試作品集   作:ひきがやもとまち

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自分なりのギャグセンスを取り戻すため書いてみた半オリ作です。
参考にしたのは「北斗の拳」ですが、二次創作を名乗るには破廉恥極まりない出来損ないの品だったため、パロッたと言う形で半オリ作と言う形式を取らせて頂いてます。
主人公のモデルは「ジャンヌ・オルタ」ですが、こちらも所詮は参考にしただけの別人ですのであしからず。


世紀末っぽいファンタジー世界で親友に裏切られて落とされた地獄から舞い戻ってくる途中で捻くれた女主人公が無双する話。

 ――19XX年、世界は崩壊した。理由はわからない。

 核戦争が起きたという者がいる。大規模な地殻変動によるものだという者もいる。

 変わった説だと恐怖の大王が降りてきて、世界を火の七日間で焼き尽くしたのだと唱える者もいるほどだが、真相は今も闇の中である。

 

 理由不明の世界崩壊から1000年。

 『セイキマツ』と呼ばれる地獄の時代を生き延びた人類は、『セイキマツ後』の時代を迎える。

 

 残された施設跡などの遺跡から文献を発掘して旧文明の技術を一部ながら再現。

 記録によれば『ニジュッセイキ』と呼ばれた時代に近い文明を再現することに成功したが、その恩恵を受けられるのは未だ人類社会の中心近くだけに留まっていた。

 

 現人類社会の大部分は『辺境』と呼ばれる地域で占められており、激変した環境に適応した凶暴な獣や研究所跡から逃げ出した実験動物が跋扈する危険地帯であるそれらの場所に人類国家がしてやれることは護衛をつけた救援物資を定期的に送ってやることぐらいだった・・・。

 

 そんな場所では力ある者が力なき者を支配する『弱肉強食』の掟が支配する無法地帯にならざるをえず、地獄で生き抜くために進化した故か特殊能力を身につけた異能力者たちが取り残された人々を暴力によって支配する暴君として君臨していた。

 

 そんな時代。辺境地域にある村の一つに、独りの少女が姿を見せる。

 嘗て辺境で唯一秩序があるとされていた場所、『聖地』で人々を慰撫し慈しんでくれた『慈悲深き聖女』と讃えられたことがある美しい娘。

 

 ――そして、親友の裏切りによって聖地が滅ぼされたとき、地獄に落とされ這い上がってきた復讐者の娘でもあった・・・・・・。

 

 

 

『ふひゃはははははっっ!!』

「ひぃっ! ひぃっ! ひぃぃぃっ!?」

 

 ・・・砂漠に砂塵が舞っている・・・。

 

「へっへっへ。おい爺さん。ソイツをもらおうか。そうすれば偉大なるカイザー様の御領地を無断で横断しようとした無法だけは見逃してやってもいい。ウエッヘッヘ」

「ゆ、許してくれ後生じゃ・・・。ワシは老い先短い病気の老人、もはや今日を生き残ることに未練などないが、この種籾だけでも貧しい村の者たちに持ち帰ってやらなくてはならんのじゃ・・・明日を生きる希望とともに!」

「へっへっへ・・・希望か。そりゃなおさら食ってやらなきゃならねぇな」

「そ、そんな・・・」

 

 わずかな種籾を村のために持ち帰ろうとしている貧しい農民、しかも病気の老人がモヒカンの野盗多数に追われている、『セイキマツ後』の今という地獄の時代にはドコででも見られる平凡な光景だった。

 

 ・・・本当に? こんなのが本当にドコででも起きてるの? めっちゃくちゃ非効率極まりない追い剥ぎにしか見えないんだけれども・・・。

 

「とにかくソイツを渡しやがれジジイ! 俺たち悪名高きカイゼル軍団に殺されたくねぇのならなぁ!!」

「ヒィィィッ!? だ、誰か助けてくれぇ! ワシはどうなってもいいから、この種籾だけでも誰か村へと持ち帰ってくれぇぇぇぇっ!!!」

 

 哀れなる無力な老人が、モヒカンの無法者たちの毒牙により殺されそうになっている!

