試作品集   作:ひきがやもとまち

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エロ作の練習してたらできたので投稿しておきます。ヒロインが真面目そうに見えて実際は見た目も行動もエロいと言うタイプのファンタジーです。王道ファンタジーの練習も兼ねてたので真面目なシーンも多いです。


血塗れ勇者と真面目な天然エロっ子クエスト

 かつて、この世界を救った勇者がいた。

 精霊に導かれし四人の仲間たちとともに魔王を倒した勇者は、遠い異境の地にて新しき王国の王になる。

 『勇者の国』と呼ばれる彼の王国は正義を愛し、武を重んじる高潔な精神のもと長い時間を平和に豊かに過ごしてきた。

 

 

 ーーだが、しかし。いつの時代も悪が絶えることはない。

 王妃が身ごもり、神からの神託がおり、産まれてくる子供に聖なる名『エクス』と名付けられることが決定したことを祝う祝宴の夜に突如として魔族軍残党による奇襲を受け、王国は壊滅。

 国一番と表された剣の達人にして宿将でもある偉丈夫に守られながら只一人脱出に成功した王妃も、逃亡中に陣痛に見舞われ出産直後に死亡。

 

 王国の遺児を託された将軍は国の再興を悲願としながら各地を放浪し、身分を偽り、新たなる盟主のもと勢力を盛り返しつつある魔族軍からの追撃を躱しながら流浪の旅路と残された王の子の教育に血道を上げていた。

 

 

 しかし・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 10年後、大陸辺境の地『アルス』

 

「エクス様!? エクス様!? どこにいらっしゃるのです!?」

 

 うら若き乙女の美声が誰かの名を呼びながら森の中へと響きわたる。

 黒髪の少女だ。腰に長剣を履いてはいるものの服装は至って平凡な街娘のそれ。にも関わらず普通に歩いているだけで見惚れてしまいそうになる凛々しい面立ちと雰囲気は、間違いなく若き日の父から受け継いだ『勇者の仲間の子孫』としての賜物であるだろう。

 

 彼女の名は『バルフレア』。

 勇者の国が滅ぼされるとき王妃を守って落ち延びた将軍の愛娘であり、共に逃げようとした随行者たちの中で只一人生き延びることが出来た剛の者。

 幼いながらに逞しい生命力と、貴族出身者でありながら平民たちとの暮らしに何の抵抗も感じることなく馴染むことができた適応力の高さが将軍以外では只一人彼女を生き延びさせることを可能とした。

 その実績が評価されたのと、現実問題人手が足り無すぎることなどの原因により王国残党の生き残りをかき集めて編成中の『解放軍』内部にあっては旗頭である王の遺児エクスの教育係兼護衛役を任されていた。

 

 類希な・・・と言うほどではないしにしても十分すぎるほど人目を引きつける容姿を持った美しい少女であり、鎧甲冑に身を固めればさぞかし理想的な女騎士らしい清廉さと気高さを感じさせることが出来るだろうと、見た人誰もが想像力をかき立てられる少女であったが、たがしかし。

 

 

「エクス様! 返事をしてくださいエクス様! ーーああ、もう! また私の知らない女のところに遊びに行きやがりましたのねコンチクショウ! 教育係であり生まれた時からずっと一緒の私をおいて他の女のと・こ・ろ・へ!

 キィーーーーーーッ!!! 悔しい悔しい悔しいぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!!」

 

 

 ・・・・・・ミニスカート風の丈が短い衣服をまとった姿で手拭い噛みしめながら悔しそうに地団駄している姿を見せつけられてしまったなら、恋い焦がれ続けた千年の想いも一瞬で冷め切ってしまうこと受け合いである。

 

 高潔で騎士らしく、穢れた賄賂や袖の下などを許すことが出来なかった父にはない、平民の娘じみた彼女の特長がコレだった。

 とにかく“はすっぱ”で、地の性根が意地汚くて嫉妬深い。おまけに特定の個人に対してのみ粘着質があり、やや陰湿な復讐方法を好む趣向の持ち主でもある等、けっこう残念な部分が多すぎる少女騎士見習いなのだ。

 

 当然、このような娘の欠点など実質的に軍を主導している将軍としては配下の者に知られるわけにはいかない。幼い頃より改善に努めるよう努力はしたし、事実として改善はしている。コレでも一応は改善した後なのだと言われてしまえば、誰も彼を責めることは出来まい。ただ単に娘が両親のどちらの物とも違う変な特徴を持って生まれついたと言うだけなのだから・・・・・・。

 

 

 

「エクス様! エクス様! エークースーさーまー!!! いい加減に出てきてください! 出てきてくれないと私、今この場でパンツ脱いじゃいますよ!? いいんですか!? うら若い年頃の女の子があなたが出てきてくれなかったせいで大恥かいちゃうんですからね!?

