オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版)   作:ぐにょり

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94 サクラメント

クリスマスが過ぎれば当然の如く大晦日が来て、正月を終えればもうセンター試験。

初夢で昭和の仮面の戦士達とBADANを相手に仲良く共闘(たぶん)したり、間に起きた面白いことといえばその程度。

センター試験は恙無く終了し、個別試験まではしばし間が開く。

だが特別やることが変わるわけではない。

予習復習はいつも通り。

身体操術を確認する為の運動もいつも通り。

表向きの顔でやるのはこの程度の事。

 

戦士としてやるべき事は、今年はあと一つの事柄を残すばかり。

王の始末。

これはもう自分でやるしかない。

誰が、というのはもう分っている。

先延ばしにしているのだって、実際は受験の方を優先しているだけの話で、後はもう、スイッチ一つどころか、俺は指示を一つ出すだけで、或いは少し念動力を使うだけで、王の器は王を宿す条件を満たす事になるだろう。

三月の終わり。

それまでが、王の器が人間として、親御さんと一緒に生きる楽しい時間だ。

こればっかりは仕方がない。

 

恐らく、王は倒せない存在ではないのだろう。

三本のベルト、その変身後の姿は王の姿を模しているという。

つまりかつて王の姿が観測された事があり、その王が現存していない以上、寿命か他殺かは知らないが、王は完全無欠の不死の存在ではない事を表している。

まぁ、オルフェノクが不完全なマラークである、というのなら、その親玉もせいぜいがエル程度。

もしかすれば殺されない限りは不死なのかもしれないが……。

天使程度であれば、人間でも殺す事が可能なのがこの世界。

それが現実。

 

だが。

万が一、という事もある。

そもそも育つまでにオルフェノクを餌として食らうというのも頂けない。

アギト化した個体が対象外になるかわからない以上、ジルやグジル、いにゅいの安全を考えれば殺しておくに越したことはない。

 

餌は既に確保してある。

スマブレを襲撃した時に開きにした無数のスマブレ社員の幾らかをアギト化せず、オルフェノクのまま延命処置を施して残してあるのだ。

どういう個体を好んで食べるのか分からなかったので、どれが美味しそうに感じるかというのをロードインパルスに確認させ、厳選した個体を残してある。

選ばせるだけ選ばせてお預けをしてしまったロードインパルスにはD&Pの幹部職員が一人になったところを見計らって捕獲、食べやすいように手足をもいでから与えたので、機嫌を損ねた様子はない。

まぁ、光のエルの力の欠片を与えた時点で擬似ミラモンというよりもエルロード寄りの存在になっているので実は食事は必要ないのだけれど。

 

食いでがある方が良いと思ったので、骨格、関節、筋肉、神経などを動けない用に弄りながら、モーフィングパワーによる傷の修復の応用で質量を増やしてある、とびきりの食用オルフェノクだ。

手足も無く目も耳も鼻も無い、胃袋に直結するただの穴としての口を残してあるだけの、身じろぎすらできない無為な筋肉と骨、皮の塊は、王を太らす為の餌としては中々に効率的な作りだ。

オスメス揃っているので卵子と精子を取り出すことには成功しているのだが、これを受精させて可食部が多くなるまで育てるには時間が掛かるので今回は捕獲したものをそのまま食べさせる事にした。

現在は胃ろうで栄養剤を流し込み適切な健康状態を保たせている。

少なくとも、知る限りで王が肉にサシの入ったオルフェノクしか食べない、という描写が無い為の処置だ。

単純に脂たっぷりにしたいのならビールの一つも嫌というほど飲ませてあげられるのだが、やむなし。

これで食べなかったらどうしよう、という不安はあるが、その時は王が食事の為に器を動かしている時に念動力で中身だけ引っこ抜けるかどうか試してみるしかない。

 

大体の出来事が順調に進んでいる。

スマブレを潰したからか、野良で人間を襲うオルフェノクも比較的少なくなった様な気もする。

平和であることは良いことだ。

 

赤心寺地下秘密基地から非常事態を知らせる通知が届いたのは、そんな事を考えながら微睡んでいた、ある昼下がりの事だった。

 

