或いはこんな織斑一夏   作:鱧ノ丈

21 / 89
 今回は原作におけるシャル関係のあれこれの始末です。
色々と原作との変更を行っている本作ですが、今回の話で取り扱うについては特に改変という要素が目立つところかなぁと思っています。
 作者の手腕共々、展開などに色々思うところある方は多々いらっしゃると思いますが、どうか寛大なお心でお受け止め頂ければ幸いです。


第二十話 シャル「クラスメイトに喉元に刀を突きつけられてピンチです」

 彼女が日本の地に降り立ったのは、端的に言うのであれば『データ』が目的である。

祖国の企業が開発したISは間違いなく優秀な機体であると言って過言でもない。ISを保有するG20を中心とした先進諸国の内の十を超える国からライセンス契約を取り付けているかのISは、間違いなく企業と国に莫大な利益を齎した。

単純な利益というだけでなく、実際に乗り手としての立場で見ても十二分に良いISと言える。間違いなく彼女の、シャルロット・デュノアの祖国フランスが生み出したラファール・リヴァイブはIS界に名を残す名機に相応しいものだった。

 だが、そんな名機を生み出したという国家の栄光を脅かしつつあったのが周辺欧州諸国のIS技術の進歩だった。イギリス、ドイツ、イタリアと言ったEU圏内における有力国が次々と第三世代と銘打った新型装備、およびそれを搭載した試作機を作り上げていく中で、フランスはラファールのロールアウトの遅さもあり、完全に開発競争に一歩遅れる形になってしまった。

そのことに何よりも焦りを感じたのはフランス政府だ。欧州各国がISの戦力の広域にわたる安定したコントロールを目的とした協定の成立に向けて動きつつある中、より優れた機体を生み出すことは協定における発言力強化のためにも必須課題である。一刻も早い新型の開発を、と政府が急かしたのは件のラファールを開発した欧州有数の企業であるデュノア社だった。

元々欧州でも名の知れた機械メーカーであったデュノアはIS登場以前よりフランスへの貢献が顕著であり、IS分野に裾野を広げてからのラファール開発に端を発する急激な躍進はそれに大きく拍車をかけると同時に、政府のIS関連へのデュノア社への依存度を上げる結果にもなってしまった。

 

 そうしてしつこいまでにせっついてくる政府に対してデュノア社も対応に困り果てていた頃、IS業界を揺るがす一方が世界中を駆け巡った。すなわち世界初の男性適格者の発覚である。

この事件に対して業界のあちこちで話題が持ち上がる中、デュノア社の反応はむしろ淡白と言えるものであった。確かに男がISを動かしたというメカニズムが興味深いものであることは事実だが、それとは別に社としてやらねばならない務めがある以上は、何よりもまずそちらに力を傾注すべしという上層部の方針によるものであった。

だが、ここでまたしてもフランス政府の介入が生じる。当時、デュノア社が抱えるテストパイロットの中で最年少ながらも国家の候補生に抜擢された才媛が居た。それこそがシャルロット・デュノアだった。

次世代型の装備の開発と並行しながら、それを搭載して十全に運用できるベースの機体開発のために社の名機であるラファール・リヴァイブのデータ収集を主な職務としていた彼女に対して、発見された男性適格者が赴く日本領内にあるIS学園へ向かわせ件の人物に関する各種データを得るようにという働きかけがあったのだ。つまりはスパイ行動を命じられたに等しい。

そしてもう一つ、フランス政府はデュノア社を動かすために一つの札を切った。確かにフランス政府のデュノア社への頼り具合が大きいのは確かな事実だが、それは政府だけでなくデュノア社にも言えることだ。そもそも開発のために社が保有するISの核であるコアは元々フランス政府の所有物。デュノア社はあくまでそれを貸し与えられているに過ぎず、それ以外にも種々の点で政府よりの援助を受けていた。

そうした援助の先行きをチラつかされては社としても断固拒否の姿勢を取ることはできない。かくして適齢であることや各国からの生徒が集う中での実地データ収集の必要性などの面からの後押しもあり、シャルロット・デュノアのIS学園行きが決まる運びとなった。

 

 

 

 

「あ……く……」

 

 喉に触れる鉄のヒヤリとした感覚にシャルロットは言葉を失う。場を支配する重苦しいまでの沈黙が緊張で早鐘を打っている鼓動を明確に音として伝えてくる。

 シャルロットがIS学園に編入するにあたりまず第一の目的とされたのが、一夏に関してのデータの収集であった。別に人格や人間関係などは求められていない。純粋に彼に関わっているIS技術、それのみを一応のクライアントであるフランス政府は欲していた。

いずれにせよ、まずは近づかねばならない。そしてより深く近づき、悟られずに目的のデータを入手するためにはより交友を深めておく必要がある。そうした打算や、純粋に彼女本人の意思もあって一夏や彼の周囲、他の者達との良好な関係の構築という下準備を進めていた。

