オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版)   作:ぐにょり

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92 高度な兵器の維持コスト

世の中、安易に求められるものというのは一つの形に収束しやすい。

使いやすくて高性能。

メンテナンスなんて無ければ無い程良く、それでいて誤作動など起きようもないのが望ましい。

安く調達できればなお良い。

より長く使い続けられるならもっと良い。

 

が、世の中はうまく出来ているもので、そういう歪なものは中々に存在できない。

 

昭和の時代から存在し続けている仮面の戦士などを見ても顕著だ。

最後発であるゼクロス……は、改造残しも無くほぼ最後発の悪の秘密結社の技術が注ぎ込まれているので除外するとして。

純正の人類側の技術で作られたインチキの無い科学の結晶であるスーパー1などは、その恐るべき性能のバランスを取るかの様に、定期的なチェック、メンテナンスが必要となる。

なんとなれば内部機械のメンテナンスの為に専用の装置すら必要になるというもの。

これは元が宇宙開発用だから、稼働時には十全なバックアップがある事を前提とした作りなのかもしれない。

仮に地球近郊……月辺りまでだろうか。

そこを超えて他の惑星の開発などに投入される後継機が作られたとすれば、もっと機能を複数体に割り当てて性能を落とし、耐久性を上げた物が作られたのではないだろうか。

 

他の機械系の改造を施された連中は本人が天才だったり科学者の息子だったりするので自力でメンテナンスが可能なのかもしれない。

或いは、ライダー同士である程度のコミュニティが出来上がっているので、纏めてメンテナンスなどを定期的に行っているか。

悪の組織との戦いの中でメンテナンス用の資材や資金などを揃えるなら、やはり壊滅させた組織からごそっと強奪などができるとして。

その奪った資材を保管する役目なども、各ライダーのおやっさんなどが請け負っているのかもしれない。

当時に少年少女だったライダー隊の子供達も、おやっさんの薫陶などを受けてそういう仕事ができる立派な大人になっているだろう。

或いはライダーのメンテナンスなどができる技術系のメンバーなども産まれている可能性がある。

そういう意味では、彼等は既に孤独なヒーローではなく、小規模な戦隊、いや、()()()()()()()とでも言うべき存在なのかもしれない。

 

実のところを言えば、俺はその点で非常に有利な条件が揃っている。

極まったモーフィングパワーを運用すれば、ほぼ無から資材を用意できる。

或いは元となる資材が用意できれば更に負担なく戦力を作り出せるのだ。

今、俺の元で主戦力として運用しているヘキサギアなどが最たるもので、いざという時の為に大量に製造してはミラーワールドや赤心寺地下秘密基地内部格納庫などに収めているが、周囲に地面も壁も無い、或いはモーフィングパワーが通らない特殊な素材しか無い状況で無ければ、それこそ使い捨ての戦闘員の如く無数に、それも一瞬で作り出す事ができる。

 

無論、これは俺の認識が、そしてモーフィングパワーが届く範囲での話になるが……。

一つの都市程度であれば、去年のテオスによるマラークの群れ、或いは同年始めに起きていたらしい無数のグロンギオルフェノクによる襲撃などが起きても、さほど犠牲を出さずに鎮圧が可能だ。

鎮圧できる自信がある、という訳ではなく、純然たる事実として鎮圧が可能だ。

その程度ならばインスタントに戦力を作り出す事ができる。

プロトアークルとそれを用いた幾つかの戦い、アギトに目覚めてからの研鑽、簒奪したテオスの力の一部、自衛隊に技術を提供していたスマートブレイン、そしてこの時代に産まれた不世出の天才であり幾つもの時代にそぐわない科学技術を提供してくれた神崎士郎、テオスの力の運用に際して大いに参考にできた神崎優衣には感謝してもしきれない。

 

