オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版)   作:ぐにょり

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180 移民による同化作戦、或いは種族浄化

理由がある、おおよそあらゆる出来事には理由があるのだ。

その理由に誰しもが納得できる訳では無いが、とにかく理由、理屈、原因、そういったものがある。

 

現代にグロンギが蘇ったのは偶然かもしれないが、グロンギの繰り広げたゲゲル、殺人ゲームには明確な目標があり、その過程で必要なのが殺人ゲームだったのだ。

下手にグロンギ語が現代日本語と音を入れ替えたものであった為にゲゲルという言葉はゲームと訳されてしまったし、ムセギジャジャの大半が現代で言うゲームのような感覚でもあったが、あれは言わば儀式、或いは祭事と表現するのが近いだろう。

 

協力プレイ無し、同士討ち無し、標的を設定して行う的あてを繰り返し、段階的に目標スコアやルールを増やして難易度を上げ、より優れた競技者を選別。

最後にはチャンピオンと一対一の力比べを行う。

グロンギという種族の中でより優れた競技者、より優れた戦士を作り出す、その戦士を超える戦士を探し出す、更に優れた戦士を探し出す。

 

チャンピオンは次シーズンのゲゲルに参加するムセギジャジャの目標となる。

最後にはチャンピオンへの挑戦、ザギバスゲゲルに挑むと考えれば、チャンピオン、暫定究極の闇をもたらす者を殺す方法を考えなければならない。

それは作戦であり異能であり、しかして、究極的には単純スペックへと辿り着く。

 

何故か?

ゲゲルをクリアして昇格していく度に強化される学習能力で理解してしまうのだ。

磨き上げた戦術や異能は、一度見せたが最後盗まれてしまう。

なので、用意される戦術は大概が初見殺し、或いは策を捨てて最初から正面からのぶつかり合いを想定してただ自らを磨くか。

結果的に、新たな暫定究極の闇をもたらす者は、前任者よりも単純スペックで上回る事になる。

上回ることが出来なければタイトル防衛だ。

 

地道な話ではあるが、これを無限に繰り返せば何時か神をも殺せる戦士が出来上がる、というワケだ。

気の長い話と思うだろうか。

ところがこのゲゲルのサイクルは長く見積もってもおおよそ太陽暦で一年程度で一巡する。

過去ダグバがうっかりアルティメットフォームにも至っていないクウガに封印されてしまったのでマトモに回数を重ねられていないが、実際に神、テオスが降臨するまでの期間のすべてをゲゲルで埋めることができたのなら、意外と真っ当に出力勝負で勝てる目もあったのではないだろうか。

何しろ、グロンギは超古代文明人であると、うちの大学の教授(故人)が認定している。

超古代文明とはいつ頃の文明か。

それはまともに記録に残る古代文明よりも前、という扱いなので、最低でも4000年以上前、という事になる。

 

4000年。

つまりダグバが封印されていなければ最低でも4000回はゲゲルが行われていたという事になり、或いはこの時代に居たンはダグバを遥かに凌ぐ超戦士であったのかもしれない。

そんな頻度で文明人達が殺されまくっていたとなると、まともに文明が発達したかは怪しい。

人間が増える速度を考慮すると、次回ゲゲルはあの辺の人が多い土地で、みたいに開催地が毎年選考されていた可能性を考えると世界レベルで文明の発達が遅れていたかもしれない。

恐ろしい話だ。

 

この話の最も恐ろしい点は。

ダグバ以前、グロンギ公式変身ベルトであるゲドルード開発前の魔石の種族が割りと平気な顔して生き残っている、という点だろう。

長命過ぎる人間が取り残されることに絶望して自死を選ぶなんてのは創作ではもう擦り倒され過ぎて向こう側が透けて見えるレベルのネタではあるが……。

あの辺の世代のベルトもこの平成最新版ベルトと同じく精神状態を安定させる機能を搭載しているのかもしれない。

他殺を考えなければ最低でも四千年くらいの余生だ。

意外と気が遠くなる。

そりゃあ宇宙開発も考えるというものである。

閑話休題。

 