 いいですか!? 脱ぎますよ!? 脱ぎますからね!? 脱いじゃいますからね!?

 ・・・・・・・・・・・・えーーーーーーーーーーっい!!!!!!!!!」

 

 

 ズボッ!!!!

 

 ぷりん♪

 

 

 ・・・・・・どういう理屈なのかは意味不明だったが、とにかくテンパった彼女は涙目になり、顔を真っ赤に染めながら自分の短すぎるスカートの中に手を入れて自ら履いてたパンツを豪快に脱いだ。

 

 脱ぐ拍子にスカートも少しだけめくれて、丸くて白い臀部が露わになる。

 意外と大きめだったらしい彼女のお尻と、彼女の履いてたパンツはサイズが合っていなかったのか、脱いで自由になった瞬間、思わずお尻が自由を得た喜びを喝采するように「ぷりん♪」と盛大な効果音を幻聴として辺り一帯に鳴り響かせる!

 

 

 アキレス腱の辺りまで下ろした時点で一時停止し、そのまましばらくの間微動だにせず動きをとめたまま、その体勢を維持し続ける。

 

 剣術の達人らしい優れたバランス感覚によってのみ可能となる分かり難い高等テクニックだったが、丸出しのケツを背後に突き出した状態で固まるポーズを維持するのに高度な剣術テクニックが用いられてることを知られたら、むしろ剣士たちから怒られそうである。

 

 やがて彼女は赤から真っ青へと変わった顔色に脂汗まで滲ませながら、蚊が泣くような小さな声でポツリとつぶやく。

 

 

「・・・・・・どうしよう。このスカート丈でパンツ脱ぐのに片足あげちゃったら、ナカ見られちゃう・・・・・・(゚_゚;)」

 

 その上、今から履き直そうとすると必然的にスカートの後ろがめくれてしまい、再びお尻丸見えシーンを披露してしまう。

 

 剣だけしか習ったことのない、女らしいことは何もできないガサツな女の典型なのは自覚してるけど、それでも彼女は年頃乙女。誰も見てない場所だからって、自分からオケツ丸出しになるのは恥ずかしすぎる年齢なのだ。・・・じゃあ一体全体なんだって最初に脱ごうと思ったんだよ、このアホっ子は・・・・・・。

 

 

「え、エクス様! エクス様! 早く出てきてください! そして私を助けてください! 黙って他の女のところに遊びに行ったの許してあげますから! 昔みたいに罰としてお尻ペンペンなんてしないであげますから! だから助けて! お願いします!

 ーーああ、ダメ! もうダメなの!! お尻を冷やして風邪引いちゃう!? こんな恥ずかしいバッドステータス絶対にイヤーーーーーーーーーっ!!!!!!」

 

 

 

 樹海の中心でケツ丸出しのアホが叫んだ声が聞こえた・・・・・・訳では全くなかったのだけれども。

 

 バルフレアが助けを求めて叫んだのと丁度同じ頃、魔王軍が十年かけて地道に延ばし続けていた捜索網の網に、悲願であった勇者の子孫と勇者の国の残党が遂に引っかかったとする報告が魔王都に鎮座する魔王代行『竜魔王』の元に届けられていた。

 

 

『なに!? それは真か!?』

「はい、この眼でたしかに確認しました。間違いございません」

 

 水晶球に映し出された偉大なる御方に頭を垂れながら報答するのは中級悪魔ベゼルズ。蠅とよく似た頭部と羽を持つ魔族で、一族の頭領でもある魔王軍幹部ベルゼブブの遙か遠い縁故のある外戚に該当してはいる存在だ。

 もっとも、当の幹部自身には数千匹単位で親族がいるので、一族の出涸らしでしかない上級以下の一門の端くれのことなど存在すら知っていなかろう。

 一方でベルゼル自身はベルゼブブのことを尊敬し、彼と同じ一族であることを誇りに思っており、魔王軍へ忠誠を尽くす最大の理由となっていた。

 

