なので見るのも書くのも問題にならないアホ話を更新です。
最近、『試作品集』ばっかの更新で申し訳ございません。
…状況が成させた業だと普通の連載作品も思いついてないのが厄介です…。
――そこは今、ピンク色の泡に包まれた百合色の空間へと染まり尽くそうとしていた。
『へぇ~? あなた“アク”ってなのねぇ』
『は、はい・・・』
『それじゃあいい、アク? 私の事はルナ姉様と呼びなさい』
『せ、聖女様にそんな呼び方をして良いんでしょうか・・・・・・』
『私が良いって言ってるんだから、い~いの! 私が法なの!
――それに、こうやって裸の付き合いを済ませた仲でしょうが♡
ウフフ♪ ほらほら~♡』
『え!? わ、わぁぁぁッ!? だ、ダメですそんなところー!?』
ヤホーの町にある高級宿ググレで、魔王が借りて聖女様が同質に宿泊しているスウィートルームの風呂場から、淫靡な少女の声と、幼気な幼女の悲鳴が更衣室を挟んだ居間にまで響いてきている、そんな夜。
・・・・・・果たして、聖光国と聖女の「聖」という言葉の意味を、この世界の住人たちが知っているのか否か疑問が湧かなくもない展開とは裏腹に、すぐ側の部屋で当の魔王は散文的極まりない作業に従事していた。
今日手に入れたアイテムの整理整頓である。
「ふぅ~む、なるほどなるほど。この世界だと、このシステムはこういう風に適合されてる訳ですか。なかなか興味深い、納得です」
私は片手に持った、アクさんに買ってあげた銀のティアラを弄びながらアイテム名を確認し、アイテムボックスに放り込んだり取り出したりした結果を見て、一人でうんうんと頷き続けておりました。
・・・隣の部屋から続いているお風呂場では現在、パーティーメンバーのアクさんと、新たに仲間となった(仲魔ではありません)自称聖女のルナさんのお二人がRPG恒例である『冒険の途中でお風呂イベント』を展開している真っ最中であり、イチゴがパニクっちゃうような会話内容が先程から響いてきていて気を紛らわせるのに困っているという次第。
オフラインならいざしらず、オンラインのネトゲで男性アバターが女性アバターの風呂場を覗いてしまえばセクハラコードに引っかかって即GNさんの出動です! アカウント停止されたくないですので絶対にやりません! いや、この異世界にGNいないですけど、ネトゲーマーは自分自身での自制が大事! これ基本!
・・・・・・というような理由により、話をアイテムに戻すとして。
「この世界の人たちが普通に着る衣服の類いは、必ずしも装備品と同じジャンルに分類される訳じゃないんですね~。これなら確かにアイテムを大量に持ち運ぶ事が可能です。ゲームの現実世界化、グッジョブです!」
私は一人で悦に入りながら、また一着近くにあった衣服をアイテムボックスに入れて、表示された名前を確認。
【絹の服】
と表示されている名前と、先程放り込んだ別の服とは映像が変わっていることを確認して、また一人で頷く次第でございました。
今さら言うまでもなく、MMORPGの世界で無限にアイテム持って行けるなんてことはありえません。ホームとか買う意味なくなっちゃいますし、やり繰りもまたRPGの醍醐味でもあることではありますし。
とは言え、そう言った綺麗事も流石に一人だけで異世界漂流してしまったせいで倉庫もホームも使いようがねぇプレイヤーにまでは当てはめようもなく、【ゴッターニ・サーガ】のゲームシステムが半端に通用するこの異世界ではアイテム管理のためのシステムはどうなっているのか少し疑問には思っていたのですけど、つい先程完全に回答を得られました。
どうも、この世界の人たちが普通に着る普段着は『装備アイテム』とは捉えられていないらしく、幾らアイテムボックスに放り込んでも『絹の服』としか表示されず個体名が一度も出ませんし、キャパが減る気配も見当たらない。
おそらくですが、装備品を全部取り外して全裸になって歩かせている裸族プレイヤーになろうとしても、男キャラ履いたまま脱げないパンツとか、女性キャラのブラジャーとパンツみたいな扱いになってんだろうなと推測してみた次第。
あれらは確かに脱げない分だけアイテムとしては扱えませんでしたからな~・・・脱がせたかったですけれども(注:女のキャラだけです)
一方で、絶対脱げない下着グラ扱いでしかないためか装備品としての効果は0。防御力1もありゃしません。逆に1でも上がるようだったら装備アイテムとして個体名とキャパを得てしまうみたいですけれども。
また、【絹の服】と表示されているアイテムは、飾り付けや形がどんなに違っていても同じように【絹の服】です。絹でできた服だから絹の服。