―――――――――――――――――――

 

少しぶりにやってきたアジト。

赤心寺経由で行くためのエレベーターは現在緊急停止されている為に使えず、やむなく空間転移で乗り込んだ先は、中々の惨状だった。

並のミラモン、並のオルフェノクならサシで潰せる膂力と強度、生中な戦士なら殺さずに捕縛すら可能な優れた戦闘向けAIを搭載した警備用ジェスターやパラポーン・センチネルが無残な残骸となって転がり、アーメタル配合の特殊合金で作られた通路は所々にクレーターができているではないか。

所々に壁を溶解させようとした痕もあるが……。

遠くに聞こえる戦闘音から想像するに、壁を焼き切る前に駆けつけた警備ロボに対処するために断念したのだろう。

 

溶け歪んだ強化ガラス越しに見えるのは無数のヘキサギアが稼動、非稼働問わず詰め込まれた巨大格納庫の一つ。

この通路をこんな有様にした犯人は、どうやらそこに追い込まれているらしい。

打撃音、金属音、発砲音の響く辺りは稼働中のヘキサギア、量産型のロードインパルス、ボルトレックス、ハイドストーム、etc. etc.といった具合に囲まれている。

内部では犯人と幾らかのパラポーン系、或いはジェスターなどが戯れているのだろう。

 

場所を犯人と警備を取り囲むヘキサギアの一体の背に移す。

遠くに聞こえていた戦闘音は近く大きく。

不思議なのは、使用される武器の中に殺傷度の高い物が存在しない事だろうか。

周囲のヘキサギアも、捕縛用、鎮圧用のゴム弾やネット弾などを装備したものが殆どだ。

 

「おや、おやおやおや」

 

面白い。

目の前、破壊活動の下手人と思しき相手が、三体のパラポーン・センチネルを相手に奮闘している。

取り囲むセンチネルはどれもが全身をエクスアーマーに包んだ装甲増強型で、武装は、両腕スパイラルクラッシャー、バリスティックシールドとスティック、二丁ウォーターアームズ。

取り囲まれている方はクラッシュマントを羽織り、手の中には両刃のユナイトソード。

冗談で作って倉庫に押し込んでいたものだが……周囲が少し歪んでいる。

 

熱を持っているな。

アギトの力か。

熱を操る、というのは源流に近い形で目覚めたアギトのスタンダードなタイプだが……明らかに扱い慣れていない。

刃物の使い方は理解しているようだが、長物を振り回すデータは無いのだろう。

アギトと言えば無我の境地による武道の達人の如き無駄のない戦い、というイメージがあるが、あんなものは素質のある人間がアギトになったからできるもので、戦闘訓練を行っていない普通の人間はアギトの力に振り回されるのが当たり前だ。

もしも意図的にアギトを作り出すのならば、きちんと戦闘訓練を積んだ警察官か軍人、或いは武人の類を使うのが良いだろう。

弱者を殺す手段しか知らない殺人犯の死刑囚に力を与えるようではダメだ。

対してあの下手人、少女は……どちらにも当てはまらない。

本能で動くタイプ、しかし、暴力への忌避感は無い。

 

マントの少女がユナイトソードを力任せに振るう。

センチネルの一体が斜めに構えたシールドでそれをいなし、それをもう一体のセンチネルがスパイラルクラッシャーの三本爪で捕まえる。

少女の膂力が如何ほどかはわからないが、クリアの三本爪が見る見るうちに赤熱していくのだけは分かる。

通常金属であれば溶解しているところだが、熱源であるらしいユナイトソードは刃が赤熱こそしているものの、形を崩す気配も無い。

ぐん、と、押し込むのではなく柄を引っこ抜く用に引っ張る少女。

両腕をスパイラルクラッシャーに換装したセンチネルが持ち上げられる。

だが、その少女の身体、足元目掛けてウォーターアームズから二種の液体が吹きかけられた。

ちょっと特殊な薬液とその硬化剤だ。

タイヤなどに時間差でかける事で走行中の車程度なら止める事もできるスグレモノだが……。

 

