脱線ばかりするIS   作:生カス

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と言うかお茶菓子全般はおいしいらしいです。


3話 あとイギリスはスコーンとかが美味いらしい

--さーたん視点

 

ベジータさん騒動は終わり、早3時間目…この時間になってくると、そろそろお腹がすき始めるころだ。今日のお昼は何にしようかしら。IS学園の学食ってかなり豪勢らしいから、今から楽しみで仕方ない…チンジャオロースとかあればいいな。それも肉とピーマンがたっぷり入ってるやつ

 

「それでは、この時間は各種装備について説明する。実践でも使うのでよーく聞いておくように…特にそこの二人はな…」

 

「「ヘーイ…」」

 

ギロリ、と言う擬音がドンピシャな感じでヴェイダー卿こと織斑先生に睨み付けられる。しかしいくら何でもありゃ横暴じゃないかね…あそこまで言われる筋合いは…うん、めちゃあったわ…ごめんなさい千冬さま…

 

「…と、その前に再来週に行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めなくてはな」

 

クラス対抗戦?なんか学園バトルものに出てきそうな単語だな…

 

「クラス代表者とはそのまま…まあ、普通の学校で言うクラス委員長みたいなものだ。このクラス長が参加する行事の一つがクラス対抗戦。ここで入学時点での実力推移を測ってもらう。この時間でそれに参加する代表者を選びたい。自薦他薦は問わない。誰かいないか?」

 

へえ、要はそのコロシアムみたいなのに参加しろってことか…出る奴は大変だなあ…

でも俺の予想だと他薦されるのは…

 

「はい!織斑君を推薦します!」

 

「は!?」

 

ほーらやっぱりな…何を驚いてる織斑よ。予想できたろう?クラスで2人しかいない男子、珍しがる女子の中にはこういう風にまつりあげる奴も少なからず出てくる。そして1人選ぶなら爽やかイケメンの方がいいというのは自明の理…つまりこうなるのは必然なのだよ!フハハハハハハ!

 

「私もそれが良いと思いますー」

 

「私もー」

 

「お、俺!?」

 

「織斑、席に着け、邪魔だ」

 

おーっと確実に包囲網が進んできているぞー。織斑よ、恨むなら爽やかイケメンに生まれた自分を恨むんだな!フハハハハ!…なんか虚しくなってきたな…

 

 

 

「はいは~い、私はさーたんを推薦しま~す!」

 

 

 

…え?ちょっと何言ってんのあのピカチュウ?

 

「あ!私も佐丈君を推薦しまーす!」

 

「わ、私もどっちかっていうと…」

 

「私もー」

 

それがきっかけとなったのか、次々と俺の名前を挙げる女子の皆様方…ていうか最後の人、アンタ織斑のときにも挙げてたろ、自分が当たるといやだから必死で人に押し付けようとしてるだけだろ絶対。

ていうか何でなの本音さんや…

 

「本音、あんた佐丈君押しなの?」

 

「うん!お菓子くれるし!食べさせてくれるし!」

 

あれが原因か!チクショウ!調子こいてチョコラータごっこなんてするんじゃなかったチクショウ!あのプリッ○がサラダ味だからチクショウ!…え?関係ない?そう…

 

「さて、他にはいないか?いないならこの2人の内から絞って…」

 

「ちょ、ちょっと待ったちふ…織斑先生!俺はそんなのやらな…」

 

「他薦されたものに…クフッ…拒否権などない。選ばれた以上は…プッ…クク…覚悟をしろ」

 

「あんた今吹き出したろ?」

 

わかった、あの人この機会をいいことに、今までのうっぷんを晴らそうという腹積もりだ…見ました奥さん?あのヴェイダー卿の楽しそうな顔…

 

「い、いやでも…」

 

「納得いきませんわ!」

 

織斑の抗議の声を遮って、ひと際、大きい声が教室内に響いた。ベジータさ…もとい、オルコットさんである。

 

「そのような選出は認められません!クラス代表が男だなんていい恥さらしですわ!このセシリア・オルコットに1年間その屈辱を味わえというのですか!?」

 

ああ、セシリアさん立ち直ってくれたのか…良かったー元気がありあまってるっぽくて…

 

「実力で言えばわたくしこそクラス代表にふさわしいですわ!それを物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります!」

 

…あーでもヤバイな、この流れはヤバイ…

 

「大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐えがたい苦痛で…」

 

「イギリスだって対してお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ」

 

「な…!?」

 

あちゃー…やっぱりこうなるか…織斑はあれでカチンとくるとすぐ行動する奴だからな…こうなるとは思ったよ

 

