試作品集   作:ひきがやもとまち

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色々あって、今まで思いついたけど書いてこなかったネタを書いてみたくなりましたため、偶然にも思い出したのを書いてみただけの作品です。続きとかまでは考えておりません。

原作は『超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!』―――です。
大分前に一話目を見たときに思いついてた内容を、だいぶ時間が過ぎてから形にしただけのものと思ってテキトーに見て頂けると助かります。


キチガイたちも異世界で余裕に生き抜けてるようですが何か?

 この世界の日本には、高校生とは思えない卓越した能力を持ち、世界に名を轟かせる7人の少年少女たちがいた。

 

 ――世界の数世紀先を行く頭脳を持ち、常に各国のエージェントに身柄を狙われる少女・・・【世界最高の発明家・大星林檎】

 

 ――刀一振りを手に、銃弾飛び交う紛争地帯を駆け抜ける英雄・・・【世界最高の剣豪・一条葵】

 

 ――その医術の前では寿命という概念は限りなく希薄な存在となる・・・【世界最高の医者・神崎桂音】

 

 ――地球上に流れる財の約三割に関わっている財界の魔王・・・【世界最高の実業家・真田勝人】

 

 ――透視・念力・空中浮遊、何でもこなすイリュージョニスト・・・【世界最高のマジシャン・プリンス暁】

 

 ――ずば抜けた諜報力を持ち猿飛佐助を先祖に持つ忍者の末裔・・・【世界最高のジャーナリスト・猿飛忍】

 

 そして・・・・・・日本初の首相公選選挙にて内閣総理大臣に就任した少年・・・【世界最高の政治家・御子神司】

 

 ――人々は能力への敬意と畏怖を込め、彼らを超人高校生と呼び讃えている・・・・・・。

 だが・・・・・・忘れてはならない。光あるところには、必ずや影が生まれるという現実を。

 

 輝かんばかりの超人高校生たちが放つ【光】を守るため、自らに影としての役割を任じて散っていった【世界で二番目の天才高校生たち】の存在を、光に目がくらんで闇を見たがらない人々の意識は認識しようせず、記憶している者は僅かしかいない・・・。

 

 

 ――世界の三世紀先を行く頭脳を持つが故に、林檎への対抗手段として用いられ敵対させられることのないよう優秀な秀才であり続けた【元同級生の秀才発明家】

 

 ――刀一本で銃弾飛び交う紛争地帯を駆け抜けた無双の英雄に怨みを抱き、戦って勝てぬ強者ではなく身内を傷つけようとする者たちを片付ける【英雄と同門の始末人】

 

 ――寿命を限りなく希薄にさせる医術を「不老不死の万能薬」と勘違いした愚か者たちの受け皿となり、桂音の治療を邪魔させなかった【裏社会では最高の闇医者】

 

 ――地球上の表側に流れる三割の富に関わっている魔王に追われ、社会の裏側へと逃げ込んできたロクデナシ共を管理する【裏社会の魔王】

 

 ――一部では世界最高以上になれると称されながらも「大勢の見ている前で失敗する度胸はないから」と場末の劇場で芸を披露するだけに留まり続けた【世界最高の手品師】

 

 ――ずば抜けた諜報力で特ダネをものにし続け、人気以上に悪意と憎悪と殺意を一身に集めていたジャーナリストの背中を追いかけ背中を守った【風魔小太郎を先祖に持つSP】

 

 そして――御子神政権の影を担っていたと呼ばれ、汚職や不正を犯した政敵たちを処罰する際には必ず断罪役を買って出ていたとされる【政権内では嫌われ者の少年官僚】

 

 

 ――彼らは全員、世界最高という栄誉を得られなかった者たちばかりであったが、それでも彼らが光を守る影として、それぞれのやり方で貢献していたことは誰にも知られぬ事実であり・・・・・・一説によれば。

 

 ある日、突然にフライト中にエンジントラブルから行方を絶ち、未だに破片すら発見できていない飛行機の上客として『7人の世界最高たち』が乗っていたと噂されながらも、その全員が今なお地球上で健在であるという事実からゴシップだと片付けられた飛行機墜落事故の時。

 

