脱線ばかりするIS   作:生カス

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ショコラとかココアって美味しいですけど飲んだ時、のどに残ってる感じするんですよね。あの感じが結構苦手だったりします。


14話 ぬるいならぬるいでべたついて気持ち悪い

‐‐おりむー視点

 

 

「……本当にやるつもりか? 晴明」

 

「言うなよ五反田。俺だってこんなことしたくなかったさ……でもな、でも言ったはずだ。ここでは敵だと」

 

 いつから、こうなってしまったのだろう……あの時まで俺たちは、確かに仲間だった。それなのに、どうしてここまで傷つけあうことになってしまったのだろう……

 

「……なにを傍観している、一夏。お前だって、あれが欲しいはずだ。なら奪うんだ、晴明から……!」

 

「もうやめろよ弾! 晴明も! こんなことでいがみ合って何になるっていうんだッ……」

 

「何になる……だと? 愚問だな織斑ぁ……この場所で意味を求めること自体、ナンセンスだ」

 

「そうだぜ一夏。意味なんかない……あるのは、ただ闘争と略奪……それが俺たちを満たすだけだ……」

 

 弾も晴明も、ただ冷たく、そう答えた。その眼は、なれ合いなど要らない。闘いこそが、今の俺たちの全てなのだと、物語っているようだった。

 

 

「……ククク、最後のパーツも見つけた! これで終わる……これで全て手に入るんだ!」

 

「くそ、させるかよぉ!」

 

 その瞬間、晴明と弾の間に、まばゆい光が……

 

 

「もうやめろ! やめろおぉぉぉおお!!」

 

 

どうして……どうしてなんだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はいドラグーン完成ー。勝ったな」

 

「あ、ちくしょー! ザケンなマジ、最初のパーツ俺が見つけたんだぞ!」

 

「言ったはずだ。ここに来た以上は全て敵、略奪破壊何でもありと……」

 

「くっそ、だからお前らとシティトライアルすんのヤなんだよ!」

 

 

 どうしてカー○ィのエアライドをすると大体こうなるんだろうか。不思議だなあ(棒)

 

 

 

 

 

 ――高校生になってしばらく、なんとかクラスに馴染み始めたころの休日。俺と晴明は久しぶりに弾の家に遊びに来ていた。ここのところ、IS学園の外に出る機会がなかなかできなかったし、何より……個人的にちょっとへこむことがあったので、晴明を誘って行くことにしたのである。

 ……で、家に来て、何で遊ぶかと悩んでいたところ、ちょうどよくゲームキューブが見つかったので、冒頭のような会話になったという経緯だ。

 

「……ところで晴明、次のイベント、バトルロワイヤルだぞ?」

 

「……え、うそ? え、マジ、え?」

 

「マジだって。だから言ったじゃん、あまり意味ないって」

 

「ブッハハハハハ! ザマアァーア! せいぜい俺の理論値デビルスターに蹂躙されるこったな!」

 

「おっと、聞いたか織斑? 前にハイドラだったのにライトスターに負けたやつが何か言ってるぞ」

 

「ち、ちげーし! あれ油断してゴルドーのハメ技くらっただけだし! だからノーカンだし!」

 

 でも正直な話、ここまで熱中するとは少し予想外だった。やっぱり名作は何年たっても名作なんだなあ……

 ちなみに、ドラグーンが加速と飛行力が最強のマシン、ハイドラが攻撃力と防御力が最強、ライトスターが初期マシンで、ゴルドーが極悪トラップといった感じだ。別に覚えなくていいです。

 

 

 

 

--閑話休題

 

 

 

 

「……で、どうなのよ?」

 

「「何が?」」

 

 ひとしきりゲームが終わった後、弾はそう俺たちに聞いてきた。

 

「何って、学校だよ。IS学園。お前らのメール見ただけでも楽園みたいじゃん? エロゲの主人公かよお前ら」

 

「おいおい、あんまり寝言言うなよこのバンダナロン毛が」

 

「ねえちょっと晴明? 一夏が過去類を見ないレベルで毒舌なんだけど? え、なんかあったの?」

 

「あー……ほら、凰が学園に来たのって、知ってるよな?」

 

「ああ、言ってたな……もしかして鈴絡みか?」

 

「まあ、ね……多分だけど、織斑が凰に『お前俺のこと好きなの?』的なこと聞いたら、『か、勘違いしないでよね!』的な返事が返って来てな。それを額面通りに受け取って、自分の自意識過剰っぷりにしょんぼりってところだろ」

 

「ちょっと待て!? なんでお前がそこまで知ってるんだ!?」

 

 ど、どういうことなんだ……あのことは誰にも話してないはず……

 

「いや壁越しに聞こえてたし」

 

「いたのかよお前!?」

 

 コイツホンットに、行動が読めないやつな……

 

