一般人の自称おっさん、アイドル助けたら生活が変わった? 作:Aりーす
さて、状況を整理してみようかな。まず今日は普通に仕事。事務仕事だが、珍しい事にちひろさんは遠くに出かけたらしい。仕事の為らしいけど、仕事熱心だねぇ…
つまり今日は俺がやってる訳だ。まぁちひろさんが結構やってたしねぇ…別に休んでくれても構わないんだけど。
で、今日は幸子ちゃんと周子ちゃんが事務所にいた。他の子は休みだったり県外への仕事だったり…若いのに県外とか大変だよねぇ、出張を思い出すよ。…あ、左遷はなしでおねがいしますー
まぁ話したり仕事したり話したり話したり話したり…あれ、話してばかりだ。職務怠慢かぁ?…話す事も仕事に加えられそうになってた時は驚いたけどねぇ…
そしたら周子ちゃんが志希ちゃんから貰ったらしい、飴を取り出した。俺は飲み物を買いに少し外に出て、残りの2人は飴を舐め始めてた。…ここが間違いだったのかなぁって思ってる。
志希ちゃんの時点で気をつけてた方が良かったのかねぇ…おじさん現在困り果ててるからさ。どういうことかと言うと…そろそろ現実逃避はやめないとねぇ…
「おにーさん!!はやくしてくださいよぉ!!いつもちゅーしてくれるじゃないですかぁ!!!」
「………ふにゃぁ……蓮さん〜……」
酔っ払いに絡まれてます。…多分だけどあれだね、ウイスキーボンボンと同じなんだとは思う。舐めてみたけど俺は特に何もならなかったし。
…お酒に弱いとウイスキーボンボンでも酔う子って本当にいるのか?なんて思ってたんだけどねぇ…ここに2人もいるとは思ってなかったよ、うん。
周子ちゃんにあげた人が志希ちゃんってのも…多分関係してるよねぇ…そしてこの2人多分飲めるようになったら酒癖悪くなりそう…
「…おにーさーん、きいてます??はやくちゅーしましょーっ?」
「うん、したこと無いからね?しないからね」
「なんでれすか!いつもはたくさんしてくれるじゃないでしゅか!!」
「した事ないよ!?夢の中だとしてもアウトだからね!?」
「…れんさん、わたしとはー…?」
「しないから、いつまで膝を占領してるつもりなの?」
「…ねごこちいいもん……んふふ…」
何だろう、幸子ちゃんはキス魔…みたくなってる。周子ちゃんは楓ちゃんと似てる気がする。猫だもん、ちょこちょこ猫だもん。
「おにーしゃん!!ぼくともはなしてくだひゃい!!ちゅー!!」
「呂律回らなくなってるから、落ち着いて…うん、少しずつ力、入れるの、やめっ!?」
「しゃせてくれにゃいのがわるいんれす!!」
周子ちゃんが膝で寝始めてるレベルで動かないから俺も身動きが取れない。そして幸子ちゃんさっきからキスしようと迫ってくる。手で抑えてはいるけどさっ!
こんなカワイイ子のファースト(多分)キスが俺なのはまずいから!!!パパならまだしも!!
「むぅー!むーむー!!」
「言語を失ってまでっ、来なくていいからっ!」
「むー!……にゃぁ……」
………あれ……???
「……すぅ……すぅ……」
…本当に酒飲んでるレベルじゃんか…突然寝るって…てか周子ちゃんも寝てるし!?…とりあえず倒れこんで来た幸子ちゃんを俺の隣に置く。…手は自由なだけまだ良かったと言うべきか…
…ん、スマホが鳴った。…周子ちゃんがいてポケットから出しづらい!てか飛鳥以外に膝枕した事なかったしねぇ…
SIKInyan:そろそろ飴舐めて効果が切れた頃かにゃん??
すいませんこの人です。警察に突き出した方が良いんじゃないですか?…うん、冗談は置いといて。
REN:そうだけどさ、どういうことか説明してくれないかな……
SIKInyan:あれは改良したウイスキーボンボン!舐めたらたちまち酔った時と同じになるよ!
REN:…俺別に何もなかったけど?
SIKInyan:強い人には効かない!後、酔ったらその後すぐ寝ちゃう効果付き!
REN:それで助かったというべきか…うん、とりあえず志希ちゃんしばらくは、ね?
SIKInyan:え?え?え???蓮二クン!!どういうこと!?
これだけでどんなことされるって想像付く時点ですごいよねぇ…変なことじゃないよ?いつもの匂い嗅ぎしばらく禁止の略みたいなもんだから。…匂い嗅ぐこと自体変だって思っちゃいけない。
REN:いや、こう…なんかスルーするだけって嫌だなって思ったから、かな?
SIKInyan:にゃんでー!!?
REN:まぁと言うことで、ね?じゃあお仕事頑張ってね!
