オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版)   作:ぐにょり

195 / 207
177 尾を踏む

度重なる実験の結果として、ワームと人間、或いはワームと人間以外の地球産生物の交配は不可能である、という結論に至った。

この時点でワームの危険度は社会への浸透度と未知の保有技術の二点でファンガイア未満へと落ち込んでしまったように思う。

完全機械でクロックアップが再現できる時点で資源としての活用法もそれ程無く、ハイパークロックアップ技術が開発された時点でネイティブの方も含めて利用価値は無くなる。

パーフェクトゼクターに関してはそれ程不思議な技術が組み込まれている訳でもないので開発を待つ必要もなく、現状でそれらの技術開発に参加している個体は野良でふらついて居るわけもない為、やはり野良ワームは目撃次第殲滅していかなければならない。

 

とはいえ、擬態ワームへのオルフェノク因子移植及び覚醒実験、穢の投与実験には若干の成果が見られている為、交配実験は主目的を遺伝子調整と他種族因子移植による強い能力を持った上位個体の製造へ移行して続けることとする。

遺伝子組み替えで成体が変化するのは確認済みだが、オルフェノク因子や穢による影響は人間が受けるそれと比べて比較的優位に働く様だ。

遺伝子組換えとオルフェノク因子の移植、穢の投与により、より高度な特殊能力や高いタキオン粒子制御能力を備えた個体の製造も容易くなるかもしれない。

 

オルフェノク因子が細胞の劣化などを引き起こさず優位な作用だけ引き起こすのは古の化身忍者技術と同様の理屈であると思われるが、ワーム自体はオルフェノクに擬態しても人間態の外見しかコピーできないのが救いか。

ワームが擬態時に対象を読み取る超感覚では、オルフェノクは人間の死体扱いになるのだろう。

幸いにして、繁殖個体の擬態先はオルフェノク因子への適合率が高い(なおかつ、本人にはオルフェノク因子がほとんど無かった)為、変異の成功率も高い。

因子は以前大量に確保した個体から引き抜いて残しておいたサンプルもあるので、これを元にオルフェノク化ワームを養殖すれば増殖できる。

 

産卵を繰り返せば最初の母体もそのうち潰れてしまうだろうが、潰れるまでに無数のコピーが作られる上に、コピーであるために人格移植への適合率も引き継いでいる為、数を必要とする実験に非常に都合が良い。

感謝の意味も込めて、使い潰した個体を纏めて供養する共同墓地くらいは作っても良いだろう。

まぁ、死んだ後の魂魄は式神の材料にするし死体は大方を資料標本にするし不要部分は生きてる個体の飼料にするので埋葬するパーツは存在しない為、墓地と言うより慰霊碑になるのかもしれないが……。

 

とはいえ、研究以外、基地の外でやることは単純で、なおかつ、今となってはやりやすい。

変身する市民は珍しくなく、戦闘力を備えた機動兵器はモンキーモデルが出回っているお陰で乗り回しやすい。

更に言えば俺自身が猛士や警察と顔合わせを済ませており、変身システムを複数所持していて、緊急時には自衛のために戦うこともある、という事を伝えている為、まかり間違って二十二号になるのでなければ変身を隠れて行う必要もない。

市街戦で気にする必要があるのはもはや周辺被害のみなのだ。

最も、変身したほうが移動速度も上がるので、戦いの現場に人間態で踏み込む事は早々ないのだけど。

 

ワーム以外への対応、という点で言えば、社会全体でオルフェノクへの対応は大きく変わりつつある。

纏めているデカい組織が何年も前に消滅した関係で勝手が分からず、後ろ盾もないまま力に溺れてヘマをする個体が増えた結果、正体バレが続出。

アギトとも異なる人間の進化の形の一種として受け容れられつつある、らしい。

 

馬鹿な連中は人間態でも怪力や超耐久があるためにアギトの上位種なのだ、みたいな妄想を垂れ流しているが……。

少なくとも、アギトの中にはレイバーブロスに取り押さえられて捕まったバカは居ない。

力を得て調子に乗る、という一点において、やはり呪い由来のオルフェノクは身を滅ぼし易くなっているのだろう。

 