「うーん……でも別に、それで落ち込む必要ないとは思うけどな」

 

「?……どういうことだよ」

 

 俺がそう聞くも、弾はその問いに答えず、ただ俺を見てニヤニヤとしていた。なんか見透かされてるみたいで居心地が悪いのは俺の気のせいだろうか

 

「……なあ晴明」

 

「さあて、ね……ただ、別にそれは、自意識過剰ってわけでもないとは思うぜ?」

 

「だから、どういう意味だ?」

 

「それは自分で考えな」

 

 わからないから聞いてるんだが……いまいち釈然としなかったが、この話題にこれ以上触れても自分が余計へこむだけなので、聞かないことにした。

 

「お兄! ご飯出来てるってさっきから言ってんじゃん!」

 

 と、突然にドアをバンッと勢いよく開けて現れたのは、弾の妹である蘭だった。ちなみに俺たちとは1個下。そして何気に兄より優れた妹だ。弾が闇落ちして仮面とか被らなきゃいいけど

 

「片付かないからさっさと食べに……て、え……」

 

 そしてフリーズする兄より優れた妹。どうやら俺と晴明の存在に気づいたらしい

 

「よ、蘭。久しぶり」

 

「い、一夏さん……!?」

 

 俺を見るなり、蘭は急におしとやかというか、よそよそしい態度になってしまった。俺が中学の頃からこんな感じなんだが、もしかして嫌われてんだろうか?

 

「妹ちゃん、パンツのシミ見えてんぞ」

 

「一夏さんの前でそういうこと言わないでくださいて言ってるでしょ、ハルさんッ……」

 

「おーおー、すぐにアイアンクロー仕掛けてくる癖は健在か……あら? ちょっと太った?」

 

「ちょ、二の腕ぷにぷにしないでください! セクハラですよ!」

 

 そして相変わらず晴明は蘭をからかい、取っ組み合いをして喧嘩している。ケンカと言っても、じゃれ合っているようにも見えるけど……

 昔からこの2人はこんな感じ。晴明がからかい、蘭がそれに怒って攻撃し、それを逆手にとって、さらに晴明がちょっかいをかけると言った図式だ。しかし、蘭もこうなることがわかってるはずなんだから、いい加減相手にしなきゃいいのに、とは思う。

 

「もお……いいからお兄、さっさとご飯食べてよ! あ、もちろん、一夏さんも……まあ、ついでにハルさんも」

 

「わかったよ、今行く」

 

「ありがと、蘭」

 

「あざーす」

 

 弾、俺、晴明と、三者三様の返事をし、一階へと移動する

 

「……にしても、相変わらず蘭は、俺に心を開いてくれないのかなあ」

 

「は?」

 

「あ?」

 

 俺がそう言った途端、弾と晴明は素っ頓狂な声を出して俺の方を見た。まるで『何言ってんだお前』と言っているようである。

 

「な、なんだよ? だってそうだろ? 弾とは兄妹だからってのがあるにしても、晴明と俺の扱いが露骨に違うじゃないか」

 

「アーウン、ソデスネ」

 

「お前めんどくさくなったから適当に返事したろ、晴明?」

 

「ま、鈴とのこともあったみたいだし、多少はね?」

 

「お前はなんで諦めた感じなんだよ弾」

 

 やつらの受け答えに釈然といかないまま、1階に着いた。このまま問い詰めたいところだったが、どうせうやむやにごまかされるだけなので、俺も諦め、意識を飯に向けることにした。

 

「げ」

 

 テーブルの方を見た途端、そんな声をあげたのは弾だった。なんだなんだと見てみると、どうやら蘭が先に座っていたらしい。

 

「……何よ? 文句ある?」

 

「いやないけどさあ……お前それ……」

 

 何故かはわからないが、蘭は何故かシャレオツな格好に着替えていた。可愛らしいフリルのついた白ワンピースに、それに合うように髪もおろしている。こうやって見ると、深窓の令嬢という言葉が似合いそうだ

 

「おお……スゲエな……」

 

「え……!? ふ、ふふん、そうですか? ハルさんこういうの好きなんですね」

 

 晴明に褒められてまんざらでもないのか、妙にそわそわしだす蘭。でも多分、こういう時の晴明が言うすごいは……

 

「ああスゲエよ。そんな白装束でカレーうどん食べるなんて、スゲエ度胸だよ。感服しt……え、待って、なんでそんな怒ってんの? ちょっと?」

 

 そして再び2人のケンカ(じゃれ合い)が始まり、それは弾の祖父である厳さんに制裁されるまで続いた。

 こういうのを見ると、何だか中学時代を思い出して、ノスタルジーを感じる今日この頃でした。かしこ

 

 

 

 

--さーたん視点

 

 

 

 翌日、学園の朝のSHRにて

 

「えっとですね……今日は何と転校生を紹介します。しかも2名です!」

 