一夏の専用機に改修が行われると耳にしたのはそんな矢先のことだった。好都合と感じた。近く行われるという改修によって一夏の手元に転がり込むだろう最新のデータ、それを入手して本国に送ればそれで事は完了だ。シャルロットの一番の役目は終了し、あとは普通に学園生活を謳歌すれば良い。

 元々政府の意思など彼女にとって従う義理などこれっぽっちも存在しないものだった。だが、そうしなければ自分が所属し働きへの見返りをくれる社に、そして血縁上ではあるが社長でもある多大な不利益があるというのであれば、否を通すことはできない。

それならば思惑通り指示に従った振りをして、最低限の仕事だけしたら後は素知らぬ顔でラファールに磨きを掛けつつ、自分が満足できるような生活を送れば良いと思った。というより、会社からはそれで十分だとも支持をされた。

 

 そうして行動に移したのが今夜だった。いや、元々明確に何時と決めていたわけではない。ただ、準備の一環として一夏の部屋を見るだけ見ておこうと思った折、一夏の部屋を訪ねた時に好機と捉えたのだ。

ノックをしても返事はなく、部屋の鍵は開いたまま。静かに入ってみれば無人の部屋の中央、寮の各部屋に備え付けのデスクとその上に置かれた起動したままのパソコンがあるのみだった。

デスクの上に広げられた幾つかの紙、そしてパソコンの画面に表示された内容を何気なく見たシャルロットは小さな驚きと共に目を見開いた。そこにあったのは、紛れもなく一夏の専用機である白式に関するであろう内容だからだ。

 あまりにも無防備に曝け出された情報に数瞬シャルロットは思考が止まった。だが即座に意識を切り替えて状況を好機と見た。何でもいい。元々そこまで乗り気な仕事ではなかったのだ。この際まるで大したことのないものでも良いからこの場から情報を回収する。それを本国の会社に送れば、あとは社長でもある父が手を打ってくれるだろう。

そう思って手を伸ばした直後だった。

 

「ほぉ、まさかマジで釣れるとは」

 

 このIS学園という領域内において決して聞き間違えるないだろう声が、驚くような声音で背後からシャルロットに掛けられたのだ。声の主は他でもない。この学園唯一の男子生徒である織斑一夏だ。

反射的に逃げようとした。そんなことをして何か意味があるとは思えない。だが、無性にそうしたくなったのだ。別に一夏は何か特別なことをしたわけではない。ただ声を掛けてきただけだ。だが、それはシャルロットにまるで本能が恐怖する天敵に出くわしたかのような錯覚を与えたのだ。

ごく普通の草食動物がライオンで出くわせばどうするか。何より早く逃げ出すだろう。それと同じことだ。間違いなく彼は決して長い間では無いとはいえ、クラスメイトとして共に過ごしてきた織斑一夏のはずだ。だが、この時のシャルロットにはまるで彼が別の生き物、それも自分にとって決して歓迎できるべくもないモノに見えたのだ。

 

「おっと」

 

 間違いなく動き出したのは自分が早かったはずだ。ドアをくぐり廊下に出るまでは一直線。だが、それよりも早く文字通り一息の内に距離を詰めてきた一夏がシャルロットの手首を掴んだ。

触れられたと認識した直後、ガクンと力が抜けて膝が崩れ落ちそうになる。それを何とかして倒れまいと踏ん張ってどうにか堪えた頃には、いつの間に手にしていたのか鋭利な刃が首筋に突きつけられていた。そうして冒頭の状況に至るのだ。

 

 一夏が優れた近接戦闘の心得を有していることは知っている。本人いわく本来の腕前を封じられているIS戦ですら代表候補生すらあしらう腕前から想像に難くはなく、事実として体育の時間に行われた護身術指導においても彼はあの千冬から直々に指導役の一人に任ぜられていた。彼の担当することになった級友たちが絶えることない悲鳴と共に授業が行われていた室内をある者は投げ飛ばされ、ある者はボールのように転がされ、ある者はギブアップを宣言しながら関節を極められていたのはある意味当然のように繰り広げられた光景だったのは記憶に新しい。

ただ手首を掴まれただけで何故力が抜けたのか。これが噂に聞く日本のジュージツかと思いつつ、首筋に当てられたジャパニーズ・カタナにシャルロットは完全な手詰まりを理解させられた。シャルロットとて候補生の最低限の必修技能として生身での徒手空拳の訓練は受けている。流石にバリバリの専門家やベテランの手練れには遠く及ばないと自覚はしているが、身を守る、あるいはいざという時に相手を抑えるという目的を果たすには十分なものだ。だが、それを一夏は遥かに上回っている。なまじ心得があるだけに、その差をより強く実感させられた。

 

「なんで、というか、いつの間に……」

「初めから部屋にいたが? ただ、ちょっと気配を消していただけだよ」

「ど、どうしてそんなこと……」

「さっきも言ったろう? 釣れた、って。まぁ、俺もちょっとした遊びのつもりだったんだがね」

 