半透明だった液体が白く染まりながら、ぱきぱきと硬化していく。

とっさにそれを砕こうと身体を動かし、そのせいか変な姿勢で固まっていく少女。

しかし、驚異的な膂力か、或いは身体から高熱でも発しているのか、身体に纏わり付くそれを力づくで砕いていく。

追い硬化薬をかけるも、今度は明らかに少女の身体から吹き出した熱波により軌道を逸らされて身体に当たらない。

 

が、少女の意識はこの時点でウォーターアームズを構えたセンチネルに向いてしまっている。

すかさず、ユナイトソードを跳ね上げたセンチネルが片手に構えていた短めのスティックを少女に押し当てる。

パラポーン・センチネルを含む全てのヘキサギアに標準的に搭載されているインフィニティ・パワーユニットから獲得したエネルギーを電気へ変換して、掌のコネクタ経由で武器へと流し、それを効率的に相手に伝える。

あのバリスティックシールドとセットで用意しているスティックは電磁警棒だ。

 

「あああああああああ!!」

 

聞き慣れた声で紡がれる絶叫。

ばりばりと、通常のスタンガンでは鳴ってはいけないレベルの放電音。

一応、頑丈な生き物ならば死なない程度の威力ではあるのだが……。

アギトに効くか? と言われると難しい。

純正のアギトで実験に使っても良い個体が居ないので、其処らへんは正確に計測した訳ではないのだ。

だがしかし、マントの少女は叫び声と共に肉の焼ける香ばしい美味しそうな匂いを上げながら、ユナイトソードを取り落した。

すかさずスパイラルクラッシャーの三本爪がそれを掴み上げ、遠く背後に放り投げる。

 

「はい、そこまで」

 

俺がそう言うと、三体のセンチネルも、周囲を取り囲むゾアテックモードのヘキサギア達も道を開ける。

どこからか見つけてきたマント(というより布切れか)を纏ったまま倒れ伏す少女。

少し距離を取ったまま念動力で掴み上げ、焼けた肉体を修復し、素速く拘束用デッキを装着。

少女の肉体は膝をつき両腕を左右に伸ばした状態のまま、アーメタルの塊に包まれていく。

拘束用デッキに限らず俺謹製のデッキは変身時の装甲と同じアーメタルで作られた外装を持つ為生半可な力では破壊できないし、拘束用デッキは外部から専用の機器を接続し暗証番号を入力しなければ外す事もできない。

仮に念動力に目覚めたとしても、この暗証番号を入力するには少し精密な動きが必要な為、この拘束が即座に解かれる事は無いだろう。

この瞬間に俺と同じくらいの膂力を獲得でもしなければ、の話だが……。

流石に、そういうレベルのイレギュラーではない。

 

「う、う……」

 

肉体の損傷を直した為か、意外と早く目が覚めたようだ。

色素の薄い茶髪を短く揃えた、優しげな造形の顔。

しかし、その顔は険しそうに顰められている。

 

「気分は如何かな」

 

声に反応し、顔を上げる少女。

 

「お、お前は……?」

 

「俺はこの施設のオーナーで管理者。君の作戦目的とIDは?」

 

「わたし……わたしの、名前は……、いま、ここに、無い」

 

ふむ。

 

「では何処にあるかはわかるかな?」

 

「ここにはない。だから、取りにいかないと」

 

「それが君の目的か」

 

「そう、でも……違う」

 

「では、君は名前を、自分を取り戻した上で、何か別にやりたいことがある、そういう事だね?」

 

「わからない……。だから、わかるように、ならなければ」

 

ぽつりぽつりと言葉を紡ぐ少女。

 

「そういうことなら、俺は君の目的の助けになれるかもしれない」

 

「なに?」

 

「君が何かを探すというのなら、そんな着の身着のままでは不味いだろうし、丸腰というのも問題が有る」

 

「そうなのか」

 

