桃水晶の六尾姫   作:ココスケ

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初任務は命懸け

忍としての初任務は、木ノ葉との戦いの最前線への物資補給だ。

 

一通り目の能力を―精神感応(テレパシー)以外―メイさんに伝え、瞬間移動(テレポート)で指定の位置へ物資と共に飛んだ。

 

転移先で待っていたのは、2小隊8名であった。

部隊長の男がこちらに話し掛けてきた。

 

「お前達が物資補給の班か。

荷物は俺が預かる。任務完了を水影様へ―」

「メイさん…この人、木ノ葉の忍。

霧隠れの下忍の額宛を奪って補給の断絶の任務に当たっているらしいですよ?」

 

晶翠眼を開眼した私がメイさんに伝えると、木ノ葉の忍は舌打ちして額宛を捨てる。

ここで他里に物資を奪われると、霧隠れにとってもかなりの痛手だ。

 

「ここで…死んでもらうぜ、人柱力共!

血継限界持ちと人柱力を一気に処理するチャンスだ、いくぞ!」

 

私達の倍の人数で、私達に襲いかかる。

忍術、体術、クナイや手裏剣が私達に降り掛かった。

 

だが、私達に人数は関係ない。

メイさんと私で武器を溶かし、君麻呂が骨で体術使いの体を抑え込み、やぐらさんが水で火遁を鎮火する。

 

「晶遁・破晶降龍!」

 

桃色水晶で作られた龍が、木ノ葉の忍を襲う。

ある者は逃げようとして足をもつれさせた隙に水晶の粉となり、その様子を見た隊長らしき人物は撤退を叫ぶが、晶遁・翠晶牢で拘束される。

 

他の忍も、3人に拘束されたり殺されたりしている。

 

『尾獣を狙う任務に当てられるくらいやから実力者かと思ったけど…大したこと無かったやね。』

「いえ、全員上忍の実力者よ?

ここにいるのが規格外な人間ばかりなだけで…。」

 

まぁ、尾獣からしたら確かに生ぬるい相手でしょうね、とメイさんは付け加える。

 

確かに、戦時中とはいえ幼くして戦場へと送られるような人間ばかりだ。

そこらの下忍と同じな訳がない。

 

閑話休題

 

捕虜となった忍の記憶を読み取ると、本来ここに来るはずであった霧隠れの忍は、殺されていた事が分かった。

 

一旦霧隠れへと戻って捕虜を牢に入れ、前線へ直接向かう事になった。

 

尚、そのまま最前線の戦闘に巻き込まれた為、そのまま木ノ葉の忍達を壊滅させておいた。

木ノ葉の忍780名に対して、霧隠れは400と劣勢だったのだが、私達が無双して木ノ葉の忍は撤退も出来ずに死んで行った。

1人、重傷の忍が逃げていったが…まぁ、木ノ葉…いや、他里全体に晶遁の事を知らせてくれればいい。

私が晶遁で目立てば目立つほど、相手は未知の力に恐れをなして逃げるだろう。

 

また、戦後に狙われる事を防ぐ意味もある。

 

確かに、出る杭は打たれる。

だが、誰も打てなくなるほど出ると逆に尊敬を集める事になる。

 

柱間ァ…や、フルフルニィ…が忍界で尊敬を集めるのは、誰にも到達出来ぬ…打てない杭になり、その力を里を守る為に使っているからだ。

 

人柱力として、血継限界持ちとして、蔑まれて生きていくなんて面倒な事はしない。

 

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「ん…なるほど、よく分かった。

報告、ありがとう。」

 

霧隠れとの最前線が崩壊し、命からがら逃げ出せた上忍の報告に、思わずため息をつく。

 

都市伝説でしか語られていなかった晶遁や、謎の瞳術、前線に人柱力が2人もいた事…さらに、血継限界を持つ者が他に2人もいた事。

何よりも、六尾の人柱力がまだ5歳…クシナが命懸けで産んだ息子のナルトと4歳しか変わらない子供が、大人が始めた戦いに巻き込まれていることが虚しく、無力感に襲われた。

 

だが、火影として部下に情けない顔は見せられない。

 

表情を切り替え、晶遁という血継限界と謎の瞳術の事を聞くため、木ノ葉の守護神とも言えるお二人を呼ぶ。

 

「晶遁、か…」

「何か…ご存知ですか?

水晶を扱うとしか情報を得られませんでした。晶遁が掠りでもすれば、たちまち水晶に覆われて死ぬらしいですが…。

瞳術も、突然姿が消えたり背後まで見え、先読みの様な能力を使うとしか…。」

 

2人は、険しい表情を見せる。

 

「晶遁と晶翠眼は…晶獅一族の血継限界だ。うちはの写輪眼とは、対極に位置する瞳術ぞ。

経絡系を見抜き、チャクラの色を見分ける以外にも、ミナトが言ったように多彩な瞳術を扱うとしか…情報が残っていない。

断絶したと思っていたが…。」

「まぁ、霧隠れが出来た辺りから目撃者が居ないことは確かぞ。

恐らく…血継限界嫌いの霧隠れで生きていくために隠して来たんだろうな。」

 

霧隠れの血継限界嫌い。

それは、他里にも伝わる程有名なものだ。

人柱力と同じように、周りから冷遇されると聞く。

 

なぜ彼女は今までと同じように隠して…いや、木ノ葉の忍を皆殺しにしてこなかったのか。

幼いとはいえ、やろうと思えば一人で簡単に全滅させることが出来るのに。

 

彼女は、伝説にもなっている晶遁を使うことで自分に目を向け、他の班員達の血継限界に向けられる白い目を少しでも減らそうとしたのだろう。

 

人柱力でもある彼女が未知の血継限界をド派手に使えば…敵味方関係無しに、頭の中で晶遁の情報で溢れかえり、他の血継限界についての分析が間に合わなくなる。

 

現に、他の血継限界については余り分かっていない。

 

お二人もおなじ意見だった。

5歳でここまで頭が回るとは、と…。

 

緑髪、桃色の眼を持った幼い忍を見つけたらすぐに逃げろと通告を出す。

晶遁や瞳術を破る方法も分かっていないため、下手に交戦すれば被害が拡大する。

 

「早く…戦争を終わらせる為に、頑張らないとな。」

 

いくら頭が回るとはいえ、彼女が守られるべき存在である子供なことには変わりない。

 

戦争を終わらせ、友人の風影殿と子供自慢をしたいものだ。


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