『ドラクエⅤ』二次創作です。
再プレイの最中ですが、ドラクエはやはり楽しいですよね!大好き♡
唐突すぎることだけど。
僕は子供のころ『ドラゴンクエストⅤ』が好きだった。アホなぐらいに大好きだった。
何度もクリアしたし、何度もプレイし直した。
「もしここで『いいえ』を選んでいたら?」なんて当たり前、話の途中でわざと来た道を戻ろうとしたり、ボス倒した後で王様に話さず先に行こうとしたことなんて常習犯。最初の戦闘で『布の服』を「道具」で使ってみるぐらい誰でも一度はやったことあるよね!?
・・・とにかく、それぐらいに大好きだったドラクエⅤ。高校生になった今同じことやれって言われたら絶対無理なくらいにやりまくって楽しみまくったドラクエⅤ。
もしも最近よくあるラノベみたいに、転生の神様のミスで死んだお詫びに作品世界へ転生させてあげるって言われたら、僕は今でもドラクエⅤを指定すると思ってる。
だって、それぐらいに大好きな作品だったんだから。
でも、とは言え。
・・・・・・まさか、こんなことになるとは思ったことなかったな~・・・・・・。
「よくやったな! さっそくだが、この子に名前をつけないといけないな。
う~ん・・・・・・よし、うかんだぞ!
『サトチー』と言うのはどうだろうかっ!?
「まあ、ステキな名前!
勇ましくて賢そうで・・・でもね。私も考えていたのです。
『トンヌラ』と言うのは、どうかしら?」
「トンヌラか・・・。どうもパッとしない名だな。
しかしお前が気に入っているなら、その名前にしよう!」
学校帰りに車にひかれて事故死して、転生の神様に会うことないまま意識が暗転。
気づいたときにはドラクエⅤの主人公君として、今グランバニア城内でマーサお母さんに抱かれたまま変な名前をつけられそうになってます。
パパスさんがつけようとしてた『トンヌラ』って名前でゲーム始めたらどうなるのかなって言う、誰もが一度はやったことがある変な名前の主人公ではじめてみるプレイでもクリアーまでやるドラクエⅤ大好き精神が裏目に出ちゃったか・・・・・・。割と本気でどうしよう。
僕の人生に、リセットボタンはございませんか?
「トンヌラよ! 今日からお前はトンヌラだ!」
やめて、お願いだから。僕恥ずかしさで生まれ変わった瞬間に死んじゃいたくなってるからね?
とりあえず、抗議の意味を込めて泣いとこう。赤ん坊の身体じゃ、他に出来ることもなさそうだし。
「まあ、あなたったら・・・・・・うっ・・・! ごほん、ごほん・・・」
「おい! 大丈夫か!?」
おぎゃーっ! おぎゃーっ! おぎゃーっ!
・・・・・・こうして僕は、僕の僕による僕が大好きだったドラクエⅤの世界で過ごす第二の人生が幕を開けたのでした・・・・・・。
ざっぷーん、ざっぷーん。
ドラクエ世界特有の牧歌的な波の音に導かれて、八歳になったボクは十六歳の朝みたいなノリで目を覚まします。
「むくり」
かけ声と一緒にベッドから起き上がって、身体ごと「むくり」。
ボクは前世の時から起きるときには「むくり」と声を上げて目覚めるのが朝のお約束になってた人間です。
「おう、トンヌラ。目が覚めたようだな」
テーブルの前ですでに起きてた僕のパパのパパスお父さんが声を掛けてきてくれる。
今更ながらグランバニア王家って、王子には変な前をつける変な伝統でもあったのかなーと思えてくるほど変な名前のお父さんだよねパパスさんて。大好きだけども♡
「なに? 夢を見た? 赤ん坊のときの夢で、どこかのお城にいるみたいだったと? わははは! 寝ぼけているな」
そして、今見た夢の内容伝えたら笑ってとぼけてくるパパスお父さん。ある意味スゴい役者ぶりだね、ある意味尊敬。
でも、よく考えたらなんでボクって言うか、ドラクエⅤの主人公君はさっき見た夢の内容を覚えていたんだろう? 赤ん坊の時のことなんて忘れるよね普通なら。
「眠気覚ましに外にでもいって風に当たってきたらどうだ?
父さんはここにいるから、気をつけて行ってくるといい」
「そうしまーす。行ってくるね~♪」
もしかしたら原作の時点で転生者だったのかもなーとか思いながら、ボクは船室の扉を出て船の甲板の上へと向かう。
「うわ―――っ!!!」
そして、目の前に広がる海! 海! 海!