「え!?」

 

「うそ!?」

 

「エェーイ!?」

 

 突然の山田先生の転校生宣言に、リアクション芸人張りの反応を示す女生徒諸子。どうでもいいけど最後の人、凄えジャンプ力ありそうな声だったな。花も恥じらう若き乙女がそんな声を出すのは、許されないんDA☆

 

「でもどういうことだ、いきなり転校生なんて? またテコ入れか? こういうのやりすぎると服屋のなんちゃって閉店セールみたいに見られるぞ」

 

「現実を長期連載マンガと一緒にしないでよ……」

 

 そうやって呆れ顔で聞くのは、俺の前の席にいる清香さん。この人にはいまいちネタが通じないのが最近わかった。別にそれでもかまわないけれど、清香さんがわからないのはなんか悔しいとのことなので、最近はマンガを貸してる

 

「でも誰なんだろ、この時期に?」

 

「うーん、また代表候補生とか?」

 

「でもあれって、SSRくらいの希少価値あるだろ? そんなポンポンくるもんなの?」

 

「人をソシャゲのガチャみたいに言わないの」

 

 そんなことを話していると、ガラッとドアが開いた

 

「失礼します」

 

「……」

 

 無論入ってきたのは、件の転校生。しかし、その2人の姿を見た瞬間。教室は水を打ったように静かになった。

 理由はきっと

 

 

 

 入ってきた転校生に、男子がいたからだろう

 

 

 

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。みなさんこれからよろしくお願いします」

 

 その姿を見た瞬間、正直、俺もかなり驚いた。無理もないだろう。予想してなかったものが、目の前に現れたんだから

 

「き……」

 

「はい?」

 

「「「キャアアアーッ!」」」

 

 三人目の男子が登場したからか、女生徒諸子のテンションはアゲアゲである。そしてそれは俺も例外ではなく、叫びはしなかったものの心中穏やかではない

 

「な、なあ晴明……俺信じられないよ……」

 

 そしてそれは、織斑も一緒だったようだ。俺はゆっくりと、織斑と目を見合わせた。

 

「ああ、スゲエよ織斑。いたんだな……」

 

「ああ、ホントに……」

 

 

 

 

 

「男の娘っていたんだな!」

 

「ああ! なんだかチュパカブラを見つけた気分だぜ!」

 

「ちゅ、チュパカブラ!?」

 

 俺たちの声が聞こえてたのか、予想外の呼び方をされびっくりしているシャルルくん。でも許してほしい。そのレベルで観測し得なかった希少種なんだキミは。

 

「み、皆さんお静かに……まだ自己紹介は終わってませんから~」

 

 山田先生の声で俺たちは我に返った。そう言えばまだいたな。

 

「騒ぐな静かにしろ」

 

 織斑先生の鶴の一声で、一気に静かになる教室。それを確認し、織斑先生はもう1人の転校生に自己紹介を促した。

 

「……挨拶をしろ、ラウラ」

 

「はい、教官」

 

 そういって佇まいを直す転校生。ラウラと呼ばれたその人は小柄な少女で、おおざっぱな印象を受ける銀髪ロングに、中学2年生が好んでつけそうな眼帯を付けていた。あれで褐色肌だったら個人的にストライクゾーンでした。かしこ

 

「ここでは織斑先生と呼べ」

 

「了解しました……ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

 そして口を閉ざす少女。先程の言葉づかいから、恐らく織斑先生の知り合いだろう。

 

「……え、ええと、以上……ですか?」

 

「以上だ」

 

 そう言ってツンとした態度をとるラウラさん。あららら、山田先生泣きそう。あの人よく泣きそうになるな。大体は俺と織斑のせいだけど。

 

 

 と思っていると、ラウラさんは織斑と目が合った途端、急に険しい顔をした

 

「!……貴様がッ」

 

 なんだなんだと思いながらも、ラウラはずんずんと織斑の方へ向かっていく。

 すると突然……

 

 

 

 

 

 

 

 バシャンッという音が……

 

 

 

 

 

 

「…………?」

 

 織斑が何が起きたかわからないという顔をしていた。俺もわからない。多分クラス中の誰もわからない

 ……状況を整理しよう

 

 

 

 

 

 

 織斑は今、ショコラをぶっかけられた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……もう一度言おう、ショコラをぶっかけられた。何言ってんのかわかんない? だから俺もわかんないんだってば

 

 

 

「……私は認めない。貴様があの人の弟であるなど、認めるものか……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そのショコラが熱くなかったのを幸いに思え!!」

 

「大変だ織斑、俺よりアホだソイツ」

 

「うんだと思う。というかお前アホだって自覚あったんだな」

 

「無視をするな貴様!」

 

 

 ……なんか面白い人が来たなあ

 

 

 




副官仕込みのショコラ投げ
どこに持ってたんだろうか

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