オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版) 作:ぐにょり
人間とワームの恋は成立するか、という話と、人間とワームの交配が可能であるか、という話は必ずしもイコールで結ばれる事はない。
妊娠可能であるか、子孫を残せるか否かが必ずしも恋愛において重要なファクターとは限らない、という話だ。
果てしなく険しい道のりでは有ると思うが、後の世のpixiv地方におけるポケ姦イラストの類を考えれば、人間に近い性的魅力を備えたワームに人間が発情する事はそうありえない話でもない。
なんとなれば人間の想像力は木の洞や根菜類にまで性的魅力を感じる事が可能なのだ。
また、日下部ひよりは両親がワーム、ネイティブである事を知らなかった事から考えるに、彼等は日常生活の大半を人間に擬態したままで行っていた事が伺える。
擬態したままで日常生活を送ることにストレスを感じない精神構造であるとすれば姿形の異なる種族に対しても嫌悪感や違和感を感じ難いものと考えられる。
しかしそもそもの話としてワームやネイティブ、恐らくは順序としてはネイティブやワームか、あれ等に人間の想像するような感情の類が存在するのか、という問題はある。
増えて栄えようとする生物の本能に擬態先の記憶や意識がそれらしい形を与えているだけで、奴らの素の精神構造は恐ろしく簡素なのではないか、というのが、奴等を山程切り刻んで研究した結果の推測なのだけど。
懐かないと言われる爬虫類や小型の齧歯類が主人に懐いている様な挙動を見せることもあるので、恋愛らしきものが発生する可能性は必ずしも0ではないと思う。
なぜこんな話をするのかと言えば。
妊娠機能を完全な形で持った人間の女性はワームの子供を孕むことができない、という実験結果が得られた為だ。
考えてみれば簡単な話で、要はワームとの交配実験に協力的な人間が妊娠機能を持った女であれば良い訳で。
それはつまり交配実験を推し進める俺自身が女になる事で諸々の倫理的な問題はクリアーできてしまうという訳だ。
俺は脳機能を強化こそしているが発想力自体は凡人の域を出ることができないので、こんな簡単な理屈に気付くのにとても時間をかけてしまった。
因みにワームのチンコは格納式で尖っているので突っ込まれると凄く痛い。
こんな物をなんの工夫もなく人間の女に突っ込めば腹わたを突き破られて死ぬだけだろう。
どれぐらい痛いかを説明するのは難しいが、男の感覚で例えるならお尻から出刃包丁を突き刺されたらあんな痛みだろうか、物理的にもそんな感じである。
そんなクソ交尾も最終的に交配用の後輩コピーに人間ちんこを生やすことで事なきを得た。
喫茶壽に下宿するオリジナル後輩の顔を見るたび、こいつ射精する時ああいう顔をするんだなぁ、という得も言われぬ感想が浮かんでくる様になったが、些細な副作用だろう。
こうして、ワームと人間が恋に落ちてハーフが産まれる、或いは苗床として利用されるという懸念は完全に取り除くことができた。
だから、人間がワームを庇うと面倒臭い、という一点を除けば人間とワームの恋愛に関してどうこう言う必要は無くなったということになる。
様々な理由による不妊、或いは同性婚などを考慮すれば、子供ができなくても愛を育むことに何の問題もない。
何となればプラトニックなまま添い遂げる異種族カップルがあっても良いだろう。
だが、人間とワームの恋というのは難しい。
繰り返しになるが、俺の見立てでは、ワームの自意識、感情というものは擬態先の生き物の脳細胞から発生する自意識をモデルにして形成されている。
擬態性能が低いものは擬態先の記憶と知識、意識を使ってワームの本能に沿った行動をする。
あくまでも擬態先の知性を本能を満たすために使う為、何処か機械的な挙動になる。
擬態性能が高いものは、擬態先の意識をワームの本能に沿った形に最適化させて自意識として運用する。
これは知性と本能が融合している為、しいて言えば想像力を働かせる余地が生まれ、柔軟な行動が可能になる。
だから十把一絡げの雑兵ワームは動物的な行動を取りがちだし、高位の個体に容易く使役されたりする。
