NEW GAME!   作:ぞい☆

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先輩!それって丸投げではないでしょうか!

「それじゃあ新人ちゃん達には何してもらおうかな。3Dの経験は?」

 

「絵以外は何にも分からないんですけど…」

 

「俺は高校の時、ちまちまと3D弄ってたくらいですかね…」

 

高校の時、ゲームを制作すると言っていた友人が居て、そいつらは絵が描けないという事で、俺に頼み込んできたのが事の発端だった。

3Dの事については調べてはいたが、肝心の絵が駄目だったので、俺に3Dの手解きをしてこき使ってくれたあいつは今何やってるんだろう…。

専門学校に進学したってLINEがあったけど、元気でやっているか?俺は元気だぞ。

 

「じゃあ青葉はこの参考書の第一章をやってもらおうかな。んで渚は、この参考書を読んで分からないところはある?」

 

八神さんから参考書を受け取り、ぱらぱらと読んでいく。

ふーむ…とりあえず第一章は大丈夫だが…そこから奥となると、ちょっと怪しいな。

 

「第一章は大丈夫ですけど、その後が怪しいですね」

 

「それじゃあ渚は二章からやってみよっか!んじゃ、よろしく!」

 

そう言って八神さんは参考書を渡してすぐどっかへ行ってしまったのであった…。

あ、戻ってきた。

 

何々?俺は涼風が分からなくなったらアドバイスしてあげてと?おっふ…それって丸投げですよね?丸投げって奴ですよね?それでいいのか…先輩。

あぁ、俺をそんなに見るな涼風、分かった、分かった!できる限りはアドバイスしてやるから!

 

そんなこんなであの後、早々にチームの皆さんに挨拶を済ませそのまま仕事となった。

今年の新入社員は俺と涼風の二人だけとの事…。

ま、まぁ、一人よりはましだよな、うんうんっ。

参考書を手に、俺と青葉は自分のデスクへと座り、二人同時に大きなため息をつく…。

おお、そこまでシンクロしなくていいんですよ涼風さん?

 

さってと、とりあえず八神さんに言われたことをこなすとしますか…。

俺はそのまま参考書を広げ、読みふけるのであった。

途中、隣の涼風が、俺の隣の先輩に何か言いかけて辞めたり、後ろにいる人が模造刀?を振り始めてホントにこの会社は何なんだと思い始めたの俺は悪くないと思う。

 

「おはようございます」

 

「あ、おはようございます」

 

少しして、中々にクールそうな女性が出社してきた。

やっべ、ここ本当に女性しかいないのでは…すっげぇ居づらいんだけど、なまじ今まで同い年とか年下とかと一緒ではあったけど…こうも歳が分からない女性に囲まれるのは慣れてない…。

と、とりあえず俺も挨拶しておこう…。

 

「おはようございます」

 

「………?」

 

すたすた、するーって感じで、先輩であろうお方は自分のデスクへと向かい、座ってしまう。

流石にスルーはきついですよ先輩…うごごごご。

というか俺を見たときの表情が若干引きつってたんですけど、もしかしなくても俺のせいですか?

 

「あ、あのー…今日から入社した涼風青葉です」

 

「あ、同じく絵筆渚です…」

 

「……滝本ひふみ、よろしく」

 

「滝本さんもキャラ班なんですか?」

 

「………」

 

本当にこいつすげぇな…初対面でそこまで話しかけられるなんて、俺には絶対真似できないね。

しかし、青葉の奮闘むなしく、返答はかえってくることはなく、流石にかける言葉が無くなったのか、はたまたやばいと思ったのか、謝罪をしてやめるのであった。

 

あー…はいはい、涼風はよく頑張った…だから捨てられた子犬みたいな表情で俺を見るんじゃありません…。

ほら、ここはこうしてこうすればいいんだから、うん、そうそう。

等と、少しばかり涼風にアドバイスを送り、俺も自分のやる事を再開する。

 

しばらくして、社内メッセが飛んできた。

 

from:ひふみ☆

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さっきはごめんね!

私喋るの苦手で(。>﹏<。)

私もキャラ班だから

分からないことがあったら聞いてね!

あとひふみでいいよ!( ^ω^)

 

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この社内メッセを見た瞬間、俺は後ろにいるひふm…滝本さんの方を見てしまった!

何、このキャラの差!?すっごいびっくりなんですけど!?これは、俗にいうネット弁慶と言う奴なのではないだろうか…?

とりあえず、涼風と同時送信らしく、隣の涼風が凄い嬉しそうな、感極まったような表情を浮かべている。

俺、そんな感情の前に、驚きの方が凄くて言葉を失ったんだけど。

 

あ、また涼風が滝本先輩に話しかけた。

そしてまた惨敗した…んっんー…これって直接話しかけるよりも、社内メッセ使ってコンタクト取った方が良い感じなのではないだろうか…。

 

from:絵筆渚

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初めまして、今日から入社した絵筆渚です

こんな格好で申し訳ないです

花粉症がひどいのでこんな格好ですが

通報はしないでくださいお願いします

 

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ほい、送信っと…。

さてさて、次はこのページからやって行きましょうかねぇ…。『ピコーン』

うせやろ…。送信してからまだ一分もたってないんですけど…。

恐る恐る社内メッセを見てみると、やはり滝本さんからの返事であった、早過ぎる、俺でなかったら見逃してたね。

 

from:ひふみ☆

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通報なんてしないよ!(((( ;゚д゚))))アワワワワ

花粉症だったんだね!

最初に見たとき驚いちゃった(´・ω・`)

花粉って辛いもんね、気にしないで!

 

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やだ…この先輩もいい人…。

やっぱり社内メッセでコンタクト取った方がすんなり会話できるみたいだ。

滝本先輩は、社内メッセで、会話する…渚、覚えた。

 

チラッと滝本さんの方を見れば、何か驚いたような表情を浮かべながらこちら…もとい、涼風を見ていた。

当の本人もこれには驚いたのか、しどろもどろで何を反していいかわからないと言った表情を浮かべていた。

何やってるんだこいつ…。

 

「…何か…分からないことが…あるの…?」

 

「え、あ…はい…。でもよく考えたらわかりました、あはは…」

 

涼風、三度目の敗北…。

ため息をつきながらデスクへと戻ってきたと同時に、また社内メッセが飛んできた。

送ってきたのは八神さんだった…おぉ、ここは何か先輩らしいアドバイスを!

 

from:コウ@定時に帰りたい

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ひふみんへの質問は

メッセの方が良いと思うよ!

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ナイス八神さん…!隣にいる涼風が息を吹き返したように社内メッセを打ち込み始めた。

よし、これで何とかなっただろう…。

俺は滝本さんとちまちま社内メッセで会話しながら、参考書を進めていくのであった…。

 


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