ドラクエⅢと言霊のコラボ二次創作となっております。
いつものことではございますけど、原作ファンの方はお控えになった方がよい内容となってますのでお気をつけて。
目が覚めると、森の中にいました。
穏やかな木漏れ日が差し込み、近くから滝の音が聞こえてくる場所。
・・・ただし、その景色には一切まったく全然見覚えがありません。しかも気付いたら性別まで変わってるみたいですし・・・。
私、男だから「私」なんて一人称じゃないですよ・・・。まぁ、なっちまってる今から言っても説得力0でしょうけれども。
明らかな改ざんの状況証拠を腐るほど見いだしてから、私は立ち上がって光の差し込んでくる森の先に向かって歩いて行きました。他に道が見当たりませんでしたからね。
森を一歩抜けると、そこはナイアガラじみた大滝でした。どういう地形環境だよ!?とツッコみたくなりましたけど。自分自身の体が既にしてまともな状態にないので今さらです。
構わず歩いて行って、滝へと続く崖の先っちょに立ったとき。
“セレニア・・・ セレニア・・・
私の声が聞こえますね・・・”
天空から声が降ってきました。
“私はすべてを司る者。
あなたはやがて真の勇者として私の前にあらわれることでしょう”
“しかし、その前にこの私に教えてほしいのです。
あなたがどういう人なのかを・・・”
「いや、すべてを司ってるなら自分で調べればいいじゃないですか。子供向けの神様パラドックスじゃあるまいし、それぐらいなら出来るでしょ普通に」
昔よくあった、『何でも出来るはずの神様が自分で持ち上げられない岩を創り出せるのかどうか』系のどうでもいい子供だましな屁理屈やり取り。あれと比べりゃ出身に始まって現在までの経歴、揺り籠から墓場まで調べようと思えば調べられないほどのものではない今の時代なら専門家雇うだけで為人ぐらい簡単にわかりそうなものですからね。
“・・・・・・さあ、私の質問に正直に、そして素直に答えるのです。よろしいですね?”
あ、なんか無視された。しかもわざわざ『素直に』って付け加えられてしまいましたよ。少し怒らせちゃいましたかね? 反省。
「まぁ、質問に答えるだけで良いのでしたらどうぞ。人格鑑定を占う100均の本でやったことありますし、問題はありません」
“・・・ではまず、あなたの真の名を教えてください”
「え。今の私の名前って偽名確定なんですか――ごめんなさい、今脳の片隅まで調べ直します少しだけ待っててください。直ぐ済ませますから」
微妙に怒りのオーラを感じさせられた私は慌てて記憶検索。――出ました。
本当の名前かどうか判りませんけど、●●●●さんです。・・・「さん」って自分で付けちゃってる時点で改ざんされてる記憶っぽいなぁ、この本名・・・。
“では、●●●●。私はこれからいくつか質問をします。
むずかしく考えず、素直な気持ちで答えてください。
そうすれば、私はあなたをさらに知ることになるでしょう”
「はぁ・・・。まあご自由にどぞ」
“さあ、はじめましょう。
あなたにとって人生とはたいくつなものですか?”
はい・いいえ
「・・・え!? 為人を詳しく知るための質問を「はい」か「いいえ」しか答えのない二者択一で行うんですか!?」
アイヒマン実験じゃあるまいし、それで判る為人ってどんななのか逆に興味がわいてきますけどね。どう考えても行き着く答えは両極端な極論しかありえそうにねぇ~。
“そうです。なぜなら私は最初に言ったはずです。
『むずかしく考えず、素直な気持ちで答えてください』・・・と。
そして、あなたは了承してから質問をはじめました。
互いの了解は取れています。問題はありません”
・・・なんだかなぁ~。
“――ええぃっ! とにかく難しく考えないで素直な気持ちで「はい」か「いいえ」のどちらかだけを答えてくれれば、それで良いのです!
それだけで私は、あなたがどんな人かより深く理解できるようになれるのです!
すべてを司る者ですから!”
「三段論法にもなってない気がするのは私だけなんでしょうかね・・・」
“いいからとっとと答えなさい! 次行きますよ次! 時間が押してるんですからまったくもう・・・ブツブツ”
なんだか中間管理職じみたこと言い出しちゃいましたね、この全てを司るお方。
ま、いいでしょう。二つしか答えを選ばせてくれないなら、ある意味ではスゴく楽です。
考えるだけ無駄な徒労で終わるだけですからね・・・。
なので、ここからは超スピード。
余計な感想を挟むことなく結果だけをお伝えしていく形式でいかせて頂きましょう。
“――コホン。では、あらためて。
あなたにとって人生とはたいくつなものですか?”
「いいえ」
“困っている人を見ると、つい助けてあげたくなりますか?”
「いいえ」
“海と山では、山の方が好きですか?”
「はい」
“なにか思いたったら、すぐにやってみるほうですか?”
「いいえ」
“ひとつのことをはじめると、まわりが見えなくなることがよくありますか?”
「はい」
“食事のとき、1番好きなものは最後までのこるように考えながら食べますか?”
「はい」
“世の中には楽しいことより悲しいことの方が多いと思いますか?”
「いいえ」
“はやく大人になりたい、あるいはなりたかったですか?”
「はい」
“夢を見続けていれば、いつかその夢が叶うと、そう思いますか?”
「いいえ」
“そうですか・・・これであなたのことが少しはわかりました。
では、これが最後の質問です”
「ええのう! ポニーちゃんの踊りはいつ見てもええのう!」
「くう! たまんねえぜっ! ピーピー!」
「ポ、ポ、ポニーちゃん・・・。
し、信じてもらえないかも知れませんが、ボ、ボク・・・あの子と結婚の約束してるんです。
で、でも・・・いつも不安で・・・あっ! そうだ!