 超人高校生たちの身代わりとして『彼ら本人である』と身分を偽り、飛行機に搭乗していたのは彼らだったのではないかと噂する者もいるにはいる。

 だが、その噂が噂の域を出ることはなく、そのまま人々の記憶からも忘れ去れることとなり。

 

 結局、『世界で二番目の高校生たち』の地球における人生は『世界最高たちの影に隠れたまま』ヒッソリと永久に終わりを告げることとなる―――。

 

 

 その結果。

 ・・・・・・彼らの物語は、日本から遠く・・・遠く離れた場所の運命を変えるための『主役たち』として紡ぎ直され始める・・・・・・。

 

 

 

 

「―――で? ここ、ドコ? あと、貴方たち誰? 説明か自己紹介を希望しま~す」

 

 気怠げな態度で地面に直接あぐらをかいて座り込み、黒スーツ姿の少年が偉そうなのか卑屈そうなのか今一「何考えてるのかよく分からない」と評判の日本人らしい言い方でもって“周囲を囲んで座っている一同”に挙手しながら提案した。

 

 場所は森の中。すぐ近くに墜落してグチャグチャに壊れまくった“自分たちの乗ってきた飛行機”がガラクタ化して煙を上げたまま放置されているものの、壊れすぎてるせいで逆に爆発の危険性はなし。

 むしろ乗ってた自分たちが生きてるいのは奇跡と言うより、何者かの計画でなければ有り得ないという結論にアッサリ達してしまえる程で、なら慌てて離れなくても安全だろうと割り切って対策会議の方を先に開催することにしたという次第である。

 

「あ~・・・じゃあ、まずは言い出しっぺの私からさせてもらいますねー。

 私の名前は、夜斗神衛。先日に有効票の過半を獲得して再選決まった御子神総理の主席秘書官やってる者でーす。どうか皆さん、次の選挙では御子神候補をよろしくお願いいたしま~す」

 

 ――いや、いきなり選挙活動はじめられても・・・・・・その場にいる本人以外の誰もがそう思ったであろうが口に出しては誰も言わず、現代日本人らしく政治家の問題発言はなかったことにして先を進め、代わって立ち上がったのは古風な着流し姿をして一本の棒を持ったままの長身美少女。

 

「其れがしの名は、二条青葉。見ての通り古流剣術を教える道場で跡継ぎ娘をしていた。女であっても道場主を継げるようになった男女同権運動には比較的賛同しておる。

 あと、この喋り方は家の躾けで学ばされただけであって、遠戚にあたる巨乳侍ほどメンヘラってはいないので安心してほしい。アレはイイ女の体付きをしているのだが、どうにも男との付き合いがなさ過ぎてなぁ~・・・」

 

 ――どういう自己紹介だ!?と、その場にいる本人以外の誰もがそう思ったであろうが口に出しては誰も何も言わず、現代日本人らしく「話してる相手にとっては重要なことなんだろう」と空気読んで無視して先へと進め、次に立ち上がったのは眼鏡をかけてオドオドした感じの女の子。

 

「あ、あの・・・虚橋落葉、って言います・・・。い、一応ですけど留学先のま、マサチューセッツ工科大学、で飛び級しては、発明品の特許とか少しだけですけど持って・・・ます・・・。

 しゅ、しゅしゅ、趣味は一人だけで本を読むことで、すす、好きなものは私に何も言ってこないお魚さんで、すすす、好きなことは私と林檎ちゃん、を虐めてた人たちに仕返しする妄想と、仕返しするときに使う拷問マシーンをかか、開発することと、あとそそ、それから・・・」

 

 ――怖ぇよ!? あと名前の縁起悪すぎじゃねッ!?と、その場にいて必死そうに小声でしゃべっている本人以外の誰もが思ったが、現代日本人らしく危ない人には関わらず、他人のつらい過去には深く追求せずのマナーを守って次の人に行き、代わって立ち上がったのは見た感じ普通の女の子。

 

「えっと・・・前略。切裂吃音です。女子高生でありながら闇医者でもあるので職業マナーに則り偽名です。本名も偽名も単なる記号なのでどーでもいいです。あと、対人関係とか面倒くさくて嫌いだったのでコミュ症です。以上」