「あ、あ、あなたねえ!わたくしの祖国を侮辱しますの!?」

 

案の定、セシリアさんは怒髪天を突かれたようだ

 

「晴明もなんか言ってやれよ!馬鹿にされてんだぜ俺たち!」

 

いやセシリアさんに馬鹿にされても俺は痛くも痒くもないからどうでもいいんだけどね…?でもとりあえずフォローは入れとくか…

 

 

 

 

 

「セシリアさん!悲観しないで、今は国際化で美味しい店イギリスにもたくさんあるらしいから!スターゲイザーパイとかウナギのゼリー寄せとかがテロレベルなだけであって、名物料理以外は美味いものも…まあ~あるにはある…かな?と思うから、あと紅茶もおいしいらしいし、だから大丈夫だよ、多分恐らくきっと!」

 

「決闘ですわッッ!!」

 

 

 

 

なんか火に油どころかニトログリセリンを注いでしまったらしい。あれぇー?もうちょっと上手くいくと思ったんだけどなー…

 

「…ちょっと待ってくれ晴明、何なんだそのスターなんとかパイとウナギのゼリー寄せって?」

 

「は?お前それ知らないでイギリス批判してたの?ほらスターゲイザーパイってあれだよ、魔女宅に出てきたやつの元ネタ、魚のお頭が何本もパイから突き出てるやつ」

 

「え?なにそのパイ…?呪術用の道具か何かなの?」

 

「いや俺も最初見たとき何かの儀式道具かと思ったわ…魔女宅のと全然ちげーのよ。魚が星を見上げるからスターゲイザーらしいぜ?」

 

「そりゃ魔女宅の孫娘も嫌いになるわな…でウナギゼリーってのは?」

 

「そのまんまよ、ゼリーの中にウナギぶっこんだんだよ」

 

「何をとち狂ってそんな悲しいカルマを生みだしちゃったんだよ…」

 

「でもちゃんとした調理法でやるとうまいらしい。胡椒とかレモン汁とか入れて」

 

「あー…でもレモン汁あったら確かにいけるかもなあ…」

 

「胡椒とかもいけそうだよな、あと酢とかも使うらしい。煮凝りみたいなもんじゃねえ?」

 

「あ、なるほど、じゃあ今度作ってみようかな?」

 

「おお…何か怖いけどみたい気もするな…」

 

「まずくてもちゃんと食べろよ?」

 

「織斑が作るんなら大丈夫だべ。ハハハハ」

 

「ハハハハハ」

 

「貴様らいい加減にしろ…オルコットのことを忘れるな…」

 

「「ハハハハハ、え?あ…」」

 

しまった、イギリス名物料理談義でオルコットさんのことすっかり忘れてた。恐る恐る彼女の方を振り向いてみると…

 

「……」

 

あ、やばい、結構泣きそうになってる。必死にこらえてるっぽい。シカトされんのダメなタイプだなこの人…

 

「ッ…決闘ですわ…わたくしが勝ったら、わたくしの小間使い、いえ、奴隷にしますわよ!」

 

おお!泣き出すどころか尚も立ち向かってきた。何て芯の強い人なんだろう…

 

「お、おう、いいぜ。四の五の言うよりわかりやすい」

 

織斑もその気概に助けられ、先程のテンションを取り戻すことができたようだ

 

「ハンデはどのくらいつける?」

 

「あら?早速お願いかしら?」

 

「え?いや、俺がどのくらいハンデをつけたらいいかなって…」

 

織斑がそう言い終える前に、クラス中から大爆笑が起きた

 

「お、織斑君、それ本気で言ってるの?」

 

「男が女より強かったのって、大昔の話だよ?」

 

「織斑君と佐丈君はISを確かに使えるかもしれないけど、それは言い過ぎよ」

 

キャハハ、キャハハハ、と、姦しい笑い声が教室に響き渡る

せっかくだから俺もこのビッグウェーヴに乗っておこう、フハハハハ!(銀河万丈の声で)

 まあ冗談はさておき、今の世の中これが現状だ。あの女性にしか使えないSDガンダムもどきが出てきたせいで、世間は女性を大優遇。男子はそれ受けマジ不遇。女尊男卑で地位低迷。親父もそのせいで超酩酊。母ちゃんそれ見てまじLament(悲しいの意)。

女子増長。男子焦燥。俺どうしよう。Yeah…ヒップホップ始めてみようかな?

 

「なあ織斑。俺ヒップホップ始めてみようと思うんだけど…」

 

「なんだいきなり!?予備動作ナシでそういうこと言うなびっくりするから!!」

 

「貴様が喋ると話が進まなくなるんだ黙ってろこのボケナス!!」

 

織斑姉弟に総スカンを喰らってしまった…どうでもいいけど、ボケナスってけなし言葉のチョイスちょっと古くないすかね織斑先生…?

