試作品集   作:ひきがやもとまち

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単なる思い付きで書いた【僕のヒーローアカデミア】の序章だけですが投稿してみました。
原作とは別の没個性主人公の少年が、オールマイト以外の師匠と出会ってた場合のヒロアカです。
思い付きでしかないため、色々と不備あり過ぎなのはご勘弁を…。


ボクの主観的ヒーローアカデミア

 

 人は生まれながらに平等ではない。

 それぐらいは今時、幼稚園児でも知っている世界の常識でしかないだろう。

 

 世界総人口の約8割が、なんらかの特異体質である超人社会となり、コミックのようなヒーローが職業として脚光を浴びるようになった現在も、それは変わらない。

 

 原因も判然としないまま各地で発見され続ける超常の使い手たちに国が対応できず、法の抜本的改正にもたつく隙を突いて爆発的に増加した超常犯罪から人々を守るため、勇気ある人々がコミックさながらにヒーロー活動を始めた彼らは、世論に押される形で市民権と法的庶務に定められ、最有力な就職先として人気が高い存在に今ではなっている。

 

 ・・・・・・だが、職業として定められた頃から、彼らの在り方は変質し始める。

 

 超常の発見から5世代が経過して数が増え、超常の発見によって増加した超常犯罪者《ヴィラン》たちは『とある最強ヒーロー』の活躍によって撲滅されていき数を減らし、彼の活躍に憧れた若者たちの人気就職先がヒーローとなり。

 現在は、ヒーローの供給過剰という状況に現代社会は陥りつつなっていた。

 

 もはや、《雄英高校》のようなヒーロー育成の名門校出身者でもない限り、プロヒーローになることは難しく、仮になれたとしても生活を維持して家族を養える額の収入を得られる者はごく僅か。

 

 ヒーローたちは、活躍に応じて国からの収入と、助けられた人々から名声が得られる仕組みが取られている。

 結果として、そこそこの人気と、まぁまぁの活躍しかしていない中小ヒーローたちは、常に《家族の生活》と《ヒーローの正義》とを天秤にかけながらしか生きることが出来なくなっているのが、超人社会となって数世代の代を重ねた現代の世界だった・・・。

 

 

「しゃ、社長・・・!? どうしてニコニコヒーロープロダクションの経営者である貴方が、ヴィランたちの取引現場に・・・・・・まさかっ!! そんな!?」

「フフフ・・・世の中というものは額面通りに動くものではないという事さ。――君も欲しいのだろう? 息子さんの進学費が。高等ヒーロー教育を受けさせるための金が」

「くっ!? で、ですが私とてヒーローです! 金で悪事に荷担するなど許されないッ!」

「そうかな? 私は親の勝手な正義感のために、可愛いお子さんの将来を道連れにすべきではないと思うがね?」

「う・・・、ううぅ・・・・・・」

「なに、悪事に荷担しろと求めている訳ではない。ただ私たちだけを見逃してくれれば良いのだ。そうしてくれれば、君も息子さんも悪いようにはしないと約束するよ? 下手に手を出して余計なことを世間に話されては迷惑だからね。フフフフ・・・ッ」

「・・・も、申し訳ありません、《オールマイト》・・・。すまない! 我が息子よ・・・ッ!!」

 

 

 ヒーロー業界には、厳然とした格差がある。

 名声を得て、社会的に高い地位と収入を保証されたヒーローたちなら、私利私欲に負けず己の正義を貫くことで被る被害は少ないけれど、地位も収入も低いヒーローたちは《己の正義》と《家族の生活》とを天秤にかけながらしかヒーロー活動は出来ない。

 

 ・・・・・・それが現代ヒーロー社会の現実なのだと、4歳にして父親と所属プロダクション社長の裏取引も目撃してしまった《ボク》は、その事実に強く打ちのめされた・・・。

 

 ヒーローが活躍して、倒すべき悪のヴィランが減れば、新しいヒーローたちが名声を得る機会は減っていき、今いるヴィランを多く倒したヒーローたちは高所得のプロヒーローとして正義をリスク少なく貫き続けることが可能になる。

 

 今の持つ者たちが、今後も持つ者でい続けやすく、若き持たざる者は落ちていく一方。それが超常という夢が現実になった社会の事実だった。

 

 それこそが現実なのだと気付かされながら、それでも僕がヒーローに憧れて今も目指し続けているのは・・・・・・いったい何のためなのだろう・・・・・・?

