ちなみに書き忘れてましたが、織斑君は13話の最後の時点で、さーたんとお鈴々が付き合ってないことに気づきました。
ちなみに私は小さいのも好きです(意味不明)
--さーたん視点
「ええと……だ、大丈夫? 織斑君」
「あ、ああ……うわめっちゃべたべたする」
嵐のごとく激しい自己表現をした転校生、ラウラ・ボーデヴィッヒさん(15)。しかしその自己表現の代償として、ショコラを受けてしまった織斑の制服は、無残なほどショコラの甘い残り香を醸し出していた。ちなみによく見るとスタバのだった。あれ高いのに。
そしてそれを心配するシャルル君。さり気にハンカチを出し、女子より女子力が高いさまを俺たちに見せつける。流石男の娘と言ったところか。
「……おい何すんだよ? なんでお前のベルサイユのばらごっこに俺の制服が犠牲にならなくちゃいけないんだ」
おこな感じでラウラさんに問い詰める織斑。無理もないだろう、出合頭に失礼ショコラティエされれば、誰だって怒るに決まっている。
「……ふん」
ふん、ですってよ奥さん。どうでもいいけどショコラのせいで、織斑の髪の色が完全にジェローデルみたいになっている。
「……あーうん、何だ……自己紹介も終わったので、これでSHRを終了する。次の授業は実習なので、ISスーツに着替えてグラウンドに集まるように……織斑は特例として、今回は10分だけ遅刻を許可する。シャワーを浴びてからこい」
おおっと、織斑先生が半ば強引に終わらせた。あの人いるとどんどん話が進んでいいな。
ていうか織斑先生、知り合いのはずのラウラさんがショコラ出してきたとき『!?』て顔してたな、先生のいない間に彼女に何があったのだろうか
「よし、行こうぜ織斑。お前そのままじゃジェローデルだぞ」
「4,50代のおばさまにしかわかんないこと言ってんじゃねえよ……えっと、じゃ行こうか、シャルル」
「あ、うん……」
そして織斑はシャルルさんの手を握り、教室を出た。おっと腐臭がするなとどうしようもないことを考えながら、俺もそれについていった。
--場面転換
……が、そう簡単に更衣室にはいけないらしい。
「いたわよ! 彼が例の転校生ね!」
「ものどもー! であえであえー!」
「織斑君、なんか顔黒くない?」
「きっとイメチェンよ」
松○しげるもどん引きなイメチェンだな。
教室を出た瞬間、俺たちは他クラスの女生徒たちに囲まれてしまった。やはり3人目の男子、それも美男子ということもあって、その注目度は押して図れるもののようだ。
「うあ、囲まれた……どうしよう晴明」
織斑がそんなことを俺に聞いてくる。いやどうしようって言われても……とりあえずお前を生贄にしようとは思っているけど……
「お前ろくでもないこと考えてるだろ?」
「まさか。それどころか実に画期的な方法だぞ」
「なるほど、やっぱりろくでもないことか」
どうやら織斑の中で、俺はろくなことを考えない男でしかないようだ。まあまあ否定できないのがなんとも哀しいものである。
「えっと……どうしてこんなに注目されてるの?」
困った顔をしたシャルル君はそう、織斑に聞いていた
「ああほら、IS学園って男子が俺たちだけだろ? しかも、ここの女子って男子との接触が極端に少ないから、珍しいんだよ」
「多摩川のタマちゃんみてーなもんさね」
「もう少し若い人にわかるような例えにしようぜ、晴明よ」
お前だって若い人だろが……もう何年たつんだろうな、タマちゃん……
「へぇーそうなんだ」
「そうなんだって……こうなったことないのか、シャルル?」
「え!? い、いや、そうだったね。アハハ……」
何か取り繕うように、笑いながら肯定するシャルル君。何か思うところでもあったのだろうか。
「で、でもこのままだと間に合わないね、どうにかしないと……」
確かに、このままじゃ