 そうして一夏は語る。二日前、改修を終えた白式と共に倉持技研を辞す直前に一夏は担当の技術者から耳打ちされたのだ。

曰く、IS学園の中では時に各国が送り込んだエージェントによる動きも存在すると。それは学生、十代半ばという少女という前提など容易く無意味にし、冷徹に利益のみのために動くと。

白式は唯一の男性IS適格者の専用機にして、日本の最新鋭機の一つである。専門的な技能を有していないために、徹底してとまでは言わないがなるべくその手の輩には気を付けて欲しいと言われていたのだ。

 

 その言葉を受けて一夏はすぐに行動を開始した。と言ってもそれは特別なことではない。ただ倉持から自分が参考にできるようにと渡され持ち帰った幾つかのデータをさも無防備に部屋に置いておき、自分はそれを目的に部屋に忍び込むかもしれない輩を待って、部屋の死角になっている奥の棚と壁の間のスペースで身を潜め続けるだけというものだ。

元々行っていた気配を殺し、なおかつそのまま瞑想を行うという訓練にワンアクセント加えただけのものなのでそこまで大したものではなく、そもそも本当にそういう類の輩が現れるかも分からなかったため、一夏としてはちょっとした趣向凝らしのつもりだったのだ。

だが、仮に本当にそうした存在が現れた場合は、軽く後悔をしてもらうとも決めていた。元々そういう気があった。だが、三年前の誘拐事件を契機にまるで自身の中で何かが噛みあったように一夏の心境に変化が現れ、その一つとして自分にとって『敵』である者への冷徹さがあった。

別に血も涙も無い冷血漢ではない。友人は大事だと思っているし、今この学園で共に過ごす女子ばかりの級友達とて嫌いではない。そうした情は間違いなくあるが、同時にごく一部への非情、自分にとって不利益な者への排除性も持ち合わせていた。

 ゆえに、仮に本当にもしもの展開が訪れた場合は容赦無用と決めていたのだが、まさかその第一号が当の級友だとは、さしもの一夏も驚きを隠せずにいたのだ。

 

「いやぁ、実に残念だ。お前とは良いダチになれると思っていたんだがなぁ。まさかそいつが産業スパイというのか? それだったなんて。あぁ、悲しいなぁ」

 

 そうは言うものの、口ぶりはそこまで悲嘆に暮れていないように感じたのは気のせいなのかと、状況を忘れてシャルロットは思わず首を傾げたくなった。

 

「あ、あの~、織斑くん? つかぬことを聞くけど、この後は僕をどうするつもりで?」

「決まっているだろう」

 

 首を傷つけないようにシャルロットは静かに後ろを向いて一夏の顔を見る。投げかけた問いに対して愚問と言うようにニヤリと口の端を吊り上げている一夏を見て、シャルロットはその意図を察して顔を強張らせる。そして表情を切迫したものに変える。

 

「ま、まさか! 僕に乱暴するつもりでしょ! エッチな本みたいに!」

「いやしねーよ」

 

 一体どうしてその発想に至ったのか分からないと言いたげに呆れのため息をつきながら一夏は突っ込む。

確かその言い回しはどこぞのネットで流れてたネタか何かではなかったか。あの数馬が教えてくれたのだから十中八九そうだろう。

何で彼女がそんな言い回しを知っているのか。実はネットに入り浸っているのか。そういえばフランスでは日本のサブカルが非常に人気と言うが、彼女もその類なのか。もしやとは思うが、実は腐海の住人だったりはしないだろうか。そんな疑念が渦巻く。

 

「えぇい、んなことはどうでも良い。お前の貞操なんざ興味はないっつーの」

「それはそれで女としてちょっと微妙なんだけどなぁ……」

「だまらっしゃい。とにかくだ、突き出すとこに突き出す。まぁ先生のトコが打倒だろう。後は知らん。勝手に退学なりなんなりになって国に帰っちまえ。雇い主には『良かれと思って動いて失敗しちゃいましたぁ、ゴメンチョ』とでも謝っとけ」

 

 そのまま一夏はシャルロットの襟首を掴もうと手を伸ばす。タイミングがあるとしたら今ここしかない。そう判断したシャルロットはすぐに行動に移した。

 

「ストップ! 織斑くんちょっとストップ! というかタイム! タイムを要求します!」

「はぁ?」

 

 無駄にキレのあるビシッとした動きで一夏を制しながら時間を要求するシャルロットに一夏は「何言ってんのコイツ?」と言うように胡乱な目を向ける。まぁ思い返せば少しばかり自分が一方的に喋っていた。何か言っておきたいことがあるなら、級友のよしみで言わせてやっても良いだろう。これが三年前の誘拐犯みたいな輩だったら、即座に潰していただろうことを考えれば遥かに良心的だろう。

 

「よーし、何か言い残すことがあるなら聞いてやろう」

「あ、どうも。いや、えっとね、今回の件にはとてもふっか~くて裁縫糸の固結びよりも面倒くさくて複雑な事情があってね?