だが、やはり全てが全てローコストとはいかないのが悲しいところだ。

例えばヘキサギアは単純に決まった敵を駆除するには適しているが、複雑な思考をさせる事はできない。

それを統率し組織だった運用を、チームプレイをさせようとした場合、特別な材料を用いて作った特別な個体が必要となる。

 

まず最初に作られたのが、俺の契約モンスターであるロードインパルスだ。

最も、これは契約モンスターを作る上で性能を上げた結果としてヘキサギアの戦術的運用が可能になったというだけであり、最初からそういう方向性で作ったという訳ではない。

ヘキサギアの統率用個体、指揮官機として、ロードインパルスなどをモデルにヘキサギア改めゾイドが出来た。

無論、ゾイドコアを使用している訳でもなく、何らかの英単語を組み合わせた結果偶然ゾイドという名称になった訳ではない。

特別な材料を用いて作ったコアを搭載し、それ故の高性能さから、同じくコアを持つゾイドに準えて名前をつけたに過ぎない。

この特別な材料こそ、アギトの力だ。

 

実際のところ、現存するヘキサギア全てにアギトの力を注ぎ込む、というだけであれば、俺の中にあるテオスの力だけで済んでしまう。

が、それをすると、再び俺の中のアギトの力が進化をするまで、一時的にパワーダウンしてしまう事になる。

自分よりも弱い配下を量産する為に自分が弱体化して、その間に負けて死んでしまうのは笑い話にもならない為、これを調達するために色々と苦心をしている訳だ。

 

或いは襲いかかってきた野良の、或いは元スマブレのオルフェノクを捕獲してのアギト化からのモジュール化。

或いは産婦人科に監視を付けて、産まれる事を親から望まれずに廃棄されてしまった人命を回収しアギト化して新たな生を与える方法(柔らかく言っているが勿論倫理的にも法的にもアウトだ。バレなければ問題はないが)などがある。

 

思うに、これからオルフェノクを用いたアギトの力の量産は難しくなるだろう。

それこそ人間社会に潜伏したオルフェノクなどを用いればどうにかなるかもしれないが、力を隠して普通の人間として生活している個体の人生を脅かすのは本意ではない。

非人道的な扱いをして心が傷まないのは、相手が非人道的な行為を行う、心まで怪物になってしまった個体だからなのだ。

 

では人間の魂を用いたものはどうか、というと、これも現状では数を揃えるのが難しい。

やろうと思えば年間万単位で回収できるかもしれないが、ばれないように慎重に採取を続けていく事を考えれば、無闇矢鱈と増やせるものでもない。

それでも大きめの産婦人科にヘキサギアを貼り付けておけば、日に数体分は確保できるのだが。

 

それでも、数に限りが有る、というのは疑いようのない話だ。

そもそもの話、万が一の事を考えておけばこれは数を揃えられる内に揃えておくべき戦力だろう。

器こそ人間のそれではないが、人間の魂一つを確保できれば、その数だけアギトの、仮面ライダーの一種を一体、戦力としてカウントできるのだ。

 

そして、アギトの力の使い道はそれだけではない。

FAG。

フレームアームズ・ガール。

人間社会に紛れ込ませておける、情報収集と戦闘のどちらをも熟せる最新のユニットだ。

将来的にはアギトの力抜きでの運用を目指しているが、これもまた現状ではアギトの力によって演算装置その他の性能の足りていない技術に下駄を履かせる事で成立している。

簡単な情報収集であればヘキサギアやゾイドで鏡越しに集める事ができるが、人間の会話などからの情報を集めるのにも、とっさにミラーワールド側ではない世界で人間を庇うなどしようと思った場合にも、最初から人間に紛れ込めるこちらの方が適任だろう。

 

FAGの開発において苦心したのが、人間への擬態。

外見や運動能力という点で言えば人間型のミラーモンスターである神崎優衣から多くのデータが採取できていた為に問題は無いのだが、情動面となると話が違う。

ダイナミック・インテリジェンス・アーキテクチャの基本的な部分は知識として覚えていたのでなんとかなるが、これを動かすに足る演算装置はこの時代に存在せず、作れたとしても人間大の身体に搭載できるサイズには収まらない。