さらには、船! 船! 船! ドラクエの船!
Ⅳから初参加の馬車もいいけど、ボクはやっぱりドラクエの移動手段は船が一番だと思う人!
この景色! このBGM!(実際には聞こえないけど幻聴で聞こえるぐらいに大好きな音楽!)この雰囲気こそがドラクエの船だ!
「青い空~♪ 白い雲~♪ そしてドラクエの船~♪
――こんなに気分のいいボクを邪魔しようとしてるのは誰だぁぁぁっ!?」
「が――おおぉぉぉっう!? び、ビックリした・・・。あやうく泣くところだったぜ。
背中から近づいてきてた俺を驚かせるなんて偉いぞ坊主!」
「あ、ごめんなさいオジサン。まさか話しかけられるなんて思ってなくて・・・」
ビスタの港に向かう船旅のなかで仲良くなった、船室のお風呂で驚かしてくる「がおーっ!」のオジサンが、ボクに話しかけようとしてくれてたみたい。
ホントにごめんね? わざとじゃないんだよ? ただ・・・ドラクエって基本『プレイヤーは話しかける側で、向こうから話しかけてもらえることってほとんどない』から癖が付いちゃってて。ホントの本当にごめんなさい。ぺこり。
「いいか、坊主。今まで何度も言ってきたことだが、男の子はどんな時でも泣いちゃダメだぜ! 笑っていろ! みんなが泣く分まで自分が笑って笑顔にしてやれる・・・それが男だ! 忘れんじゃねぇぜ!?」
「ありがとうオジサン! ボク絶対忘れないで、がんばるからね!」
この後の原作展開知ってる人には重すぎる上に意味ありすぎる「がおー!」オジサンのお言葉を、ボクは絶対忘れない! 絶対にだ!
「舵取りのヤツが言うには、もう少しでビスタの港に着くらしい。と言っても、なんもない小さい港らしいけどな。
“坊主たち親子のためだけに寄るなんて船長も人がいい”とかボヤいていたが、アイツはアイツで坊主たちのことが大好きになったヤツの一人さ。せっかくだし船中回って別れの挨拶してきな。次あえるかどうかも分からん相手だからこそ、笑顔でサヨナラしてくるのも男ってもんだぜ坊主!」
「うん、そうだね。わかったよオジサン! ボクちょっと行ってくる!」
そう言い残して手をブンブン振ってから、ボクは船中かけずり回って挨拶回り!
営業のサラリーマンとかは大嫌いな仕事らしいけど、こう言うのだったらボクは大歓迎だ! 何度だってやりたいな! 何度だってやれるといいな!
だって好きな人たちと再会できることを祈ってサヨナラするのはお別れじゃないんだもん!
「港だー! 港に着いたぞー!
イカリをおろせ―! 帆をたため―! 船を寄せるぞー!」
そうこうしてる内に、着いちゃった。楽しい時間はあっという間なんだな~。
「どうやら着いたようだな。
坊や、今のうちに下にいってお父さんを呼んできてあげなさい。港に着いたら直ぐ船をおりられるようにね」
船長さん登場。この人にも、いっぱいっぱいお世話になりました。
「長居すると出て行くのが寂しくなるだけだろう? こういうのは勢いが大事なモノなんだ。
坊やとはここでお別れだが、たまにはこのオジサンのことも思い出してくれると嬉しいな」
「はい、わかりました・・・お父さんのこと呼んできます!」
ホントにいい人たちばかりの船旅で、いきなり冒険開始やめたくなっちゃってるボクがいるよ? やめてね、そういうの? ドラクエで冒険の旅の始まりが、涙で曇ったパターンなんてイヤだよボクは。
「お父さーん、もうすぐ着くから船長さんが呼んでくるようにだってー!」
「そうか、港に着いたか!」
お父さん大喜び。船の人たちもいい人ばっかりだけど、サンタローズの村の人たちもいいひとばっかりだもんな~。そりゃどっちとも喜ばざるを得ないよね! 当たり前だけど!
「村に戻るのは、ほぼ2年ぶりだ・・・。トンヌラはまだ小さかったから、村のことを覚えていまい。だが、安心しろ。きっと気に入るはずだ。皆いい人たちばからだからな。
では、いくぞっ! 懐かしのサンタローズの村へ! 忘れ物をするなよっ」
「おーっ!」
元気よく返事をしてお父さんの後に続く息子のボク。ドラクエⅤを象徴する画だね!