 

『でかした! 魔王軍鉄十字勲章ものの功績だぞ! お主たち一族の盟主ベルゼブブも、さぞ喜ぶことであろう』

 

 竜魔王はそう言ったが、嘘である。

 彼と魔王幹部ベルゼブブは地位こそ違えども互いに実力伯仲していて決着が付かず、どちらが魔王様第一の臣に相応しいかで常にいがみ合い、足を引っ張り合う関係にあるのだ。

 だからこそ竜魔王は一族の中でも中間に位置し、忠誠心故の盲信ぶりが逆に信用できるとして『魔王さま復活のために必要な極秘任務』を彼だけに与え、彼の配下のみを使いベルゼブブには伝えないまま、彼とは別口での勇者探索を続けさせていたのである。

 

「はっ! 偉大なる一族当主様のお役に立つことこそ我が願い、我が生きる証。コレに過ぎたるはありません。

 また、斯様な大任を賜りながら十年もの長きにわたりお役目果たすこと叶わず、己が無能な醜態をさらし続けてきましたこと、真に慚愧の念に絶えませぬ。どうかお許しくださいますよう、伏してお願いいたします」

『いや、よい。気にするな。辺境の広さと捜索の難しさは私もよく知るところである。

 砂漠に潜んだ砂ネズミ一匹を探し出すなど、大河の水をコップで掬い干上がらせよと言うようなもの。それを成し遂げただけでも大儀であった。気にするな』

「竜魔王様・・・・・・っ!!!」

 

 感激のあまり声を震わせながら、ベルゼルは竜魔王の寛大さに感謝し、今までより一層の忠誠と忠勤を魔王軍に対して捧げることを決意する。

 

 しかしーーーー。

 

『しかし、だ』

 

 急激に竜魔王の声から暖かみが失われていき、冴え冴えとした冷徹さと冷酷さだけを残した表情のまま彼はベルゼルに対して名誉ある勅命と、そして退路を断つ一言を告げてきた。

 

『発見したからには失敗は許さぬ。必ず殺すのだ、勇者の子孫と、奴の仲間たち全てをだ。一人でも生き残りがいた場合には貴様のその首、代わりとして人間どもの街に晒してくれるからそう思え』

「は、はっ! 微力を尽くさせていただきます!」

『うむ・・・。兵を与える。五百のゴブリン、ハーピー、フレアリザードで成る軍勢を以てして必ず勇者と奴の子孫どもを血祭りにしてやるのだ!

 そう! 魔王さま復活を祝福するための生け贄としてなぁぁぁぁっっ!!!」

「ーーーははぁぁっ!!!! 全ては魔王陛下の御為に! ハイル・サタン!」

 

 

 けたたましく狂気の笑い声をたてながら念話魔法を終了し、向こうから水晶に映し出される映像を切った竜魔王。

 残されたベルゼルは冷や汗をかきながら、それでも笑い声を押さえきることが出来ない。

 

「なんとも恐ろしい御方だ・・・。しかし・・・ふふふ、しかししかし、しかしだ。これで我ら魔族の悲願が叶うというのであるなら安いものと言えないことない。我らが望み、願い続けた勇者の首! その命!

 本人でないのは残念ではあるが、子孫の首を墓の前に晒されたらどのような顔をするのか想像するだに愉快な気持ちに成るではないか・・・グフフフ」

 

 『狡猾なる魔王参謀』と称されているベルゼブブの一門らしい下卑た笑い声をあげながらベルゼルは、勝利を確信していた。

 なにしろ敵は未だに250弱。こちらの半数にも届かぬ少人数なのである。数をそろえてナンボの人間軍は、この数ではどうすることも出来はすまいと信じていたから。

 

 

 

「ほう? 暇潰しに散歩していたら、中々おもしろい話を聞いてしまったな。私たちの根城がどうしたって?」

 

 

「!?」

 

 突然後ろから声をかけられて、「まさか勇者軍に見つかったのか!?」と焦って振り向いたところ、いたのは十代半ばに達するかどうかな年齢の少女が一人いるばかり。他は誰もいない。一人だけである。

 

「・・・小娘、貴様ここまで一人できて、一人で俺に声をかけたのか?」

「ザコ魔族一匹を相手に複数人でないと声をかけてはいけない法でもあったのか?」

 