仮定の話ではあるが。
ワーム、或いはネイティブの擬態能力が正常に作用した場合の理想的な状態は、種族自認と行動優先順位がワームのそれに変換されながら元の人格と能力を完全に保持したものなのだろう。
作中で近いのはそれこそ、自らの正体を理解したスコルピオワームだろうか。
あれは、擬態した相手が自分自身を仇として認識しているという問題点を除けばかなり理想的な個体だ。
何事もなくワームに支配種族の立ち位置を乗っ取られた星は、擬態したまま、擬態元が送っていた日常を自らの物として送るワームに満ち溢れており、一見して乗っ取られる前と支配種族が変わらないように見えるのではないだろうか。
暴力的な能力に意識を奪われがちだが、種族としては沼男のそれに近い。
もしも、神代剣と神代美香を殺す順番が逆であったのなら、或いは互いの死に様を見せる形で殺さなければ、あの個体は自己終了を選ぶ事は無かった筈だ。
そして、戦闘力の高い成体ワームであるスコルピオワームにとって、人間相応の能力しか備えない神代姉弟を殺す順番などはそれ程重要なものではない。
横に並べられたクッキーを右から食べていくか左から食べていくか、その程度の誤差だ。
そうでなければ、神代剣の余りある才能の全てが、如何に効率よく人間と擬態ワームを入れ替えるかに使われていたのだから。
最後の最期、自らがオリジナルとその姉の仇である、そう認識させる事ができるほどに強烈に自らの精神を焼き付けさせる事ができていなければ、精神の主体を擬態先の人間に寄せる事ができなければ、死後も延々と利用されていたところだ。
そのイタチの最後っ屁見事なり。
神代剣という人間は恐らく、とても愛情深く、誇り高い男だったのだろう。
愛が深い故に、愛するものを殺された時には激情に駆られる。
誇り高いが故に、自らを殺し利用した仇であると認識すれば、自らを殺すことにも躊躇わない。
その時、生き続ける限り、今の自分自身が愛する相手すら不幸にしてしまうとなれば尚更だ。
神代剣という男に対する俺の評価はそんなところだ。
世間知らずな所も、本来であれば時間をかけて成長させることができたのかもしれない。
5年もすれば一廉の戦士として、或いは組織のトップとして君臨できたかもしれない。
惜しい話である。
彼に擬態したスコルピオワームがワームの殲滅にちょうどいい立ち位置に居なければ頑張って助けるという選択肢もあったかもしれない。
或いはあの後輩、あれの精神構造が一年二年早く判明していれば代役に使えたのかもしれないが……。
とはいえ、死人に対する人物評価なんてものは、死んだ子の歳を数えるようなもの。
過ぎたるは及ばざるが如し。
彼の功績はスコルピオワームが多量のワームと共に無理心中をする事で完結する。
それまで、彼の顔と彼の人格が彷徨きまわるのは、無自覚型の悪霊のようなものと思えばよろしい。
悪霊の自覚がないので、ふとした拍子に人を祟り殺してしまう。
そこに俺にとって殺されたくない相手が含まれていなければ良い。
それができる程度の力はある。
彷徨う悪霊一匹に監視を付ける程度は安いものだ。
と、ここまでの話は飽く迄も今は亡き神代剣の話である。
今、神代剣の顔と意識を持って彷徨いているスコルピオワームの話をしよう。
現生ワームの中で最も純粋戦闘能力の高い成体ワームであり、恐ろしく、くじ運の悪い個体だ。
結局のところ、どれだけ優れた素質に恵まれ優れた能力を持ち得たとしても、極端に運が悪ければそれを十分に打ち消してしまえるという一例と言って良い。
これほどの不運、不憫に見舞われた幹部級、ボス級の敵性生物となるとこの世界においてはファンガイアの王くらいしか思い付かない。
あちらに本人の人格面の問題があり半ば自業自得の感があるのに比べると、やはり不運さ間の悪さで言えばスコルピオワームに軍配が上がる。
さて、そんなスコルピオワームだが、ワーム殲滅の鍵という以外にもう一つ重要な要素を持っている。
現時点で所在がはっきりしている極めて戦闘力が高い成体ワームである、という事だ。