守りたい! この家族の肖像がを!!
「じゃあ船長! ずいぶん世話になった・・・身体に気をつけてな!」
「パパスさんも。たまには服を身につけて寒さから身を守ってくださいね? 一年中『皮の腰巻き』一丁だとさすがに風邪をひくでしょうから(笑)」
「余計なお世話だよ!?」
船乗りさんらしい一流のジョークで寂しくないお別れのシーンを終えて、ボクとお父さんはビスタの港へ。
「あれ? 今の船できたのはもしかして・・・パパスさん! パパスさんじゃないかっ!?
無事に帰ってきたんだね!」
「おお、港主! 痩せても枯れても、このパパス。おいそれとは死ぬものか! わっはっは!」
「・・・え? アンタ今なんだって? パパスさんだって? 2年前にこの港から旅に出てったパパスさんが今の船で帰ってきてたのかい!?」
「おう、奥さん。お久しぶりだ、元気そうで何より」
「・・・本当によく無事で・・・心配してたんだよ?
大切なものを探す旅だとか言って、小さな子供を連れたままでどうなったのやらって・・・。 しかも『皮の腰巻き』一丁しか身につけずに旅に出ちまってたから風邪とか引かないものだろうかと・・・」
「皮の腰巻きはもういいよ!? なぜ皆、私のことを心配するとき『皮の腰巻き』ばかりに目がいくのだ!? 私の存在は皮の腰巻きあってのものなのか!?」
うん、やっぱり誰でも気になるよね。お父さんの見た目装備品。どっからどう見ても蛮族戦士か、エリミネーターの親戚だし。
せめて布の服ぐらい上半身にまとおうよ、お父さん。
「くそぅ・・・! どの人もこの人も・・・っ。
トンヌラよ、父さんはこの人たちに話して聞かせて理解を得たいことがあるから、その辺で遊んできなさい。あまり遠くまでいかないよう気をつけてな!」
「は~い。わっかりましたー!」
元気よくお返事するボク。嘘はついてないよね、嘘は。
だって港から出た瞬間に、一歩も遠ざける間もない敵モンスターたちに襲われるんだもん。遠くまでいってる暇は一秒もありません。
「よーし、行っくぞー! ドラクエⅤで冒険の始まりだーっ!!」
こうしてボクは、ビスタの港から迷いなく飛び出して絶対に一人じゃ勝てないスライム戦へ突入していく!
果たしてボクの行く手に待つのは挫折か栄光か?
はたまた原作通りに大切な人たちと死に別れながら新しい絆を手にしていく原作準拠ストーリーか?
それとも、大好きなお父さんを守り切れて父子二人でがんばるIF展開か!?
すべては神様だけが知っています♪ だから誰にも分かりません。
だって、この世界の神様たぶん今頃トロッコでグルグル回り始めてる辺りだも~ん♪
ボクの冒険はここからだぁっ!!
主人公設定:
『トンヌラ』
底抜けに明るく無邪気な性格の転生少年主人公。
ドラクエⅤが好きすぎたせいで名前が変になってしまったことだけがコンプレックスな、現代日本からの転生者。
今話では呼ばれる機会自体がなかったけど、普段は名前を弄られやすく、ネタにされやすい。そして名前ネタに対してだけは全力でツッコミを入れる。
それ以外の面では常に前向きで裏表がなく、前世が高校生だった割には驚くほど素直で良い子な性格の持ち主。
前世と合わせれば約三十路なのにベラが見える時点で、年齢による精神の汚れとは無縁なことが一目瞭然な存在。
ドラクエシリーズのモンスターが大好きで、モンスターを仲間に出来ることがドラクエⅤを大好きになった理由の一つ。
そのせいか、モンスター爺さんを尊敬しており、種族の違いに関して一切の差別感情を持ったことがない。
反面、お約束無視の常習犯で、ゲーム時代から色々やってみてた前科を持つ。
(例:ヘンリーの宝箱に『インパス』掛けたり、天空装備を息子に装備させずに勇者がいない状態でゲームをクリアしたり等)
お父さんのパパスさんが大好きなファザコン少年。そして、嫁にはアイテム抜きにしてもフローラを選びたいお嬢様好き。
・・・ただし、子供の髪色は金髪が好みなのが悩みどころという、こだわり多きドラクエⅤ大好きっ子転生者。
とにかく好きな作品世界に生まれ変われたことが嬉しくて嬉しくて仕方がない人なので、極端に前向きで天真爛漫。愛と勇気と愛情と友情の主人公です♪