脱線ばかりするIS   作:生カス

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ナデポってこれまでの積み重ねのフラグがあるから魅力的に見えるんだと思います(何言ってんだコイツ)

遅くなりましたが、誤字報告してくださった戦闘妖精 島風さん、黒のアリスさん。ありがとうございました~。


7話 でもナデポの展開は嫌いじゃないよ

--さーたん視点

 

本音さんに改造を頼んでから、カスタマイズの手伝いをしたりテスト運用をしたり、スマブラしたり、セシリアさんの情報を調べたり、そのはずがいつの間にかまとめサイトの

どうでもいい記事を見たり、スマブラしたりと、なんやかんやで幾数日、あっという間に2度目の月曜日を迎え、セシリアさんとの対決を迎えることとなった。そんな中、アリーナのピット内で、俺と織斑はその時をただ待っていた

 

「さーってそろそろだな、織斑…」

 

「ああ…きっと激しい戦いになるだろうな…」

 

「…なに、できることを精いっぱいやれば、それでいいさ…」

 

「晴明…!ああ!」

 

俺もこいつも、ISでの戦いは初めてだ。だというのに、コイツの目には迷いや、不安というものが一切なかった。そうだ、何も問題はないさ…全力で行けば、それでいい…

…ただ、問題があるとすれば…

 

「…ところで織斑…」

 

 

 

 

 

 

 

「お前ISは?」

 

「まだ来てねっす」

 

 

 

……ウソやん……

 

 

 

--閑話休題

 

 

 

 

「OK、いったん整理しよう。今、対決開始5分前、一番手は織斑、でもISが届いてない。OK?」

 

「OK」

 

「ウソだと言ってよ、ISこなかったらどう戦うんだよ?」

 

「な、生身で…」

 

「メロウリンクかお前は」

 

しまった忘れてた。コイツ勤勉なんだけど基本的にはアホだったんだ…

 

「…そういやお前、この1週間の間にISのこと色々聞いてたみたいだけど…何か収穫あった?」

 

「ああ、剣道が少し上達したよ」

 

「何故に?」

 

どうしてISのことを聞いたら剣道レベルが上がるんですかね…?数学が苦手な僕にはこの方程式は難しすぎますよ…

 

「いや、俺は普通にISのこと聞いたつもりだったんだ。そしたら箒が…」

 

「ああうん…いい、大体察したから…」

 

どうせどっかで話にずれが生じたんだろう。俺にはわかる。だってあそこで篠ノ之さんが気まずそうな表情で突っ立ってるから

 

「さ、佐丈君!織斑君!」

 

と、そうこうしているうちに、我らが山田先生がワタワタと走ってこちらに向かってきた。何がというわけでなくすごい揺れていた。ビデオカメラ持ってくればよかった。

 

「お前今すごくしょーもないこと考えてたろ?」

 

「それはスルーしてくれ織斑…で、どうしたんすか?」

 

「さ、佐丈君…その、織斑君のISがもうじき届くんですけれど、試合に間に合いそうもなくて…なので、先に佐丈君に出てもらうことになりそうで…えーとそれで」

 

「わかりましたから落ち着いて。…そうだ、ケータイで"羊たちの沈黙"と言う映画を見てみてください。きっと落ち着きますよ」

 

「あ、はい…えーとひつじたちの…」

 

「貴様ホントに性格悪いな…」

 

「あ、織斑先生」

 

そこにはもはや怒る気力もないと言った感じの織斑先生がいた。ていうかそういう表情になるってことは先生、この映画知ってるんすね…結構古い映画のはずなんだけど…

 

「話は聞いた。こっちに来い佐丈。お前のラファールは用意してある」

 

こうなることは織り込み済みってか。流石と言うかなんというか…織斑先生についていくと、そこには一部の装甲が取り外され、ノーマルよりも少しスッキリしたラファールがあった。武器も純正品のパイルバンカーとスモークグレネード数個だけ。完全にネタ機体である。

