「塵遁・原界剥離の術!」
出来た…出来てしまった。
塵遁・原界剥離の術は、接触した部分を分子レベルでバラバラにするガード不可能のチート忍術だ。
私のチャクラ性質が風・土・火・水だと分かってからダメ元で人海戦術で練習してきた。
手元にある白いブロックが、完全犯罪をも可能にしてしまう。
形は自由自在に操れ、ビームにする事も可能だ。…これを里へ
化け物って言われても否定出来ないレベルだ。
『岩隠れとの最前線に行っても安心やね。』
「まぁ、確かにそうね。
コピーしたって主張すれば大丈夫でしょ。」
晶翠眼に写輪眼と同じようにコピー能力があるという火影の見立ては、ある意味では正しく、ある意味では正しくない。
写輪眼と晶翠眼の共通点は、高い動体視力による見切り能力やチャクラの色見分けなどだ。
コピー能力というのは、印を瞬時に見切り、真似る事で出来る物だ。
だから、遺伝子に依存する血継限界はコピー出来ないし、コピー出来ても体が追い付かないレベルの体術なんてのも再現出来ない。
まぁ、せっかく〝桃水晶〟なんて中二臭い異名を貰ったのだから、塵遁よりも晶遁をメインに使用する事になるだろう。
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「次は岩隠れか…」
「不確定情報だけど、土影と人柱力が参戦するという噂もあるわ。
土影が原界剥離を放つ前に、全員を連れて転移して頂戴。」
「うん、頑張る。」
岩隠れとの戦いの場所へと飛び、部隊長とメイさんが挨拶をしている。
一小隊に部隊長が挨拶をしている。
しかも、超低姿勢で。
至る所で無双し過ぎたらしく、私達がいれば味方の士気が上がるそうだ。
200VS4で勝利を収め、更には火影を捕虜にして木ノ葉との戦いを有利な条件で停戦させた為、私達…人柱力と血継限界に対する認識は改められてきている。
不確定情報ながら塵遁が使える土影と人柱力2人が参戦するという噂が流れ、戦力で劣るため士気が下がり続けていたこの戦場は、私達が着いた途端に表情が明るくなった。
何が言いたいか表情でわかる。
〝火影と人柱力✕2を
お前ら本当に忍者かと問いただしたいほど分かりやすい。
閑話休題
岩隠れの忍1500人に対し、霧隠れは500名という圧倒的不利な状況であった。
塵遁には数は関係ない。
一瞬で全員を避難させる事ができる私をここへ投入するのは妥当であった。
戦闘が始まり、岩隠れのモブ忍者達への蹂躙が始まった。
晶遁で粉々にしたり、
メイ班全員がこんな感じだ。
規格外が4人居るだけで、圧倒的に不利な状況だろうとひっくり返る。
「土影…土影が…!」
近くにいた忍が絶望した表情で上を見る。
手には原界剥離のブロックが作られている。
私は瞬時に空へと飛び上がり、それよりも大きな物を作って戦場に放たれる前に相殺した。
「桃水晶のトウカ…!
どうやら、その瞳術はコピー能力もあるようじゃぜ。」
「土影殿に覚えられているとは光栄です。」
「フン…木ノ葉のエリートが集まる前線をたった4人で2度も全滅させた要注意人物じゃぜ。」
〝ここで刺し違えてでも殺さなければ…岩隠れに未来はないじゃぜ〟〝幼少期に暗殺に失敗したのは痛い〟
そう言ってまた塵遁のブロックを放って来た。
「晶遁・転送鏡の術!」
ほぼ全てのチャクラを注ぎ込んだであろう大きな原界剥離の術は、転送鏡へと吸い込まれ、土影の真後ろに転送された。
反応が遅れ、対処出来なかった土影はそのまま自分の術の餌食となって遺体さえ残さずに生涯を終えた。
下からは大歓声が上がり、霧隠れの忍は勢いづく。
逆に、岩隠れの方からは動揺が伝わって来る。
私が原界剥離をコピーしたのも大きいだろう。
そして、既に完全尾獣化した人柱力が2人いた。
五尾と四尾の周りには岩隠れの忍も近づかず、やぐらさんが尾獣化して1人で抑えている。
四尾が得意とする熔遁とは相性が良いやぐらさんだが、2人の人柱力に決定打を与えるまでには至っていない。
私は迷わずやぐらさんの方へと飛んだ。