更に言えば、この個体はワームとしての自覚を取り戻すと共に、他のワームに打ち込むことで自分の下僕として使役できるようになる毒まで持っている危険な個体である。
即時の捕獲或いは抹殺が出来ない迄も、ワームとして十全に活動できない間に細胞サンプルの一つも確保しておいて損はないだろう。
そんな訳で、何の変哲も無い街角の工場にやってきたのだ。
何の変哲も無い、というのは流石に語弊があるか。
工場周辺にはゼクトルーパーの歩哨が立てられ、入り口近くでは多くのゼクトルーパーとザビーがワームを相手に大立ち回りを演じている。
こんだけ派手に銃撃戦をしていれば周辺住人が通報してもおかしくないのだが、そこは金をばら撒いて黙らせているのか、偽警官でも使って大捕物があるとでも伝えているのか。
トップが警察の偉い人だから一部警官を自由に動かせるというのもあるのかもしれない。
まぁ……どうでもいいことだ。
警察の方には、それこそ装甲服部隊にもアギト部隊にも出動の話は出ていないのは確認済みなのである。
つまり、この場に居るのは非合法武装集団のみであり、いざという時に市民を守るために働く善良な戦士という訳では無い、という事だ。
雑に通り過ぎて見捨てても問題は無いだろう。
「クロックアップ」
加速状態でゼクトルーパーとワームの乱戦の間を走り抜ける。
黄色二本線の入ったボディアーマーはよりすぐりのエリートであるシャドウの証、早々に弾薬を打ち尽くしてワームの餌食になるような個体は少く、しかしそのせいで細々とした弾丸が浮いている。
が、加速した時間の中から見れば空中に浮いてる障害物程度のものだ。
流石に無駄玉にするのは申し訳ないので、それら弾丸をぐいっとワームの関節目掛けて押し込みながらどけて道を作る。
ついでにザビーをワームのいない方に向けて殴り飛ばしておく。
追いかけて来られるとややこしいことになるからな。
こいつは別に死んでも困らない気もするが、別に今殺す必要性もない。
ZECTのライダーシステムは仕様書に記されていない仕様として、センサーの範囲内で行われたタキオン粒子変動に対して変身者を操作し半自動でクロックアップを行う。
この仕様を理解しているか、さもなければ直感で察知していれば意図的にクロックアップしないという選択肢も取れるが、基本的には半ば無意識的に行われる。
害意を持った相手がクロックアップで加速した後にクロックアップが間に合うのはこれのお陰なのだが……。
当然、これは一定範囲のタキオン粒子変動を観測した結果として動き出すものなので、センサーの範囲外で開始されたクロックアップに対しては無防備になる。
ワームであってもクロックアップの連続長時間使用は肉体への負荷が大きいためにそう取られる手法ではないが、対ワーム戦闘においてはスコルピオワームの毒やカッシスワームディミディウスのフリーズに次いで警戒するべき項目だろう。
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担いでいた鞘から大太刀を引き抜き、工場内部の構造物ごと道すがらのワームを斬り倒して道を開いていく。
その辺のパイプを雑に切断すると高熱の蒸気が吹き出し、視界が塞がれる事で五感勢には大幅なデバフになる。
人間に限らず大体の人類敵対種族も視覚情報にかなりの重きを置いている為、これをやるだけでかなり戦闘を有利に運ぶことができるのだ。
俺もまだまだ視覚に頼って戦闘をしている部分はあるのだが、如何せん物理的な視覚情報の元となる光は光速以上の速度で動いてくれない為、光の速さを超えてくる敵にはどうしても後手に回ってしまう。
霊的視覚はその辺、視覚と言いつつ光に寄らない魂魄感知能力であるため戦闘技能として発展性があると思うのだが……。
幸いにして、今日相手にする予定の敵はクロックアップまでで対処できる速度の相手である為、そこまで心配する必要はない。
工場内部は酷い有り様だ。
そこら中にサナギ体のワームが犇めき、点々と成体ワームの姿も見える。
彼等が守るのは、すっかり見慣れた無数のワームの卵。
産みたてのものから孵化寸前のものまで様々なもので、恐らくは兵隊の役割を持つ様な雑兵ワームが組織的に産卵場として利用していたのだろう。