寿命問題に関しては、まだ一般に周知されてはいない。

警察関係者や有志による実験の結果として、恐らく人間よりも寿命が短いのではないか、という話が浮かびつつある、程度だ。

人間より短命と言ってもその長さはまちまちで、極端に強いフォトンブラッドに接し続けるなどの健康被害を受けなければ、少なくとも変異後から十年は持つものと考えられている。

 

使徒再生にしろオリジナルにしろ、少なくとも一度死と再生を経た上での人生と考えればお得ですらある。

そうなると、いずれはオルフェノクになりやすい死に方、などの考察や実験などが行われるかもしれないし、結果として一発逆転超人化を目指した自殺者が続出してしまうかもしれないが……。

来年には大規模な歴史改変祭りが、再来年には人食いの化け物が騒ぎ出し、挙句の果てには世界が破壊される案件がくるかもしれないので、そんな社会の混乱には構っていられないのである。

或いは、オルフェノクは一定以上の犯罪の現行犯で抹殺可能、みたいな法律が制定されれば積極的になろうとも思われなくなるかもしれないが。

それを考えるのは政治家とかそういう人達、或いはそれらを影で操る秘密結社だ。

個人経営のロボットレンタル会社の社長程度の立ち位置でしかない俺が気にするべき話でもない。

 

人間社会は、海外がどうかはともかく、少なくとも日本は変わりつつある。

日常生活の中にロボットや二足歩行する猫が普通に馴染み、異形が安い犯罪を重ね、そこらの工事現場には変身した作業員が散見される。

以前であれば年単位の時間が必要だった建築作業の工期は大幅に短縮され、それに伴う様に、気軽に建物が壊れる事件が隠蔽もされずに報道されている。

ビルが溶けて人が死ぬ程度の事は、少し悲しい事に皆慣れてしまった。

 

だから、だろうか。

頭の足りない連中というのは、加減を間違えてしまう。

あの事件がこの程度の規模でしか報道されないのなら、多少騒がしくしても、上手く隠蔽できるだろう。

騒ぎになる前に事を終えることができるだろう。

そんな、あやふやな考えで何かを始めると、大抵は碌な事にはならない。

 

眼の前に止まった大型車両もまた、そんな連中か。

デカデカと組織のマークが入っていたりはしない、シンプルな外装だ。

後部からワラワラと黒塗りの強化服とメットに身を包んだ不審者が湧き出てきた。

車はあれだが、装備と動きは一丁前だ。

警察官採用試験でも受けたらどうだろうか。

人格に難ありで落とされでもしたか?

実力はあるのに人格面で難ありの為に落とされるような人間がこれだけ居るとか、この国は大丈夫なのだろうか。

臨獣殿の面子も八割方そんな連中だが、人格矯正や思想改革せずに戦力として運用するなんて考えられない。

流石の俺も少しだけだが心配になる。

 

不審者どもが一斉に片腕に装着された、細い筒の刺さった卵型の装置、マシンガンブレードをこちらに向ける。

一目見てそれが銃である事を見抜ける人はそれほど居ないだろう。

或いは、偽装のために一見して武器に見えない様に作られているのか。

秘密組織は大変だ。

 

「あぁー、と、だね」

 

手を上げるでもなく、不審者達を見回すと、脅しつける様に銃口をこちらに向け直す。

態度でなんとなくわかるけどさぁ……。

一見して武器とわかりにくい形の物を突き付けられたとして、脅しになるかは怪しいのではないだろうか。

 

「それが正常に動作した瞬間、君ら纏めてまずは殺人未遂と銃刀法違反の現行犯って事になるけど」

 

一歩。

勿体付けるようにゆっくり歩く。

 

「家族とか、悲しむんじゃないかなぁ」

 

