無職無能の最強双剣士 ~圧倒的努力に勝る強さはない~   作:虎上 神依

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Chapter2-27 無職無能&大賢者&狂戦士VS『災厄』Part3

「「ギャアオオオオオオオオオ――――ッ!!!」」

 

 アルティメットブルーリザードが2体が軍勢の親玉を庇うかのようにこれでもかと俺達3人に向かって叫ぶと、ほぼ同時にブルーリザードの群れがこちらへの進軍を始めた。

 多くのブルーリザードの大群も火を吐くのを止めガヤガヤギシャギシャと口々に叫び、凄まじい殺気を放ちながら歩を進めてくる。

 

「取り敢えず後衛の意識は完全にこっちに向いたようだな」

 

「じゃ、後は作戦通り――あのデカブツ2体を絶命させればいいんだな? ヒッヒッヒ……」

 

「そう言うこった、ウルナを気を付けろよ? 一応これでも『災厄』のほぼ全勢力を俺達3人で敵に回したんだからな」

 

「無論、ゼルさんの事ですからこうなるのは分かっていました。だから――私も私で全力を尽くしますっ!」

 

「よっしゃ、熱くなってきたぁ!! じゃさっさと片付けて親玉ぶっ飛ばすぞッ!!」

 

「「了解ッ!!」」

 

 俺とウルナ、ザイルは各々の武器を強く握りしめると大量のブルーリザードの軍勢に向けて走り出した。

 今の俺は和んたことで超絶好調、よって負ける気がしないっ!!

 

「気だけは一切抜いてくれるなよ? 魔法と武器、全部駆使して全力で生き延びる策を探せッ! 食らい尽くされる前に食ってやれッ!! 熱血パワーだ熱血パワーッ!!」

 

「野蛮人の発想その物ですからねそれッ!」

 

 俺は剣を大きく振りかぶると、一瞬その場で立ち止まり足に力を入れる。そして溢れんばかりの力を駆使して前に素早く飛び出した。

 横に居るブルーリザードの身体を斬り裂きつつもその場で半回転した後、一気に身を翻し剣を横に薙ぎ払う。

 

 

「紅蓮魔斬ッ!!」

 

 

 綺麗な半円状の軌跡を描く剣先から紅い波動が発せられ、前方にいるブルーリザードを瞬時に斬り裂き、吹き飛ばした。

 そして余波とは思えない程の灼熱の業火がブルーリザードの大群を包み込み、灰になるまで燃やす。

 

 

「エレ・エビルボールッ!!」

 

 

 虚空に飛び上がった彼女が必死の大声で叫ぶ音が聞こえた。

 見るとそこには幾つもの魔法陣を展開して無数の漆黒の魔弾を砲撃するウルナがいた。

 

 高速回転しながら衝撃波を放って虚空を突き進む魔弾は大気を吸い込んではブルーリザードの肉を斬り裂き、身体を貫通して、破壊したものを吸収してドンドン大きくなる。そして本来の2倍ほどの大きさになった瞬間黒き爆発を起こして、慌てふためく蜥蜴達を爆散させる。

 そのプロセスを踏む魔弾が無数に発射されてありとあらゆるブルーリザードを死の淵に陥れた。

 

 吹き荒れる爆風、身体の奥にまで響いてくる衝撃波、大気を揺るがすほどの魔力波それらが俺らを含めた辺り全員に襲い掛かってくる。

 

「こ、これがウルナの力か……。凄え、凄すぎるって! ヤバい、テンション上がってきたッ!!」

 

「ウルナちゃん中々やるねぇー、じゃあ僕も本気――見せてやるよ糞野郎どもがあああッ!!」

 

 ザイルは秘められた狂気を顔に露わにすると斧に闇を宿らせブルーリザードに襲いかかっていった。

 なるほど、ザイルは闇魔法の使い手か……。それに闇魔法を本来の力のまま完全に斧に宿らせるとは、やはりAランクは伊達ではないな。

 

 

「喰らえ、無影破斬ッ!!」

 

 

 闇を宿らせし戦斧を空中で横に薙ぎ払う。

 その戦斧が描く、無なる輝きの軌跡が光を食らい敵を深き混沌の闇へと誘う。

 突如現れる暗黒の竜巻、光無くリザードマンに襲いかかるそれは視力の悪い彼らにとって致命的な攻撃だった。

 

「さあ――、吹き荒れろぉ! ヒャッハ――ッ!!!」

 

 ザイルは顔を歪ませながら楽しそうに叫ぶ、もはや狂気を隠すつもりもさらさら無いようだ。

 