スマホをポケットに入れ直す。すごい通知が来てる気がするけど無視です。…ほら、志希ちゃん言葉で言っても伝わってくれないからねぇ…
…ひとまず幸子ちゃんと周子ちゃんを寝かそうか。……あ、だめだこれ動けない。周子ちゃんしっかり服掴んでる。それに俺の左手が幸子ちゃんの手で掴まれてた。…なぜ気づかない、手を繋ぐことが増えてきたからかねぇ…?
「……んん…?」
「…んにゃ?…あれ、私…寝てたん?」
「うん、おはよう。…とりあえず体を起こしてくれるかな?状況説明はするから」
「……あれれ?なんで蓮さんの膝枕で寝てるの?」
「ボクも手を繋いで…アレ???」
よく分からない顔しているが、とりあえず離れてくれた。…1時間くらいこのままなの意外に辛かった…ソファーとは言え、1時間座りっぱなしは歳をとった体にはキツイ…
とりあえず状況を説明した。周子ちゃんは納得〜って陽気に言ってるが幸子ちゃんは顔真っ赤にしてる。…俺もスキンシップに慣れ始めてなかったら今も顔真っ赤だと思う。あ、ごめんなさい今も顔赤いです。2人は普通にまたソファーに座り直した俺の隣に座ってるし
…おじさんの赤面とか誰が見たいんだろうねぇ。どこの層に必要とされてるんだって話だよね、必要とされてないよ。
「はぁ〜…してやられた、みたいな感じ〜」
「は、恥ずかし過ぎますよ…!何ですかちゅーって…!こう、表現の仕方がカワイイのが!なんか!ボクはカワイイですけどぉ!!」
「すごい矛盾してるね…多分お酒飲んだらこうなったりしそうだよねぇ…」
「ボクお酒飲まないですからぁ!お兄さんとは言え…さ、流石にボクが恥ずかしくっ…」
「周子ちゃんも熱いよー…意識がなかった分、なんか恥ずかしいよ…」
「俺だって恥ずかしいよ…堂々とちゅーとか膝枕の体勢で転がってきたりしたんだからねぇ…」
「あぅぅ……お、お兄さんだけ恥ずかしい姿見るなんてひどいです!」
「そうだそうだ!蓮さんも見せろー!」
「いや見せないよ!?こ、こっちだって恥ずかしい訳じゃなかったんだからねぇ…」
「(お兄さん顔真っ赤だ)」
「(蓮さんの赤面久しぶりに見た)」
「…いや、顔をまじまじと見るのはやめてくれないかなぁ…?」
「お兄さん顔真っ赤ですからね!」
「…自分でもわかるよ…ていうかキスとかかなり危なかったんだからねぇ?周子ちゃんは速攻で突撃してきたし…突撃の時はいつもの事かと思ってたけど」
「むぅ…お兄さん、キスされるの嫌ですか?」
「……そういう訳ではない…いや、した事ないからね、まず」
「えっ!?」
「何で驚くの?俺今まで誰かと付き合うとか一切なかったからね?ないのが当たり前でしょ?」
「…周子ちゃんそれはあまり聞いた事なかったや…それ本当なの?」
「本当も本当。…だから嬉しくない訳じゃないんだけどねぇ、ほら、歳とか色々ある訳だし」
「はぁー…あ、ごめん。志希ちゃんから電話だ…ちょっと出てくるね!」
周子ちゃんは志希ちゃんから電話が来たらしい。…多分俺のスマホが反応しないからだろうけどねぇ…
「ボクは別に気にしませんよ?」
…なんか幸子ちゃんいつもと全然雰囲気…というかいつもより色んなこと聞いてくるような…?
「…気にしないなら別に良いって訳じゃないけどねぇ…ほら、相手は選びたいじゃんか、女子なら特に。俺が選ぶって訳でもないんだけど…」
「じゃあ、ボクが本当にしたいのがお兄さん。って言ったらどうします?」
小悪魔のような、それでいて可愛らしい笑顔で俺の側に近寄ってくる。
「……嬉しいけど困るねぇ…どう答えていいかもだけど」
「ふふっ、その答えは女の子的には駄目ですよ?罰ゲームです♪」
さらに近寄ってきた幸子ちゃんは、俺の頬と耳元のすぐ側まで口を近づけてきた。
「…すると思いました?」
「……心臓に悪いよ、それ…」
「ふふん♪さっきの答えをちゃんと言ってくれたらしてあげますよ♪」
「…なら言わないように気をつけようかな?」
「お兄さんらしいですね♪」
……ドキドキした。心風に言うなら動悸じゃないぞ☆って感じ。……カワイイ小悪魔ってのはすごいんだねぇ…
そう実感しながら、戻ってきた周子ちゃんに「距離近くない?私も〜」と言われ逃げ場を失うおじさんになってしまった。