 悪意ある見下しの質問に、より激しい悪意と見下しの反問で返されてベルゼルは不快さを刺激される。

 

「生意気なガキだな。そうまでして死に急ぎたいのか? なんだったら今すぐ俺様の前にひざまづいて足の裏をなめて見せたら半殺し程度で見逃してやってもよいのだぞ?」

「へぇ? ずいぶんと甘いんだな、魔王軍とかいう半端に平和ボケした素人連中は。

 敵を見つけて攻撃したなら殺すだろ普通。生き残らせて後顧の憂いを自ら作ってやる義理も無かろうに」

 

 再びの悪意ある反問。こうなってくるとベルゼルとしてもムキになってこざるを得ない。

 なにしろ魔族はメンツを重視する者たち。舐められたまま引き下がったのでは沽券に関わるのだ。

 

 激しく罵倒して言い負かしてやろうと、ベルゼルが大きく一歩踏み出したとき、少女は告げた。「とっとと切りかかってこい」ーーと。

 

 

「・・・・・・なに?」

「聞こえなかったか蠅頭。それとも頭のそれはお飾りなのか? ふん、所詮ハエはハエだな。低脳きわまりない単細胞生物だ。論ずるに足りぬ」

「なっ・・・!?」

「いいか? もう一度だけ言ってやる。時間の無駄だ、とっとと切りかかってこい。殺してやるから。

 ・・・まったく・・・人が寛大な気分で無駄話に付き合ってやったというのに気の利かん奴だ・・・。阿呆はコレだから困るのだ、ゴミめが」

「きさ、きさ、貴様貴様貴様貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・っ!!!!」

「貴様貴様うるさい、同じ単語を発するだけならオウムで事足りる。

 愛玩動物としての価値すらないお前にはオウムとしての役割すら果たせぬのだから、せめて私の剣の露払いぐらいにはなってから死ね。それぐらいしか使い道のない命など、生かしておくだけ資源と時間の浪費と言うものだ。

 だから早く切りかかってこい。切りかかってきて、斬られて死ね。それが私の定めた価値無き貴様の運命だ」

「きぃぃぃぃぃさぁぁぁぁぁぁぁまぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ・・・・・・?????」

 

 

 叫んでいる途中で声がうまく出せなくなった自分に疑問を感じながら、ベルゼルは死んだ。殺された。

 気づかぬうちに間合いに入られ、首をはね飛ばされながら空中浮遊中に息絶えていた。

 

 

「うるさいと言ったはずだが聞こえなかったか? ハエ男。

 ふん、最後まで私を不快にさせるぐらいしか役に立たないムシケラでしかない奴だったな・・・ちっ! 気持ちの悪い・・・。ああいうゴミをのさばらせているから人も大地も汚れる。とっとと皆殺しにして血祭りに上げてやれば良いものを。

 ーーまぁよい。これでようやく口実が手に入ると思えば悪いことばかりではないのだからーー」

 

「人に害なすことしか出来ぬ害虫どもを根絶やしにして駆除することこそ勇者の使命・・・だったな、確か。

 それを果たすという口実がようやく手に入ったのだ。存分に使い、思う存分悦しもうではないか。合法的に殺戮を実行することが出来る、最高で最低なクソッタレ過ぎる戦争の始まりというわけだ。楽しみだな。ああ、悦しみだ・・・。

 いったい、どんな魔族を切り殺せるのかと思うとワクワクして心の震えが止まらない。父上さまはいい時代に殺されてくれたものだよ、本当に・・・くくく」

 

 

「さぁ、魔族狩りの始まりだ! 殺しに来い! 殺してやるから! 殺し尽くしてやるから!

 私を殺しにきた魔族を殺して殺して殺しまくって、私の方からも魔族を殺して殺して殺しまくりに行ってやろう!

 楽しいよなぁ? 最高に最低だよなぁ? だってお前ら魔族だもんなぁ? 殺すの大好きだもんなぁ? だったら殺したり殺されたりするのも大好きでなきゃおかしいもんなぁ~?

