あらすじ「二人は火山の奥にいた轟竜、ティガレックスとあいまみえるが、ティガレックスの猛攻によりマオは苦戦を強いられる。それを見かねたロウは当初の作戦通り、マオには逃げていれば良いと伝えるが……。」
マオ「…………嫌です!」チャキ
ロウ「はぁ!?」
=地底火山 大型モンスターエリア=
ロウ「おい!最初に俺が言ってた事を忘れたのか!?お前はただ奴のタゲ取りをして、こん中を逃げ回ってりゃ良いって言っただろ!」
ティガ「グルルル……!」
ロウ「それにさっきも言ったが、奴は俺の獲物だ!お前が下手に手を出したら巻き沿いを食らって、今度こそ力尽きちまうぞ……!」
マオ「確かに……私がここをグルグル逃げ回って、その隙をロウさんが突いていって倒すのが一番手っ取り早い方法かも知れません……ですが。」
ティガ「ゴァァッ!」ブンッ
ロウ「!?……しまっ……!」
マオ「!」バッ
ティガレックスはマオ達の反対側である壁端から、右前足を地面に突き刺しながら抉りつつ、マオ達に向けて溶岩の瓦礫を勢い良く発射した。ロウはマオの方を見ていた為一瞬油断が生じ、迫ってくる溶岩の瓦礫に反応が遅れてしまった。だが……
ガ キ ィィィィン
ティガ「……?」
ロウ「ま、マオ……お前っ!」
瓦礫に直撃するかに思えたロウの前に立っていたのは、何と盾を構えて自信あり気に微笑む新人ハンターのマオだった。ロウがティガレックスの飛ばした溶岩の瓦礫に当たる直前、マオが素早く動き自身の盾でそれを弾いたのである。
スッ マオ「私も……ロウさんと同じモンスターハンターの一人なんですっ!私だけ呑気に逃げる訳には行きません!!」
ロウ「!!」
バッ
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ロウ「くっ……!?」スッ
???「ロウさん!私も貴方と同じハンターの一人なんですから……自分は弱いと気にして、全部一人で背負い込まないでください。」
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バッ
ロウ(あの時と同じ……。)
マオ「それにハンターになった時から……私は早く強くならなきゃダメだって決めてたんです。小さかった頃の私を助けてくれた……あのハンターさんのように強くなるって!」ダッ
ティガ「ガァァァァ!!」ガッガッガッガ
マオはそう言いながら剣と盾を構えると、果敢にもティガレックスへと走りだした。それに釣られるかのようにティガレックスも鋭い牙が生えた口を大きく開け、マオに向かって勢い良く突進していく。
ロウ「マオよせっ!今のお前じゃ、奴に勝てるわけないだろ!!」ダッ
マオのまさかの行動に呆気にとられていたロウも、マオに再び逃げるよう説得する為彼女を追いかける。だがロウが追い付く前に、先に走り出したマオとティガの方が明らかに早かった。
タッタッタ マオ「……」
ティガ「ガァァ!!」ガッガッガッガ
タッタッタ ロウ「犬死にする気かぁっ!?マオ逃げろぉっ!!」
ロウの叫びも虚しく、マオの体とティガレックスの頭部は接触する間近だったが、マオは一向に引く気配は無い。そしてついにマオの体がティガレックスの攻撃範囲に入った……次の瞬間。
マオ「逃げたりしませんっ!!」ダンッ
ティガ「!!」ズザザザ
何故か完全にティガレックスの攻撃が当たったにも関わらず、マオは全くの無傷であった。それもその筈、彼女はティガレックスの突進を完全に見切り、かつ完璧にかわしていたのである。
ザザザザ マオ「……」ダンッ
ロウ「なっ……あれはまさかっ……!?」
ロウ(ブシドースタイル……!?前のアオアシラとやった時はスタイル自体知らなかったから、初期装備のギルドスタイルだった筈……!)
ロウ(この短期間で……あの※伝説のハンター※と同じスタイルを極めたと言うのか!?)