確か、ZECTの隊員を一匹逃して殲滅作戦の引き伸ばしを図る事ができる程度に頭が回る個体が居たはずだ。
あれがこの現場を取り仕切っていると見て間違い無い。
これだけある卵も、必要とする基準にはとても届かないようなものばかり。
副腕を振り降ろし片端から叩き潰していく。
ワーム一体が庇っただけで防げる程度の火力しか出せないZECT製の爆弾が信用ならないというのもあるが、この卵潰しには理由がある。
ワームには親子の情などというものはないが、種族全体で次代の戦力を増産して行こうという思考能力は備わっている。
ここに詰めているワームはこれら卵の生みの親であると同時に、卵を外敵から守るための警備員でもある。
ワームどころか守るべき卵まで潰して回ってる様な外敵が出てきたら、それに気付いたワームはこちらに寄って来る。
そうなれば話は簡単。
工場の中で俺に近寄ってこないワームの気配こそが、この工場と関係のないワーム、すなわちスコルピオワームという訳だ。
「解除」
全身に纏っていた劔冑の前面が剥がれ落ち、その場に疑似デッキと小型ゼクターで変身済みの俺と抜け殻の装甲が残る。
高熱の蒸気が立ち込める中、光学迷彩を起動した俺の姿はワームどもには捉えられない。
「迎撃」
組み直された前面装甲に拳を当て命令を入力、装甲を黒く変色させながら劔冑が再起動。
胸部装甲を中心に全身を構築する音式神の全てがその機能を自爆型の消炭鴉へと切り替えを終えるまでの残り時間はきっかり五分。
ZECTが仕留め損なう可能性を考えて、より確実性と殺傷力の高い爆弾でワームの巣を一網打尽という訳だ。
その場から跳躍、天井近くの配管を掴む。
大立ち回りを演じる蜘蛛型の劔冑とワームの群れを尻目に、この場に寄ってこない、それでいて戦闘中のワームの反応目掛けて進む。
他にも戦闘中ではない個体が二匹ほど居るが、これはこの産卵場の管理個体だろう。
戦闘中のワームの反応に辿り着けば、そこには赤いライダーと銀色のワーム。
仮面ライダーカブトとスコルピオワームだ。
スコルピオワームの甲殻は極めて頑強であり、現状のカブトが出せる火力では有効打は与えられない。
が、スコルピオワーム自身もワームとしての自分を見失った状態にあり、自身のワームとしての武器である毒も針も使わない。
下手にカブトと千日手になって神代剣への擬態の瞬間を目撃されるとワームを殲滅する鍵が完成しないのでそれも阻止しなければならない。
蛇腹剣を引き抜き、デッキからカードをドロー、読み込み。
《アドベント》
――ヴァ、ぅるるるる……
ロードインパルスに咥えられたニーくんが不満気に刀身の鏡面から顔を出し、真面目な場面と察知して声を唸るような物に抑える。
そのまま蛇腹剣へくるくると細長い猫の身体を巻き付けると、その身を透き通るような赤い刀身へと変じさせた。
混乱しているスコルピオワームと異なりカブトは電子音声に気が付いたようだ。
視線を一瞬こちらに向けて、すかさずスコルピオワームの顔面にカブトクナイガンのガンモードで光弾を叩き込む。
ダメージは入らないが、その光量により一瞬スコルピオワームの視界が潰れる。
神代剣の戦闘センスもワームとしての本能も、どちらも働いていない状態ならば、この隙は致命的だ。
スコルピオワームの頭上から斬り掛かる。
振り下ろした刃はまるでバターに押し付けられた熱したナイフのようにその装甲を容易く切り落とした。
このニーくん融合剣(仮)は対創世王、対サタンサーベル用に密かに用意した新形態だ。
理論上、通常時のサタンサーベルとも渡り合える程の強度と切断力を備える超兵器だ。
この名刀にかかれば、たかだか偶然生まれた異星生物の当たり個体の装甲程度、濡れた障子紙も同然である。
だが、惜しい。
本当に惜しい話なのだが、カブトクナイガンの衝撃で予想よりもスコルピオワームが大きく動いてしまった為に、一刀両断にすることはできなかった。
片方の肩装甲と格納された毒針を斬り落とせた程度だ。
殺すつもりの戦いなら実に惜しいミスだったろう。
思いもよらぬダメージを受けたためか、スコルピオワームが肩を庇いながら引いていく。