 

 ――テキトーすぎる自己紹介にも程があるだろオイ!?と、その場にいる本人以外の誰もが思ったであろうが、しゃべり終わった途端に「もう話しかけてくんなオーラ」を発散させまくっているコミュ障の人間に、これ以上求めたところで無駄そうなので次に行くことにして、残るは三人。

 どこかしら冴えない中年サラリーマンにさえ見えてしまう、疲れた感じで老け顔の少年と、古風なセーラー服着た凜々しい感じのショートヘア美少女の二人組が一人を残して先に立ち上がった。

 

「えーと、次は僕が先でいいのかな? どうも皆さん、初めまして。マジック赤坂です。売れないし人気もない、時代遅れの手品師やってます。挨拶代わりにシルクハットから鳩だしますね、ハイ。・・・どうです? 古くさいでしょう? 僕ってこういう定番しかやる度胸ない臆病者なんですよね、あははは・・・・・・以上です」

「・・・風魔小太郎が血を引く子孫、風魔紙乃。任務であれば誰にでも化けるため、誰の皮も被っていないときには自分で言いたいことがないのだ。許されよ」

 

 ――自己主張しなさそうに見えて濃い連中だなぁ~と、その場にいる本人たち以外の誰もが思ったが口に出しては誰も言わず、現代日本人らしく「自分は平凡だ」と言ってる奴らは平凡だということにしておいてやれという社交マナーを守って礼儀正しくガン無視して・・・・・・最後に残った一番関わり合いになりたくなさそうな見た目印象を持つ一人だけ。

 

「・・・ん? オレの番か? オレの名前は鮫田雅俊だが、下っ端の頃はマサって呼ばれてたから、そっちで呼んでくれて構わない。手下を一人も連れてきてねぇ今の状態で偉そうに組のトップな威厳張ってても見栄え悪ィだろうからな。ギャハハハハッ!!」

 

 ――ハイ、堅気じゃない職業の人発言来ましたわ~誰か通報してー!とその場にいる本人と一部以外の誰もが思ったが口に出しては誰も言わず、危ない事には近づかない関わらない見て見ぬフリが基本の日本人らしいマナーを皆仲良く守ったところで・・・・・・自己紹介終わり。

 

 

 

「では、全員の自己紹介が終わったところで今後の方針について語り合いたいと思うのですが・・・・・・何分にも、ここにいる全員が独自のルートで察知した情報からそれぞれの事情と理由で別人になりすまして会ったばかりの他人たち同士。

 これで互いを信用して腹割って話し合えとかキチガイの言い分ですので、一先ずは現地の人にお話をお伺いしてから本格的な話し合いを始めたいと思うのですが、よろしいですかね~?

 ・・・うん、賛成皆無で反対意見も皆無な日本の高校生らしい棄権多数により提案は可決されたということになるのが多数決ですので、現地の人に話を聞いてみたいと思いま~す。

 そこの木の陰から延々と私たちの方を見つめ続けているお嬢さ~ん。無駄な抵抗はやめて大人しく出てきて下さーい。僕たち怪しいだけで悪い人間じゃありませ~ん」

 

 ドンガラガッシャーン! がっこっこ~ん!!!

 ・・・・・・なんだか物凄い勢いで転んでしまった挙げ句に、森の中で轟くとは思えないような変な衝突音ばかりが響いてきてたんだけど・・・・・・大丈夫だろうか?

 流石にここまで驚かせてしまうとは予想だにしていなかったため心配になり、皆の代表として仕切り役を買って出ていた夜兎神が音の聞こえてきた方へと歩み寄っていくと、

 

「すいませんねぇ、大丈夫でしたか~? 生きてますか? ・・・・・・って、あれ?」

 

 一瞬だけ目を疑い、かるく瞬きを何度かパチクリしてから瞼をこすり、自分はコンタクトしてなかったよなーとか思いながらも一応はしてないこと確認してから、もう一度だけ前を見つめて“ソレ”を見る。

 

 ヒョコ、ヒョコと。左右に揺れる、人の頭の上に乗った・・・・・・獣耳。

 

