一般人の自称おっさん、アイドル助けたら生活が変わった? 作:Aりーす
今日はバイト当日である。しかしはっきり言って予想外の説明ばかりを受けた。
配達業と言っても様々な場所へ運ぶものだと思っていた。だがどうやら俺は本当に346の事務所の直属として働くらしい。
荷物を運ぶと思っていたが違った。正確には『アイドルを運ぶ仕事』が主な仕事だった、と言うしかないと思う。
どうやら俺は見事に勘違いをしていたらしい。普通に電話をしたのも346プロそのものに電話をしたのだと思う。
内容としては流石にプロデューサー1人で二桁を簡単に越す面々を全て送り届けたりするのは無理になってきたそうだ。
なのでサポート要員を募集したらしい。で、俺が電話したのはそこ。実際配達する仕事の方は別の電話番号だった。…本当に歳、取ったなぁ…
まぁプロデューサーの代わりにアイドルを仕事現場に運んだり、女子寮の掃除をしたりアイドルと親交を深める…いや、親交を深めるのは別に構わないって言われただけなんですけどねぇ
だから週に数回なのに給料が多いんだな…アイドルを運ぶとか一緒に数時間いるだけでも、結構メンタル来そうだし。あ、女子といるからって意味でね?
ちなみにそれを説明してくれたのは千川ちひろっていう事務員さんだった。普通にアイドルとしてやっていけそうな顔立ちしてたけどねぇ…
たまに事務仕事もやってもらうかもしれません、とも言ってた。まぁ残業代とかも出るらしい。そう考えると結構良い案件だと思った。
アイドルとの関係もそれなりに大事らしいし、もし泊まりになったら場所は提供してくれると言う。なら仕事をする他ないだろう?
現在は資料を見ながら千川さんに仕事を教えてもらっている所だ。スケジュールだったり仕事内容の確認だったり…まぁ危なそうな仕事だったりと。
「蓮二さん、仕事出来てますよね?でも履歴を見る限り…」
「あぁ、リストラ受けたんですよ。…ま、ゆとりとか言って新入社員をいびる人ばかりでしてねぇ。なので仕事教えてたりしたら、使えない奴と判断されたってだけです」
「…酷いですね、そういうの」
「ははっ、ありがとうございます。まぁ今はこっちが仕事なんで、初日ですけど」
「ふふっ、そうですね。あ、ちなみにここにプロデューサーが来る事ってないんですよ」
「え?それでどうやって…」
「仕事がかなりありまして…しかもスカウトまで兼任してるので、自分の家で仕事したり、街歩いたり現場行ったり…そればかりなんでここに帰って来る事はないんですよね…」
「へぇ…それでアイドルとかと親交とかできるんですか?」
「まぁ、同性ですから積もる話もあるらしいですしねぇ。話し合う子は合いますし」
まさかのだった、ここのプロデューサーって女なんだねぇ…てっきり男を想像してたんだけど。
「へぇ…って事は俺以外男はいないって事になりますよね?」
「社長を除けば、ですけどね。年が離れた子と話すときもあるでしょうけど…」
「…まぁそこは考えておきます。おじさんに過度な期待はしないでくださいねぇ?」
「自分でおじさんって言うんですね?まだ30も行ってないじゃないですか、蓮二さん」
「歳下から見ればおじさんですよ、おじさん。…まぁ最近よくアイドルと関わってますけど」
「最近…ですか?」
「あはは…自分でも言うのは何なんですけど、一切アイドルとか知らなかったんですよ、最近ようやく知ったというか…」
「だからアイドルのことを言っても無関心だったんですねー…」
「今は知ってる…と言っても一部ですけどね。後はテレビで見た程度の知識ですし。顔と名前が一致する方が少ないですよ、きっと」
「まぁそこは覚えていってくださいね?人気が出始めてる子達だっていますし」
「善処します。…おじさんの記憶力がどこまで持つかはわかりませんけどねぇ…」
あれから時間が経った。どうやらもう少しでアイドルが数人来るらしい。…1人くらい知り合いがいたらなんて思うけどねぇ…そんな簡単ではないんだよねぇ。
「にゃ〜はっはっ!た〜だいま〜!」
「ただいま…あら、その方は…?」
「……えっ…」
扉を勢いよく開けてきた子、その後ろからついて来るさっきの子より年上っぽい子、そして見事に知り合いの順で入ってきた。…あれ、さっきのって俗に言うフラグ?
