衛宮さんちのメイドラゴン。   作:ギルス

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歯車が、廻り出す。

第5次聖杯戦争。
異分子をはらみながら、その幕が上がる。

今回シリアス成分多めです。



第7話「開幕の血槍」

 

 

猛竜注意!

 

この作品は、何番煎じかもわからない…小林さんちのメイドラゴン、及びFate/staynight 、Fate/GrandOrderの2次創作です。

 

キャラ崩壊、捏造、曖昧設定などがあります。

 

それでも良いよ!

と言う勇者な方はドラゴンスレイヤーは持たずに身体を清潔にして塩を擦り込み、オリーブオイルを塗ってお待ちください。←

 

…ジョークですよ?w

 

それでは、思いつきの駄文ですが、お楽しみいただけたら幸いです。

  

 

──────────

 

 

因果地平

 

 

冬木。

幾重にも重なる因果が集い、螺旋描く地。

 

今、この地には新たな因果が集いつつあった。

 

竜種、英霊、人理の守護者。

 

本来始まるべき戦はまだ、始まりを迎えていない。

 

だが、それもいつまでも続くものではない。

変化した因果が、新たな因果を紡ぐ。

まさに今、その具現にも等しいモノが大空洞内部に巣食っていた。

 

「……害悪めが。」

 

終焉帝。

そう呼ばれた初老の男は口髭や髪色からは考えられない覇気を纏っている。

 

その真名は口にするのも畏れ多く。

あらゆる全てが平伏す終焉の主。

 

「……我が娘が今、この地に足を運んでおるのだ…キサマの様な半端モノが世界の均衡を崩す事、まかりならん。」

 

書き換えられ、絡まりつつあった事象が、再び捩れを解き、解されていく。

 

──キサマ、ワタシヲ、ヒテイスルカ。

 

「ふん、否定も肯定も無い。」

 

男が拳を握ると同時。

因果に干渉していたモノが結晶化してその手に現れた。

 

「……お前はもう、生まれ出でる必要も無いものだ。」

 

手に握られた結晶は虹色に鈍く輝く多面体。

 

「…やれやれ…この様に過保護な真似はトールには見せられんな、全く。」

 

男の干渉により、因果は僅かなズレを残して修正された。

 

「どうやら大きく変容はせんで済んだか。」

 

…彼は知らない。

この干渉が故に、愛娘の想い人の性別すら変わった事を。

本来、無かった出会いが起きた事を。

 

干渉するならば、今手にしたソレを。

完全に消し去るべきだったのだ。

 

だが、それを指摘するものは誰一人としておらず。

 

確かに世界規模ではない、しかし。

個人の運命は…大きく、変わっていた。

 

 

 

 

 

違えた歯車

 

 

「……全く、前代未聞だぞマスター。」

 

「な、何よ?」

 

「君の不手際のおかげで私は自身が何者かすらわからない、挙句に君はサーヴァントにこのような雑事をこなしてみせろと言う。」

 

「……その割には随分手際がいいじゃない、貴方。」

 

テキパキと床に散乱した壊れたものの破片や埃を片付けていく長身の男。

 

本来、万全の状態で、最高の英霊を召喚するはずだった。

だが。

 

結果は見るも無残な現状である。

召喚陣の外に召喚されたサーヴァント。

それは求めたセイバークラスの英霊では無い、アーチャー、弓兵だ。

それどころか記憶に欠損があり、自らの真名すら思い出せないなどとのたまう始末。

 

しかし。

それもこれも、最後の最後に時計の時刻のズレに気がつかず、本来最高のコンディションになる時刻を大幅にずらしてしまった事。

 

また、本来あった筈の前回の聖杯戦争時の触媒が失われてしまっている事。

 

我が家の血筋は、ここぞという場面で致命的な失態をやらかす、最早呪いじみた宿業がある…なんて話は信じたくはなかった。

たまたま、偶然にもほどがあっただけなのだと、思いたかった。

 

しかし。

 

「……認めるしか無いのかしら…」

 

げんなりとしながらそう呟けば。

 