 

「…しかし、どういうつもりなんだ、このラファールは?随分といじくりまわしたようだが…まさかお前が…?」

 

「ああ、それは…」

 

「それは私がやりました~」

 

「ど、どうも…」

 

「うわ!?本音さん…と相川さん…」

 

いつの間にか俺の真後ろに2人がいた。ホンット神出鬼没だなあ本音さん…しかも何故相川さんまで…

 

「ほお、布仏を味方につけたか。なかなか強いカードを手に入れたな、お前も」

 

「え?そうなんすか?」

 

「ああ、ことカスタマイズに関しては、な…これは面白くなってきそうだ」

 

そう言って、織斑先生は不敵にほほ笑んだ。…いまいちピンとこないけれど、つまり本音さんは俺にとって勝利の女神になり得るらしい

 

「……」

 

「んえ?どしたの、さーたん?」

 

…ぜったいうそだぁ

 

「…あのさ、佐丈君。本当にやるの?」

 

先程まで黙っていた相川さんが、その沈黙を破り、不安そうな表情で俺にそう聞いてきた。本音さんあたりに聞いたのか、どうやら俺が何をするのか、知っているらしい

 

「本音さん、黙っててっつったのに…」

 

「ご、ごめ~ん…つい口が…」

 

「あ、あのさ、あんまり無茶しちゃだめだよ…か、勝てないのは仕方ないじゃん…相手は代表候補生なんだし…別にそこまで…」

 

「…へー」

 

もしかしなくても、心配してくれてんのか?優しい人だ。ほとんど無関係なはずの俺に、ここまで気を配るとは…

 

「…なにさ、へーって?」

 

「え、ああいや、その…」

 

やべ、聞こえてた。どうしよ…あ、そうだ…

 

「ねえ佐丈君?聞いて…え、ちょ…な、何すんのさ…」

 

今何をしているのか説明しよう。相川さんの頭を撫でている。以上

…ヤバイ、何故か昔近所にいた犬を思い出してやっちゃったけど、これ後でセクハラって訴えられないかな。大丈夫かな?

 

「あの………むぅ…」

 

しかし撫でても、相川さんはあまり抵抗せず、目を細めてなすがままにされていた。どうやら嫌がってはいない…よね?…だよね?

ちなみに昔頭を撫でた近所の犬には思いっきりかまれた。あれ以来犬が嫌いになった。

 

「…ま、せいぜいかっこつけるからさ…よかったら応援してってよ…文句はその後聞くからさ」

 

「……なにそれ…ズルイ…」

 

渋々と言った感じではあったけれど、どうやら納得はしてくれたらしい。俺は頭から手を放し、ラファールの方に向かって歩いた。

 

 

 

すると本音さんがビデオカメラをこっちに向けていた。

 

 

 

「…ちょっとお前さん。何を撮っとるとね?」

 

「ほ、本音…?」

 

「見ましたおりむー?ナデポですよナデポ。まさかさーたんがあんなラノベ主人公みたいなことするとは思わなかったよ」

 

「俺もだよのほほんさん…まさかあの年中ぼーっとした晴明がこんな…嬉しいなあ、ついにアイツにも春が…」

 

そう言いながら、ニヤニヤと俺たちの方を見る2人…なんだろう、死ぬほどウザイ…よく見るとあの織斑先生までにやけ面だ。

 

「な、何言ってんのさ…別にそんな、ねえ佐丈君?」

 

「ああ、別に…」

 

 

 

 

 

「近所の犬とおんなじ感じで撫でただけだぞ?」

 

 

 

 

パアンッ

 

 

 

--閑話休題

 

 

 

 

 

 

「…あら、随分遅かったですわね。まあ、逃げなかったことは褒めて差し上げ…どうしましたの?そのアザ?」

 

「…聞かないでいただけませんこと?」

 

 

やはり、女性に不用意なことをしてはいけないなと、身をもって知った。

 

 

--試合開始

 