また一歩。

弾丸は発射されない。

この不審者達の親玉、ZECT、或いはその上層に居るネイティブ共も俺が変身できること、その時にクロックアップ可能である事は知っているのだろう。

だからこそ、人通りの少ない道で変身前にゼクトルーパーで包囲して銃を突きつけているのだろう。

 

「良くないよ、本当に。やり直せると思うんだ、今ならまだ、自分の意志で」

 

銃口がブレて、震えている。

説得が効いているのか、何かを恐れているのか。

少し相手とお話した程度で物理的に不備が出るなんて、どうやら碌な訓練を積んでいないらしい。

 

「あ、あ……」

 

ちゃき、という音と共に、一人がマシンガンブレードを構え直す。

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

ゼクトルーパーの絶叫。

マズルフラッシュと共に、銃弾が放たれた。

毎分六百発の弾丸を発射可能な、恐らくは無認可の密造銃。

だが部品精度は問題無いようで、放たれた弾丸は真っ直ぐにこちらに飛んできている。

 

このマシンガンブレード、なんと装弾数3000。

間抜けな形状もその体積の大半が弾薬を格納しているものと思えばその殺意の高さが伺い知れる。

こんなものを食らったら生身の人間など一溜りもあるまい。

ただ、弾薬などは特殊な金属が使われていたりする訳でない。

これを全て神経断裂弾にできれば強いのだろうが……。

生憎と、こいつに装填されていたのはホローポイント弾であった。

殺す気が強すぎる。

後処理とかどうするつもりだったのか。

 

発射された無数の弾頭が空中で静止し、力無く地面に落ちていく。

念動力による防御膜と、鬼闘術、或いは陰陽術の応用だ。

ホモが予知能力発動に占いという工程を噛ませるのと同じく、陰陽術を噛ませる事で超能力により細やかな機能を付け加える事ができる。

工夫無く物理的に発射された金属片程度であれば、そこから運動エネルギーを簒奪する程度の事は容易い。

 

撃った弾丸が尽く力無く地面に落ちていくのを見て、不審者……ゼクトルーパー達がブレードを展開して腰溜めに構えた。

物差しみたいなフォルムのブレードではあるが、三センチくらいの厚さの鉄板なら切断できる程度の切れ味はある。

が、ゼクトルーパーの皆様はブレードを構えたままその場にぱたぱたと崩れ落ちていく。

彼等の脳味噌に先程奪った弾丸の運動エネルギーを熱エネルギーに変換して少しずつお裾分けしてあげれば、この通り。

あのヘルメットが通気性が悪い事は確認済みなので、彼等が倒れた理由も気候やら体調のせいにできる。

 

彼らも恐らくは悪人ではないのだろう。

たちの悪いカルトに騙されたようなものだ。

もしも他の組織に就職出来ていれば人類側の良い戦力になってくれていたかもしれない。

だが、彼らが既に上司に命令されれば非武装の一般人に向けてマシンガンを乱射し、刃物を突き立てる事に躊躇いのない人間になってしまっているのもまた事実。

塀の中でまともな倫理観を取り戻してくれるのを祈っておこう。

 

さて。

倒れ伏すゼクトルーパーのメット……フェイスヘルムからは忙しなく応答を求める声が聞こえてくる。

耳を澄ませる。

同じ内容、同じ声を周囲から探し出せば……。

少し離れた場所に停車するワゴン車を見付けることができる。

 

捕獲か抹殺かは知らないが、俺に対してどれくらいの脅威度を想定しているのだろうか。

ゼクトルーパーは群れて出てきたがライダーは居ない。

いきなり銃器を突き付けてきた辺り穏便な話し合いをするつもりは無い。

落ち着きを失って発砲してしまうから精鋭ではない。

一般ゼクトルーパーで捕縛か抹殺ができる想定か。

 

なら、指揮車にはそのままオペレーターが居ると見て良いか。

或いはここまでが全て油断させるための捨て駒で指揮車に近づいたところでドカンと来るか。

オペレーターの声がダミーという事はない。

心音が聴こえる。

緊張した人間の女、及び男性に擬態したネイティブ。

声の発生源はこの人間の女の方。

声には画面越しのものではあるが聞き覚えがある。

 