また、このシステムを運用するにあたっての問題点が、育成という点だ。

 

基本的にこのシステム、人間の子供を育てるのと手間としてはそう代わりが無い。

勿論夜泣きだの病気だのおむつの交換だの食事だのの手間が無いので赤子のそれとまるきり同じという訳ではないが……。

基本的に、狙った性格、人格を作るのは困難を極めると言っていい。

或いは完成した人格をコピーすれば大量生産は容易いが、画一的な考え方しかできなくなるので、どうしてもある程度のバリエーションは必要となる。

人間に紛れ込める人間らしさは、人間を育てる様にしてしか作れないというのが現状なのだ。

 

その点で言えばアーキテクトは無難に過ぎて、人間らしさという点で言えば未だ成長待ち、占い師さんのコミュ力に掛かっている。

次の轟雷は有る種奇跡の様な出来だった。

あれを肉体に収めるまでに教育したのは俺だが、自分自身、なぜあそこまで素直な人格を作れたか今以てわからない。

やはり子育てというのは、多くの手間を省いた形であっても難しいものだ。

 

そういう意味で言えば、後続連中の個性はまるで俺の人格から要素要素を抜き取った様な……、素直に俺を見て育ったのだなとよく分かる性格になっている。

攻撃的で自信家かつやや高慢なスティレット。

好奇心が旺盛で邪気は無く倫理観も無いけど小狡さはある現在封印中のバーゼラルド。

忍者がかっこいいのは当たり前な黒迅雷。

好きなものには入れ込んでしまう赤迅雷。

死を意識するから生を実感できるので戦うと元気になるフレスヴェルク。

FAGではなく、メガミデバイスという別種として試したラプターに関しては……実は特別な育て方をしているので一先ず置いておくとして。

 

「どう、博士ぇ? このパジャマ、ひらひら透けてて可愛いでしょう?」

 

「ちょっとこの時期だと寒いけれど、このレースの辺りが良いわよねぇ」

 

「それはなクロ、シロ。パジャマじゃ無くてネグリジェと言うんだ」

 

さしあたって、ベッドの上で膝立ちでネグリジェの裾をひらひらしているマテリア姉妹が俺の内面のどの辺りを見て育ったのか、という疑問も湧いてくるが。

鍛え始めた初期にパンイチで鏡の前で筋肉チェックをしていた頃が出てしまったか、或いは単純に俺の中のスケベ心が出てしまったのか、迷う所ではある。

人の物を我が物顔で自分のものとして掠め取って運用する辺りは良く似ているが、危険なラインを見極めて絶妙に立ち回る辺りは良く育ったものだと鼻が高い。

 

「だってぇ……」

 

ぷー、と、クロとシロが揃って頬を膨らませる。

 

「レストランまで用意していたのに、ホテルの方は取ってないなんて言うんですものぉ」

 

「あのタイミングであのレストラン入れたの、ただキャンセルあったとこを狙っただけだからな?」

 

まぁ、それでもこの時期の割にはレストランやらホテルに空きが多くあったのは事実だ。

未確認が現れるまで記録に残るような東京への大規模破壊は十年近く無かった。

その為、一年の始めと終わり辺りで二度も東京が大被害を受けた去年を鑑みて、今年は態々東京で過ごそうとする客が少なかったのだろう。

まぁ復興そのものは去年も終わりの頃には済んでいたので、もう一年も過ぎれば元の人入りが戻ってくるのだろうけれども。

 

「せっかく綺麗なお洋服を買ったのに、見せる場所を用意してくれないなんて、酷い親も居たものだわぁ」

 

「だからぁ、そんな気の利かない博士の為にぃ、こうしてパジャマパーティーを開いてあげたのよぉ?」

 

「パジャマパーティー」

 