それを追おうとするカブトを手で制する。
「どけ」
と、そんな事を言ってきたカブトに濡れた刀身を見せる。
それはワームの血ではなく怪しい輝きを放つ毒液に塗れている。
ワームと戦い慣れつつあるカブトにもそれがなんなのかは何となくわかったのだろう、俺を押し退けようとする手を下げた。
「あのワームは任せて、そっちは他のワームを」
「他?」
「少しだけ賢い個体が二匹、迷い込んだ非武装の人間を狙ってる」
狙ってるというか、今さっき、ワーム二匹に挟まれた人間の心音が止まったので死んだところか。
子供に擬態したものと加賀美新に擬態したものはまだ加賀美新を死体にしてゆっくりとその場を立ち去ろうとしているところだ。
のんきなものだ。
ZECTに察知された時点で卵を抱えて逃げれば良いものを、騙そうとした相手に丁寧に種明かしまでしてくれていた。
根本的にワームは人間のことを舐め過ぎだと思う。
舐めたまま滅んで欲しいので滅ぼす。
「それは、ば……人の良さそうな男だったか?」
「たぶん」
「世話の焼ける」
舌打ちと共にそう漏らし、カブトが引いていく。
場所は聞かなくて良いのかとも思ったが、この場から離れてくれるならなんでも良い。
この場に、スコルピオワームを殺せる火力がある状態で仮面ライダーカブト、いや、天道総司が居る、というのが、一番都合が悪いのだ。
希少生物は、滅ぼすまでは保護しなければならないからな。
斬り落としたスコルピオワームの肉片を念力で浮かべ、ミラーワールド輸送用のデッキを起動して梱包。
融合剣の刀身を叩く。
叩いた箇所が解け、尻尾がこちらの手をべチッと叩き返したところを掴み、蛇腹剣から引き剥がして融合を解く。
すると、尻尾を掴まれて恨みがましい目線で逆さ吊りになっているニーくん。
眼の前にスコルピオワームの細胞片の包みを差し出すと、物凄い勢いで包みに喰らいつく。
蛇腹剣の刀身を叩き、顔を出してきたロードインパルスに、がしがしと両手の爪まで駆使して包みに当たるニーくんを突き出す。
「研究所の冷凍庫に」
射撃装備用のレーザーポインターが順番に包みとニーくんに当てられる。
どっちを?と言いたいのか。
「包みの方は確実に入れといて」
くん、と、小さな駆動音を立て頷き、ロードインパルスの頭部が再びニーくんを咥え、刀身の鏡面に引っ込んでいく。
殺害せずに細胞採取する必要が無ければあそこまで切れ味の良い刃物は必要無い。
逆に、あの融合剣の切れ味だとうっかり首を落としたりしかねないので、この工場から生きたまま追い出すには不都合がある。
蛇腹剣を腿装甲のナイフシースに戻し、逃げるスコルピオワームの後を追う。
積極的に攻撃する必要はない。
今のスコルピオワームはワームの本能ですらない、生き物として最低限の反射的な行動で動いているに過ぎない。
なんとなれば先のカブトとの戦闘すら、カブトを殺害する意図は無く、敵意に対しての防衛行動でしか無かったと見て良いだろう。
或いは、自らが出していた神代剣と姉の仇であるスコルピオワームの力の波動を感じることで、焼き付いた神代剣の記憶が仇を討とうと藻掻いた結果、という見方もできるが……。
威嚇音を鳴らしながら、こちらから目を逸らさずに一定の距離を取り続けるスコルピオワーム。
形としては俺が進む度に後退る形になっているが、反撃の機会を伺っている様にも見える。
そのまま逃げてくれれば一番良いのだが、反撃に転じられると厄介だ。
殺さない程度の加減は簡単だが、変な刺激を与えてワームとしての自意識を得られても困る。
擬態神代剣としての意識が活動してる最中に意識を飛ばさずに擬態、擬態解除、擬態を繰り返すことでワームの自覚を得ることは確認できている。
つまり、ワームの状態で神代剣としての意識が戻ったりすると不味いわけだ。
無論、今の状態でワームの自覚を取り戻しても、姉の仇を討つために多くのワームを道連れに死ぬという選択を取る可能性はあるが……。
やっぱり、想い人という楔は必要ではないかと思う。
一歩詰める。
スコルピオワームが下がる歩みを止め、向かって来る。
逃げ切れないと感じたか?