となると、困った。

サソリくんにワームを一纏めにして貰うためには、彼が決意を固める切っ掛けが必要になる。

ワーム……ネイティブの方は別に良いが、あの車両に爆発物なりが仕掛けられていたらワーム殲滅の重要な鍵が一つ失われてしまう。

あれが居る時点で指揮車の搭乗者を吊り上げて尋問して真意を確かめる事は難しくなってしまった。

 

なんとも困った話だ。

人に刺客を送り込んでくるような組織に対して、現時点では送り込まれた鉄砲玉を纏めてムショ送りにする程度の事しかできないとは。

あの女がワーム殲滅の鍵になる事を知っていて人質のように扱っている、という訳では無いだろうが、なんとも腹の立つことだ。

いっそ、倒れているゼクトルーパーのマシンガンブレード内部の弾薬を全て誘爆させてやろうか、とも思ったが、手足に過ぎない連中の手足をもいでも首謀者は痛くも痒くもないだろう。

まぁ……ハイパーゼクターを開発する前に手足をもぎ過ぎて殺してしまっては元も子もないのだけど。

 

マシンガンブレードを足で踏みつけながらどうするか考えていると、携帯にメールが届いた。

見てみれば、それはジルからのもので、蟻の仮面を被った武装集団に拐われそうになったというもの。

 

ふむ。

 

つまり、あれか。

殺そうとした、というより、手足の二、三本もいででも連れ帰って、俺が持つ呪術式ゼクター……劔冑を確保したかったのか。

で、あわよくばZECTに協力させる為に、順当に家族を人質に取ろうとした、と。

なるほどなぁ、現場は堪え性がなくて命令を上手に実行できなかった様だが、中々に利口な奴が居るものじゃあないか。

 

マシンガンブレードが足の下で砕け散る。

思わず踏み抜いてしまったようだ。

粉々になってしまっているのは、どうも冷気が出てしまっていたらしい。

見れば、倒れ伏すゼクトルーパーの全身黒コーデの装備も全て真っ白に霜が立っている。

ゼクトルーパーの装備は断熱性はそれほどでもないのか、少し踏むとぱきぱきと音を立てて割れてしまった。

中身は重めの凍傷程度だが……俺も人の事をどうこう言えるほど堪え性が良い方ではないな、これは。

 

オペレーターの居る指揮車に歩み寄り、ドアに手を掛ける。

鍵が掛かっていた為、ドアの隙間に指をぐいと押し込み、一息に力尽くで外す。

ワームと戦う現場近くまで来る車の割には脆い。

だが、単純な作りの一般車なので、中身の人間も含めて爆散しても最悪タイムベントでなんとかなる。

巻き戻さなくても、死亡直後の魂魄を捕らえて元通りの肉体に入れ直しても良いし。

指揮車の内部では、人間の女と人間に擬態したネイティブのオスが目を見開いている。

 

「貴方は」

 

何かを言おうとした女が意識を失い椅子から転げ落ちる。

もうそろそろ梅雨だからな、熱中症かもしれない。

こいつばかりは後遺症が出ても困るので、外のゼクトルーパーよりも優しめに冷やし、耳からインカムを外してから隅の方に蹴り転がしておく。

車内を一通り確認。

盗聴器の類は無い。

この中で内緒話をする事もあるのだろう。

ZECT側から仕掛けられている、という事も無さそうだ。

 

眼の前のネイティブのオスはZECTガンをこちらに向けている。

大事な部下と戦闘員の命は全てこちらが握っているというのに毅然としたものだ。

この時点ではそれ程大事でもないのかな?