いや、確かに織斑くんが予想した通りで僕にそういう意図があったかどうかって言われたら無きにしもあらずなんだけど、でもやっぱり僕にとってはどうでも良いことで。でもやっておかなきゃいけなくて」

「あー、とりあえず落ち着け。そして言葉を整理して事情を説明しろ。分かりやすく」

「あ、ハイ」

 

 そうしてシャルロットは軽く俯くと自分の中で言葉を纏めようとして小さくブツブツと口の中で言葉を紡いでいく。

一しきり言葉を整理し終えて頭を上げ、再び一夏と視線を交わすまでおよそ一分ほどだった。

 

「じゃあ、良いかな?」

「あぁ、聞かせてみろ」

 

 そうしてシャルロットが今回の事の経緯を話し出す。周辺国と比較しての開発の遅れへの政府の焦り、それに伴うデュノア社への政府からのプレッシャーと、今回の件に関しての指示。

話す中でシャルロットはあくまでデュノア社もシャルロット本人も積極的に一夏にどうこうという意思はないということを強調していた。

 

「つまりね、僕個人としてはとりあえず動けば良くて成功かどうかはどうでも良いんだよ。とりあえず実際に行動して最低限の義務は果たして、後は知らない顔だよ。そのあたりは社長とかがやってくれるって言うし。……多分」

「多分かい」

「あぁ、うん。一応これから報告するつもりだったから。まだ分からないんだよね。というかさ、酷い話だと思わない? いまデュノア社(こっち)はラファールのクオリティを上げて業界にちゃんとした足場とか足がかりを作っておこうって時なのに、それをさっさと次を次をなんてせっつくんだもん。

なに? ヨーロッパの共同トライアル? 何今から焦っちゃってるのさ。大体イギリスもイタリアもドイツも物はできててもまだまだ全然じゃん。絶対もう何年かは確実って言われてるんだから、もうちょっと時間かけさせてくれたっていいじゃない。最後の最後で美味しいトコ持ってって満足すれば良いんだからさ。今やっても中途半端で満足も何もできないって話だよ。というか要求があれもこれもって欲張り過ぎなんだよ。どれだけ皮がつっぱてるのさ。それこそ無茶も良い所だよ。

だいたいウチの会社はISそれ自体以上に中のパーツの方が本領出せるっていうのに。それであちこちに供給して内部部品のシェアとか牛耳ろうとか考えないのかな? ねぇ織斑くん。その方が満足できるよね?」

「あー、満足でもサティスファクションでも良いから、ひとまず落ち着け」

 

 実は結構鬱憤が溜まっていたのだろうか。堰を切ったように文字通り不満タラタラとなったシャルロットを一夏は宥める。

 

(というか、俺が問い詰めてたはずだよな? 何で俺、こいつ宥めようとしてんの?)

 

 ふと湧いた疑問はある意味当然と言えるものだったが、その答えはこの場で導き出せるものだった。

 

「とにかくだ、デュノア。お前としては俺にバレて失敗ってなっても特に問題ないと」

「うん。さっきも言ったけど、実際に行動したって事実があればそれで良いし。それに、正直失敗してホッとしてるんだよ。変に気に病んだりも嫌だからね。何だかんだで僕、この学園が気に入っているからさ。もっと楽しく過ごして満足したいんだ」

「……だが、それでこの状況をお前はどうするつもりだ? まさか何も無かったということで済ませるとか」

「え? そうしてくれるの? ありがとう!」

 

 満面の笑みと共に言い切ったシャルロットを見て一夏は思わず内心で突っ込みを入れていた。面の皮の厚さや図々しさはお前も結構なものだと。

 

「あ、織斑くん。ちょっと電話して良いかな? 社長に一応報告しときたくて」

「む? あぁ、良いけど」

「オッケー、ありがと!」

 

 言うや否やシャルロットはポケットから取り出した携帯電話を操作して電話を掛け始める。電話の相手はすぐに応じたらしく、その相手とシャルロットはフランス語で早口に何かを話していく。

 

(そういえば社長と言っていたけど……)

 

 確かシャルロットは苗字からも察することはできるが、そのデュノア社の社長令嬢だったはずだ。というより、本人がそうだと編入して間も無くに明かしていた。ということは今の電話の相手は父親なのだろうが、それを彼女は「社長」と呼んでいた。

 

(まぁ、家庭の事情ってやつだろう)

 

 あるいは例え家族であっても公私は厳格に分けるとかそういう方針を取っているのかもしれない。それならば別に何も言うことはないし、一夏の主観で捉えるならばむしろ大いに推奨されるべきことだ。

そんな風に一人で納得しながら一夏はシャルロットの電話が終わるのを待つ。ふいに背後のシャルロットが驚くような声を発した。一体どうしたのかと思って後ろを振り返れば、どこか戸惑ったような表情のシャルロットが携帯を持ったまま一夏の方を見ていた。