あなた、ちょっと彼女に聞いてきてくれませんかっ。ボクのことをまだ好きかって。
おねがいしますよっ!」
「そ~れっ、ハッスル! ハッスル!
え? あたしになにか用なの? 結婚の約束?
ああ、そういえばそんなものをしたわね。
でも、あたしがスターになるずいぶん前のことだし・・・今さら言われてもねえ・・・。
あっ、そうだわ! あなた代わりに断っておいてよ。ねっ! お・ね・が・い・・・♡」
「ど、どうでしたか?
も、もしダメなんて言われたらボクはもう生きていけません・・・・・・。
彼女は約束通り、このボクと結婚してくれそうでしたか?」
「私は伝言を頼まれただけですので相手の言った言葉をそのまま伝えるだけです。そこに彼女の本心があるのか否かは別問題ですので、真実は勇気を振り絞って自分で問いただして頂くしかないことは先にお断りさせておいて頂きます。
・・・それで、彼女からの答えですが、『覚えてはいたけれど結婚する気は今はもうない。自分では言いにくいから私に代わりに言ってきてほしい』以上です」
「そ、そんな・・・ど、どうして・・・・・・あんなに固く誓い合ったのに・・・・・・・・・・・・」
“――私はすべてを司る者。
今あなたがどういう人なのか、わかったような気がします”
“セレニア、あなたは『エッチですね』。私にはわかります”
「いや、ちょっと待ちなさい。今なんか物凄い違和感と言いますか、模範解答を見たわけではないのですけど、明らかなる採点ミスがあったような気がしてならないんですけども・・・!」
“それは、今あなたがいきなりエッチと言われて顔を赤らめたことと関係があることでしょう。
それは自分でも薄々エッチであることに気付いているからなのです”
「名誉毀損で訴えますよ!? そして勝ちますよ!? ここまで事実無根の言いがかりを付けられたのは生まれて初めてだと思えるほどなのですがね・・・っ!?」
“フフフ・・・あなたは隠していますが、人一倍男の子が好きなはずです”
男だよ! 他の誰でもなく私自身が男ですよ! 今の肉体は違うみたいですけれども!
“ぼんやりしている時、ふと気がつくと好きな人のことを考えてしまっていた。
ノートの隅の方に、ふと気がつくと好きな人の名前を書いてしまっていた。
そして思わずニヤニヤしてしまう。そんなことが多いはずです”
キショイわ! 男が男にそれやってたら気持ち悪いだけだわ! 普通に変態でしょうがどう考えても!
“自分はもしかしてエッチなのではないか?
あなたは時々そう思いますが、この際はっきりと言いましょう。
あなたはエッチです! エッチなのです! それもかなりのエッチなのですよ!”
虎ですか私は!? 私は虎か!? 虎なのですか!?
“でも心配はいりません。
それは、それほどあなたが健康だと言うことなのですからね。・・・ククク・・・ザマーミロ”
うわっ、この全てを司る者さん、性格悪。
「・・・って言うか、中世っぽい世界観の風景なのになんで最後のエッチの件だけ、現代小学生みたいなノリだったんです・・・? どう見てもこの世界の全てと違和感ありすぎてて整合性取れてないじゃないですか・・・」
“・・・・・・と、これがあなたの性格です。
私はもうあなたを、より深く理解できましたので行って良し”
逃げた! 逃げやがりました! 最後の最後までワガママで自分勝手な方ですねこの人!
“さあ、そろそろ夜が明ける頃。
あなたも、この眠りから目覚めることでしょう”
“私はすべてを司る者。
いつの日か、あなたに会えることを楽しみに待っています・・・・・・。
「・・・別にいいですけど、一向宗並みに物凄い巧言令色を聞かされた挙げ句、夢オチから始まるんですか。私が真の勇者になってあなたに会いに行く最初の朝は・・・・・・」
――それはセレニアが16才になる誕生日のことであった。
「おきなさい。おきなさい、私のかわいいセレニアや」
「・・・すいません、あと五分だけでいいので寝かせておいてください。
あまりにも夢見が悪すぎて、機嫌良く起きれそうにないものですから・・・」
「王様に会いに行く大切な日に悪夢を見ちゃってたの!? 私のかわいいセレニアや!?」
つづく?
おまけ『今作版のセレニア設定』
ドラゴンクエストⅢの世界に、なんでだかよくわからない理由で勇者として転生させられたらしい主人公。
いつも通りの常識論で精霊ルビスに楯突いちゃったせいで、本来なら『いっぴきおおかみ』になるところを『セクシーギャル』に性格を変えられてしまった女の子勇者。
あまりにも外聞が悪すぎる性格にされてしまったけど、ステータスの上昇率ではダントツなので結果オーライと言えないこともない。
『セレニア・・・人は正直すぎてはいけないのですよ・・・』By精霊ルビス
ちなみに、【いっぴきおおかみ】だった場合の性格診断だとこう言われます。
“セレニア、あなたはかなり個人主義者のようです。
自分は自分、人は人という割り切りがはっきりしていて、人にクールな印象を与えます。
友達関係もベタベタとつきあわず、あるていど距離をおいてつきあってしまいます。
そのせいか、まわりの人にはどこか、つかみどころのない人と思われているかも知れません。
あなたは時々そんな自分をさみしいと思うでしょうが、さみしいのはみんな同じです。 人はみなさみしいのだと、あなたはいつかきっとそう悟ることでしょう。
そして涙を流しますが、そのあなたの涙を誰も見ることはありません。
なぜなら、あなたは根っからの【いっぴきおおかみ】だからです。
・・・・・・と、これがあなたの性格です”
ドラクエⅢの性格診断は結構当たると私は思ってます・・・・・・