問い返しでなく納得。

疑う様な言葉でなく、純粋に知らないが故の反応。

それもそうだ。

彼女のボディに、人間で言う脳髄に相当するパーツは無い。

故に、事前に学習していた記憶の殆どを参照する事もできないのだ。

まぁ、推測にしか過ぎないのだが、恐らくは残留する魂が経験した情報を元に動いているのだろう。

それ故、今の肉体に不足しているパーツを求めて動いている。

悪意があっての破壊活動ではないので、彼女の蛮行の全てを許そう。

 

「専用の武装、幾らかの着替えと、日常生活を補助してくれるサポートユニットも必要か」

 

これは、スマートブレイン製のベルトに搭載されていた小型の高性能演算装置とHDDでどうにかなる。

科学技術ではどうにもならかなった部分をモーフィングパワーでごまかしてさらなる小型化が可能なのだ。

チョーカー型にして、髪を少し伸ばして、うなじの辺りにユニット本体を隠してしまえば……。

 

「なぜだ」

 

「うん?」

 

「わたしは、そこまでくわしくないが。……自分のもちものを壊されたら、もっと、怒るのではないか、普通は」

 

「人それぞれだよ」

 

「そうなのか?」

 

「そうなのだ、それに……」

 

こちらを見上げながら唯一稼動が許された首を傾げる少女の髪に触れる。

薄い茶髪は一瞬にして銀に近い白髪に染まり、ショートカットだった長さはセミロング程度にまで伸びた。

これだけでも印象は変わるだろう。

 

「今日は君の誕生日。贈り物をするのは当然の事なのさ」

 

「誕生日……」

 

言われた言葉をオウム返しに呟く様は、悩んでいるというよりも言われた言葉を頭に染み込ませている様でもある。

ああ、プレゼント、と言えば。

 

「まずは、最初の贈り物、君に名前をあげよう」

 

「名前、わたしの名前は……」

 

「いつか本当の名前を取り戻すまでの仮のものだよ。現代社会だと、名前が無いのは不便だからね」

 

「なるほど」

 

当然、与える武装に見合った名前にする。

これはもう一種の伝統の様なものだ。

この少女の名前は……。

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

などという事があった日から一ヶ月、二ヶ月と経過し。

無事に二次試験も終わりを迎えた。

 

「春から東京に引っ越す事になるのだけれど」

 

馴染みのバイト先……ではなく、半ばいにゅいの自宅と化していた轟雷の部屋にて。

 

「お前、東京住みって言ってなかったか?」

 

「普通に考えてみ? 個人経営の店のバイトの履歴書にホントの事なんて書くわけないじゃん。何に使われるかわかったもんじゃないのに」

 

「店長はそういう事しないだろ」

 

「店長は店の資金もしっかり管理できない人だから。バイトに変なのが居たらそいつに盗まれるかもしれない」

 

「あぁ……まぁ、そうだな」

 

なんとなく納得した、という顔で曖昧に頷くいにゅい。

まぁ今最もお店の会計を狂わせているのはシロとクロなのだけれども、あの二人には店を穏便に潰すようにしか指示を出していないので、履歴書などを盗む事は無いのでご安心だ。

 

「でも悪いな。俺、しばらく東京から離れようと思うんだ」

 

「バイクで日本一周でもするの?」

 

「日本一周か、それもいいかもな」

 

そう言って笑ういにゅい。

しかし、その笑みも何処か空虚だ。

全ての試練を乗り越えて自分の夢を見つけた時の様な晴れやかな笑顔ではない。

してはいけない事は分っても、何をすれば良いかは知らないいにゅいは、結局の所、ほんの半年程度の思い出を想起させるような場所から離れる事を選んだのか。

或いは、多少なり前向きに全国のパワースポットでも巡って轟雷の魂の復活を早めるつもりなのか。

まぁ、確かにフリーエネルギーでアギトの力の進化が早まるのが実証された以上、自然から力を分けてもらう旅というのは悪くない選択肢かもしれない。

 

「まぁ、何処に行くにしてもいいけどさ。連絡は取れる訳だし」

 

「あんま変な事で連絡入れてくんなよ」

 

「いやだっ!」

 

「お前な……」

 