 

「ふうん?ま、いいですわ。それより、最後のチャンスをあげますわよ?」

 

「と、言うと?」

 

「わたくしが一方的な勝利を得るのは自明の理。ですから、みじめな姿を晒したくなければ、今ここで謝ると言うなら、許してあげないこともなくってよ?」

 

「スイマッセーン」

 

「死になさい」

 

うん、鼻ほじりながら言われたらそりゃそうなるよな。ていうかこの人すっげえ分かりやすい性格してんなー

 

「…てうおお、めっちゃ撃ってくる怖い怖い怖い」

 

「ふん、ちょこまかと…せいぜい踊りなさい、このセシリア・オルコットとブルー・ティアーズが奏でるワルツで!」

 

「あんたそれ完全に悪役のセリフ…うわ何そのファンネルみたいなの…ウオオオ!」

 

「その減らず口がいつまで続くか、見ものですわね!」

 

 

…さあて、タイミングが重要だ。どうする?

 

 

 

 

 

--ちっふー視点

 

 

「して布仏。佐丈のやつはどんなカスタムを要求してきたんだ?」

 

試合開始から約3分。今のところオルコットのやつが押している。ここまでは予想通り。問題はこの後だ。何やら、佐丈はあのラファールに秘策を隠してるらしいが、まだそれを使う動きは見られない。一体何を企んでいるのか…

 

「ああ、それ俺も気になってた。晴明のやつ、どうしようとしてんだ?」

 

「ん~とね~…ギャンブルだよ」

 

「ギャンブル?」

 

「そう、ギャンブル。一回だけ使える奥の奥の手。あのラファールはそれだけに特化した仕様なんだ」

 

「…山田先生も聞いてたのですよね?どんな仕様でした?」

 

そう言って山田君の方を見ると、何やらげんなりした様子で机にうなだれていた。…ああ、見てしまったんだな、羊たちの沈黙…

 

「うう、気持ち悪いよう…ハッ!?あ、はい…ええと、佐丈君のラファールの仕様ですね。それが…シールドエネルギー、武器格納数などに使うエネルギーの大部分を、別の性能に分配してるんです。ですから、武器も量子化できませんし、なにより、装甲がとても薄いので、かなり危険な機体です」

 

「は、晴明のやつ…そんな危なっかしいこと…」

 

「…して、その分配した別の性能とは?」

 

「はい、それは…」

 

 

 

 

「瞬間加速です」

 

 

 

--セッシー視点

 

 

…おかしいですわね?なぜ、これだけ撃って反撃してこないんですの?

見たところ彼の機体はラファール…ならば射撃武器はそれなりに種類があるはず…なのに撃ってこないで、ずっとパイルバンカーを持ったまま…そして腰部分に装備されているのは恐らくスモークグレネード…ということは彼は…

 

スモークで目くらまし及びレーザー兵器の無力化をしてからの、パイルバンカーでの奇襲…恐らくそれが狙い…

 

 

 

 

…だとしたらなんと、浅はかな

 

 

 

 

(正直、がっかりですわ…)

 

その程度の対策、国家に選ばれたエリートがしないと思いまして?きた瞬間に、方角を特定して避けることくらい、わけないですわよ?

所詮彼も男…浅はかで、愚かで、情けない…

…あの男と、同じ…

 

「…いい距離になったね…」

 

突然、オープン回線から聞こえる彼の声、いい距離?どういうことですの?