ともかく、グロンギの目的はわかってしまえば明白で、いずれ来る人類の進化の時、それを滅ぼしに来るテオスへのカウンターを育て上げる事。

つまり俺こそが過去のあらゆるグロンギ及びその先史種族が求めるところの到達点というわけだ。

 

どうも改めまして、最後にして正真正銘の究極の闇をもたらす者です。

テオスなら俺の中で寝てるよ。

卑猥な意味ではない。

本来ならもっと工程を踏んで強化する筈だったのを、なんと推定4000回分省略してテオスに挑んでいるのだ。

討滅でも殺害でもなく撃退になってしまったことに関しては大目に見てもらいたい。

何せ最終的に俺以外走者が居ないので俺が世界最速だ。

これが一番早いと思いますというもの。

 

思い入れの問題でグロンギの説明が長くなってしまったが、これまで戦ってきた敵にも同じことが言える。

彼らには発生理由があり明確な目的が、個体ではなく種族単位での目的というものが存在している。

 

アンノウン、マラークやエル、それを統べるテオス。

これらは人間の中に生まれるイレギュラーであるアギトを滅ぼすため。

 

ミラーモンスターは神崎優衣を守る為生み出された。

そして神崎優衣に新たな命を与える儀式の舞台装置として活動していた。

 

オルフェノクはマラークやエル、神の生み出した天使達が人類に与えた呪いの産物。

その力を進化と認識した幾らかの個体が支配種族の交代を目論んでいたし、それが成されたのなら、遠からず深化した呪いにより人類は完全に滅んでいただろう。

オルフェノクの因子はそれそのままでは人類にとっては破滅の因子でしか無いのだ。

 

アンデッドは、少なくともこの世界においてはその種族の始祖ではなく、バトルファイトという種族格付け戦争の為の集合無意識。

ゴルゴムが出しゃばっていた事を考えると、創世王候補の種族でも選定する為のシステムだったのだろう。

 

魔化魍は、生命体の放つ穢と地脈を流れる力の融合体だ。

役割としては浄化システムの一種で、これは思念エネルギーを餌にして成長する龍の代謝を改変して、龍の誕生を遅らせる、或いは封じる事を目的としたシステムの副産物と言えるだろう。

 

では、今年は?

ワームとは、ネイティブとはどこからやって来た何で、どういう生き物で、何故二種族は敵対していて、何故地球人を巻き込んでいるのか。

 

大雑把な来歴はある。

ネイティブもワームも母星が滅んだ種族であり、言わば彼等は移民なのだ。

そして、彼等は一様にこの星の支配種族に紛れるのではなく、自分達こそが星の支配を行おうとしている。

 

ちゃんちゃら可笑しい奴らだ。

今年中に二種族とも根切りにしてやる。

 

滅ぼす前提で考える意味があるかは不明だが、二種族の関係は提示された情報だけでもある程度は推察できる。

一番重要な要素はネイティブが持っていて、ワームが持っていない、そして、持とうとも使おうともしない技術にある。

そう、他種族のネイティブ化である。

 

ネイティブによる人類支配、地球支配のシナリオは奇妙だ。

人類を排除するのではなく人類をネイティブにすることでネイティブによる支配を完了する。

これの何が奇妙かと言えば、これが成立した場合、元から居た惑星移民であるネイティブ達は支配層に食い込めない。

暫くの間は混乱が続くかもしれないが、おおよそ元通りの社会文明が続いていくだろう。

ネイティブ達にとってのメリットがあるとすれば、この地球上で自らがネイティブであることを隠さずに生きていけるようになる程度。

擬態能力、クロックアップ能力などもすべて元人類の現ネイティブ全員が得られると考えれば、彼等の持つ生命体としての優位性をすべて投げ捨てるようなものだ。

 