 

「どうした」

「そのぉ、社長が織斑くんと話をしたいって。無理にとは言わないみたいだけど」

「俺? 社長? デュノアの?」

「うん」

「俺、フランス語はボンジュールくらいしか知らんのだが……」

「ん~、一応社長は日本語も話せるから多分大丈夫だと思うけど」

「むぅ……」

 

 シャルロットの手の中の携帯を見る。今、あの電話の向こうにはシャルロットの父であるデュノア社長が居るわけだが、果たして一体自分にどんな要件があるのか。

 

「分かった」

 

 携帯を受け取る。いずれにせよ、紛れもなく一流と呼べる企業の社長がわざわざ話をしたいと言っているのだ。それにシャルロットの口ぶりから察するにこちらを立ててくれてはいる。少なくとも、IS適正が発覚してからの一方的に押し寄せてきた連中に比べればまだ好感が持てる。となれば、こちらも相応の態度で以って臨むべきだろう。

 

「代わりましたが」

『ふむ、君がイチカ・オリムラくんで相違ないかね?』

「はい。あなたがデュノア社長で?」

『いかにも、そこにいるシャルロットの父親、クロード・デュノアだ。わが社の社員が世話になっているようだね。このような形で申し訳ないが、礼を言わせてくれたまえ』

「いえ、それはお互い様ですから。で、失礼ですが自分に一体何用で? 失礼を承知で言わせて頂きますが、個人的な国家あるいは企業への勧誘ということでしたら、俺はすぐにこの電話を切らねばならない」

 

 背後でシャルロットが緊張を漂わせているのを感じる。何せ物言いが物言いだ。どうなるのかおっかなびっくりというやつだろう。だが、こればかりは明確にしておかねばならないのだ。

 

『あぁ、どうやら余計な気を遣わせたようだ。いや、申し訳ない。そうした意図は一切ないから安心してくれたまえ』

 

 だが、一夏の言葉にもクロードは微塵も気を悪くした様子は見せずに落ち着いた対応をする。

 

『特別なことは何もない。ただ、今回はこちらの問題に君を煩わせてしまったようなのでね。今回は要らぬ手間を掛けさせてしまい申し訳なかった』

「いや、それは別に良いんですけど。まぁあまり大事にならずに済みそうだし」

『そう言って貰えるとこちらも助かる』

 

 クロードの言葉に安堵したような色は見られない。一夏がこのような反応をするのも想定の内と言うようだった。それを聞いて一夏は軽く目を細め、再び口を開く。

 

「して、他にご用件は? 確か日本とフランスの時差はざっと9時間。今こちらは夜なので、そちらは昼真っただ中でしょう。フランスの方は日本人に比べてかなり時間にゆとりを持って仕事をしている、なんてのは昔から言われてますけど、それでもたかだか一男子学生にかかずらうほど大企業の社長は暇なご身分ではないはずです」

『一男子学生、か。だが、その前につく男性IS適格者という肩書きは企業社長である私が話をするに十分と思うが、どうかね?』

 

 その言葉に一夏は小さく笑う。別に喜んでいるわけではない。むしろ自嘲しているとすら捉えられるものだ。

 

「ですが、それだけです。それが無ければ俺はどこにでもいる市井の一人に過ぎませんよ。で、お話は? まだあることは事実なのでしょう?」

『なるほど、中々どうして話に聞くよりも面白い……。失礼、そうだな。話を進めさせてもらおう。私も暇が多いわけではないのは事実だしな。端的に言うとだね、一言で良い。言葉での協力をしてほしい』

「言葉での協力?」

『そうだ。そこに居るデュノア候補生から凡その事情は聞いているのだろう? 確かに男性IS適格者とその専用機のデータ、興味が無いと言えば嘘になるが少なくともデュノア社(我々)は現状さして必要ともしていない。いささか長期的ではあるが、確たるプランもある。ゆえに、こうしてデュノア候補生の行動が君に露見した時点で我々がこれ以上スパイじみた真似をする必要はなくなった。

後は我々の仕事だ。フランス政府は適当に言いくるめておく。だが、事をより確実に収めるために君からの言葉を欲しいのだよ』

「それは?」

『想像に難くないが、スパイ活動などというのは実のところごく自然にあちこちで行われている。だが、原則秘匿して行われるのが常であり、露見すれば途端に厄介を抱え込むことになる。我々は、わが社も政府も今その一歩手前なのだよ。そしてその先がどうなるかは君次第でもある』

「つまり、俺が然るべきところに娘さん引っ張って事の顛末を報告すれば、そっちは痛い思いをすると」

『そうだ。現状不安定な立場の君にはどの国もあまり派手なアクションは起こしにくい。そんな中で我々の行動が表だってしまえば、おそらくどこも格好の獲物を見つけたと言わんばかりにこちらを責め立てるだろう。そのどさくさで同様の行動に出る者も確実に居ると言えよう。