まぁ、ドラクエⅥに出てきてた『貴族の服』みたいなもんなんでしょう。該当範囲広すぎる名前でしたけれども、貴族たちの誰かが着るための服なら『貴族の服』です。嘘は吐いておりませんので大丈夫と言えば大丈夫。現にⅥは売れまくってヒットしたから大丈夫。
「あ~、いいお湯だった♪ ようやくサッパリしたわぁ」
・・・と、そうこうしている間にアクさんと聖女様のお二人がお風呂から上がってきたようですね。
折角です、丁度良いから他の気になってる部分についても確認しておくとしましょう。
「ルナさん、ちょっとよろしいですかね? 聞きたい事があるのですが」
「――あのねぇ! アンタなんかに呼びつけられる筋合いないんだけど! 呼び捨てにしなかったから処罰は勘弁してあげるから、もしこれで私のこと呼び捨てにでもしようものなら火あぶ・・・」
「では、三聖女の中で一番最初に魔王にやられた最弱の妹存在ルナ・エレガントさん。聞きたい事があるので、答えなさい。でなければ帰れッ!!」
「なんで最初の時より内容酷くなってんのよ!? って言うか、最後の一言ヒドすぎるわよ! 折角あなたを追って来た少女に言う言葉なのそれはぁ!?」
強気な割に打たれ弱い聖女様から涙目で言われてしまいましたが、知りません。苦情受け付けの方は国連直轄の特務機関受付にどーぞです。
「まぁ、そんな些細なことは置いとくとしまして早く答えなさい。天使とやらについて知りたいのです」
「・・・あんた、識天使様を調べて何をするつもり・・・? 神都で何か悪事を働こうとしているなら許さないわよ」
「まさか、悪事だなんてとんでもない。ただちょっと―――第六天魔王らしく、趣味の焼き討ちとか皆殺しとかして、ドクロの杯でカンパーイ♪とかする茶会の場所に使わせてもらおうと思ってるだけで・・・」
「ギャ―――ッ!? 魔王が! 人の世を滅ぼして地獄に変えようとする邪悪の権化の魔王が復活して私の目の前に顕現してるーっ!?」
許さないと言われたので、ちょっとした茶目っ気を出したイタズラしただけで朝過剰反応されてしまう第六天魔王様。火炙りよりも焼き討ちの方が恐ろしいことのようです。
その内、ジェームズ・モリアーティのネタも出してみましょう。なんか反応面白そうでしたので♪
「そ、そのー・・・ルナ姉様。魔王様はその辺りの事情に詳しくないんです。だから純粋に知りたいと思われているだけで、本当に悪気はない方なんです。・・・ただお口がたまにちょっと悪くなりすぎるだけですから、良かったらお話ししてあげて下さい・・・」
「・・・うう・・・っ、ほんっとアクは良い子なのねぇ・・・。こんな変態魔王悪魔とは大違いだわ! この極悪人!!」
年下の幼女に縋り付くようにして立ち上がり、目元を拭っている国家主権者の聖女様から言われると・・・・・・なんか変な癖が付きそうですな。病みつきになってしまいそうなので止めて下さいよその表情。
私って昔から、好きな子も嫌いな子もイジメたことありませんけど、ギャルゲーの弄られヒロイン系のキャラやドロンジョ様系の悪女キャラがヒドい目に会わされるの見るのが大好きだったHENTAI紳士なんですからさぁ~。
「――いいわ。アクに免じて特別に教えてあげる」
そう前置きして始まった、この世界版天使にまつわるお話。
それらは一番最初にアクさんから聞いた話と大差ない部分もありましたが、知らなかった話とか、今まであまり知らなかった部分とかも存在してもおりました。
「それで確か、悪魔王グレなんちゃらを封印したことで信仰されるようになったんでしたよね? その天使様たちは。その後どうなったんです?」
「智天使様だったら、悪魔王グレオールを封印した後に力尽きて消滅してしまったわ」
――いきなり邪悪なる者に挑んだ聖なる存在の方が死にやがりました! しかも三対一で挑んで封印するのが精一杯で一人死ぬ展開です! どんだけ力の差あったんでしょうかね・・・コレ系の前日談に登場する選ばれし者と太古の魔王の力関係って・・・。
「でも聖光国には、まだ座天使様と識天使様がいて人々を導いて下さっているの」
「なるほど・・・智天使の方は分かりました。では残るお二人、座天使さんと識天使さんは今どちらに?」
「さぁ? どっちも姿を見せなくなって久しいものだから――」
「どっちも、この国から既にいなくなっていらっしゃった!?」
「いや、いるわよまだ!? 姿を見せてないだけだからね本当に!!」
相手からの返答が意外すぎて、思ったことを率直に言ってしまってヒドく聖女様を慌てまくらせてしまう私!