ティガ「グァァァァ!!」ガッガッガッガ
流石のティガレックスもマオの意外な行動に一瞬戸惑い、自身の背後に避けたマオを追撃するため、Uターンで再び彼女に突進を仕掛けようとするが、先に動いていたのはマオの方であった。マオが避けてティガレックスが背を向けた僅かな時間の際にその場ジャンプしつつ、左手の片手剣でモンスターの背中を斬った後だった。そして彼女は空中から下に落ちる力を利用し、再びティガレックスへ剣を振り下ろす。
マオ「はぁぁ!!」ブンッ
ズダァン ティガ「ギヤァッ!」
マオが片手剣で再度ティガレックスの背中に斬撃を入れると、あの大きな体格のティガレックスが、その場で身体全体に重りを付けられたように地面へと叩きつけられ、周りにドシンと言う衝撃が発生した。マオのまさかの行動に、一緒に闘っていたロウも驚いた表情をし、自身の動揺を隠す事が出来なかった。
ザッ ロウ「あれは……乗り攻撃!まさか初期装備の武器で、あのティガレックスをダウンさせるとはっ……!」
マオ「それに私は……やられたら倍返しでやり返す方針で行ってますっ!」ダンッ
見事乗り攻撃を当てティガレックスをダウンさせると、すかさずマオは空高くジャンプしてモンスターの背中に張り付いた。マオが背中へ張り付いた違和感からティガレックスはその場で咆哮や走り回ったりと急激に暴れだし、マオは必死に振り落とされまいとしがみきながら剥ぎ取りナイフを取りだして、そのままモンスターの背中に斬撃を当てていく。
ティガレックス「ガァァァ!!」ジタバタ
ズバズバッ マオ「こんのぉ……!大人しくしなさいっ……!!」ザクッ
ロウ「やるな……!振り落とされるなよマオ!俺も加勢するっ!」ブンッ
マオが背中に乗っている間、暴れているティガレックスの行動を読み、ロウは少しずつだが確実に剣撃を当てていく。マオはティガレックスの行動が止まった隙を見ながら、剥ぎ取りナイフでモンスターの背中を、力任せに突き刺していく。
マオ「これで……終わりですっ!!」ザスッ
グラッ ティガ「グギャァァ……!」ズズゥゥン
ロウ「へっ、やるじゃねぇか……!」
マオの渾身の一撃が突き刺さった瞬間、さっきまで暴れていたティガレックスは大きく地面へ転倒した。マオはすぐさまモンスターの背中から飛び降りると、片手剣を引き抜きすぐにティガレックスへと斬りかかる。
ロウ「くらぇ! 桜花気刃斬!!」ダンッ
ロウはティガレックスが倒れた隙を突き、自身の狩技である桜花気刃斬を解き放った。その技をロウは一気にティガレックスの頭部へ叩き込み、ティガレックスの血で染み付いた太刀で最後の一撃をうち当てると、間髪入れずに斬撃が襲いかかる。
バキバキ ティガ「グギャァァ……!!」
ロウ「効くだろ……さっきまで好き勝手やった礼だ!」チャキン
マオ「だぁぁぁ!!」バッ
先程までティガレックスの尻尾を攻撃していたマオだが、瞬時に後方へバックステップし、彼女も狩技を発動する体勢に入った。
ダッ マオ「 昇竜撃っ!」グアッ
ガキィィン ティガレックス「ギャァァ…!」
最初に左手に持っている片手剣で軽く斬り込みを入れ、次に右手で持っている盾で自身の身体が空に舞うほどの力を込め、相手の弱点に叩き込む昇竜撃。しかしマオの力の影響なのか、彼女が盾でティガレックスの尻尾に攻撃した瞬間、ティガレックスの尻尾からブチッ!と言う生々しい音と共に勢い良く弾き飛ばされ、本体をも大きく吹き飛ばした。
ドザァァァ ティガ「ギャース……!」
スタッ マオ「最初のお返しですっ!」キ ッ
ロウ(最初の斬撃で切れ目を入れ、盾の摩擦で千切りやがったのか……!どんだけ馬鹿力してやがんだよ!)
ティガ「グルルル……!」ガガッ
乗りからの畳み掛け攻撃で、頭と尻尾の部位破壊をされたティガレックスは、すぐに体勢を整えると共に、自身の黄色の肌から多々ある血管を不気味に表皮へ浮き上がらせると、口から白い息を吐きながら再び臨戦体勢を取り始めた。
ティガ「「ガァァァァァァァァァ!!」」
ゴゴゴゴ マオ「くっ……ティガレックスの皮膚が赤くっ……!?」
ゴゴゴゴ ロウ「最初は只の餌だと思って俺達を襲ったつもりだったんだろうが……あの咆哮で奴もその気になったって事だ。」
火山全体に威嚇するかのように、尚も自身の咆哮を轟かせるティガレックス。マオにはまるで「ここは俺の縄張りだ!」と聞いて取れるように感じたのも束の間、ティガレックスは予備動作も無しにその場で高くジャンプし、マオ達に向かって口を大きく開けつつ、急降下しながら一気に襲いかかってきた。
ロウ「あの野郎……避けろマオっ!」バッ
マオ「うわわわっ!!」バッ
ズ ダ ァ ァァァァァァァァン
二人は何とかティガレックスの飛び掛かりを回避すると、武器を再び握り締めて立ち上がり、ティガを真横から挟み撃ちするかのように攻撃を仕掛けた。
ダッ ロウ「ぬぉぉぉぉぁぁぁ!!」
ダッ マオ「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ギロッ ティガ「……」グググッ
マオとロウが向かってくるのを横目でギロリと見ていたティガレックスは、二人を待っていたかの如く瞬時に身体を捻り始めた。
ビクッ ロウ「!」(奴のこの体勢はっ……!)
これで10話は終わりになります。
書き溜めしてる分が無くなってしまったので、これから地道に書いていきます……時間がかかるとは思いますが、どうかご了承くださいませ。
ここまで見ていただき、ありがとうございましたぁ!