 お前だってそう思うだろう? さっきから使い魔つかって盗み聞きしている竜魔王さまとやらよぅ!?」

『!?』

「い~んだぜ~? 別にいま挑発に乗ってくれなくたって? どうせお前魔族の都とやらにいるんだろう? そこに行かなきゃ魔族を絶滅させられないんだろぅ? だったらいいよ、こなくても。私の方から行ってやるからノンビリ待ってろ、私との戦争を楽しみにしながらさぁ」

『・・・・・・』

「きっと楽しいんだろうなぁ~、すべての魔族に命狙われながら旅する勇者らしい戦争って言うのはさぁ~。正義は勝つのお題目で悪人やら悪の魔道師やらぶち殺して回るのは楽しいんだろうな~きっと!」

『・・・・・・狂人め!』

「ありがとう! 最高の誉め言葉だ! 勇者にとっては最高の誉め言葉だった! 心から礼を言う! ありがとうと!

 そうとも! 狂っているのさ勇者なんて化け物は! 生まれた時からずぅっとな!

 なにが正義だ!討伐だ! 殺しを依頼されて請け負う殺し屋風情が偉そうな口抜かすな戯けめが! 殺すことしか脳がないなら殺してさえいればいい!

 魔族は人類の敵で悪だから殺しちゃえばいいじゃない! 目の前に魔族がいたなら殺しちゃえばいいじゃない! 気に入った魔族だけ生かすんだったら『俺こそ正義だ!』と断言しちゃえばいいじゃない! こんなキチガイ独裁者は狂人名乗っておけばいいじゃない!

 なぁ! お前もそう思ったからそう言ったんだよなぁ!? そうだろう竜魔王さまさぁ!? だから私は礼を言ったんだよ! 『賛成してくれてありがとう』ってな!

 なんか文句あるか!? あるなら言ってみろ。聞くだけ聞いてやるよ、殺すけどな」

『自惚れも大概せよ人間! 貴様如き魔王さまが蘇るのを待つまでもない! 私が直々に引導を渡してやるから首を洗って待っていrーーーーーー』

 

 ブシュウッ!!

 

「ああ、スマン。話し終わるまで待ってやるつもりだったのだが、つい手が滑ってしまった。どうもイカンな私の腕は。魔族を見つけると、特に理由もなく条件反射で殺しにかかってしまう。街にでる前に押さえる術でも探しておくとするか」

 

 

 ・・・斯くして勇者の旅が始まる下地が整えられた。狂った黒い勇者の伝説はここから始まる。

 彼女が行く道の先に待つのは光か闇か、あるいは死か絶望か。

 それを知る者はまだ誰もいない。

 

 

 只一つだけ確かなこととして、彼女の行く道の後ろには常に、無数の死体と流れ出した赤い血で塗装された破壊の跡が残るだろうという確定された未来のみ。

 

 殺戮と破壊による地獄の炎と真っ黒な返り血で黒く染め上げられた、歴史に残らぬ勇者の伝説。歴史に残せぬ、残すわけには行かない勇者一族最大の汚点たる少女。

 

 彼女の行く道に災いあれ。

 それを彼女は心より望むであろうから・・・・・・

 

 

 

おまけ『この後のバルフレアとエクス姫』

 

「・・・お前は任務を放り出して、こんなところで何の遊びに耽っているのだ・・・?」

「ああ、エクスさま! 丁度良いところに! 早く私にパンツを履かせてください!」

「・・・は?」

「いえ、そのあのぉ・・・・・・話せば長くなるので割愛しちゃいますけども・・・とにかく!

 このままだと私、自分でパンツ脱いだ結果として冷えたお尻が風邪引いちゃって恥ずかしいんです! 助けてください!」

「・・・・・・・・・」

「・・・あ、あれ? エクスさま何をなさいま・・・・・・きゃーーーーーっ!? ちょっと、そんなエクスさま止めて! 私はこれでも年頃乙女な凛々しい少女騎士なんです!

 年下お姫様騎士にオケツ丸出し状態で小脇に抱えられてお尻叩かれるだなんて恥辱には耐えられません! 死にます! 恥ずか死んじゃいます! だからお願い止めて! 

 いやだいやだ、こんなのイヤだ! こんな敗け方してお仕置きされる美人女騎士になるだなんて死んでもイヤ! 絶対イヤ! 絶対に・・・絶対に・・・絶対に・・・・・・・・・

 あ、あ、もうダメ。ダメなの・・・手を振り上げちゃダメなの! 振り下ろしちゃダメなの!

 い、い、い、イヤーーーーーーーーーーっ!!!!!!」

 

 

 

 ぱちーーーーーーーーーーーーーーっっん!!!!!

 

 

注:この後バルフレアはお尻を氷で冷やして治療してもらいましたとさ。


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