……しょうがない、絶対無駄だとは思うけど、ダメもとでやってみるか……
「あ、あんなところに平○堅が!」
「え!? うそ!?」
「どこどこ!?」
「サインチョーだいサインー!」
……ここ倍率1万越えの超エリート学校のはずだよね? もしかして育ちが良すぎて素直な人達ばっかりなんだろうか? 悪いことしたかなあ……
「……まあいいや。行こうぜ」
「お、おう……晴明ってすごいのかしょぼいのかよくわかんない時あるな……」
そう言いながらも、何とか俺たちは包囲網を突破した。どうやら織斑のシャワータイムくらいは確保できそうである。
--更衣室
「じゃあ俺はシャワー浴びてから行くから、先行っててくれ」
「おけー、後でな」
織斑はシャワーを浴びるために、更衣室の奥の方へと走って行った。俺たちも早く着替えなければ。
「ほんじゃ、着替えちゃいましょか」
「う、うわわ!? き、急に脱がないでよ!」
「いやそんなこと言われても……脱がなきゃ着替えられんだろうに」
なんでシャルル君は顔を真っ赤にして顔を手で覆ってるんだろうか。そしてなぜ手の隙間からガン見してんだろうか……え? もしかしてソッチ系の趣味持ってたりしないよね? 男の娘でソッチ系とかこれもうわかんねえな。
「というかそっちも着替えたほうが良くない? はやく行かないと織斑先生に解体されるぞ?」
「か、解体……? ま、まあ着替えるけども……ち、ちょっとあっち向いててくれない?」
「?」
なぜそこまで恥ずかしがるのか、不思議に思いつつも、俺は言われるがままシャルル君とは反対側の方を向いた。
……残念がってなどいない。断じてない……
「……うん、いいよ」
「え、はや……」
シャルル君の方を振り向くと、彼はもうISスーツに着替えていた。俺たちと同じ、ぴっちりとしたTシャツ短パンのような感じだ。
……だが……
「……?」
「ど、どうしたの?」
俺が訝し気な顔をしたのが気になったのか、そう聞いてくるシャルル君。それに反応して、俺は思わず、持っていた疑問を口に出した
「……お前さん。ホントに男かい?」
「!?」
男の娘……だとは最初見たときに思っていたけれど、ISスーツの姿を見て、さすがに不思議に思った。
いくら何でも華奢すぎる。パッと見だけでも、俺や織斑のような男性の体とは、どこか根本的に違うような、そんな印象を受けるくらいには……はい、じろじろ見てるーキモーイとか言わないのそこ。パッと見だから、ホントに。
「な、何言ってんのさ、当たり前だよ! そ、それより早くしないと間に合わないよ?」
「おおっと、やばい」
そうだ、こんな話してる場合ではないのだ。いい加減着替えてグラウンドに行かないと。心にもやが残りながらも、俺はささっと着替え、シャルル君と一緒にグラウンドに向かった。
「……」
「どうしたの? 早く靴はいて……」
「……いや、織斑の外履きが……」
「え……うわ……」
ふと何の気なしに織斑の体育用の外履きを見てみると、画びょうがびっしりと敷き詰められていた。
……絶対
--グラウンド
「……よし、織斑もきたな。それでは説明の通り、今から実習を行う」
授業開始から数分、無事に織斑も到着し、楽しい楽しい実習時間(白目)が幕開けようとしていた。
「よう織斑、思ったより早かったな」
「ああ、俺も千冬姉に殺されたくはないからな……ところで、俺の外履きの隣に山盛りの画びょうがあったんだが、あれは……」
「察しはついてんじゃねえの?」
「ついてるからヤなんだよ、はあ……」
げんなりといった様を呈しながらも、織斑はシャルル君の隣に並び、整列の中に加わった。ちなみにシャルル君の反対の隣が俺だ。
「ずいぶんとゆっくりでしたわね。スーツを着るだけで、どうしてこんなに時間がかかるのかしら?」
近くにいたセシリア嬢が織斑に聞いてくる。織斑がラウラさんにショコラをぶっかけられたのを見てから不機嫌なご様子。痴情のもつれとでも思っているんだろうか。このむっつりめ。