ルナさんはそう言いますけど、いなくなってるでしょう!? それ絶対に間違いなく!
大分前には元気な姿を見せてくれてたけど、もう長い間姿を見てないな~ってそれ、老人の孤独死の定番展開ですからな!? 探しに行ってあげなさいよ老人宅へ! 一人きりで死んでいって可哀想でしょう!? 崇める前に老い先短い老人を少しは労ることを覚えろぉ!
「いるもん! まだいてくれてるもん絶対に!! ね、願いの祠ってところにある石像の正体が座天使様っていう不心得者がいるくらいだから絶対いてくれるもん!」
「・・・おぉう・・・」
会心のカウンター攻撃を食らわされました!
ナベ次郎は心に大ダメージを負わされました!!
・・・・・・いや本当にね・・・思わぬところで過去の古傷を思い出させられて大ダメージを受けさせられちゃう時もね・・・あるんですよね本当に・・・。
ま、まさかあの『ついカッとなって飛び膝蹴り叩き込んで顔面半分ぶっ壊して殺してしまった喋る石像さん』が座天使だった可能性があったとは!!
「もちろん間違ってるけどね! 本物の識天使様が来るのが待ち遠しすぎるからって偽物にすがっちゃう、そんな不心得者に神罰を下しに来てくれるに違いないんだから!!」
うん、ごめんルナさん。多分それない。神罰下しに来ないですわ絶対に。
・・・だって『ついカッとなって』で天使殺しちゃった今時のキレる若者エルフが、未だに神罰下ってないんですもの・・・。
ブラッドレイ大総統じゃないですけど、『あと何人、いや何千人の天使たちを殺せば下しに来るのだ?』とか、そんな主張も今の私が言えば説得力を持ててしまう・・・・・・マジでやばい立場に知らない内に立っちまうことしでかしてた私。
知らないって怖いですなー本当に。はっはっは・・・・・・はぁ。
・・・・・・そんな風にして罪悪感から、ちょっとだけブルーになっていた気持ちになっていたせいもあったかも知れません。
私はついつい話を逸らしたくて、聖女ルナさんの続く話である――『今の聖光国を支える智天使の教え』とやらを聞いた瞬間、“つい”思わず飛びついてしまったという次第でして――人類は何も学ばな~い、後悔して罪悪感に苦しんだぐらいで変われりゃ苦労しな~い・・・・・・
「そ、それにたとえ姿をお見せにならなくなっても、智天使様はありがたい教えを残して下さってるわ!」
「天使の・・・教え?」
「ええ、そうよ! その教えを信じて実践し続けてる限り、この国の平和が脅かされるなんてことはありえないんだから!!」
「ほう? 興味ありますね、そのお話。詳しく聞かせて頂きたい」
まぁ、要するに気分紛らわすために誤魔化したかっただけなんですけれども。
誰だってあるでしょう? クサクサした気分になってる時に、PK行為とかチート改造してアイテムの数増やしたりとか、不正行為とされること働いて「誰にも迷惑かけてないんだから別にいいじゃん」とかの頭悪い言い訳することでスッキリしたい気分になる時とかってさ。アレと同じですよ多分きっとそう。・・・そういう事にしておきましょう精神衛生の安定のために・・・。
「あら、魔王のくせに智天使様の教えを請いたくなったみたいね。殊勝じゃないの、いいわ、教えてあげる。智天使様のありがた~い教えっていうのはねぇ・・・」
自分好みの話になったことから、少しだけ元気な笑顔と得意面を取り戻し始めたらしいルナさんにより、ありがた~い智天使様の教えを知るためのセミナーというか、よくある自己啓発お説教みたいな話が始まるのでした。
曰く、
『努力し、自らの力を高め、困難に打ち勝つ。
努力する者には天使が微笑み、大きな力と加護を与える―――』
大雑把に言えば、この程度のもの。言ってる内容自体はそれほどおかしくない・・・・・・そのはずだったのですが。
「――ほうほう。努力する者には力と加護を与える、ねぇ・・・?」
私の目の奥がピカーンと光ったのを自分自身で強く自覚させられて――より正確には私の【厨二ハート】にビビッとくるフレーズが混じってたことにより、現実逃避したかったせいもあって私の中に封印されていた【魔王キャラ】が黒歴史と共に復活しかかってきてしまってェェェ・・・!! 押さえろ! 押さえるのです!! 私の右腕でも左腕でもなんでもいいから押さえつけるのです! まだ早い! 早いのです!