部屋を見渡す。

二部屋ぶち抜きリフォームで広くなった部屋は、可愛らしい小物も増えつつあった轟雷の部屋とはまた違った女性らしさを匂わせる内装になっている。

一部屋分の風呂トイレ、キッチンも潰してある為に広さに余裕もある。

一番に目を引くのは大きな天蓋付きベッドだろうか。

当然普通に買うとクソ高い為、これを用意したのは俺だ。

枕が二つ並んでおり、普段はこれで二人一緒に眠っているらしい。

 

これがあるだけでも部屋の印象が固定されるが、何故か部屋の照明は薄暗く、やや赤み、桜色気味で、部屋全体の色調を如何わしいものへと変えている。

何より印象的なのは香りだろうか。

半機械の人造人間という実情とは別に、女の子だからいい匂いとかいうファンタジーではない。

現実として、何か香料が焚かれている。

 

「白檀か」

 

他にも色々と混ぜている様だがメインはそれだろう。

この時代でも買おうと思えばそこらで買える。

 

「良い香りでしょう? ローズでも良かったんだけどぉ……」

 

()()()が来る時に備えて、買っておいて良かったわ」

 

ベッドから降りてきたシロとクロが、身体を擦り付ける様に両腕に絡みついてくる。

体格差だけを考えればそれこそ、クロが言った様に親子に見えても可笑しくはないかもしれない。

 

「ね、お父様、そんな所に座っていないで」

 

「こっちで一緒に座りましょ」

 

「せっかくのパーティなんだから、もっとくっついて」

 

「泊まっていってくれるんですもの、それくらいは良いわよね?」

 

そうして、ぐいぐいと引っ張られ、広い部屋の中でも一際目につく天蓋付きベッドに引きずり込まれる。

抵抗しても良いのだが……。

抵抗したらしたで、こいつらが怪我をするのではないか、という力で引っ張られているので、下手に抵抗できない。

どうしたって肉体の強度でこいつらは俺より数段落ちる。

それを理解した上でやっているのだとすれば、半ば無理矢理になごみさんを押し倒した俺より、頭は余程回るのかもしれない。

 

―――――――――――――――――――

 

そういう訳で朝になった。

事前にグジルにメールで今日は泊まっていく旨を伝えたところ、

『義理の娘にまで手を出したとかマ?』

という返信が帰ってきたのだが、これはグジルが書いたと見るべきかジルが書いたと見るべきか……。

悩ましいところだ。

 

ベッドの上には半ば脱げたネグリジェを纏ったまますぅすぅと眠っているクロとシロ。

これも情操教育の一環という事で常識的な範囲での行いに留めた訳だが……。

 

つまるところ、これもまた優れた戦闘ユニットの維持に掛かる必要経費の一種だ。

役得ではないか、という意見もあるかもしれないが、これは偶然クロとシロの求める所が俺にとってさして害もないレクリエーションに留まる様な内容だったからに過ぎない。

これが、他にも幾つかボディを与えても大丈夫そうな個体の中で、こいつらを選んだ理由でもある。

これが例えばスティレットになれば単純に年頃の少女相当の人格が満足する程度に自尊心を満たしてやる為にあれこれと配慮しなければならなかった。

或いは黒迅雷であれば三重県や滋賀県に行って一日忍者体験に連れて行ってやらねばならなかったかもしれない。

或いは赤迅雷となると、もうその時点で好意の方向性を向けた相手の肉体の一部が必要になったかもしれない。

フレスヴェルクならばさらなる強化改修とか俺より強いやつに会いに行く系の報酬を用意してやらねばならず、バランス良く戦えるユニットを用意するのが手間だっただろう。

或いはバーゼラルドならば……どうなるか予想も付かないのでまず肉体を与えられない。

轟雷は社会見学とか社会体験がもうある意味報酬として成立するという、理想的な人格過ぎて逆に疑わしくなる奇跡的なものなのでカウントできない。

 