「ほら、出来たぞマスター。」

 

その弓兵は。

とても芳しい香りを漂わせた紅茶を、差し出した。

 

「……美味しい…アーチャー命令よ、貴方これから毎朝紅茶を入れなさい。」

 

一瞬、苦い顔をしたアーチャーだが、すぐさま皮肉を返してきた。

 

「いいだろう。またくだらない命令に令呪を消費されてはかなわんからな。」

 

フン、と意地の悪い笑みを浮かべ睨み、いや…見下ろしてくるアーチャー。

 

「…幾ら何でも二度はやらないわよ。」

 

そう、私の手にある三画の令呪は、既に一つ、私の怒りと共に消費されていた。

私の命令に絶対服従、などという愚かしい命令で。

 

「わかっているならそれでかまわない、まあ…先ほども言ったが確かに君は最高のマスターだ、そこは認めているからそう膨れた顔をするな凛。可愛らしい顔が台無しだぞ?」

 

「……んなっ、あ、あんたねっ…ま、マスター誑し込む気?」

 

「ハ、真逆、選ぶ権利と言うものがあるだろう。」

 

「なんですって!?」

 

「あまり膨れ面をしていると子供と間違われるぞ。」

 

最も、選ぶ権利があるのは君の方に、だがね?…そんなアーチャーの言葉は届かない。

 

「あ、あーもう、張り倒すわよ!?」

 

それはかなわん、と肩をすくめるアーチャー。

 

「…調子が狂うったら無いわ…」

 

肩を落とし、がっくりと項垂れながら呟く。

前途は、多難だ。

 

そんな私を見つめながら。

()()()()()()()() ()アーチャーが僅かに口角を吊り上げて笑う。

 

本当、調子狂うったら無い。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

しゅらばぁ?

 

「……トール先輩。」

 

「何ですか?桜さん。」

 

「衛宮先輩から、離れて、下さい。」

 

ばちばちと。

それはもうばちばちと。

 

火花が出てる。

幻覚かなあ…なんかもう、おかしいなあ。

 

桜の背後になんか真っ黒な影が見える気がして仕方ないんだが…あとトールはドラゴンの影は隠せ。

 

普通こう言う場面では龍虎が相対するんだが…

 

「ふ、二人とも落ち着こう!せ、先生喧嘩はいけないと思──」

 

「「先生は黙っていて下さい!晩ご飯抜きにしますよ!?」」

 

「…ハイ!」

 

冬木の虎はあっさり敗北した。

…ところで二人とも気づいているだろうか。

柔らかくも素晴らしいボリュームの二人のそれが、腕を絡めて引っ張り始めたがために俺の腕を包んでいる。

 

ギリギリと音が聞こえた様な気がした。

 

「痛い痛い痛い!桜、トール!大岡裁きみたいになってるから!から!」

 

 

そしてそれを見たクラスメイト(主に男子)の反応。

 

「…エミヤメェ…エミヤメェ…!」

 

「リア充メェ…リア充メェ…!」

 

「トールちゃんは俺の嫁ェ…!」

 

「爆発しろ!」

 

「…衛宮…お前がおっぱい星人とは!」

 

「いや!最近ロリロリな子を連れて歩いていたって噂も聞いたぞ!」

 

「え!?俺は衛宮がついに遠坂さんまで毒牙にかけたって聞いたぞ!?」

 

「馬鹿な!真実か!?」

 

「だって遠坂さんが衛宮のウチに入ってったのを見たやつがいるんだよ!」

 

「エミヤメェ…エミヤメェ…!」

 

「リア充メェ…!リア充メェ…!」

 

「藤村先生は俺の嫁ェ…!」

 

と、様々?だった。

 

 

「最後の、なんでさ!?」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

逃れ得ぬ命運

 

「トール、今日は生徒会の手伝いをしていくから先に帰って晩御飯の支度を頼んでかまわないか?」

 

「はいはい、喜んで!私は士郎さんの専属メイドですからね!」

 

でも、一緒に帰れないのはちょっと寂しいです、なんて続けるものだから、またも周囲が殺気立つ。

 

「トール、あまりそういう事を軽々しく言わない。」

 

「え〜〜?」

 

「…はあ、まあとにかく頼んだからな。」

 

「は〜い。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そう、笑顔のトールと別れたのがほんの数時間前。

 

今、俺はありえないものを見てしまった。

人にあらざる動き、殺し合い、血の匂い。

 

あいつが…魔術師だなんて!