この前厨二再発して後悔してから短時間しか経ってないから、蘇るのもう少しだけでも後にして下さーい!?
「つまり、努力を格差と呼ぶ場合には、人も地域も格差があって当然。努力によって変えられるという事よ。私は常に努力してきたから聖女に選ばれることができたんだからね!」
「ぼ、僕、知ってます・・・聖女様は、孤児院から才能を見出されたって・・・」
「・・・・・・昔の話よ」
見るとルナさんは、アクさんが途中から挟んできた言葉に対しては少しだけ気落ちしたような表情を見せながらも、言葉の内容自体は否定しておらず、自分自身は自力で這い上がってきたことにより智天使の教えにより傾倒するようになったようで・・・・・・ぐぉぉぉっ!?
い、いけません! 気を紛らわすために別のものを考えようとしたら余計に厨二が! 厨二病の魔王心が刺激されて、これ以上は抑えきれなくなりかかってきてしまい―――我慢するの止めることにしましたわ。現代日本人は老いも若きも我慢し続けるのは慣れてない。
「――なんだそれは。なんなのだ。何故そんなにも小賢しい教えを信じられる?」
「なっ!? なによ! アンタ智天使様の教えにケチつける気なの!? だったら私が許さないわよ!」
聖女さんが牙を剥いてきましたが―――それこそ私の望む所! 漢の王道展開とは、そうあるべき代物です!!(誤魔化しのため深夜テンションになってる自分を否定はしません)
「そうだ。解っておるではないか・・・これが我だ。我に天使の加護など必要ない。
努力すれば加護が与えられる? 格差などあって当たり前? 何故そんなに小賢しい?
弱いから、つまらぬから、尤もらしい理屈を掘り起こし、人道家で優しい人間だとでも思われたいのか?
理屈臭く、努力すれば努力さえすればと、呆れて我はものも言えぬわ。白けるわ!!」
注:言えない割には「言いまくってるじゃん」とかの理屈臭いツッコミは冷泉様に失礼なので止めましょう。冷泉様は厨二病患者の神様です、ナ~ム~。
「なにがよ!? 智天使様の教えのどこが理屈臭いって言う気なの!? シンプルかつ強烈な教えで、人として当たり前の考え方じゃないの!!」
「フン! 阿呆か貴様。これをつまらぬと思うなら、それはそやつがつまらんのだ。能なし共が!
熊を素手で撲殺できる膂力もない分際で、際物めいた一芸さえあれば山をも崩せると迷妄に耽りおって。
己の矮小さを正当化するために、みっともなく天使の教えとやらで誤魔化しておる・・・」
「出来ないわよそんなもん人間には!? どこのモンスターの所業よ!? 人間に可能な範囲で天使様の教えを否定しなさいよ本当に!!」
聖女さんはそう言いますが・・・・・・できます。少なくとも私は出来ます。ドラクエⅢの武闘家たちもレベル上がれば出来るようになります。伝説の武闘家も『鉄の爪』なしでは出来なかった偉業もレベル上がって強くなりさえすれば出来るようになるのです!!
・・・・・・と、智天使さんが封印だけで命落とした悪魔王さんの頭蓋を握り潰して殺した前科者エルフは心の中で自白しました。世の中ありえないことが普通に起こる不思議ワールドで一杯です。ファンタシー異世界だと特に。
「故に我が喚ばれ、この世界に生まれ落ちたのだ!