 まさにその時! 正義の刃が悪を裁き、勧善懲悪の鉄槌が悪党どもへと振り下ろされた!!

 

 

「うぅぅぅぅるさぁぁぁぁぁぁぁっい!!!

 人が飲まず食わずで荒野歩いてきて空腹で気が立ってるときに食べ物の話なんかしてんじゃねぇわよ!! ブチ殺されたいの!? この半端ハゲ!

 ハゲ! ハゲ!! ハゲェェェェェェェェッッ!!!!!!」

「ひげぶべぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!!???」

 

 突然背後から跳び蹴り食らった野盗が吹っ飛ばされて、近くにあった壁に叩きつけられたと思ったら、後ろから追ってきた黒尽くめの少女が凶相で男の顔を足蹴にし始めた!!

 ヤクザキックに続いてスタンピングの連続だ! 野盗の顔は見るも無惨にボロボロのものへとされていく! 

 

 げし! げし! げしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしぃぃぃぃぃ!!!!!

 

「ぐへっ!? はへっ!? やめてやめてやべでぐでぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!!???」

 

 無慈悲で圧倒的な暴力の前に、少女より弱い男は手も足も出ない。出すことを許されない。

 何故ならこの地は弱肉強食の地『辺境』! 狩られた弱い獲物は狩った強者に蹂躙され、食い物にされるしかない『力の論理』が支配する正義が存在しない悪の世界なのだから・・・。

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・。あー・・・、無駄に動いたら余計にお腹すいたわ。アンタらなんか食べ物持ってないの? 持ってるなら置いてって。見逃してあげるから」

『ヒドい!?」

 

 追い剥ぎから追い剥ごうとしてくる傍若無人な黒い少女に、野盗たちはそろって驚愕させられた。

 リーダーは自慢の顔をボコボコにされて、元を知ってる人には見間違われること間違いなしな状態なのに、それでもまだ要求してくるなんてヒドいわ!と。

 

 対して少女は今更ながらに老人から感謝の言葉を受けている。

 

「あ、ああ・・・どなたか存じませんが助けていただきありがとうございました。あなた様はワシだけでなく、村の――引いては明日の平和を生きるすべての人たちにとっての恩人でありますのじゃ・・・」

「・・・・・・??? 誰よアンタ? 何時からいたの? できたら小汚い袋持ってる手で触らないでほしいんだけど、服が汚れそうだから」

「ヒドい!?」

 

 老人もショック!! 冷たい声が頭上から落ちてくる! 老人のガラスのハートに落ちてきまくる!

 

「ワシと種籾を助けてくれたのではなかったのですか!? わずかな種籾を貧しい村へと持ち帰る途中でモヒカンの野盗に襲われた病気の老人であるワシを助けるために野盗の親玉を倒してくださったのではなかったのですか!?」

「・・・いや、お腹すいて苛立ってるときに横でピーピー、ギャーギャーうるさくて頭に来たからストレス発散にと思って、発作的に跳び蹴りくれてやっただけなんだけど・・・」

「ヒド過ぎまする!? 愛と明日を見失い、微笑みを忘れてしまいそうなほどに!?」

「あと、ないでしょ。病気のお爺さんをお遣いに出す村も、種籾しか持ってないお爺さんをバギー乗って追い回すアホなモヒカンの野盗も。そんな非現実的な生き物、この世に実在するはずねぇ~」

「いるのです! 本当にいたのです! 今、ここに、ハッキリと実態を持って実現しておりまするのですじゃ!?」

「またまたそんな嘘八百のホラ話ついて欺そうとしちゃって~。そんな手垢のついた作り話じゃ、おひねりはあげらんないわよ? なぜなら私は無一文だからね! ・・・貧乏で悪いかこの野郎!」

「理不尽!? そしてワシらの存在意義、全否定!?」

 

 老人の心に大ショック!!

 愛のない言葉で老人の心臓の鼓動が早くなり、動悸までもが早くなる!

