最前線が2度も崩壊し、霧隠れに火影まで捕まった木ノ葉は最悪の危機に瀕していた。
「最前線の生き残りは2名のみ。
その2名も、大怪我を負って戦闘が出来る状態ではありません。
三尾の人柱力である〝水鏡〟のやぐら、骨を扱う血継限界を持つ〝骨舞踊〟の君麻呂、溶遁と沸遁の血継限界を持つ〝全溶〟の照美メイ、何より…六尾の人柱力で、晶遁と晶翠眼を持つ〝桃水晶〟のトウカ。
この4人がいる限り、霧隠れとの戦闘は避けるべきかと。
火影が捕えられ、霧隠れからは停戦、戦後協力同盟、賠償金の要求がありました。
…お二方、ご決断を…。」
守護神とも呼ばれる2人の英傑は、難しい顔をしながらも口を開いた。
「…俺達が木ノ葉を立ち上げたのは、子供が…未来を担う新世代が苦しまないように、大人達の盾にされないようにと考えたからぞ。
人柱力だろうが血継限界を持とうが実力を持っていようが…幼子が戦場に送られる戦争は一刻と早く…終わらせるべきぞ。なぁ、マダラ。」
「あぁ。
俺達の世代はな…自分たちより幼い子供が死んでいく事も珍しく無かった。
だが…それを良しとしている訳ではない。弟達が死ねば悲しいし、気分が悪い。…霧隠れからの要求を呑もう。
ミナトにはまだやるべき事があるのだ。」
2人の言葉に、否を唱える者は居なかった。
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「それにしても…前回とは大違いぞ。
前回の六尾の人柱力は男で、晶遁を持っていなかった。」
「俺達が色々と違う動きを見せているからな。
晶遁だって、前回の生では確認できてなかった。九尾…九喇嘛も、あんなに協力的になれるとは思わなかったぞ。」
マダラから言われた言葉に、そりゃそうだと返した。
マダラの両目は輪廻眼となっており、今回の転生を頼んできた六道仙人を彷彿とさせた。
最初から…生まれた時から千手柱間としてもう一度やり直す事になるとは、人生は分からない物だ。
〝桃水晶を扱う者が、危機を救う事となる〟
「マダラよ、六道仙人が言っていたのは…」
「桃水晶のトウカ、だな。
予言も抽象的過ぎて分かりずらいが…それを見守るべきなのだろう。」
六道仙人により、時が来るまでは老化が止まり、寿命も引き伸ばされている。
この事が良いのか悪いのかは分からないが…今世では、マダラとも仲直り出来たので、前世ではマダラの月の目計画で犠牲になった…不幸になった者を救うことが出来た。
「マダラよ、霧隠れとの戦いは木ノ葉の惨敗だ。
2度の敗北で人手不足になり、これからの戦争は厳しい戦いとなる。」
「だからこそ、俺達の踏ん張りどころなのだ。1人の少女にプライドを粉々にされ、木ノ葉の忍達の士気も低い。
柱間と俺が前に出ることで、下がった士気を上げなければ。」
「そうだな、柱間。」
霧隠れとの決着がつこうが、大戦が終わる訳でもない。
忍び耐える他無いだろう。