そうならないためにも、この件は今この時点で留めて欲しい。いや、君からフランス国への抗議の意思を私に内々に通してくれれば、後はそれも上手く使って事を収めよう。収まり方が良ければ、何もない状態まで持ち直せる見込みはある。これは、互いにとって悪くない話だと思うがどうかね?』

「……」

 

 すぐには答えを返さずに間を置きながら一夏はしばし瞑目して考える。政治ごとにはそこまで明るいわけではない。だが、直接的武力という明らかな力が手中にある今、多少の障害であれば徹底して完膚なきまでに踏み潰せばいいだけとも思っている。

だが、ここでクロードの提案に乗れば、そもそも何も無かったということになるのだからさしたる問題は見えない。別にデュノア社もフランス政府もどうなろうが興味はない。栄えるならば勝手に栄えれば良いし、廃れるなら勝手に廃れれば良い。ただ自分にとって益となるか否かのみを考える。そして――

 

「分かりました。では、あなた個人を通じて今回の件についてフランス国に遺憾の意を伝えてください。同時に、そちらで上手く折り合いをつけて事を大きくせずにそのまま何もないことにするのであれば、今回もこちらはどこに何を言ったりはしません。これで良いですか?」

『あぁ、結構だ。賢明な判断と協力に感謝する。――では勝手ですまないが少々仕事が押しているのでね。これで失礼させて貰おう。あぁそれと、そこにいるデュノア候補生はわが社にとっても必要な人材だ。そちらで彼女が得る物は我々にとっても有益足りうるものとなるであろう以上は、社として気をっけたりもする。君さえ良ければ、今後もわが社の社員をよろしくしてやってくれ』

「えぇ。俺も、彼女には色々助けられている。お互い様ですよ」

『それは重畳だ。では、改めて失礼しよう。今日、君と話せた幸運に感謝しているよ』

 

 その言葉を残してクロードの方から通話が切られた。無機質な電子音を聞きながら一夏は携帯を耳から離し、持ち主であるシャルロットに返した。

 

「あとはお前の親父さんが上手くやってくれるそうだ。これでこの件は当面チャラだ。この後に何事も無ければ、それで終いだろうよ」

「みたい、だね。ふぅ、正直肩の荷が下りた気分だよ。これでこっちでの生活ももっと満足できそうかな」

 

 自分に課せられていたことが本当に重荷だったらしいシャルロットはようやく落ち着けると言わんばかりにため息をつきながら肩を伸ばす。

 

「しかしだ、今更こんなことを言うのもなんだけどな。お前の親父、本当に信用できるのか?」

「ん~、まぁ社長はやるって言ったらやる人だし、何より会社の利益第一主義で国の都合とかは二の次にしているから。多分それが会社のためになるならちゃんと完璧にやってくれるよ。そのあたりは信用して良いと思う」

「……まぁ良いさ。これで何か厄介になったら、その時は俺もやるべきことをやらせてもらうさ」

「そうなったら僕もお尋ね者かなぁ。ん~、国に戻っても捕まりそうだし、ねぇ織斑くん。日本あたりに亡命とかしたら何とかなるかな?」

「いや知らんよ。俺に聞くなって」

「だよねぇ」

 

 自分でもおかしなことを聞いたと思ったのか、後頭部に手を当てながらシャルロットはチロリと舌先を出す。間違いなく可愛げがあると言える所作だが、あいにくこの場における唯一の他人である一夏は眉一つ動かさなかった。

 

「なぁ、さっきから気になってることがあるんだが」

「なに?」

「いや、さっき話した社長さん、お前の父親だよな」

「うん。そうだけど」

「それにしちゃやけに他人行儀じゃなかったか? いや、公私を分けているだけかもしれないけど、それにしてもだ」

 

 瞬間、僅かにシャルロットの表情に強張りが浮かんだのを一夏は見逃さなかった。目を細め、射抜くような視線をシャルロットの視線を真っ向ぶつける。その視線の鋭さに、シャルロットも自分が思わず反応してしまったことに気付いたようだ。

 

「なにかあるのか」

「うん、ちょっとね……」

 

 どこかバツが悪そうにシャルロットは視線を外しながら言う。別に無理に聞くつもりはないと言う一夏だが、それにシャルロットは首を横に振る。

 

「まぁあんまり公言できるようなことでもないんだけど、君にはちょっと迷惑かけちゃったからね。お詫びも兼ねて、少し事情を話すよ」

 

 そうして彼女は語る。曰く、自分は父親とその夫人の間に生まれた娘ではないと。まだ父親が夫人と結婚をする前に仕事で赴いた先の町で出会った女性と流れで一夜の関係を持ち、その時に相手の女性が宿した子がシャルロットと言う。

 

「僕のお母さんも社長に迷惑を掛けたくはなかったみたいだからね。田舎町で一人で僕を育ててくれたんだよ。ただ、これは社長が言うには最低限の義務とかって言うので養育費だとかは振り込み続けてくれたんだって」