「なに? アンタらまたなんかやったの?」
そしていつの間にか俺たちの背後には凰様がいた。そういや2組だったか。
「いや、ちょっと織斑が転校生にぬるいショコラぶっかけられてな」
「は?」
うん、ベルばら知らないと意味わかんないよなこれ。というよりラウラさんのは知っててやってたのかそれとも偶然の一致なのか。そこが非常に気になる。
「何をくっちゃべっている。はやく並べ」
グラップラー千冬様による静かな言葉。しかしそれは俺たちを恐怖させるには十分で、俺たちは無言で所定の位置に戻った。
「まったく……それでは、本日から格闘及び射撃の実戦訓練を始める。今日は戦闘の実演をしてもらう。凰! オルコット!」
「どうしてわたくしが……」
「うげ、なんで私が……」
そして露骨に嫌がる代表候補生たち。でもやれって言われると途端にやる気失くすのはわかる気がする。
「……佐丈、やれ」
俺に耳打ちをする千冬様。何をやれなのか大体わかってしまうのが、そして断れないのがなんとも悲しい性だ。
「へーへー……あーそういえば、織斑が代表候補生の強いところ、一度ちゃんと見たいって言ってたなー」
「やはりここはイギリス代表候補生、セシリア・オルコットの出番ですわね!」
「まあ、たまには実力見せなきゃね、中国代表候補生として!」
ちょろい。それ以外に言葉が出ないくらいにちょろい。
「それで、相手はどちらに? 鈴さんとの勝負でも構いませんが」
「言うじゃない? 返り討ちにしてやるわ」
「なに、そう焦るな。対戦相手は……」
「うわわわ! どいてください~!」
突如聞こえた悲鳴と轟音、そして視界に現れるでかい影、それは猛スピードで織斑の方へと迫っていた。
「あぶね……織斑!」
「え!? うわ!?」
滅多に出さない大声を出したのがあだとなったか、織斑は固まってしまう。結局俺はとっさに織斑の方へと走り、突き放した。そしてそうなった以上、俺が代わりに下敷きコースになるわけで……
「きゃ!?」
「うおっ」
そして当然のごとく俺とその影は激突し、その影に引っ張られる形で派手にぶっ倒れた。
(……ん?)
と、そこで違和感を覚える。あれだけ派手に激突されたくせに、ほとんど痛みがないのだ。
……それどころか、いやにやわっこく、心地いい。まるで上等な枕に顔をうずめているような……
「あ、あの、佐丈……くん……」
……枕の正体がわかった。どうやら俺が顔をうずめていた枕は枕ではなく山田先生の豊満なムネ肉のようだった。この柔性ならレクター先生も喜んで下さるはずだろう。
「あの、こ、困りますこんな場所で……いえ、場所というより、私たちは教師と生徒なわけで……こういうのは順序立ててというか、まずはハードルを低くというか……」
「……先生、俺もう死んでもいいです」
「!?……」
思わずそんなことを言ってしまう。織斑を助けてよかった……織斑も無事なわけだし、本当に良かった。本当に
……もうちょっとだけこのままでm
「さーたん?」
「……」
いつの間にか背後に本音さんがいた。おや、気のせいだろうか? 凄まじい霊圧を感じる。チャドなら見ただけで消えそうなレベル。
「……本音さん、いつからそこに?」
「さーたん?」
「……誤解しないでほしい。これは織斑を助けた上の結果で」
「さーたん?」
「……つまりコラテラルダメージっていうやつd」
「さーたん」
「ハイ、ゴメンナサイ」
なぜ山田先生にではなく本音さんに謝っているのか。それだけ納得いかなかったが、それをこの場で言う度胸は俺になかったので、黙って謝罪に徹することにした。
……この時、周りの女生徒諸子が、女の敵認定したのか、ゴミを見るような目で俺を睨み付けていたのが忘れられないです。
シャルル「……勘のいい人は嫌いだよ」