 

「人間じゃ・・・・・・ない?」

『・・・・・・(ブルブルブルブル・・・)』

 

 

 怯えたように自分のことを見上げてきている、幼い感じの獣耳少女と、色白の肌で胸がアメリカ人女優並みのビッグサイズを誇っている金髪の・・・・・・耳が人間とは思えないほど長すぎる美少女の二人組がそこには現れていて、震えながら夜兎神の対応を待っている。

 

「・・・・・・ふむ?」

 

 腕を組んで空を見上げ、悩みながら夜兎神は思った。

 ――御子神総理もこんな眼をして、自分の父親の罪と向き合っていたなぁ~とか、そんな過去の思い出を基にした感想を。

 

 

 

 

 

【今作版のキャラ設定】(と言っても数多いので今回は一人だけ。次があったら書く)

 

『夜兎神衛(やとがみ・まもる)』

 今作版のメイン主人公にして、原作主人公である御子神司の主席秘書官を務めていた少年。

 ある意味では司の良き理解者であり、彼を支える重要なブレーンだった人物という設定の持ち主でもある。

 御子神の本質が民主主義者ではなく、父親への罪悪感と『父親のようになってはいけない、理想の政治家にならなくてはいけない』という自分の中にも不正を犯していた父親と同じものがあるのだという邪な思いを否定するために真逆の道を行きたがっている、ソレが一番の動機だという事を最初から見抜いていたが、『動機自体は何でもいい。政治は結果だ』という彼自身の判断基準に基づいて御子神を新たな主として仰ぎ、その政策と政権の地歩固めに功績を挙げる。

 

 原理・原則(プリンシブル)を貫き通す政治家を志しており、そう在ろうと努力もしている。目指している目標が白州次郎なのもあって、普段の言動と攻撃的になったときの激しさとは別人のレベルで激変する性格の持ち主。

 

 原作ストーリーとの相違点は、今作版のリーダー格で在る彼が、原理・原則(プリンシブル)の方を優先して、御子神の様なトラウマになるほどの過去体験をしていない事から自己犠牲精神を貴んではいない性格の持ち主であることが理由になって分岐してゆく。

 

 大雑把な変化の機転と、理由は以下の通り↓

 

『宗教的権威を背景として起こった民主主義などありえない。宗教と権力の切り離しは民主主義おける絶対原則である』

 

『たった一人の為政者に頼って、人柱にするようでは民主主義の自己否定だ。民衆の自主性によらない民主主義など民主主義の名に値しない』

 

『自分たちで造り出す技術がなくとも“そういう物が在った”という事実と、ソレによって引き起こされた被害さえあれば、人は己の野心を実現するため再現しようとせずにはいられなくなる生き物だ。一度でも生み出してしまった物が二度と消えてくれる事はない』

 

 

 ・・・・・・等の理由によって原作イベントに改変をもたらしてくる存在。

 また、御子神と異なり過去体験がないせいで民衆というものに対して本質的にあまり信用しておらず、権力者が腐っているからといって民衆の側が綺麗という訳では決してないという現実も弁えており、民衆に対して夢を見る事が一切ない。

 

 とは言え、綺麗事や理想論を否定している訳ではなく、現実的に実現していくための具体的な方法論を尊ぶタイプで、『気持ちが綺麗なだけで結果がダメだった奴よりかは、汚い動機であろうと民衆に寄与した者の方が結果的には正しい』とする、「政治の評価は結果で決めるべき」という原理・原則に忠実すぎる人物。

 

 民主主義キチガイであり、徹底して必要以上のことをやり続けるのが政治家であると考えている、意外なほどの熱血漢タイプだったりする主人公です。

 

 

 

他のキャラ設定を振り仮名だけ↓

 

『二条青葉(にじょう・あおば))』

 

『虚橋落葉(うつほし・おちば)』

 *虚ろな目をして橋から落ちる人。要するに入水自殺。

 

『切裂吃音(きりさき・きつおん)』

 

『マジック赤坂(まじっく・あかさか)』

 

『風魔紙乃(ふうま・しの)』

 

『鮫田雅俊(さめだ・まさとし)』

 通称マサ


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