 その後も俺達は無限に湧いて出てくるブルーリザードの大群に立ち向かっては蹴散らしてを繰り返した。

 

 天変地異を意図的に起こしてメテオを雨の如く降らせたり、黒き太陽で骨まで残さず全て焼き払ったり、渾身の氷魔法で立ち向かってくる者全てを氷漬けにしたり、闇を纏いし斧で狂喜乱舞を披露したて滅多切りにしたりととことん暴れまくった。

 

 

 

「グギャアアアアアアアアアアッ!!!」

 

 

 

 仲間が殺られることに対して怒りを露わにしたアルティメットブルーリザードの一声に同調して皆が同時に火の球を俺達に向けて砲撃。

 しかし――

 

 

「セブラルマジックシールドッ!!」

 

 

「ライトニングバリアッ!!」

 

 

 ウルナと俺の強力な反魔法に阻まれ、全て俺達に辿り着く前に消滅する。

 

「よし、そろそろあのデカブツをぶっ殺すッ!!」

 

「いよっしゃぁ!! 待ってましたぁ!! さあさあ、殺戮の時間の始まりだぜぇ!!」

 

 ザイルが斧をがむしゃらに振り回してはレッドリザードの亜種共を思いのままに薙ぎ払っていく。

 傍からは狂っているキチ◯イの様にしか見えないがザイルはきっちりとどこにどう斧を振るか瞬時に判断して攻撃している。

 ――現に彼の標的となったブルーリザードはほぼ確実に急所を突かれる、適当だなと一瞬でも油断している者は間違いなくザイルの餌食となる。それぐらい、性格とは打って変わって正確・・なのだ。

 

「道は作ったぞぉ! 規格外共ぉ!!」

 

「了解ッ、行くぞウルナッ!!」

 

「はいッ!!」

 

 ザイルが生み出したブルーリザードの死体で出来た一本の道、それを二人で駆け抜けながら後衛を指揮するアルティメットブルーリザードとの距離を徐々に詰めていく。

 

 

 

「ギャアアアアアアオオオオオオオオオッ!!!」

 

 

 

 アルティメットブルーリザードが叫ぶとブルーリザードが大急ぎで防御しにかかる、しかし俺らは迷宮で鍛え上げられた見事な連携プレイで防戦一方のブルーリザードを一気に蹴散らし、遂に指揮官の足元に到達する。

 

 

「行くぜッ!! 重圧斬りッ!!」

 

 

 長剣を地面に突き刺し、俺を中心とした一定の範囲内の重力を数倍にしてアルティメットブルーリザードの動きを鈍くする。

 だが言うまでもなくウルナとザイルはちょっと空間魔法を応用したバリアで範囲内に入れていない。それはつまり3人で動きの鈍くなった指揮官達を攻撃できる事を意味する。

 

 

「グギャオオオっ!?」

 

 

「この一撃で怯ますッ!! 絶影雷氷双破!!」

 

 

 空を斬り裂く斬撃は凍てつく吹雪となり、また一度当たれば破壊されかねない雷となり、放たれた。

 属性の違う2つの斬撃はXの文字の様に交わり合うと猛スピードでアルティメットブルーリザードに襲いかかり、斬り裂いた。

 

 

「今の私なら――いけるッ!! ハアアアアアアアッ!!」

 

 

 俺の放った全てを凍てつかせるほどの斬撃と破壊の超エネルギーを秘めた雷撃による一閃に続いてウルナが剣に魔力を込めながら空中高く飛び上がる。

 そして剣を大きく振りかぶり虚空で華麗に舞いつつも大上段に構える、そして2つの斬撃で怯んだアルティメットブルーリザードに止めを刺すべく斬りかかった。

 

 

 

 その――邪魔法が纏った邪悪なる剣で。

 

 

 

「絶対に、決めるッ!!!」

 

 剣を振り落とし、目の前に立ちはだかるアルティメットブルーリザードを真っ二つに一刀両断。

 そして――俺とウルナの3つの斬撃の余波だけで跡形もなく破壊した。

 

 

「や、やりましたよ、ゼルさんッ!!」

 

 

「よっしゃ、後一体――」

 

 

 その時だった――

 目の前に先程のよりも巨大な何者かが俺達の前に王者の如く立ちはだかってきたのだ。

 

 

 

 

「ギャアオオオオオオオオオオオオオオ――――ッ!!!」

 

 

 

 

 

 鼓膜が突き破れそうになるほどの爆音が地面を揺らし、新たなる衝撃波を生む。

 見上げるとそこには『災厄』の元凶であり街襲撃の主犯格でもあるアルティメットオリゴンファッツが威圧的な目線でこちらを見下ろしていた。


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