これは何も、俺が作っていて楽しい少女系人格ばかりを揃えたから発生した問題という訳ではない。

機械、或いは人造生命に自我を持たせた場合に必ずと言っていい程発生する必要経費というものだろう。

所謂、日本の古典SF漫画における最大の問題点、ロボットの人権、というものがこれに該当する。

労働力たるロボットの大半が高度なAIを搭載された結果、ロボット達が自分達にも権利と保証を、などと言い出して、最後にはロボットにも権利が認められてよかったね、という、非常に背筋も凍りつくような薄ら寒い結末にたどり着いてしまうのだが……。

この漫画には、人間よりもある意味では優れた、都合の良い存在であるロボットに権利を認めた結果、その後の人類はどんな立場になるか、という短編での続編が存在するのだが、それは一先ず置いておこう。

 

ロボット(ここでは労働力としての人造生命なども含むものとする)の良い所は、一度購入なり製造なりレンタルなどで所有権を手に入れてしまえば、それが正常に動作する為のメンテナンスや燃料、電力の補充などさえ行ってしまえば、給料や休暇などを与えずとも仕事をさせ続けられるという点にある。

例えば身近な家電などがこれにあたる。

イメージしやすいのがルンバなどの自動掃除機だろう。

しかもこれは充電器をコンセントに差し込んでおけば、充電器に戻ってきて充電するところまでは自分でやってくれるスグレモノだ。

家の自家製ルンバに至っては溜め込んだゴミをごみ袋に移し替えるところまではやってくれる。

 

で、これを更に高性能にして、吸い込んだゴミの分別、各曜日に決まったゴミを朝にゴミ捨て場まで持っていく様に、などと機能を追加していく過程で、面倒だからAIにやらせよう、となると、先の面倒な話に繋がってしまう訳だ。

最も、人類が余程のバカ揃いで無ければ、全ての機械類、全てのロボットに高度なAIを搭載しよう、なんて話にはならないのだけれど……。

マッド・サイエンティストの類いとなると話は別だ。

しかも無自覚型の連中などは始末に負えない。

良かれと思って無駄に高性能にした結果、人間では扱いきれなくなって、最終的には機械側から排除される、なんて話は枚挙に暇がない。

 

そういう意味で言えば、スマートブレインの技術開発陣は非常に賢明な連中が集まっていたのだろう。

オートバジン、サイドバッシャーを始め、高度なAIを搭載こそしているものの、それは自我や欲求の類が発生するレベルのものではない。

それでいて、学習を続ける事でそれなりに柔軟な判断を可能とする程度の性能は備えている。

便利さを損なわず、それでいて反逆などの危険性の少ない、極めてバランスの良い性能だ。

 

実のところを言えば、スマートブレインの技術を持ってすれば、かなりの高級品にはなるが、人間相当の思考能力を持つアンドロイドを作る事も可能だった筈だ。

もぬけの殻となったスマートブレイン関連施設に存在していた全てのデータを手中に収めている俺だからこそ断言できるが、少なくともスマートブレインは一度、その領域にまで技術を発展させているのだ。

その上で、その技術を一度形にした後に、必要最低限と思われる部分だけを残して破棄した。

 

そのためか、後に作られたオートバジン、搭載CPUは国防省にて使用されているスパコン並の処理能力を持ちながら、戦闘データを記録しているHDDは10TB程度の容量しか無い。

しかもこのCPU、オートバジンに搭載できるだけあり、非常に頑丈に作られている。

その上で拡張性も悪くない。

挙げ句、なぜ其処までと思う程に戦闘データの回収に執念を燃やしている。

 

オートバジンのそれと同種のHDDとCPUが搭載されているファイズドライバーに至っては、各部装置にはチタニウムなどのありふれた素材が使われているにも関わらず、HDDの保護にのみソルメタル228を使用した何重もの耐衝撃機構が搭載されており、なんと理屈の上では原爆クラスの衝撃を受けても内部のデータは破損しないという偏執的な仕様(原爆の直撃を受けたら放射能やら大量の電磁波でどうにかなる可能性の方が高いと思われるがそれは一先ず置いておく)となっている。