貴様らの如き小理屈をこねる輩が横溢するようなって以来、圧倒的というものがとんと見当たらなくなってしまったこの世界で天を握るために! 超深奥に・・・座に届く者となるために!!」
「――ッ!? 天・・・・・・座!?」
なぜだかルナさんが、その二つの単語を聞いた時だけモノすっごい過剰反応を返してきて唖然としていましたが・・・私にとってはただただ気持ちがいいだけの反応でしたので冷泉様ゴッコ続行♪
厨二病は偉人英雄系のキャラのセリフを他人に語って悦に入りたい小理屈好きなヤツばっかりです♡
・・・・・・そして、その結果として我はより未来にピンチを買い込む愚を犯してることに気付かない・・・。
偉人の名言をマネしたところで本人と同じこと出来るようになれる訳じゃないのに、他人の言葉を他人に対して偉そうに語りたがる人ほど、その事実に気づけない~・・・。
「絶望が足りぬ! 怒りが足りぬ! 力を欲する想いが純粋に雑魚なのよ!
力! ただ力! 特殊な理など何も要らん! 必要ないのだ白けるわ!!
我の宇宙は我だけの物であろうがよ!!!」
そこまで気持ちよく言い切った所で―――ふと気付きました。
・・・目の前の聖女様が顔面蒼白になって、過呼吸で心不全そうで、体震わせながらワナワナしていて「薬物でもやってんのか?」とか言われそうなレベルで体調悪すぎそうなバッドステータス状態になってたという現実に遅まきながら。
否、超遅まきながら私はようやく気がついて、心配になったので声をかけようとした、まさにその瞬間。
「ち、力・・・天・・・っ! 宇宙の・・・座ぁッ!?」
「あの~・・・ルナさん? 顔色悪いですけど大丈夫で―――」
「お、おおおお姉様ぁぁぁぁぁぁっ!!! 魔王が! 天使が復活して、ルシファーが堕天使にィィィィィィィッ!!!!」
なんか矛盾した並びの単語を大声で叫びながら部屋を出て行ってしまいました。最近の若い者はカッとなった時の行動がホントによく分かりません。私なんか振り返ってるとスゴく実感させられます。
まっ、それはともかくとして。
「あ~~・・・・・・気持ちえがったです~♪ これで今夜は快食して快眠できそうで何よりですねアクさん☆」
「魔王様・・・。魔王様は優しいときと意地悪なときがあって、時々ですけど外道になるときもありますよね・・・・・・」
「ハッハッハ。何を仰っているのですか、アクさん。私はいつだって優しいですよ? 甘くはないですが」
Byベアさん、とでも語尾つけたところで異世界人には理解できませんので省略です。異世界漂流者はネトゲの中に閉じ込められてもネトゲキャラで異世界に飛ばされても孤独なのです。
「それにまぁ、私は嘘は言ってませんからな。詭弁は言いましたけれども。
座天使の教えとやらを私が完全否定して、頭っから全く信じていないのは本当にホントですよ? それはマジです。
努力すれば報われて、生まれの格差なんてカンケーねぇんて大嘘にも程があると心の底から信じた上で要っていた言葉ですから、間違いないです。魔王様、嘘吐かない」
私はそう言って深く頷きながら、断言します。その心に嘘偽りは一切ございません。
何故ならば・・・・・・チート持ちの異世界転移者ですからな!!
存在そのものが不公平と不平等を体現してるにも関わらず平等論説くなんてありえねー! マジあり得ねぇーっすよ兄ちゃーん!って感じのレベルで詭弁過ぎますって絶対に!
人は公平だ、努力すれば強いヤツにも勝てるんだと、死んで生まれ変わっただけで超強くなれる才能持ってたヤツから理屈っぽく言われたら正しいこと言ってるように思わせてくれるだけのこと! 所詮は彼だって生まれながらの平等なんて信じちゃいません絶対に!
では何故、心の底から信じているように言えるのか!? ・・・その方が人気出て売れるからです。
本当の世の中とは、努力でも生まれでもなく、金手に入れたヤツが高い身分につけるモノなのですよ。それこそが真なる弱肉強食の理! 私がこの異世界で生きていくための正義なのです!!
・・・・・・そして、夜遅くに余談。
「・・・お風呂上がったばかりの寝間着姿で外走ったら風邪引いちゃった・・・・・・ハックション!!」
『『・・・・・・・・・』』
即日の内に家出先から出戻りしてきた、姉様とやらの権威が暴落したことだけ確定して―――明日に続く!(まる子ちゃん風)