ともあれ、折角ZECTのメンバーに会えたのだし、もっと有意義な話をしよう。

女が座っていた椅子に腰を下ろし、足を組み、コンソールに肘を付く。

 

「最近、上京してきた後輩を飯に連れてく事があってね。下宿先で飯は出るんだけど、せっかくこっちは色んな店があるから、うまいもん食わせてやりたいな、と」

 

世間話をしながら、耳を指先で叩く。

意図が伝わったのか、一瞬だけ自分のインカムに視線を向けて、そのまま視線を戻す。

ZECTガンは突きつけたままだ。

 

「美味しい蕎麦屋を見つけてさ。三百年の歴史ある蕎麦屋なんだって。店主の腕が良いのかなぁ」

 

三十五年も虫が混入し続けてるのが玉に瑕だが。

そう心の中でだけ続けてから再び耳を叩き、手を差し出す。

ネイティブは一瞬で様々な人間の表情を見せて、最後にはインカムを外し、手渡してくれた。

良い子だ。

人間に擬態したワームやネイティブは、その感情がどうしても人間のそれとして出力されるのが良い。

 

「そう怯えないで。俺はね、暴力で解決しようとしてきたあなた達に対して、わざわざ顔を突き合わせて話をしに来たんだ」

 

「君にとって、悪い話じゃあ無いと思うよ。あなたと、お蕎麦屋さんにとってはね」

 

―――――――――――――――――――

 

ZECT本部、と、そう呼ばれる施設は、実際の所それ程重要ではない。

組織の中枢であるネイティブはそんなわかりやすいところに纏めて居るわけでもなく、ここで働いている者は大凡がネイティブの地球侵略の為の尖兵。

ネイティブにとっての敵対種族であるワームと直接的にやり合う、ネイティブにとっての肉盾、捨て駒、私兵ならぬ死兵。

それらを真に支配するネイティブはその大半がZECTとは関係無い職に付き、地球人に擬態して一般人として生活している。

無論、その実態を知る人間はネイティブによる支配を表向きは受け入れながら反逆の機会を虎視眈々と狙っているのだが……。

 

そのZECT本部の全てが、僅かな、ほんの僅かな時間のみ、張子と化した。

汎ゆる警備システム、いやさ、汎ゆる機械装置が形をそのままに機能を停止し、存在する視線は内部に居る人間のそれだけになった。

照明すら落ち、不自然なまでに暗闇に包まれたその一瞬。

何かが起きた。

くぐもった声、或いはほんの少しの物音。

 

 

窓から空を見渡せる一室に居た、加賀美陸だけが、それを見た。

人が消え、現れる。

彼の側近である三島が、影に吸い込まれるように消え、また出てくる瞬間を。

 

何が。

と、口にするよりも早く、口を手で塞がれる。

人の手の感触ではない。

ワームやネイティブのそれでもない。

鎧われた手。

 

「伝言ス」

 

機械的に変換された男とも女ともつかない、低く抑えた声。

後ろに居る。

だが、睦の前に居る三島はそれに対して何の反応も示さない。

 

「もう少し手段を選んで良いし、余裕を持って良い……だそうっス」

 

ぱ、と、手が離される。

振り向かない。

まだ居るものと思い、問う。

 

「君は」

 

「特製の()()()ス」

 

「共に、戦えると」

 

「然るべき時に……ス」

 

気配が消える。

振り返れば、そこには誰も居ない。

照明が復旧する。

一分にも満たない、記録に残らない時間。

 

「どうか、されましたか」

 

三島が、陸に問う。

まるで、何事もなかったかのように、陸が唐突に振り返った事に戸惑うような声。

何も、無かったのか。

自分一人が見た白昼夢なのか。

或いは……。

 

「ゴルゴムの仕業か……?」

 

傍らの三島にすら聞こえない声で呟く。

ならば、ワームに触れ回っている男は、その関係者か。

男は、その都合の良すぎる想像を振り払うように頭を振る。

どちらにせよ、ことここに至ってやり方を変える事は難しい。

カブトが持ち主に渡り、戦いの神もまた生まれようとしている。

 

ワームから、そして、ネイティブからこの星を守る為、仲間を、友を失いながら、一人闘い続けて来た。

このやり方が誰かの逆鱗に触れたとして、別のやり方ができる、自分をどうにかできる存在が居るというのなら、それも良い。

この星を、人々を守ってくれるというのであれば……。

 