即答してやると、いにゅいは悩ましげにこめかみに指を当てた。

というか、前向きでない理由で全国放浪とかしたら下手をすると心が病みかねない。

適当に気分が緩くなるようなどうしようもない話を振ってツッコミをさせて精神をある程度安定させておく必要はあるだろう。

 

「どうしても嫌ってんなら無視してくれても構わないけど……重要な連絡とかもあるじゃん?」

 

「……それは、そうだな」

 

「そういう時の為に」

 

ごと、と、ちゃぶ台の上に問題の品を置く。

 

「なんだコレ」

 

「衛星携帯。基本、どこに居てもつながるものと思ってくれればいい」

 

まぁ、衛星は最早俺の個人所有のものなのだけど。

いにゅいはごつめの携帯を手に取ると、その一部だけが持ち上がった。

いにゅいがこちらを見つめている。

目の前でマジックにより餌を消された柴犬の様な顔をされている。

ウケる。

 

「下のは充電器みたいなものだから安心して」

 

「なんだ……脅かすなよ」

 

勝手に驚いただけなんだよなぁ……。

 

「ま、詳しい事は後で説明書見てくれれば分かるけど」

 

貸してみ、と、いにゅいの手から携帯を取り、少し変形させ、1、0、3。

窓を開けて、空に銃口を向け、トリガーを引く。

ご、という音と共にエネルギー弾が空目掛けて飛んでいき、上空に浮かぶ雲に少しだけ穴を開けた。

ヒューッ!

グルーヴィー……。

振り返り、唖然とした表情のいにゅいに携帯──改良型ファイズフォンを投げ返す。

 

「これ、護身用ね」

 

「使えるか馬鹿!」

 

「馬鹿じゃないですぅ~。春から城南大学の一回生ですぅ~」

 

頭脳マウントをしたら頭を引っ叩かれた。

魔石によって最適に保たれた俺の偽りの天才頭脳(最適化した努力の賜物)がどうにかなったらどうするんだ。

もしかしたら人類にとって多大な損失になるかもしれないじゃないか。

だから止めるんだ、GO! 消してはならない! GO!

 

「まぁ今のは大砲みたいなもんだけど、連発式にすればちょっと威力の高い銃くらいなもんだから」

 

象とかに撃つと血霞になって跡形も残らない程度の威力に絞る事ができるスグレモノだ。

弾丸にはアギトの力を変換したフォトンブラッドを使用している為、魔化魍に撃っても穢ごと焼き払えるからオススメだぞ。

これは革命では?

 

「お前、銃刀法って知ってるか?」

 

「その手の法律の本は(抜け道を探す為に)何度も熟読したよ」

 

結果的にどんな違反をしようとバレなきゃいいという結論に落ち着いたけど。

とりあえず、いにゅいが拾わないままのファイズフォンを拾い、充電器のようなもの……ベルト部分を展開型にした小型ファイズドライバーにセットして、指差す。

 

「詳しいことは説明書にあるが……これを身に着けておけば、いにゅい、君はそうそう死ななくなる。その程度の性能は確実に保証できるし……逆に、このベルトを紛失した場合」

 

「場合?」

 

「──源内轟雷は、二度と目覚めない」

 

「……」

 

いにゅいが睨みつけてくる。

明らかな怒りの混じった表情。

言い訳をするように、両手のひらを前に突き出し、説明する。

 

「逆説的に、という話でね。そのデバイスには轟雷の記憶を司るチップを埋め込んである」

 

これもまた、フリーエネルギーを循環させたリアクターに放り込んでいたものだ。

これを、内部構造に少し手を加えたドライバーに組み込む事で、連鎖的に内部に封印されていたオルフェノクの魂をアギト化する事に成功した。

火力を上げるだけで倒せるオルフェノクへのアンチシステムでしか無かったファイズギアは今や、複数のアギトの力を超高濃度フォトンブラッドとして純粋火力に変換できる、超戦闘ユニットと化したのだ!

その名も、ファイズギア・G(仮)!