 そんなことを考えながら、夕暮れ迫る通学路を家に向かって歩いている。そんな、ある日の出来事だった。

 

 

「あ、あ・・・あ・・・・・・」

「――大丈夫だったかな? 少年。ヴィラン退治に巻き込んでしまって、すまなかった」

「あ、あわ、あわわぁぁぁ・・・・・・」

「だが! 君のおかげで悪いヴィランは倒された! あの場において、最も平凡でありふれた個性しか持たない君こそが、一番のヒーローだった。そこで提案をしにきたのだ」

「て、提案っ、て・・・・・・?」

「いいかね、少年。君も――――」

 

 

「私と一緒に―――主観的正義を守るため、ヴィランに苦しめられる人々のため悪と戦う、主観的ヒーローになってみないかね!?」

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

「・・・・・・はい?」

 

「いいかね少年!? 正義とは――愛ッ! 正義とは――清き事!! 正義とは――主観!!

 主観的正義こそが真なる正義であり、正義とは主観的正義のこと!!

 主観なき正義など存在せず、全ての正義は主観的正義として存在している!!」

 

「え、えぇと・・・・・・ちょっと話が・・・・・・」

 

「この世すべてのヒーローたちは主観的正義の味方であり、自らの信じ貫く正義という名の主観的正義の名の下に悪のヴィランたちと戦って倒している!

 そんな世の中で、我々だけが正義を守るために戦わず、彼らにだけ主観的正義と悪とのハルマゲドンを任せておいて良いものだろうか!? 否ッ! 断じて否だッ!!

 主観的正義を愛する者たちは例外なく、主観的正義の旗のもと悪と戦う使命を帯びて、この世に生を受けた者たちなのだから!!」

 

「す、すいません・・・急用を思い出したのでボクはこれで・・・助けていただいた事は、ありがとうございましt―――」

 

「君も主観的正義が好きだろう!? 主観的正義の断罪ヒーローたちを愛しているのだろう!?

 そうだろうそうだろう、目を見た瞬間に分かっていたとも! 誰かが主観的正義を叫ぶとき、新たな主観的ヒーローを呼ぶ合図!!

 さぁ、君もこのマスクをかぶってコスチュームを着て、私と共に主観的正義のため戦おう!!」

 

「い、イヤだぁー! 助けてください誰かぁー!? 変なマスクの怪人に浚われちゃうー!?」

 

「言い忘れたが、私の名は主観的正義の宅配人《シュカーン》!!

 そして今日から君は、社会的底辺の地獄から蘇った主観的正義のヒーロー《シュカーン2号》だ!!

 訓練は厳しいが、愛と平和と主観的正義を守るため、力を合わせて悪と戦い抜こうではないか!!」

 

「イヤだー! 帰る!おうち帰るッ!! 助けてヒーローぉぉぉぉッ!?」

 

「はっはっは! 安心したまえ! ヒーローはここにいる!!

 主観的正義は永遠に不滅だぁぁぁぁぁぁッッ!!!」

 

 

 

 




*尚、現在書けてるのは今作だけですが、同時に思いついたネタとして


【僕たち私たちのヒーローサーガ】(原作:エクセルサーガ漫画版)
【ボクとヒーローと……魔王ヴィラン?】(原作:ボクと魔王)
【悪役にあこがれて。…ヴィラン?そんな英語は知らん】(オリ主のオリ展開)


とかを書いてみたいなと思っております。

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