 

 

 

 

 

 





カブトも相変わらず手探りで進めてるから時期が曖昧
確実なのは
パーフェクトハーモニーはもう無い
ガタックもまだ
こんくらい?
この話の裏面はたぶんドレイクでゴンが拐われたくらいかなぁ、くらいの塩梅
影山ザビーとぶつけるのも考えたけど
ZECTって割りと変身してないライダーをゼクトルーパーで取り囲むの好きっぽいのでこう
人間を鉄板で海苔巻きにできる超能力者が自然発生する世界でやるとこう

☆前回までのあらすじ
人間とワームの交配は基本的には難しい、余程の奇跡とか改造が必要なレベルということはわかった
そんで幕間のあらすじ
人間に擬態できるので後付でオルフェノクの因子を捩じ込める
その状態で単為生殖すると因子毎コピーされるので生まれつきのオルフェノクワームが産まれる
オルフェノク因子が動物のオリジナルであるマラークから人間への呪いである事と人以外には祝福になりえる事とそれを利用して動物の要素を取り込んだ人間から古の化身忍者が作られたのは皆さんすっかり歴史の授業でご存知の通り(過去改変)
無数のオルフェノク因子とワームの幼体を組み合わせで君だけのオリジナルオルフェノクワームを作ろう!
増やした因子を重ねて限界突破、覚醒素材のアギトの火を入れてレアリティをアップ!
ワームの能力とオルフェノクの能力が混ざってフリーズやレア能力を発現するまでガチャが延々回る
天井は無いけどガチャ回数には限界があるからそんな時はガチャマシンをリセットだ!
ついでに穢も入れてちゃんと変異するかも確認しておく
場合によっては穢による変化のほうが重要だけどその話を回収できるかは謎
サラブレッドとかカブトムシの養殖の延長線上の話でしか無いので実際健全

☆この日本で情報が不確かな生身の人間を取り囲んで銃を向ける危うさ
もしアギトだったら、もし鬼だったら、もしオルフェノクだったら、もしファンガイアの人間態だったら、もし人に見える魔化魍だったら、もしゴルゴムだったら
そう考えるとやはりゼクトルーパーの装備は不安が残るところ
元々あのボディアーマー鋼鉄の五倍の強度を誇ってたりするんですが原作でも普通に死にまくってるのでこんなもん
世界観に合わせてアップデートはされてるけど、安全装置のお陰でZECTの人間がネビュラガス由来の変身システムを使うと何でか行方不明になるので生存率はやっぱりそんなでもない
今回襲撃に参加したゼクトルーパーは後遺症が残る程度の凍傷で済んだ
悪い奴らではない
悪い奴らではないが引き金を引いた指は悪いので指は取れたりする

☆ZECT本部に忍び込んでいた謎の戦士ッス!
誰かと問われたら
謎の戦士っスよ
としか言いようがない
いくらでも替えが利くし人の為なら自らの命すら投げ出す地獄の軍団

☆下宿先の喫茶壽でウェイトレスをしながら修行中なので荒事にも潜入にも無縁の元後輩ちゃん
定休日に下宿先のシロパイセンの家に遊びに行ったらクロパイセンの特大喘ぎ声と肉を打つ音がドア越しに聴こえてきて中止になったり
お客さんに悪い占いばっかりする変な占い師さんが偶に憐れそうな顔で見てきたり
毎日が大変だけど、今、巷で噂の難波製作所の社長さんが先輩のお仲間みたいでビシバシ鍛えて貰って充実した日々を過ごしている
スパルタながらに覚えやすい適切な指導で終わる度にクタクタだがライトサイドの運動部メンタルで毎回心の底からありがとうございました!とかやるが、何故か社長は複雑そう……
ベンチャー企業の社長ともなると人に言えない悩みとかあるのかもしれないけど、自分で良ければ話を聞くッスよ!
自分まだ未熟でなんもできないっすけど、聞き役くらいなら全然できるんで!
みたいな生活を送っている