 呼吸求めて、酸素失いかけてる脳味噌が今、熱く沸騰して燃えたぎりそうなほど血が逆流する!

 

「う、ぐ!? ほぁっ!? ――――ひでぶふぅっ!?」

 

 老人の胃液が吐瀉物をすべてを溶かし、無残に飛び散らせながら吐血する。

 

『あ、死んじゃった・・・・・・?』

 

 倒れゆく老人を見ながら、その場にいた一同は呆然とつぶやく。

 ――病気の老人をお遣いに出させる薄情な村人たちとの約束を守るため彼は旅立ち、今日も明日も失い、微笑みという感情を忘れて冥府へと旅立ってしまったのだった・・・・・・。

 

 

 

 ま、それはそれとして。

 

 

『で、では、どうかこれで命だけはご勘弁のほどを・・・・・・』

「ん。まぁ、いいでしょう。次からは弱い人たちには優しくしてやんなさいよ? 助け合いが人同士の関わり合いの基本なんだからね」

『へい! 仰るとおりでごぜぇます姉御!!』

 

 少女と野盗たちは、心臓麻痺か脳卒中で亡くなったらしい老人を埋葬し、まあそれはそれで人が少なくなった今の時代に出会いは大切にしないといけないとする『聖地』と呼ばれた場所の教えを思い出し、バギーに積んであった予備の食料のうち持てる範囲を全部差し出すことで手打ちにするという約束事を取り決めて、互いに後腐れなくよい気持ちでそれぞれの行くべき場所へと向かって歩み去って行った。

 

 

 ―――今は『セイキマツ後』・・・。

 

 海は涸れ、地は裂け、あらゆる生命は絶滅したかに見える地獄の時代を生き延びた人類が再び地球の支配権を取り戻そうとし始めた新しい始まりの時代。

 強い者が弱い者を食い物にする弱肉強食の理が支配する、修羅の時代・・・・・・。

 

 そんな過酷な時代の中で辺境という地では、人は呆気ないほど死にやすく弱い生き物だ。助け合わなければ生きていくことさえ難しく、死者を埋葬し悲しみくれる余裕などドコを探しても見当たらない。そんな時代。

 

 

 修羅の時代を生き抜くため、そして自分を裏切った親友への復讐を果たすため。

 地獄から這い上がってきた一人の少女が、這い上がってくる途中で必要悪からひねくれながらも強さを得て、今ここに復讐戦の始まりを宣言する。

 

 

「待ってなさいよ、ジン! 五年前に受けさせられた屈辱と恨み、今こそ晴らしてやるわ!

 欲望のために私を追い出し栄華を極め、贅沢の限りを尽くして肥え太った豚のアンタには今の私は決して倒せない! 全てを手に入れて満足し見下ろすことしかしなくなった王者のアンタには落ちてく以外の未来なんて残ってないんだと思い知るがいいわ!!

 金持ち(悪党)共よ! 正義の刃で破産地獄に落ちなさ――っい!! うはははっ!!」

 

 少女は笑う。聖女は笑う。復讐の魔女となった慈悲深き聖女は高らかに己が勝利を嗤い上げる。

 ドン底に落とされ、極貧の中をさまよい歩いた末に這い上がってきた聖女は、既に嘗ての聖女ではなくなっていた。

 

 なぜなら彼女は復讐の魔女。

 金持ちを悪だと憎み、欲しい金は力尽くで奪ってでも贅沢な暮らしがしたくて仕方がない、貧乏人たちにとっての救世主。

 法の機能しない弱肉強食の辺境地域にあって、強い者に食い物にされている全ての弱き貧乏人たちに救いをもたらすべく天が降された強気金持ち共からの強奪者を自認する復讐の亡者だったのだから!! 

 

 

「世界は、悪は、金持ち共は! 私が裁く!! この世全ての金は私の物よーっ!!!」

 

 

 貧困を味あわされた元苦労知らずの聖女による、全てを奪われた復讐の旅が今始まる!

 

つづく・・・・・・?