知る限り、元人類のネイティブの描写は少ない。

擬態天道と影山くらいか。

彼らを見る限りでは、オリジナルのネイティブ(意味が微妙に重複していて気持ち悪い)に対する服従が刷り込まれてる様子もない。

無論、ネイティブ化のネックレスをアンテナとして地球全土の人類をネイティブ化した後に更に変化が訪れるのかもしれないが。

 

ネイティブが地球で心静かに暮らすため、というのであれば、ワームを殲滅した時点でそれは叶うはずだ。

事実として、作中登場するネイティブは大体の場合地球人として問題無く生活している。

一見して、地球人をネイティブ化すると、ネイティブにとって得よりも損の割合の方が多い。

 

だが、ネイティブという種族そのものの存続という点で言えば違う。

個体としての移民ネイティブ達が得をする必要はないのだ。

地球人をネイティブにできれば、ネイティブという種族は存続できる。

 

ネイティブという種族が地球に移民してきて35年の歳月が過ぎている。

だが……、若年の、幼年のネイティブというものは特殊な事例を除いて確認されていない。

その殆どが移民ネイティブであり、地球産まれのネイティブが居ないのだ。

 

何時からなのかはわからない。

年齢が明らかになっている擬態ネイティブが35歳ではあるが、それも地球での活動履歴が35年というだけで、実年齢はわからないのだ。

だが現状、彼等は地球上で新たに繁殖して数を増やすことをしていない。

それができないのか意図的にしていないのか、という問題は置いておくとして……。

状況証拠だけで考えれば、彼等の目的は繁殖と見て良いだろう。

他種族を同種に作り変えることを繁殖と定義するのであれば、だが。

 

この結論に至った状況証拠の一つとして、ワームの存在が挙げられる。

単純に考えて、ワームという生き物はネイティブの上位互換であるように見える。

大半が動物的な行動を取っているが、擬態期間が長くなれば長くなるほど理性や知性を自分のものとして身に着けていく。

目に見えて繁殖能力が強く増える速度も早い。

ネイティブは改造された一部を除いてサナギ体しか確認されていない事を考えると、基本的にはワーム程成虫になることも無い。

 

そう。

ワームという生き物は、ネイティブから見て余りにも都合が良い、理想的な上位互換に見える。

そして、そのワームの中で組織的な行動を取れる連中は挙ってZECTと敵対し、緑の石を持つもの、在野のネイティブを探し出しては殺害を繰り返している。

ネイティブ連中からの説明では敵対する種族だ、という程度の話しか出てきていないが、ワームからネイティブへ向けられた感情は粘着性のある負の感情、恨み、確執があるように見える。

 

ネイティブが地球で行おうとしている繁殖活動を踏まえて考えるに。

ワームという種族は、ネイティブによって意図的に作られた、いやさ、ネイティブという種族の進化系へと作り変えられた全くの別種族。

つまり、地球以前にネイティブの餌食になった被害者である可能性がとても高い。

そこを踏まえて彼等が自称する『ネイティブ』という言葉の意味を考える。

ワームが彼等にとって都合好く従わなかった為にネイティブではなくワームと呼んだのか、或いは便利な奉仕種族のようなものとして最初から区別していたのか。

本能ではなく、何らかの知的な思想の上にある行動にしか見えず、なんとも悍ましい。

 

劇場版は知らん。

そもそも時間というのは過去から未来にのみ一方的に流れている訳でもない。

一説によれば未来に発生した万物根源が自らの未来に辿り着くための過去を決定する、なんて話もある。

異なる未来に異なる万物根源があれば、異なる歴史が殺し合い自らに接続する過去を作り出そうともするだろう。

イマジンによる過去改変は正しく人間とイマジンという別の動物……異なる種族による生き残りを賭けたバトルロイヤルな訳だ。

まぁ……この世界の未来は正直イマジン世界に接続される可能性の方が高いのではとも思うが、アギト発であそこまで種族的に退化されても困るが。

 