 

「あら?一体何を他人事のようにしてるのかしら?当然、あなたも私の祖国を侮辱したのですから、決闘に参加してもらいますわよ?」

 

「え?ああ、わかった。3DSだすからちょっと待ってて…」

 

「なに当然のようにゲームで片付けようとしてますの!?決闘と言ったらIS同士での決闘に決まってるじゃないですの!!」

 

「えッマジで!?!?」

 

「そんなびっくりすることですか!!~~……ハァ。それで?あなたはハンデはいりますの?」

 

ヒートアップした頭を冷やして、再びセシリアさんは冷静に俺たちに聞いてきた。こういう切り替えの早さはさすがエリートと言ったところだろうか。やっぱスゲエんだな。ベジータって…

しかしハンデ…ハンデねえ…

 

「…ハンデじゃないけど…もし、万が一でも俺たちが勝ったら、やってほしいことがあるんですが…こっちが負けたら奴隷になるわけですし…」

 

「ふ、ふん。良いですわよ?まあそんなことは起こり得ませんけど…」

 

"やってほしいこと"に引っかかったのか、セシリアさんが若干たじろぐ、やっぱこういうのってどことなく卑猥な感じするんだろうか?

 

「で、そのやってほしいこととは?」

 

「そうですねえ…」

 

だが俺はそんな卑猥な目的ではない。いや興味はないわけじゃないけど、こんな場所に持ち込むほど空気が読めないわけじゃない…はいそこ、「え?」とか言わない。

 

「…山田先生。近いうちに全校集会とかってありますか?」

 

「え?え、ええ…この月は特に多いですよ。多分…3回くらいはありますけど…」

 

「…ヴェイダ…織斑先生、決闘するとしたら、日程はどうなります?」

 

「貴様今ヴェイダー卿と言いかけたろ…まあいい、対決は1週間後、ちなみにその翌日が全校集会だ」

 

「それはそれは…重畳重畳…」

 

「…何をさせるつもりですの?」

 

「…俺がやってほしいことはただ一つ」

 

全員が固唾をのみ込み、俺の方を見る。要求するそれは、人とは思えぬむごさを持つ罰ゲーム…

 

 

 

 

 

「全校集会のときに全校生徒の前に立ち、『今からすごく面白いことやりまーす!』と前ふりをしてから一発ギャグをやってもらう!!」

 

 

 

「…はあ?それでいいんですの…?」

 

セシリアさんはいまいちこの意図がわからないらしい。だがわかる奴にはわかる…

 

「は、晴明、お前正気か?いくら何でもやりすぎだろ!」

 

「そ、そうだよ佐丈君…いくら何でもオルコットさんかわいそうだよ…」

 

「オルコットさんも、いやなら断っていいんだよ?」

 

「なんですの一体?その程度、いくらでもやって差し上げますわよ?無論負ければの話ですが」

 

「ちなみにそのギャグがウケなかった場合、何が面白いのか一から丁寧に説明してもらう」

 

「もうやめろ晴明!そんなに人を傷つけて何が楽しいっていうんだ!!」

 

「どうしてあなたはさっきと打って変わって私を庇ってますの!?そんなに恐ろしいことなんですか!?」

 

「いやおそろしい、つーか耐えきれないつーか…」

 

「見ている方も辛いよね…」

 

「正直あーいうのってどうなんだろうね…」

 

ざわざわと教室がギャグが滑った時のあの空気についての議論で埋まっていく。やはりみんなその恐ろしさは知っているようだ。

 

「でも別にやると決まったわけじゃないのにそこまで言うこと…あ、本音さんはどう思う?」

 

「お菓子食べたい!」

 

「あ、うん…そうだね…」

 

「ええいもう埒が明かん!とにかく決闘は1週間後!やるのはオルコット、織斑、佐丈の3名!詳細は後日伝える!!はい解散!!!」

 

「お、織斑先生!まだ解散させちゃダメです~!」

 

収集がつかなくなり、しまいには織斑先生が山田先生の抑止も無視して強引にまとめて終わらせた。

 …後日織斑から聞いた話だと、その夜、織斑先生が泥酔して吐きながら俺に呪詛を唱えていたらしい…ごめんなさい千冬様…今度おつまみにウナギのゼリー寄せ持ってくから許して下さいね…

 

 

 




あ、でもローストビーフとかもイギリス発祥らしいですね。噂が独り歩きしてるけど、見ればおいしいものたくさんあるなあ…と個人的には思いました。

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