 

「随分離れた」

 

離れた?…確かに、いつの間にか、お互いアリーナの両端に位置している。でもそれが一体…

 

 

「離れたほうが、視界に入っていいよな」

 

 

「!?」

 

突如背中に走った悪寒、しかしそれがした時にはすでに、はるか遠方で彼は、自分の周りにスモークを焚いていた。

 

(しまった!これではレーザーは…)

 

でも、どういうつもりですの?あそこからでは、彼の装備ではまともに攻撃なんか…

 

「正面から行くよ。」

 

何でもないように、無線越しに聞こえた彼の声。それは全く気負っていないような声で、しかしそこには普段のおちゃらけた雰囲気はなかった

 

「…いいでしょう。来なさい…」

 

恐らく彼の筋書きはこうだ。スモークでレーザーを無効化。その間に瞬間加速に必要なエネルギーを充填し、そしてシールドエネルギーが尽きる前に、パイルバンカーで一気にわたくしを潰す。正面からとわざわざ言ったのは、わたくしの性格ならそれを受けてたつと踏んだか、それとも考えなしか…どちらにしろ、思っていたよりはマシなようですわね…

 

「…けれど、瞬間加速程度のスピード、とらえきれないわけではなくってよ。その認識を誤った、あなたの負けですわ!」

 

 

 

 

 

「どうかな」

 

 

 

 

 

「な!?」

 

突然に鳴り響くアラート、感知したのは、正面遠方に現れた超高熱源反応…

尋常じゃない…従来の瞬間加速の比じゃない発生熱量…いったいこれは…

とっさに、私は持てる火力を全て彼に向けて放った。考える暇はない。これは勘だ。今撃たなければ、やられる

 

 

けれど、それが着弾する前に、彼は私の目の前に来た

 

 

 

 

 

 

 

「ヨォ」

 

 

 

 

 

 

そう言って彼は、その重い杭を、わたくしに突き出した

 

 

 

 

 

 

 

『試合終了。勝者、セシリア・オルコット』

 

 

「……え?」

 

何が起きたかわからなかった。わたくしは確かに、さっき…

 

「…なあ、起こしてくれない?」

 

「え…あ…」

 

声のした方を振り向くと、そこには、傷だらけで、ボロボロになった彼がいた。その周りは、とても大きく、まるで爆発でもしたかのように、地面がえぐれている。恐らく彼のパイルバンカーの破壊痕だろう。けれど、ブルーティアーズには一片のダメージも見受けられない。一体なぜ…?

 

「…簡単さ、当たらなかったってだけだ」

 

わたくしの怪訝な顔を見て察したのか、彼は私の疑問に答えてくれる。当たらなかったって…

 

「…一体、何なんですの?あの加速は?」

 

「簡単よ。エネルギーの振り分け全部瞬間加速ってやつに貢いだの。シールドなんたらのも拡張どうたらのもほぼ全部」

 

「な…」

 

何を考えているのかしら、この方は、ふつう考えてもそんな阿呆なこと、実際やろうとは思いませんわ…

 

「んで、ただでさえもろくしちゃったもんだから、スピードに耐えきれないでゴリゴリ削れて、とどめの壁激突の衝撃で一撃死。晴れて完敗。その余波で怪我まみれってわけよ」

 

「…頭のねじが外れてるのではないですの?」

 

「よく言われるよ」

 

何の気なしに彼はそう答える。

 

…そう、彼は最後までそうだった。どんなに追い詰められても、侮辱されても、最後まで何の気なしに、そう言い放った

 

「…ほら、先生方のとこまで連れて行きますから、ISを外してくださいな」

 

「おお、悪いね」

 

「いいえ…敗者をいたわるのも、勝者の余裕というものですわ」

 

「お、言うねえ。でも織斑はこうはいかないぜ?アイツは結構いいとこまで行くと思うぜ?」

 

「フフ…あなたを見れば、わかりますわ…」

 

「え?」

 

初めて見せた。困惑の顔。それが何だか面白くて、柄にもないようなセリフを放ってしまった。日本では、かっこいいと思った相手には、こう言うらしい。

 

「まあ、あれですわ…」

 

 

 

 

 

 

 

「イカしてましたわよ、あなた」

 

 

 

 

 

 




もうちょっとでようやくお鈴々出せる…幼馴染が増えるよ!やったねいちかちゃん!

戦闘描写に関しては作者の表現力と語彙が不足してることを深くお詫び申し上げます。

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