そんなわけで、歴史改変は改編以降の歴史のみを作り変える訳では無い。

同時に、その未来に辿り着くための過去すら作り変える危険性を孕んでいるのである。

ネイティブが角の生えたワームとして扱われていた世界では、ワームとネイティブが元の星で楽しく共存して同種扱いになっていた、とも考えられるのだ。

 

ネイティブの繁殖活動が他種族の改造であり、ワームがその被害者であるとすれば、彼等はネイティブの企みを防げなかった未来の地球人の写しと言っても良い。

元の姿を奪われ、醜い怪物にされた恨みを抱き、文化も文明も捨て、憎き仇と同じ能力を駆使してでも相手を滅ぼさんとする。

その生き方はきっと苦しく、良いものではない。

哀れではあるが妄念だけで他の星まで巻き込まれては敵わないのだけど。

 

―――――――――――――――――――

 

そんな理由が実際あるかどうか知らないが。

少なくともこの時点でワームは一般ネイティブ、或いはネイティブの疑いのある人間を殺して回っている。

被害者は人間の見た目の死体として残されているが、田村玲子だって死亡直後は人間に近いシルエットを残していた。

擬態に特化した結果として死後も擬態が解けないというのは不思議な話ではない。

現にネイティブでなくワームの話になってしまうが、擬態神代剣も死亡直後は神代剣の見た目の死体を残したのだ。

あの後にあの死体がどの様な形で弔われたのかに関してはじいやさんの精神状態含めてとても気になる(あれの死体を神代家の中に入れるのか?オリジナルの神代剣やその姉と一緒に?)ところだが……。

 

擬態したワーム及びネイティブの死体はどうなるか。

何故これがはっきりしていなかったかといえば、通常、ワームもネイティブも擬態したまま死ぬ事が無い為だ。

サナギ体であったとしてもそこらの人間より頑丈で腕力がある。

危機に対して生き残ろうとするのであれば擬態は解くのが自然な話だろう。

 

更に言えば、ワームは体内にタキオン粒子の生成と制御を司る器官、いわゆるひとつの『タキオン粒子ふくろ』とでも言うべき部位がある。

無論単純に臓器の一つがタキオン粒子の制御を担っている訳では無いが、彼等は大気中のタキオン粒子に対して干渉し別の時間の流れに乗る為の生理的な機能を備えている。

彼等が死亡時に爆発するのは、このタキオン粒子ふくろ(仮)の制御が手放される事で体内に流動していたタキオン粒子が高速で体外に放出される事で肉体が引き裂かれる事で起きる。

状態としては体内から拡散波動砲を撃たれた、みたいな事が起きているわけだ。

日常的にタキオン粒子への干渉を行っていた、タキオン粒子ふくろが活発に機能していた個体は漏れ無く死亡時に爆発する為、大概のワームは死体を残さず死後にどの様な形で残るのか、という議論がそもそも発生しなかった。

 

この問題を解決する方法は幾つかある。

死亡前後のワームの死体をブレインジャックし、タキオン粒子の制御を奪い、爆死しないように緩やかにタキオン粒子を体外に放出させる。

これはテレパスの変化であるマインドトリックの応用で比較的簡単に可能になる。

 

通常ならば相手の精神力が抵抗してくる。

なのでコツとしては脳或いは神経瘤にあたる部分を先に破壊する事。

出血や重要な臓器の破壊などを原因とする死亡だと、意外とギリギリまで意識が残ってしまう。

脳を破壊し肉体の制御を奪い、脳を破壊された事で肉体全体が死ぬまでの間に体内のタキオン粒子制御を乗っ取れば良いのである。

余りにも痛みが強すぎる殺し方だと怨念が残留してマインドトリックを阻害してくるので注意。

美味しくダチョウを捌く時と同じく苦しまぬように殺してやるのが互いのためになるのだ。

 

もう一つの方法としては、相手の脳を介さず直接的に相手の体内に蓄積、流動しているタキオン粒子を操作してやること。

これは開発中のクロックダウンシステムの応用で可能となるが、生態としてのクロックアップではなく、自らのタキオン粒子制御能力をより精緻に操れるようになればそこらのワームでも可能になる。