 

 だがその母も数年前に病に倒れ、治療空しく故人となってしまう。それから程なくして彼女の前に現れたのが父親であるデュノア社長の使いだと言う。

 

「社長と初めて会った時にきっぱり言われちゃったんだよね。奥さんへの建て前もあるから血縁以外で娘として扱うことはほとんどできないって。ただ、その時に僕にISの高い適正があるって分かってね。デュノアの専属パイロットになることで、生活とか諸々の保障をしてもらえることになったんだ。だからまぁ、僕と社長の関係は血筋の上で親子ってこと以外は完全に社長と社員のソレだよ」

「……そりゃまたけったいな」

 

 予想外に重い事情に一夏もどこか苦い顔を浮かべる。これだったらいっそ聞かなかった方がよかったのではないかとも思うくらいだ。

 

「まぁ、お前自身のことだから俺はとやかく言わんけどさ。お前はどう思ってるわけよ」

「え? 別に何とも思ってないけど?」

 

 どこか慎重に探るような調子で尋ねた一夏にシャルロットはケロリしたと涼しそうな顔で答える。そのあまりの軽さに、今度の一夏の顔はポカンとしたものに変わった。

 

「いやぁ、正直僕もお母さんと二人での生活に満足してたからね。それが当たり前だったから父親がいないってことに不満足は無かったし、それに何だかんだで今の関係も悪くないんだよ。

まぁちょっとお母さんが居なくなってさびしいのもあったけど、ISの訓練とかしてたらそれも紛れるし、社長は良くも悪くも公正な人だから。僕がちゃんと成果を出せばそれに見合う報酬をくれる。うん、僕と社長の関係は今がベターなんだよ」

「あ、さいでっか」

 

 つまるところ、シャルロットは自分の現状に一切の不満を抱いていないということだ。

一夏には話していないが、シャルロットもシャルロットでいきなり父親が現れたということに戸惑いは感じたし、今更ながらに親子としてやっていけるのかという不安もあった。それを考えれば少々ドライではあるが今くらいの関係が一番心地よいのだ。

 

「それに、父親とかそういうのを抜きにして僕は社長を凄いと思ってもいるからね。あとは、時々ちょっと会食をしてくれたりするかな。さすがに奥さんは抜きだし話すことも仕事のことばっかりだけど、あれが社長なりに気を使ってくれてるのかなぁって思うとまた悪い気もしないっていうか。うん、やっぱり僕は今に満足しているよ」

「そうかい」

 

 そう本人が言うのならばそうなのだろう。何せここまで都合五回以上は満足と言っていた。そう言えるくらいなのだから、本当に不満は無いのだろう。

 

「ごめんね、楽しくないこと話しちゃって」

「いや、別にそうでもないさ」

 

 元々さして深入りするつもりも無いため、あえて気に掛けないようにする。一夏気分をそこまで害していないと分かったのかシャルロットも僅かにほっとしたような顔になり、時間も遅いから部屋に戻ると言った。

そのまま二言三言挨拶を交わしてシャルロットは部屋を出る。心なしか、その足取りはどこか軽さを感じるものだった。

 

 

 

 

 

「やれやれ、本当に面倒だった」

 

 再び一人になった一夏はほっと息を一息つく。色々と要因は挙げられるが、とにかく面倒の一言につきた。まさかお国事情に会社事情、更には身内事情まで語られるとは思っていなかった。

そもそもちょっとした気まぐれが発端の今回の件だが、まさかこれから毎度毎度こんな調子なのだとしたらもうやってられない。次があるとしたら言い訳泣き言一切聞かず、疑わしきは罰せよの血も涙も無いくらいの方針で不審者発見即撃滅の精神で行くべきだろうか。

いやそもそも、そんなことにならないようにやはり立ち居振る舞いに気を配るべきだろう。

 

「あ~疲れた~」

 

 そんなことをぼやきながら無造作にベッドに身を投げ出す。このまま寝れたらそれは気持ちが良いだろうが、まだシャワーも浴びていないしその他諸々の就寝支度も整えていない。少しこのまま横になったらまた起きようと心に決めたときだった。

 

「あん?」

 

 室内に流れる電子音で構成されたドヴォルザークの『新世界より』。一夏の携帯の、数馬からの着信を伝える音楽だ。

 

「あ~ハイハイ。今出ますよ~っと」

 

 向こうの方からわざわざ掛けてくるということは、先日の頼みごとに何かしらの進展があったということだろう。だとすれば、出ないわけにはいかない。

ベッドわきに手を伸ばして着信音を発している携帯を手に取る。そして通話ボタンを押して耳に当てる。

 

「はいもしもし。こちら捜査一課」

『お前は太陽に向かって吼えでもするつもりかい』

 

 開口一番でボケの振りと返しのツッコミから二人の会話は始まる。

 

