砂隠れとの戦場にその4人組が突如現れた瞬間、霧隠れ側からは歓声が、砂隠れ側からは悲鳴が上がる。
悲鳴を上げている間に、砂隠れの忍達の数は減っていく。
一部の者は戦場へ出てきていた風影を守る為に陣形を取ろうとするが、呆気なく一瞬で命を散らす。
4人が取りこぼした瀕死の者を後ろにいた霧忍がトドメをさしていく。
蹂躙。
その言葉がピッタリとハマる戦いを見せる4人の内、3人はまだ子供と言っていい年齢だ。
骨を巧みに扱い、攻防共に高い能力を見せる〝骨舞踊〟の君麻呂。
小さな体に似合わぬ鍵針長棍棒を振り回し、相手の術を相殺する三尾の人柱力、〝水鏡〟のやぐら。
相手を跡形も無く溶かす妖艶なくノ一〝全榕〟の照美メイ。
晶遁と晶翠眼で敵を翻弄し、水晶で閉じ込めて粉々に砕く六尾の人柱力、〝桃水晶〟のトウカ。
霧隠れの英雄となっている4人がこちら側よりも人数が多い砂隠れの忍達を返り血さえ浴びずに倒していく。
「トウカ様が風影を捕らえたぞ!」
「磁遁も封じて…すげぇ、本当に一騎当千だぞ!」
本部に捕虜である風影を連れてきた4人は、水影様に報告する為に立ち去っていった。
「ほら、お前達!
あの人達が砂隠れの忍を片付けてくれたんだ、撤収の準備をしろ!」
台風のように立ち去った4人にポカンとしている部下達に激を飛ばす。
部隊長を任され、敵の数を見た時は軽く絶望したが…あの4人を送ると言われた時の安心感は異常だった。
流石、幼いながらも英雄と言われるだけの事はある。
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「ほら、歩けるなら自分で歩いて下さい。そこまで面倒見切れませんよ。怪我は無いはずです。」
「…済まない、砂隠れでは見ないものばかりでどうしても立ち止まってしまう。」
捕虜である風影にチャクラを乱す水晶で作った手錠を掛け、縄を引いて歩く私達。
門の前に転移後、手続きを終えたら中心部にある捕虜が捕えられている場所へと飛ぼうとすると、歩いて行きたいと要望があった。
メイさんとやぐらさんと君麻呂は水影様に報告する為に転移させ、私達はゆっくりと観光…と言うほどでもないが、街の中を歩く。
基本、五影や人柱力を捕らえると捕虜の中でも丁重に扱われる事になっている。
酷い扱いをすると、後の戦争の火種になりかねないためだ。
「風影様、砂隠れって砂漠が多いんでしょう?お水はどうしてるんですか?」
「オアシスがあるからそこの水を分け合っている。
だから、風呂なんて余程で無ければ入れないから基本は水拭きだ。」
砂隠れは一尾の守鶴を所有している。
この時期であれば、我愛羅が人柱力のはずだ。
「…君は、何歳なんだ?」
「少し前に6歳になりました。」
「そう、か…」
表情を曇らせ、思案顔の
〝テマリやカンクロウ、我愛羅やナルト君と対して変わらない…〟〝実力があるとはいえ…気持ちのいい物ではない〟
「トウカちゃんは…平和になったら、何がしたい?」
「友達(尾獣)と一緒にお出かけしたいです。
海も山も友達と行きたい所がいっぱいあるんです。」
〝戦争…終わらせる〟
何か決意したように前を見据えた風影の目には、力が戻ってきていた。