 

では、何故、其処まで内部の戦闘データを厳重に保護する必要があるのか。

無論その内部にこそ、王を守る三本のベルトの、重要かつ貴重なパーツが収められているからだ。

代えの効かない、ベルトの素材として適合した材料の()()とも呼べるものが。

 

ベルトには意思がある。

それ自体は後年の無数の自我ありベルトから見て珍しい話ではないが、これは少し話が違う。

それはベルト製造中に使用されていたゲントキシン溶液、そしてそれにベルトを浸す事で基準値に達したアルタードステート……変性意識状態という単語から見ても明らかだ。

 

性能面だけで見れば、副作用も込みで考えればクソの様な性能のベルト。

しかしこのベルトには、スマートブレインが歩んできた苦難の道程が、無数の未知の科学技術という形で集約されているのである。

ある意味で言えば、これこそがスマートブレインを滅ぼしてまで手に入れた技術の中で、最も価値のあるものなのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 





毎回毎回、次回は何々回ですと良いつつ大体次の話を書き終える時には完全に予告した内容からずれてるからセーフ
今回の話はベルトに関しての話の前フリなので555回と言えば555回
ぶっちゃけ次の話が思い浮かばない時に取り合えず書いてみるかって感じで作られた手癖回なのであんまりこの話に意味はないと思う
あとこの主人公からなんで轟雷みたいな子が産まれたんや、という感想があったので、そこから少し話を膨らませたかった
膨らんだかは秘密
SSもパン生地も膨らませるのって見てる分には簡単そうだけどやってみるとそんなに膨らまないもんだしね……

☆やることやりつつ避妊はしっかりしてたのに戦力を作る過程でまるで子持ちみたいな状況に陥りつつ有るやつ
ホントはえっちな話を書いてその中で相手にお父様と呼ばせたりしたいという話だったが
今回の話でアメストリスに潜むすげぇ厄介なお父様的な意味に落ち着いてしまった気がする
気がするだけだからまぁエアロ
この話を書いておく事で後でR18の方で双子感覚共有片方ガン攻め片方完全寸止め焦らしプレイを書きたくなった時に好きにできるという利点があった
エロ書こうと思ったら主観視点の一人称より三人称の方が書きやすいからこの話では導入部分すらカット

☆後で実は積極的に主人公を誘いたかった方が拘束されて、付き合い気分で一緒に誘ったもう片方がガンガンヤラれてる場面を見せつけられて感覚共有でいい感じに自分も気持ちよく成れるのに達することだけは出来ないみたいな焦らされ方をするマテリア姉妹
双子系キャラは最悪書き分けしなくても双子という個性で押せばええやんという思いがあったが
実際エロ書こうとなる段階になると役割分担を作ったほうが書きやすいという事実に気付く
二人で攻め攻めで行こうとした直後に片方拘束されて見てるだけ、片方攻め手が足りずに陥落、みたいな役割を作るとたぶん書きやすいからエロ書きたいポイントが溜まるまで待って欲しい
分身して同時攻めは……結局緩急が付かないと思うんですよね……
主人公の中のエロスを見て育った、戦闘データなども見た為に凶暴性も引き継いでいる
まぁ色欲やら強欲やら担当だと思われる
実は傲慢までは入っていない

☆未実装FAG達
各々育成の過程で主人公を見ながら育つので主人公の性格の一部を模倣して自らの性質としている、と、思われる
分類としては作中に書いたとおり
だいたい主人公の人格の悪い要素を受け継いでポジティブな形にして運用される
バーゼラルドのみ、主人公自身が自覚出来ている自分の極端に悪く他者に害になる部分が露骨に出ている為に封印処置を施されている、実質欠番扱い