「いやちょっとした冗談じゃないか。で、どうした数馬。この間のことかい?」

『あぁそうそう。いやぁ、あの掲示板が思いのほか面白くってさ。掲示板の上とは言っても、結構話してみれば中々どうして良い人が多くてね。つい盛り上がったりもしたよ』

「それは重畳。てことは、それだけ情報も入りやすかったってことか?」

『あぁ。更に幸運と言うべきかね。ほら、俺って本気出せば完璧な外面作れるじゃん? そのおかげか板の人から招待方式のSNSにも入れてもらえたよ。いやぁたまげたたまげた。そっちの方はガチで本職の人とかも多くてさ。情報が半端じゃない』

「ほぅ。けどさ、その、なんだ。本職が多いっていうけど、ついていけるのか?」

『あぁ、うん。そこは俺も最初は懸念したんだけどね? まぁ割と何とかなったというか、そのぉ、なに? うん。結構ノリの良い人が多かったよ。いや、基本コテハン方式だけどさ、例えばとある米海軍少尉という方は日本語にすれば『ミオリンは俺の女王様』だし』

「おい、米海軍おい」

 

 何のことか分かってしまうだけに突っ込まずにはいられない。ちなみに「ミオリン」とは一夏及び数馬お気に入りのアイドルマイスターに登場するアイドルの一人であり、大企業の令嬢という設定からくるいかにもなお嬢様キャラと担当声優人気もあって、特に固定ファンの熱狂性が高いキャラの一人である。なお、作品におけるロリ担当の一人でもある。

 

『まぁその辺りから内情は結構お察しな感じだよねぇ。いや、こっちとしては馴染みやすいから好都合なんだけど』

「あぁ、うん。プラスに働いてるなら良いんじゃね?」

『ハハ、まぁね。まぁそんなだから割と目的も果たしやすかったというか。お前がご希望の二人の情報、そこそこだけど入手はできたよ』

「あぁ、それはありがたい。じゃあ早速、報告を聞こうか」

 

 同時に一夏の目が細まり怜悧な光が瞳に宿る。友人と話していた故の朗らかさは既に消え去り、どこまでも冷たく相手を屠る算段を立てる獣の目がそこにはあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで、実際情報貰うにあたって何かお返しとかはしたんだろ?」

『あぁそれね。いや、この間お前に貰った篠ノ之博士のビキニ画像上げたら大反響でさ。頼んでもいないのにあれもこれもってくれたよ』

「あ、そうかい」

『まったく、たかだか乳の大きさ程度であそこまで興奮するかね?」

「然り然り。無いには無いで良さがあるというものだ。俺はな、ぶっちゃけ72センチ以外の美早を認めるつもりはないぞ」

『きっとあれだよ。アイマイ随一の歌唱力の引換なんだよ……!』

「いずれにしろ、俺はその程度で区別するような狭量なことは言わんさ。あぁ、俺は総てを愛でている」

『一夏、その言葉はまさしくプロデューサーの鑑だ。誇れよ』

 

 などという間抜け極まる会話もあったが、そんなどうしようもない会話も含めて情報の伝達を行う二人の時間は過ぎていくのであった。

 

 

 

 

 




 自分の中でなるべく原作に近いような状況にしつつ、なおかつ原作に比べればまだ解決がしやすい展開にどうすればいいのかと考えた結果、今回のような落としどころに落ち着きました。
つまるところ、デュノア社そのものが端からスパイ活動にやる気ゼロと。デュノアはデュノアなりにうまいこと競争をやっていく算段を立てていたため、政府の無茶ぶりに一から十まで付き合う気は毛頭ないという感じです。とりあえず今後のことは社長が裏方で色々頑張ってくれます。
そしてシャルパパのデュノア社長について。二次創作では改変されることが時々ある彼ですが、本作ではとにかく会社第一の人というイメージです。何より会社の利益と安定、そして社員への保証などを最優先としてそのためなら自分の情は当たり前に封じるし、帰属国家への貢献だとかそういうのも平然と二の次における人です。
シャルには色々としてやっているように見えても、それは優秀な社員への然るべき待遇と曲がりなりにも血を分けた関係からの最低限の義務や責任という認識からなるもので、シャルの方もそうですが感情面や心のつながりと言った点での親子関係はほとんどない感じです。
シャル自身、父親がいなくても母親がいたことに満足しちゃってますから。あぁそれと、本作のシャルは結構な満足思想の持ち主です。割と前から考えてたり。たとえ二番煎じだとかネタがバレバレとか言われても、キャラを立てるためなら手段は選ばない!

 そして最後の一夏と数馬の会話ですが、一夏について弾や数馬と話している時が一番普通の年相応の少年っぽくなります。

 とりあえずそろそろ二巻編も終わりが見えてきました。この後に軽く一話くらい挟んで、それからトーナメントですね。それが終わったら三巻。三巻はもっと手短にまとめたいです。
とりあえず福音戦はまた弄りますよ。

 それでは、また次回に。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。