☆弱点になり得るだろう交流先に送られたゼクトルーパー部隊
突然取り囲んで銃器を突きつけてくる謎の覆面部隊?
そっかー……動けなくして葛城博士に預けておくね!
そっちにも行ったの?
じゃあこっちで預かって葛城博士に預けておくね!
浦賀社長も欲しがってる?じゃあそっちにも預けておくね!
みんな人材が足りないんだって!(脳死判断)
みたいな話があったのかもしれないし無かったのかもしれない
生体へのネビュラガスの作用がかなり解き明かされたりしたのかもしれない
エボルトの脅威とかが目に見えて存在してないから死亡消滅前提の実験とかは無い
目の前で立てた指をスーッと横に動かしながら説得する事で心弱き皆は喜んで人類の繁栄の為の実験に協力してくれる
ネビュラガスを吸収した時の難波さんのアイターっ!が生身人間換算でどれくらいのダメージになるかを思い知り人は恐怖したりする
実家に向かったゼクトルーパー部隊なんてものは居たのだろうか
ママンを人質に取れれば警察の装甲服部隊で活躍してるパパンとかも操れてお得ですらある
お得ですらある(強弁)
ママンをどうこう以前に実家周辺には過剰なまでに護衛戦力(大体がペット化)を置いてあるのでママンの影すら掴め無い
そもそも実家周り、描写してきただけでもなんでか大型魔化魍が定期湧きして一昔前は公共交通機関で度々人間ぶっころオルフェノクがポップして近所のバイク屋にゴルゴムの尖兵がランニングシャツとトランクスで扇風機で涼みながらテレビで甲子園見ながら控えてる(店舗の隅にキックボードと埃を被ったローラースルーゴーゴーとかが置いてある感じの佇まい)
(店舗の車両受け入れスペースが居住スペースの居間と直結してる風、看板はちょい錆塗装剥げあり)
そもそも鏡の世界にヘキサギアが控えているし、ヤマタノオロチの時に両親に送られたデッキ(ママンのは文鎮代わりに使われている)の契約モンスターが彷徨いている
そういう訳で相対的に素晴らしき青空の会に向かい、元BOARDのライダーとか現役イクサとかイクサ候補生とかBOARD製トライアルシリーズの生き残りとかに撃退されて捕獲されて脳みそから記憶吸い出されて情報抜かれたゼクトルーパー部隊が一番穏便なやられ方をした

☆三島さん(1)
挙動は元の三島さんと基本変わらない

☆ゴルゴムの仕業ではない
この世界だと偉くなるとゴルゴムと接触する機会があるものとして考えると
あいつらそんな脅威でもないから放置で、ってされてその脅威でないはずのものが水面下で暗躍を続ける様を見るのは正義感とか使命感の強い人には辛かろうなと
しかし人類にアギトへの道が啓かれた時点で確かにワームとネイティブの脅威度は相対的にかなり下がっているのでゴルゴムが手を出すまでもなく解決する方向に進むだろうと考えると慧眼ではある

☆ドゲンジャーズメトロポリス
最終回の連続変身バトル良かったよね……
自分放送を配信で追って主題歌シングル買うくらいしかしないんだけど、毎シリーズ出てくるヤバ社長のパワーアップ形態ってその後に活用されたりするんだろうか
メトロポリスの主人公がフォーゼでJKしてたってことより、ハイスクールの時の担任の先生が北条さん役の人だって事の方が驚く
その見た目から突然20年という時間の流れを叩き付けられてシンは廃人になった


いい加減うだうだ言わずにZECT製ライダー出せと言われそうなので次回出ます
出ますというか、このタイミングなら野良ワーム退治してるだけで喧嘩吹っ掛けてくるライダーとかも居るだろうという事で
でも正直、カブトに出てくる味が濃い目のキャラって描写が難しいんすよね……
それが上手く書けるのか書けないのか、それは次回にでもわかるはずなので気長にお待ち下さい

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。