理屈の上では、という話でしか無いが。

 

肉体の不随意な部分を意識的に動かす、止める、みたいな話で、じゃあ人間は意識一つで物理的な干渉無く自らの心臓の動きを止めることが可能になるのか、もっと言えば人間には生体電流が流れているんだから極めれば電気ショックくらい生身で撃てるようになるだろ?くらいの暴論である。

クロックアップ時のワームの生体活動をしっかり観察して学習したアギトや魔石の戦士、或いは専用の改造を施した式神ワームになら実装可能かな、程度のものだ。

習得率は前者の方が高い。

元からついていない器官を動かすようなものなので嫌でも意識的に動かさないといけないからだ。

元から何故か出来ている事を理屈立てて行うより、出来ないことを出来るようにした場合の方が理解度は高くなる。

 

もっと簡単なのは、直近で擬態を解除して成体への成長を目指していない個体を狙う事だ。

多くの擬態中のワームは擬態先相応の肉体性能しか持たず、クロックアップを封じられた状態にある。

体内にタキオン粒子循環器を持たない生き物に擬態したまま死ねば、死亡時に体内のタキオン粒子が制御から離れて肉体を引き裂く事もない。

 

筈だ、たぶん。

少なくとも実験上ではそうなっている。

 

もしも俺の実験方法が間違っていて、擬態中の死亡時でも肉体が爆散するというのであれば、後に神代家の邸宅は感動の茶番の後に爆散することになる。

まぁ、爆散したとしても後のじいやさんの進退にはそう変化はないので、実はあの後擬態神代剣の死体は爆発して屋敷は崩壊しましたと公式さんが言うならそうなのかもしれないが……。

少なくともこの世界において、暫くの時間人間に擬態したワームであれば爆発はしない。

魚や虫を食べる時の糞出し期間のようなものと思って貰えばいい。

 

擬態したまま死んだワームのサンプルは既に十分量確保している。

人間の変異したものではない、外宇宙産ネイティブのサンプルを獲得していく。

そう難しい話ではない。

渋谷はすっかり復興して隕石の墜落後なぞ影も形もないが、渋谷隕石そのものは回収され、ネイティブの多くはそれを携帯している。

これを持つ擬態したネイティブに監視を付け、ワームに殺害され次第死体を回収する。

ついでに、周囲のZECTライダーが助けに来れないよう、近辺には道に迷うお呪いをかけておく。

メグリガミと呼ばれる魔化魍の性質を解析して作られたした比較的新しい陰陽術である。

これをかけた以上は、ワームに襲われても誰かに助けられる事はない。

 

占い師、保育士、その他諸々。

地球に根を下ろしたネイティブは探せばそれなりに居る。

珍しさで言えば道路のど真ん中に落ちている羽毛布団くらいのもの。

都心に限って言えばカラスに突かれて中身が散らばったごみ袋くらいの頻度で見る。

意識して探さなければ見付からないが、捜索範囲を広ければまぁまぁ見つかるくらいの話だ。

更に言うと、渋谷隕石の欠片を持つネイティブというのはそれを特段隠し持つ訳ではなく、普通に人に見える形で持ち歩いたりもする。

水晶玉の代わりに使うものも居れば宝石のようにカットしてアクセサリとして身に付けることもある。

 

不思議な話だとは思わないだろうか。

地球産ネイティブ亜種であるネイティブひよりなどは親の形見のようなものだから当然として、だ。

ネイティブ同士に繋がりがあるとしたら、渋谷隕石の欠片を持つ者がワームに殺されている、なんて話は知れ渡っていないといけない。

わざわざワームの標的になる必要はないのだ。

そんなもんを何故後生大事に抱えているのか……。

 