 

 

主人公設定:

『聖地の慈悲深い聖女』=『復讐の魔女』

 名前はまだない今作の主人公。便宜上『ジャンヌ』と呼んでいるけど、オリ作の主役に原作ありのキャラ名は不味いと悩み中。

 亡国の際に故郷を追われてドン底へと突き落とされてから、這い上がってくる途中で擦れてしまい、別人格になってしまった。今や原型はわずかしかない。

 選ばれし者のみが使える幻の武術『悪意の拳』の使い手だが、本人的には酔っ払いの爺さんが酒おごったら教えてくれた技が相性よくて便利だったから極めただけの技。

 曰く、「才能あったから使えたんじゃない?」――とのこと。

 

 

必殺技『ツァーリボンバー』

 有り余る復讐心から湧き出る憎しみの炎で相手を焼き尽くすイメージを、超小型原子爆弾として具現化させ、空から落とす技。

 威力はオリジナルと比べるべくもないが、それでも人に使っていいものでは絶対にない。ないのだが、辺境だと法律ないから別にいいよね☆と使ってしまう復讐の魔女らしい必殺技。

超必殺技『リトルボーイ』

 憎しみの炎で以下略を超小型水素爆弾として具現化させ、空から落とす技。

 威力はオリジナルと以下略。それでも人に使って以下略。

 基本的にルールで定められてなければ何やってもいいと思っているヒトデナシなバトルスタイル。

 

最終復讐奥義『ロッズ・フロム・ゴッド」

 彼女が未だ至れていない、全てを自分の主観のみで判断して裁く神の極意の座。

 復讐技の究極到達点にして、『悪意の拳』が具現化できる最強最大の奥義。

 どんな念いでもいいから此を具現化するためだけに悪意の拳はあったとかなかったとか色々言われているが、真相は不明の技。出来るようになったら人やめてると思われる。

 

 

弱点:

 金持ちを憎んでいて、「この世全ての金を我が物に!」とか言っているが、大金を手にしたことがないので一定額以上の金を見ると急にビビり出す。

 金を手に入れた後のことを考えずに欲しがっているから、手に入れても結局は大した害を他に及ぼさない、所謂「小悪党」気質の持ち主。

 めちゃくちゃ強いが中身が薄っぺらい小物にチートが宿ってしまったらと言う、典型例タイプの主人公。一生善人には戻らないが、悪人にも落ちきることの出来ない半端物。そこがまた半端に可愛らしいともいえるのだが。

 

 されたことは忘れないが、されたことの経緯とかは逐一覚えてないタイプのため、実は復讐対象の顔立ちや姿形が曖昧にしか思い出せなくなってることに気づいてない。

 挙げ句、五年間一度も会ってなかったせいで、今どんな姿をしているかなんて全く知らないから『成り上がりの金持ち』と『復讐対象』をごっちゃにした男をイメージして本人だと信じ込んで疑っていない。信じることが基本だった聖女時代が反転した結果、思い込みだけが強くなってしまった結果である。

 

 あと、裏切られてドン底に落とされたことを恨むあまり、裏切られた原因である幼馴染みの少女については今の時点で完全に忘れてしまっている。会えばなんとなく思い出すけど、完全には無理。

 だって五年間も手紙一つ来なかった相手だもの。鮮明に思い出せたら私ストーカーじゃん。思い出せないことが健常者の証だと私は思うわ。――と、本人は主張することになる。

 

「あー・・・うん、久しぶり―。元気だった? そういえば名前なんだったっけ?

 いや、忘れてたわけじゃないのよ? ただ名字は覚えてたんだけど、名前だけを思い出せなくなっちゃっててさ~」

「角栄! それ田中角栄がしてた言い訳だから! なんでこの状況下で、旧世紀の国家元首が使ってた人心掌握術を使ってるの!?

 あと、文明が荒廃した今の時代に苗字あるのは王族だけなんですけども!?」




謝罪文:
原作と原作者様に対する謝罪です。たまたまテレビでやってるのを見てスゴク面白かったから参考にしてしまいましたが、私如きが烏滸がましいことは重々承知していますのでファンの方々含めてどうかお許しを。

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