☆メガミデバイス・SOLラプター
育成において主人公を教育係としているが、資料として主人公の知人を用いている
ラプターは泣き虫系のイメージだが、この場合の泣き虫要素は主人公の知人データを見て思い浮かんだ『この人報われ無さそうで可愛そう……』という部分からの同情由来の涙
本人は多分辛いことがあっても泣かないし真顔
たぶんアリス・ギア・アイギスの方でもっと触ってエピソード読めばそこから性格持ってこれるんだろうけど、メガミにしろFAGにせよマスターの数だけ人格があるという事で家ではそういう形
付属するフェイスパーツで泣き顔が印象的だけど実は真顔も印象的だから其処も個性として足した
教材になった人と対面するとその人の将来を想像してじんわりと泣き出してしまう
どういう人格か分からないホーネットとかロードランナーとかの要素も集約されいてるので表情は豊かになりそう

☆奇跡の子・轟雷
なんで産まれたか分からない奇跡の子
実際は主人公の中にある、この世界で活躍する、活躍した、活躍する筈だった人々への憧れ、尊敬、信頼、親しみなどをすごく巧みに読み取ってこんな人格になった
たぶん育成中に、この世界にはこういう凄い連中が居てだな……とか語ってしまったのを素直に受け止めてしまった
後のFAGにそれらが現れていないのは轟雷に語ったのを後に思い出して恥ずかしがり、その後に語る事が殆ど無くなってしまった為
ロールアウト直後にそういう感情を向ける先であるいにゅいと同じ職場に立たされる事により、主人公がいにゅいに向ける親しみ、そしてなぜ親しみを向けるのかを肌で感じて実感する事により方向性が完全に定まる
言わば主人公の心の奥底に封印されている恐らく今後表に出てくる機会の一切無い善性部分の化身のようなもの
手段を選べる立場にあれば、もっと状況に余裕があれば、主人公もこういう善性の振る舞いができていたかもしれない……という可能性の現れ
まぁそういう振る舞いはこの子が復活したら主人公の代わりにやってくれるので供養にはなると思われる
その他FAGが主人公のマイナス要素の化身であるのに対して唯一プラス要素の化身である為、出力が弱かったりしたのも死因なのかもしれない
まぁ謎パイプオルガンの音色と共に蘇ればパワーの弱さとか装甲の脆さとかは解決するからご安心めされよ

☆もらいもの!

【挿絵表示】

黒イクサ!
黒と言いつつ割と白いけどほら、プロの挿絵の人だって文章上の描写と絵で矛盾が合ったりするし
白い部分が有ったほうが返り血も目立ってビジュアル面でインパクト出るしね!
外伝が出番になるため本編では少なくなった返り血もいっぱい貰えるので白い装甲があるぶんには不自由しないのです!
赤い所はフォトンブラッドだそうな
衛星無しでフォトンブラッド使えるのという疑問あると思いますが、衛星から送られてくるのはあくまでスーツなので、フォトンブラッドの関連技術をイクサのスーツに搭載する事事態は不可能ではないと思われます
黒いボディに赤いラインがかっこいいのは世界の常識だから仕方ないね!
ナナス様が言うには血涙の執行者との事
本来の目的から離れてまだ人間に戻せるかもしれない怪人なども薙ぎ払うのに使われてしまうイクサのスーツが泣いている……と考えるとなるほどと言わざるを得ない


【挿絵表示】

反転カラー!
白装甲メインの中に黒が入って、金が冷たいイメージの青になるというのもまた悪役カラーぽくて良いですね!
これはこれで戦闘マシーンとして運用されそうで良いカラーと思います!
あと、手書きじゃなくてこう……絵を描く系のソフトとか導入されたのでしょうか
時代も進むものですね……
いやこのSS書き始めてから二年以上経ってるから当然と言えば当然なんですが



二年以上?!うせやろ!?
二年以上書いててまだ龍騎編までしか終わってないとかディケイドまでどれくらいかかるのか……
次回は三本のベルトの基礎技術の考察という実に地味な回になるし、本当に先は長いものです
それでもよろしければ、次回も気長にお待ち下さい

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