 

「実際問題、君が死んだ時点でこの頭脳を司るチップは無機質な記録でしか無くなってしまい、やはり轟雷は復活できない。それならば、頑丈なユニットに組み込んで、同じ場所に保管しておいた方が安全だろうという処置さ。合理的だろう?」

 

「……そっちで保管しとくんじゃダメなのかよ」

 

「ダメだ。……まぁ、これは安全性を最重視した観点の答えではないのだけど」

 

魂がいにゅいと共にありたいと願っているなら、このまともに動かない頭脳もまた同じことを望むんじゃないかと思ってね。

そう告げてしまえば、いにゅいはそれ以上反駁する事も無く、ファイズギアを手に取り、懐に仕舞った。

つけ心地も改善したから、普段から装着していてもらっても構わないのだけど。

そう考えつつも口にせず黙っていると、いにゅいは小さく、ありがとな、と、口にした。

 

「ふふん」

 

いや、いや。

お礼を言いたいのはこちらの方だ。

君達コンビは、よくよく俺に新しい知見を与えてくれる。

それに、全国を放浪する、というのなら、いにゅいの中の魂と不完全な脳チップを狙う追手もそうそう追いつく事は無いだろう。

そして、追手から逃げる為、追手に殺されない為の戦いはいにゅいの中の轟雷の、アギトの力を加速度的に成長させる筈だ。

全く、不便で障害だらけの世の中ではあるが、こうしてスムーズに事が運ぶ場合もあるのだから、不思議なものである。

 

 

 

 

 

 

 

 






マッチポンプ系主人公を書くのは最高に気持ちええんじゃ!


☆この後、進捗を確かめに元バイト先に向かったくろまく~
如何にも流行っていない店の地味な扉を開けると、見知った灰色の髪の少女が、メイド服の上から魔女帽子を被ってカウンターに座っていた
ア「マスター、占いの結果、あなたは地獄に落ちます」
ン「(この世が地獄みたいなものだから)もう落ちてるんだよなぁ……占い師さん、シロとクロは?」
ホ「その内容で占うなら、コーヒー一杯という所だ」
ン「あんまり繁盛させないでよ?」
ア「本日、最初のお客様はマスターです」
ホ「この店は年内に潰れる。俺の占いは当たるからな」
ア「バディが来店した客に初手で不躾な占いをぶつけるので、最近は気味悪がって客入りが減りつつあります」
ン「(占いが)当たるんじゃなくて当ててんのか……」
イケメン占い師が居る喫茶店とか現代なら流行るかもしれないけど、そういうコンセプトのお店でも無ければ現代ほど口コミが広がりにくい時期なので単純に常連が離れつつあるぞ!
このお店を乗っ取らせると少し破滅の未来が遠のいたりするのかもしれない
有能地上げ師、手塚!

☆地下アジトを襲撃していた謎の少女
一体何雷のボディなんだ……
ワンチャン起動待ちの迅雷のボディという説もある
魂抜きチップ抜き轟雷ボディを入れてフリーエネルギーを循環させてたオメガリアクターは内側から破壊されていたけどな
俺の名前は工藤新一、意識のない筈の被検体が謎水槽を内側から破って脱走、武器を奪取して謎の秘密基地から脱出するために大暴れするも、基地を守る精鋭に取り押さえられてラスボスっぽい奴に引き合わされて、条件付きで外に出る事になる系の展開が大好きなしがないSS書きだ
ある日にゃんこ大戦争をプレイしながら幼馴染キャラの少年漫画と少女漫画での扱いの正反対さについて(少年漫画だと負けヒロイン率が高いが少女漫画だと勝ちの確率が高い)思いを馳せていると、背後から近づく次の出勤日に気づかなかった
俺は迫る次の出勤日にストレスを増やされ、目が覚めると次のスケベSSのアイディアを思いついてしまっていた!
無論ぐにょりは工藤新一ではない
きっと元太君が工藤新一の正体ですよ(ピカチュウ)
あと元太ってだけ入力してグーグル画像検索すると元太がネット上でどんな扱いを受けてるかが一発で分って草
全く関係ないけど轟雷のバリエーションFAG出すならウェアウルフ・スペクターも出してよとは思う
武装追加で行けるとは思うんだけどね……
実際検索すると作例が結構出てくる
全身装甲にしてFAGじゃなくてFAの方を戦闘形態にするかは悩むところ
とりあえず仮面キャラという事だけは決まっている

