったんだ…。』
「そっか。ま、すぐに見付かるよ。」
具現化した蘭寿をモフりつつ、そっと額の桃水晶を撫でる。
私の出す水晶と同じ色だ。
「桃水晶…私の晶遁と関係あるのかな…」
『僕も晶遁使えるよ。』
「…え?」
『…ん?』
「晶獅一族って…つまり、どういう事だってばよ…。」
『蘭寿の人柱力になれば、やぐらでも晶遁が使えるの?』
『うん!』
なん…だと…
「元々使える私はどうなるの?」
『…強化されると思う。あと…目が変わってるよ?』
「目?」
目を見れば、左目が謎の模様に変化している。
晶翠眼を発動していなければ桃色だった瞳が、水色の輪廻眼風の目─輪廻眼の様に白目の部分にまで色が付いている訳ではない─に変わっている。
晶翠眼を発動してみると、元々は桃色に翡翠色の花が咲いたような、万華鏡のような物だったのに、左目は元の波紋模様に加え、水色に黄色の花が咲いた瞳になっている。
いわゆるオッドアイであり、今までとは違う色の瞳に慣れない。
『なんか、変化したやね…』
『うーん…なんで変わっちゃったのかな…僕のせい?
月でも見た事ない目だね〜…。』
「蘭寿の人柱力になった事が原因なのは間違いない…だろうけど、まぁ…大丈夫でしょ。」
取り敢えず水晶分身を30体出し、家の巻物を全て調べ直す事にした。
「磯撫、やぐらさんは何も無いの?」
『うん、目は変わってないよ〜』
つまり、晶獅一族の血に反応したのだろう。
「ねぇ、貴方達を分けたのって大筒木ハムラだよね?」
『うん。』
「月では誰が人柱力だったの?
大筒木一族の人?」
『そうだよ〜。前の人柱力は、大筒木モウリって人だったの。』
日向一族の先祖は、大筒木ハムラ。
日向一族と大筒木一族のチャクラが交われば、転生眼が出てくる…だったはず。
月の尾獣を分けたのがハムラで代々人柱力が大筒木一族の者であれば、蘭寿の中に大筒木一族のチャクラが混じっていてもおかしくはない。
もしかして…日向一族と同じように、晶獅一族もハムラ、もしくは大筒木一族の子孫?
「取り敢えず…眼の確認…だよね。」