動物的な動き、腕の爪を使おうという意識はあるようだが、スコルピオワームという生き物としての強みを生かした動きでも、天道総司と渡り合う武術の冴えも無い。
爪の一撃を掴み、残った手でスコルピオワームの脇腹を掌で打つ。
歯のむき出しになった口から血が溢れ、くの字に身体を折るスコルピオワーム。
晒された後頭部の触手を引き抜き、傷口から脳目掛けて鬼闘術で電撃を流す。
何処か海鮮網焼きを想起させる美味しそうな匂いと共にスコルピオワームは激しく痙攣し、力なく崩れ落ちた。
壁に横たえ、記憶をサーチ。
気絶させたショックで擬態先の記憶が飛んだら事だがどうか。
……少なくとも、現在世間に認知されている神代剣の人格には問題は起きていないらしい。
だが、いや、これをここで考えても仕方があるまい。
知りたくなったら、神代家に起きた全てを知る人に聞けば良い。
スコルピオワームの斬り落とした肩と頭の触手をモーフィングパワーで再生し、脳に干渉して神代剣へ擬態させる。
あと三分程でこの工場は焼け焦げた瓦礫の山と化す。
こいつの意識を覚醒させるのは外に引き摺り出してからでも構わないだろう。
平成一期も流石にカブトまで来ると主人公の対処能力が高まりすぎて作業感が出てくる
でも一作ごとに伝説の装備を破棄して技も術も忘れるような人間はこの世界じゃ生きていけないのだ
☆くじ運の悪いスコルピオワーム
物理ダメージで記憶を失った個体を除くと類似の事例がほぼ無いので神代剣が何らかの特異体質かスコルピオワームの擬態能力に問題があったか
兎にも角にも警戒しろと言うのが無理難題な事故だったと思われる
ワームの自覚を取り戻させた後もワーム側の人格とか出てこない辺りもそう
そんなくじ運の悪い個体が主人公に狙われない訳もない
複製が作れればこの個体に拘る理由も無くなるし
☆自律稼働呪術式ゼクター
G4システムに対する5年越しの解答
中身が死体でも動けるなら外側だけで動かせばええやんみたいな話
でも製造者は予知能力との連携を重視してたみたいだから解答にはなってない
予知能力者が骨組み入れたG4をラジコンみたいに外から動かせばどうかってのはいいっこなし
尚この世界では同時期にロボも作っていたのでG4作って無ければ今頃自衛隊は設計図盗難の罪だけどうにかすれば無敵のロボット軍団とかを配備できていたかもしれない
技術提供元のスマブレは2年後に滅んだし
超能力者の量産が出来なかったんだからそれが一番現実的だったかも
エレガントじゃない?
うるせー!人間同士の争いじゃなくて他種族との生存競争なんだよ!
通常のディスクアニマルがアームドセイバーの波動でアームドディスクアニマルに強化される仕組みを応用し、鬼或いは術者が操作する事でアーマー形態から自爆形態へと移行する
本来は機密保持や証拠隠滅のための機能だが調整次第でビルくらいなら吹き飛ばせる
対超大型魔化魍で清めの音を叩き込む前に劔冑だけ突撃させて自爆させる戦法は、先のヤマタノオロチ騒動の影響で猛士の鬼の中では正式な運用方法の一つとしてマニュアルが作られつつある
☆現在認識されている神代剣の人格
エキセントリックな人物の多いカブトのキャラクターの中でも一際エキセントリック
原作作中描写を追っていくと疑問とともにその理由も朧気ながら見えてくるのだ
という話をやっていきたい
☆DXアースガロン
買っちゃった♡
ボタン順番に押すと発進シークエンスからビーム発射までを再現できるしめっちゃ動く
直立するとMGのガンプラに近いくらいのサイズがあって全身の造形も細かいし普通に飾っても映える良い一品でした
みんなも買おうな
四話は何時もの女性のアクション描きたい回みたいだけどアースガロンの大活躍回は必ず有るぞ
響鬼編はなんだかんだ原作で説明されてない部分が多いながらも理屈をつけて盛れた訳ですが
カブト編はその辺淡々と進みますね
戦力的に逆転も無いです
警察がクウガから地続きかつアギト経由してるのでワームやネイティブの皆さんには諦めてもろて
そんな地味な話ではありますが、次回も気長にお待ち下さい