「お帰りなさい!紹介しますね、事務員兼バイトとして本日から働いてもらう、相沢蓮二さんです!」
「……蓮二さん…どうして、ここに…?」
「…いや、たった今、千川さんが言った通りなんだけどねぇ。ここで働く事になった…うん、それくらいかねぇ」
「…そう、なんですか…なんで黙っていたんです…?」
「え、幸子ちゃんには言ってたんだけどねぇ。ここら辺で働くってことだけは。…まぁ事務所の中で働くとは思ってなかったけど」
「……私に教えてくれないなんて……意地悪です…」
「…幸子ちゃんと言い人聞きの悪い事はやめてくれー…」
文香ちゃんとはさらっと話してるけど、周りの人(3人)は唖然としてる。驚きを隠せていないようだ。
「れ、蓮二さん…こ、これは…?」
「さっき言ったじゃないですか…最近関わってるって」
「文香ちゃんが男と…?」
「むっ!これは大事件の匂いっ!」
「…まぁ色々あったんですよね……」
「そうとしか言いようがないから困るんだよねぇ…えっとですね」
ひとまず説明をした。…と言ってもアイドルであろう2人は半信半疑って感じを隠せてなかったけども。うん、俺も助けたとは言えここまで知り合うとは思ってなかったからねぇ…
「はぁ〜…文香ちゃんを助けたのが蓮二さんだったんですか…世間は狭いですねー…」
「はぁ〜、なんか不思議だね〜、キミ」
「…よく言われるようになったよ、不思議とか色々」
「ふふっ、でも悪い人ではなさそうですし…ね、文香ちゃん」
「…はい……」
ここでいいえって答えられたら全て台無しだったよなぁ…うん、そこは別にどうでも良い事だよねぇ…
「あ、そう言えばお二人の紹介がまだでしたね…こちらが一ノ瀬志希ちゃん、こちらは高垣楓さんです」
「あたしが一ノ瀬志希!志希ちゃんって呼んでいーよ♪」
「高垣楓と申します。よろしくお願いしますね?」
「さっきも紹介はされたけど…相沢蓮二、今日から事務所だったり…まぁアイドルとそれなりに距離を近づけないといけないただのおじさんだから、そこまでよろしくしなくてもいいよ?」
「蓮二くんね♪…んー、今までと全然違う感じ~」
「違う…?それは性別的な意味で?」
「ううん、匂い、スメル」
………………俺はなんて返すのが正解なんだろうか…?え、おじさん特有のアレ??華麗臭もとい加齢臭?……自覚したくなかったなぁ…………
「志希ちゃんはヒトの匂いを嗅ぐのが好きなんですよ。匂いフェチと言い換えても変わりないですが」
「…はたしてその違う匂いというのは良いのか悪いのか…」
「良い匂いって言われれば興味を持たれてますね、良い匂いの枠組みとかはわからないんですけどね…」
「んー…何でだろ?全然わからないぞー?」
どうやら悩みまくっているようで…
「どういう匂いなんでしょうか………?………蓮二さん……」
「いや、確実に嗅ごうとしてるよね?認めるわけないからね?」
「………え………?」
いや、なんでそんな意外そうな顔してるの?普通に嗅がせないよ?完全に辱めだよねそれ、もしくはおじさんを社会的に抹殺しようとしてるよね?
「ふ、文香ちゃん…鈍いというか世間知らずというか…」
「…警戒心が0に近いってことかもしれないですけど…」
「……蓮二さんに…警戒心なんて………持ってませんよ…?」
「うれしいような、素直に受け取ったら受け取ったで問題があるような…」
「文香ちゃんを手玉に取ってるんですねぇ」
「高垣さんまで人聞きの悪いことを言わないで下さいよ…犯罪歴とか存在してないんですから…」
「ふふっ、あと私は楓で結構ですよ?」
「…まぁ呼ぶよう善処はします」
「んー、蓮二クン!嗅がせて!!」
「いや、志希ちゃん、堂々と宣言されてもだめだからね?」
「なら勝手に嗅がせてもらうもんね!!文香ちゃん!そっち抑えて!!」
「……はい…!」
「二人がかり!?ちょっ、見てないで助けてくださいよ!!」
「でも…楽しそうですし??」
「見てるこっちも楽しいですから…傍観で♪」
この職場にろくな人はいないのか!?という気持ちを抱いたまま、今日のバイトは終わった。たった一日で会社に勤めた数年間の疲労並みにつかれた……
最後には四人に押さえつけられましたよ、そのことのことは何も語らない方向で……ただ一つ言うなら志希ちゃんにはより一層興味を持たれた、とだけ。文香ちゃんはずっと笑ってたよ、小悪魔ぁ…高垣さんと千川さんはとても楽しそうにしてました まる
………飛鳥や幸子ちゃんにばれる日も近いと考えると、疲れが……………寝よ………
ブーッ……
Fumifumi:お仕事お疲れ様でした。もう、寝ていらっしゃいますか?……良い匂いでしたよ。とても
朝目を覚ましたおじさんが、このLINEをみてまた羞恥に襲われるのは、また別の話。
楓さんのこいかぜのフルコンができないの巻
秘密のトワレ?知らない子ですね(目逸らし)
なんで推しとか好きな子だったり好きな感じの曲のmasterのレベルは27とかなのだろうか(´・ω・)ふみふみは優しかったね…