桃水晶の六尾姫   作:ココスケ

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防御率100%

犀犬に道を教えてもらい、お店が多い通りに出る。

 

殺気が凄い…完全に4歳の子に向ける目じゃない。

歩いただけでこれって…これをずっと受けていたら精神崩壊してもおかしくないだろう。

 

「何しに来た、化け物め…!」

 

男性がこちらに向けて拳を振り下ろすが、その拳がこちらに届く事は無かった。

 

目の前にはシャボン玉のような壁が出てきており、拳を受け止めていた。

殴ってきた男はシャボン玉の向こう側でなにか喚いているが、それを無視して相棒に確認する。

 

「(犀犬?)」

『なんにもしてへんよ?

こんな便利な機能は付いてへんし…前まではこんなの無かった…。』

 

謎の壁が守ってくれている間に、集まってきていた人混みから逃げ出す。

 

前までは無かったと言うことは、前世の記憶に関するものだろうか。

オートで守ってくれるというのは、我愛羅の砂が思いつくが…あれは我愛羅の母によるものだ。

 

「犀犬、私の前の人柱力は誰だったの?」

『トウカの母親やね。

トウカが記憶を失う少し前に病気で亡くなったんよ。父親も3歳の頃に亡くなってるし…。』

 

条件的にはビンゴだ。

まぁ、考えるのは後にしよう。

 

さっきの事を考えるに、中々ハードな買い物になりそうだ。

 

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「出ていけっ、呪いの魔女め…!」

 

呪いの魔女って…もうちょっとマシなネーミングは無かったのかと思いつつ、大人しく出ていく。

 

「また…ダメだった。」

 

40件は回り、化け物や呪われし血族などの罵倒や暴力を貰い─なお、拳などは全てシャボン玉で弾かれた─冷蔵庫のアレ(1ヶ月前の惣菜)を食べなければいけない気がしてきた。

 

正直、殺気と罵倒がここまで心に来るとは思わなかった。

原作のナルトを尊敬した瞬間だ。

 

人柱力を遠巻きにするならまだしも、殴ったり罵倒して精神的に追い詰めるのって…核爆弾でサッカーするようなもんだよね。

 

もし闇堕ちして街中で尾獣化して暴れ出したらどうするつもりなのだろうか。

 

やらないけどさ…。

そこまで考えが回らないほどのバカが殆どなのだろうか。

 

針のむしろの中で、品物を売ってもらえそうな所を探していると、背後から声がかかる。

 

「トウカちゃん、買い物?」

「…へ?」

 

紫色の目をした8歳位の少年…原作よりも幼い、4代目水影やぐらだ。

 

「…?犀犬、知り合い…なの?」

『そうやね、殴られかけた時に助けてもらって懐いてたんよ。

やぐら君、この子…色々あって記憶無くしちゃってるから…その、全部憶えてないんよ。

…ごめんね。』

「…!…何かあったの?」

 

周りに人がいない事を確認してから肩口に乗った犀犬から説明された内容に、やぐらさんは泣きそうな顔をしている。

 

可愛いな…女の子みたいだ。

 

『…聞きたい?

かなり不快になるよ?』

「そんなに酷い事があったのか!?」

『取り敢えず…今現在どこからも品物売ってもらえないから多少高くても良いから売ってもらえる所教えてくれる?

話すのはそれからでもいい?』

「勿論…トウカちゃん、こっち。」

 

手を繋ぎ、歩き出した私達。

…あれ、やぐらさんも人柱力なんじゃ…まだ違うのかな?

 

『犀犬、久しぶり〜人柱力の子と仲良くなったの?』

 

やぐらさんの肩に出てきた、3本の平らな尻尾を持つ隻眼の亀。

 

『久しぶりやね、磯撫。

トウカと友達になったんよ。』

『そっかぁ、良かったね〜』

 

間延びした喋りで幼さを感じさせる三尾。

きっと、擬人化したらショタっ子になるであろう。…人柱力もショタっ子だしね。

 

原作の時で身長143cm、驚異の可愛さを持つやぐらさんだが、原作では幻術で操られて恐怖政治を行って抜け忍が続出し、忍び刀七人衆は長十郎のみとなっていたハズだ。

 

…幻術対抗策を考えておこう。

暁に狙われるかも…いや、確実に狙われるだろうから。

 

原作でのやぐらさんは、イタチとの対戦で天照をくらって重症、そのまま行方不明だった筈だ。

(アニメのイタチ真伝参照)

 

色々と考えていると、ある店の前でやぐらさんの足が止まる。

 

「アザミさん、こんにちは〜。」

「やぐら君、こんにちは。

…あら、妹さん?」

「違いますよ、知り合いの子です。」

 

60代と思わしきおばあさんは、ニコニコと微笑んでいた。

 

「そうかい…可愛い子だね。やぐら君、今の内に女心をがっちり掴むのよ。」

「へ…い、いや…その…も、もう!揶揄わないでくだしゃい!

…揶揄わないで下さい!」

『やぐら、動揺しすぎだよ〜』

 

顔を真っ赤にして涙目で否定の言葉を噛むやぐらさんは、物凄く可愛いので眼福だ。

 

その後一通り買い物を終え、私の家へと向かった。

 

 


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