それに、あのとんでもない戦闘。

 

見えなかった。

一合一合の刃の速さ、魔力のうねり。

全て途方も無い高みだとしかわからない。

 

 

「なんなんだ、あれっ…!」

 

衛宮士郎。

穂群原学園の制服に身を包んで、肩を大きく上下させている、呼吸は荒く、冷や汗が止まらない。

 

アレは。

人じゃ、ない。

 

「運がねえな坊主。」

 

「…!?」

 

見上げれば、月明かりに照らされた青い影が。

紅い魔槍をぶら下げて立っていた。

 

「良く逃げた、最速を誇る我が脚から良くぞ、と誉めてやるよ、お前はもしかしたらいずれはひとかどの戦士になっていたかもしれねえな。」

 

「な、なっ…!」

 

「有望な男を殺すのは本意じゃ無えが…悪く思うな、お別れだ。」

 

トス、と。

いやに軽い衝撃と共に喉奥からせり上がったものが口腔内を満たし、口から溢れた。

 

「ガッ…ハッ、ガボ…!」

 

鉄錆の味が鼻まで逆流し、みっともない顔をしているだろうな、なんて事を考える。

 

最後に浮かんだのは、桜、藤姉、何故だか、遠坂と…カンナ、そして。

 

大輪の花が咲いたようなトールの。

向日葵のような笑顔、だった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ふんふんふ〜ん、わたしのおっにくは、栄養たっぷり、愛情たっぷり〜♪」

 

鼻歌交じりに、明らかに普通では無い肉を薄く衣をつけて揚げているトール。

 

実はトールの尻尾の肉だった。

以前から事あるごとに士郎に出しては断られている。(当たり前だが。)

 

中身が丸わかりでなければ士郎も知らずに口にしそうなものだが、それはどうにもトールの矜持が許さないらしい。

 

「今日は、私を…食べてくれませんかねぇ、うふ、うふふ♪」

 

なんて、妄想にふけりながら料理をしていたら、背筋に言い様のない悪寒が走る。

そこを狙いすましたかの如く油が跳ねた。

トールの顎の下、首に一枚だけ残る薄ピンク色の鱗「逆鱗」にだ。

 

「あ、あっつう〜〜っ!?!?」

 

一瞬、あまりの熱さに顔がドラゴン化し、ひとしきり悶えた後。

 

「な、なんでしょうこれ…とんでもなく不吉な予感が…するんですけど…!」

 

油の火を止め、火事にならぬ様処置をし。

すぐさま窓から文字通り飛び出すトール。

 

「……士郎さん…無事ですよ、ね?」

 

轟々と風を切って空を飛びながら。

不安に涙を浮かべながら士郎がまだいるはずの学園へと向かう。

 

「どうか…どうか何も、ありませんように…!」




【後書きてきなモノリス】

はい、皆様こんばんは。
いきなりシリアスですいません。

聖杯戦争に関してはきちんとシリアスもします。
ただしかなり駆け足に話を進める予定です。

後、なんか真っ黒な人居ますけど石投げないで下さい、真っ当なエミヤを期待して居た方すいません。

この世界線のエミヤは…筆者の別作品、カルデアアフターに於いてぐだことダダ甘な生活を送ってます。
故に代打に真っ黒がきました。

一応、家事はできる。
ただし色々とエミヤと違います。
齟齬や、批判もあるとは思いますがエミヤはまた違う形で顔を出す、かもしれません。

その辺り、原作イメージ壊れたらすいません。
一応、この世界では皆が幸せな世界に纏めたいと思ってます。

と、言うわけで…次回更新にて、またお会いしましょう!

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