理屈が通らない話というのは大体根本原因に感情が関わってくる。

これも実際感情を軸に考えるとなんら不思議な話ではない。

渋谷隕石は、彼等の肉体を除く唯一の母星由来の物質だ。

彼等は渋谷隕石に乗ってこの地球にやってきた、言わば、渋谷隕石などと言っているが、あれは一種の避難船なのである。

着の身着のままどころか裸一貫でやって来た彼等が母星を思い出す唯一の縁、それは確かに抱えておきたいものなのかもしれない。

 

無論、殺される危険性を考えたらやっぱり不思議な気もするが……。

故郷への思い入れなんて人それぞれ。

現にワームに狙われていない、渋谷隕石の欠片を持っていないネイティブが居る以上、母星に嫌な思い出しかなくて滅んでさっぱりしたぜ!みたいな輩も居るのだろう。

逆に、殺されるかもしれないけど故郷の思い出を捨てられない、なんてのが居ても不思議ではない。

或いは、彼等特有の何かしらの信仰に根ざした物質なのか。

 

そう考えると、この占い師ネイティブは故郷への愛着なり信仰なりが強かったのだろう。

神秘的な輝きの石だから箔付けに使ってた地球人の線もあるかと思ったが普通にネイティブだった。

霊的視覚を持ってすればネイティブの擬態は狸が変化に失敗して尻尾と耳を出しっぱなしな如く。

より正確に言うと人間の皮を被ったデカイ虫でしかないが。

 

一定数の霊視持ちが居る猛士の中で問題になっていないのは社会不安を煽らない為に緘口令が敷かれている為だ。

警察のアギト部隊の人達も同上。

然るべき社会的な対処が可能になるまでは大きな声で騒ぎ立てない様に連携しているのである。

まぁ……変身しない限り頑張らないと判別できないアギトと異なり、霊視持ちの人達は擬態ネイティブや擬態ワームとすれ違う時に少し眉を顰めるくらいの反応はしてしまうが。

 

因みに霊的視覚で見分ける場合は物理的に外面を全て覆い隠してもバレるので、実験体を再利用した尖兵を連れているのを見られた時は趣味が悪いと言われてしまった。

様々な処置で定着させた人格がその程度で剥がれる事はないが、尖兵のやる気を削がれてスペックが下がると困るのだけど。

吉野の連中は京都付近の住民なだけあってあのレベルの侮蔑は挨拶くらいのノリなのかもしれない。

矢の如く使い捨てるにしても、人格がある以上は手荒に扱うよりも丁重に扱った方がモチベも上がって良い仕事をしてくれる、というのは言わずとも理解して欲しい。

 

海に蹴り落とした二つの死体袋は音もなく、海面を揺らすこともなく水面に、鏡面に吸い込まれていく。

海面を揺れる鏡面としてミラーワールドに落ちた死体はそのまま研究所に移送される手筈だ。

ネイティブへの張り込みは大体の場合標的のネイティブとワームで複数の標本が手に入るので効率が良い。

 

死体を回収したので、呪いを解除する。

そうすると、どたどたという足音が聞こえてきた。

次いでバイクのエンジン音。

長居は無用だ。

光学迷彩を起動し、念動で念入りに消音しながらその場から離れた。

 

 

 

 




ごめん、ちょっと飼い主のおっちゃんと脳内彼女とルビコニアンワム煮会してて……
あとSwitchのストアでクロスレイズがセールで久々に養鶏してて……
あとヒンメルの勇者っぷりにおあああー!って奇声上げてて……
あとアニメのドンペリちゃんの可愛さにほっこりもしてて……良く考えたら裸どころかその中身もむき出しとかとんだフルヌードよね
ともかく色々ありましたがフェルン✕祖チンはあります、逆は無いです
ヒンメル✕フリーレンは死ぬまでありませんでしたが結果的にあるかもしれません
指輪渡す直前のヒンメルな表情がね、完璧なんすよ……
オープニングが合わないという方もいると思いますが、あれは勇者と元勇者パーティとの旅路をフリーレンから見た曲と考えれば静かな雰囲気でなく明るかったり激しかったりの十年の魔王討伐の旅路に相応しいものなのではないかな、と
あとダークギャザリングはここから一気にポケモンバトルか卍解かってくらいのかっこよさ面白さ死人の過去のエグさが顕になってくるのでお楽しみに