☆秘密基地を守る機能もAIも製造当時とは比べ物にならない程に洗練されたパラポーン・センチネル達
残骸が撒き散らされてたけど、捕縛でなく殺すつもりでやっていれば実はさしたる犠牲も出ずに仕事が出来た
けどこいつらと違ってあのボディは替えの無いやつだからね、仕方ないね
センチネル以外のバリエーションは存在するし、なんならパラポーンではないユニットもこの世界では普通に同一のバリエーションとして製造されているが、浅い階層であった為、最も量産が容易いコイツラしか居なかった
偶に赤心寺の組み手に貸し出されてるぞ!

☆木人拳の未来版みたいでいいよねと内心思っている表面上平静を保っている赤心寺の兄弟子達
如何にもメカメカしい相手に鼻の穴がピスピス開いて興奮してるのを隠せてないので師範からはバレバレだゾ
とはいえ師範も師範で人型で人間を超えた動きと頑丈さを持つ壊しても良い組み手の相手という事で割と楽しんでいる
結果的に、仮にSPIRITSと同じ状況に陥っても犠牲者の数は比べ物にならなくなるほど練度が上がりつつある
剣の時に万が一ダークローチが大量発生しても青森は無事なんじゃねーかなぁ

☆オルフェノク(畜産)
王への給餌の為に改造された個体が幾らか育成されている
マンアフターマンの食糧生産人間みたいなもん
床ずれで腐らないのはオルフェノク特有の頑丈な外皮があるからなんやで工藤!
これが大阪の科学力や!(冤罪)



何を書けばいいかわからない時は何かを書くと一話完成するのだ
そういう訳で話が多少進んだ
今後あとがきとかで全国を放浪するいにゅいとそれに追いついたり追いつけなかったりする追手の少女との戦闘とかが書かれるかもしれない
名前は其処で出るかなぁ
スペクターはデーブが居るのでそのまま名字でいいとして
ウェアウルフ、という単語をどう弄っても女性名にできなさそう
銀髪セミロングにしたからジンの兄貴から取って、女性名にしてジニーというのもありかもしれない
まぁ変身中の名前はウェアウルフ・スペクターで決まりだし、最初に名乗るのはそれになると思うのですが
それはそれとして次回は卒業式を軽く書いて
その後はたぶん王の器にちょっかいをかけると思います
考えてみればオルフェノクの王が宿るような子供を生んだとなればそれはすなわち罪ありきなのでは?(enzikn)
オルフェノクの王が宿るような子供はそれだけで罪だし(誕生罪及び生存罪)
運良く偶然火災なり災害なりで両親だけ死ぬとかそういうご都合主義はいかんしね
未来を見据えて主人公にはきっちり手を汚して貰わなければならないと思うのです

そして各話の投稿日を見て下さい!
主人公が中学卒業したのが二年前の三月!
そして高校卒業したのが多分次の話なので!
作中時間三年のところを二年で投稿できましたよ!
これなら、一期十年分の話を投稿するのに………………?
??????????????????????????
思ったより長い……
仮に二期もやるとして、二期終わる頃に令和終わってる説ありますよこれ
まぁ短く済む年も結構あると思うので!
電王とかは短くせざるを得ないだろうし……過去編とか絡まなければ
キバ編は逆に事前に全員敵を殺しておいても特に問題無いっちゃ無いんですよね
共存するって方向に向かうだろうけど、生きていないといけないほどの連中でもないし
いろんな問題は未来の我々の智慧に託しましょう!
ちなみに久米田先生のかくしごとは最終巻まで全部アニメ化するって主人公の声優の人がインタビューでおもらししていたのでワクワクしますね!
最新刊でも現代編の状況が動きそうで大団円が近づいてきた気がします!
ていうか二本に一本打ち切られるって統計が取れるくらい何度も連載してる漫画家って普通に売れっ子の類ですよね……逆説的に二本に一本は打ち切られずに円満完結なわけですし
そういう訳で、次回も気長にお待ち下さい

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