☆侵略の目的
方向性としてはオルフェノクに近いけどわざわざ別の惑星に来てその星の原住民全員自分たちと同じにする!
割りと狂気の沙汰というか、作中で言及してないけどどっちかって言うとネイティブ特有の宗教的な思想みたいのも含まれてる行為に思える
最初期に考えてた設定的にワームというかネイティブもエルを起源に持つ対テオスを想定した種族で
たぶん人間をそもそもテオスの似姿から完全に外すことでその歪んだ愛着から外そうとした、みたいな
種族的特徴としていつか確実に母星を滅ぼして宇宙に散り辿り着いた星の先住民を自分たちと同種に改造するので何時か地球と人類に辿り着く
並行世界の同位体が転生した先である流刑体は罪をおかして宇宙に放逐されるからいつか定光を殺しに行く運命にある、みたいな話
この世界ではそんな気長な思想で作られた種族だと思う
テオスの打倒ではなく執着先を無くす事でテオスの現世への執着を失わせ危険性を除去しようとした
後は君たちでよしなにしなさい、みたいなテオスの判断を引き出すのが目的だったんではないか
まぁその辺の裏話はせめてネイティブの偉い人にネイティブの文化を聞き出せないといけないので異種族との対話方法が殺害しか無いここの主人公は今後も知る由もない話なのでここで書くしかなかった
そもそもネイティブって名乗ってる時点でワームよりも先に発生してる種族ではあるだろうし、なにしろ原作でまるで異なる生体を持つ人類をネイティブに改造してる
ネイティブ・アメリカンみたいな意味のネイティブでワームが入植者だったという考え方もあるだろうけどネイティブの地球での所業を考えたらたぶんネイティブが加害側
ネイティブのワームへの反応もなんか、危険な敵対者ってより、面倒な相手をようやく片付けた、みたいな雰囲気してるのも一因
作中の推論と田所さんの設定年齢を考えると母星滅亡のドサクサに他種族の赤子がネイティブ化された上で拐われてきたって事になるのでやや闇が深くやはりネイティブは滅ぼさなければならない

☆趣味悪いなぁって繁殖実験体流用尖兵に向けて呟いちゃった吉野の霊視持ち術者の人
バリバリ改造した侵略者のキメラに人間の意識コピーを定着させて使い捨ての駒にしてる所業は間違いなく悪趣味
なので別に尖兵ちゃんは嫌味も言われてないし眉を顰められてもいない
嫌味はどれだけ鋭くても刺さらない相手には刺さらないのだ

☆三世勢州千石右衛門尉村正(着られる方)
近い年代に大量の擬人化村正とメジャーなソシャゲに刀打つ方の村正が居るので
そのうち二次創作で全部クロスさせて村正を着て村正を振るう村正みたいなマトリョシカが作られる可能性は幾度となく論じられてきた
でもととさまかかさまの思想と所業は大概の作品の村正がドン引きするんではないかなって
十年以上後に人間態でない方の村正がよりにもよってグッスマから立体化するとか当時のプレイヤーに言っても信じないやろなぁ……
とりあえず箱はバリバリ格好良いが過ぎる
成形色はイメージ通りの暗さで良い
地獄みてぇな量のデカールが問題だけど貼ると貼らぬじゃ大違い
貴重な作品の機体も次々立体化されてる奇特な企画なので買って支えよう
金パーツがメッキではないがちゃんと黄色でなく金色に見える範囲の色味なのも嬉しい
ピカピカ光る金色のイメージも無いので良い塩梅
いや、それにしたってパッケージアートかっこよすぎん……?


他のことに気を取られる事はありますが、ぼちぼち進めてまいります
更新は案の定そんなに早くもありませんが、それでもよろしければ次回もルビコニアンワム煮会に付き合ってもらうし次回も気長にお待ち下さい

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