オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版)   作:ぐにょり

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158 悩みの間

ううむ。

 

「どしたのそんなに態とらしく唸って」

 

スイカの皮の漬物が入った青い陶器の器と500ml缶のおビール様を両手に持ったグジルが台所からやってきたことで、ようやく考え事が堂々巡りを起こしている事に気がついた。

テーブルを見ればコップの中身の氷が解けて、中には薄まったカルピスだけが残されている。

中々の時間を思索に使ってしまったようだ。

悩み過ぎは良くない。

なんの追加材料もない状態で一人で悩んでも、最初の数分で答えが出なかった時点で何時間悩んでも答えが出ることはそうそう無いからだ。

 

「聞いてくれ、悩みがある。しかもできれば人に聞かれたくない悩みだ」

 

「お前の悩みいっつもそういうのじゃね? んで、どんな悩みよ」

 

「身元がはっきりしていなくて死んでも問題がない、そのままでは長期的に見ても戦士に育て上げる事が出来なさそうな体質の、それでいて正義感溢れて力を得た暁には人類のために死ぬまで戦ってくれる、その上でめちゃくちゃ生きることに前向きで死ぬことなんてまるで考えていない様な人間が欲しい」

 

「それいっつも欲しいって思ってるやつじゃね? ああいや……」

 

「心当たりが?」

 

「最近、難波の方もそれ欲しがってるかも。難波がっていうか、部下の科学者のおっさんが。ネビュラガスの常人への影響をしっかり確認したいって」

 

「むむ」

 

そういえば俺もそういう相談を受けていた。

ネビュラガスの人体実験は今のところ難波さんが一身に引き受けているが、今の難波さんの耐久力だと人類にとってかなり致命的なダメージを受けても『いったぁっ!』くらい……具体的には常人がパッチンガムを食らった程度のダメージで済んでしまう為、無毒化無害化の為の実験データが上手く取れないのだという。

厳密にはデータが取れないというよりも、今の難波さんからネビュラガス人体実験のデータを取ろうとする場合は別の方法が必要になるのだが……。

自衛能力の足りない人間に教えた場合そこから情報が漏れる可能性もあるので、葛城博士の頭脳を利用し続けるならば普通の人体実験も必要になってくるだろう。

浦賀さんもネビュラガスの圧縮実験がもう少し進んだら人体実験が必要になってくるだろうし、やはり実験に適した健全な肉体の人間はこれから多く必要になる。

まぁネビュラガス関連の実験は最悪人格はそれほど考慮しなくても良いし、人類の近似種であり法的に守られていない連中を使う事も可能だ。

まぁ、そんな手間を掛けずとも、既に人体実験に関しては問題なく行えるだけの下地は出来ているのだけど。

 

「無垢の戸籍も人格もない人間でいいなら用意できるんだが」

 

「高速培養でもエラー少なくなったもんね」

 

「最悪廃棄(エラー)個体でも死亡前提みたいな実験には使えるし、用途によっては大規模な実験にも対応できる、できるが」

 

逆に言うと、実験くらいにしか使えない、という一面もある。

兵士として培養するなら製造速度もそう変わらないトライアル系列のアニマルソルジャーが効率的だし、人間社会に紛れ込ませるならアップデートを続けてきたFAGがある。

アギトの力にしてもFAGに宿しても育つ事がわかっているので、量産の為の培養ではない、社会生活を送りながら育つアギトの観察もFAGで間に合う。

 

「脱走の可能性を考えたら濫用は控えたい」

 

「今更じゃねーの?」

 

「倫理的な不味さは動物実験と比較にならん。動物実験なら変な団体が絡んでくるだけで済むが、人間のクローンはな……」

 

ここぞとばかりに世界中からライダーが集まってきたりしたら困るし腹も立つ。

それに下手に人間型にするといきなり自我が生えてライダーになったりするかもしれない。

アニマルソルジャーが動物ベースなのもライダーの発生を予防するため、という面が強い。

いや、放射線を浴びた豚に噛まれた蜘蛛のスーパーヒーローを考えると非人間型ライダーが発生する可能性も無視はできないのだけど。

そんな事を考えていたら人体実験どころか動物実験すらままならなくなり人類文明は滅びる。

 

「遺伝子的に人体実験と遜色ない結果が得られるが、脱走しても奇特な心優しい子供に拾われるのがせいぜいで、一般の目に触れたら一発で駆除対象になる、みたいなバランスが望ましいか」

 

「で、女の子から受けた恩を返す為に醜い素顔を仮面で隠して世のため人のために活動し始めるんだよな……バイクヒーローで見た」

 

八方塞がりじゃねーか!

まぁ、実際、どうしたって大量に作ればエラーは発生するのだ。

防ごうと思ったら、人体実験の時には専用の厳重な施設を用意して、部下や手駒に任せず俺自身が立ち会う形で行うのが一番良いだろう。

最悪、実験体は最初から腕なり脚なり切り落としておけば逃走も難しくなるだろうし、実験前に体内に爆弾なり致死性の呪いなりを封入しておくという手もある。

 

「ていうかさ、人格面まで言い出すなら、それこそ作って移植すりゃいいじゃん。CSCで基礎人格作って、それをクローン体に移植しちまえば」

 

「それは失敗した。いや、成果がない訳では無いんだが」

 

天使の様に純粋な、悪魔のように誠実な、猫のようにしぶとく、犬のように忠実で、騎士の様に清らかな、武士の様に潔い。

幾つかのコンセプトを元に作った疑似人格を移植した無改造のクローン体は、残らず投薬に耐えきれず死んでしまった。

 

「どういう実験?」

 

「一発で臨気に目覚めてある程度の戦闘能力が手に入る薬の投薬実験だ」

 

「劇薬かな?」

 

「今のとこずっと失敗のパターンを引いているけど、理屈の上では精神的な条件だけを満たせば力が手に入る便利な薬になる筈なんだよ」

 

「好きに作れる人格で満たせない条件をそこらの人間が都合よく満たしてるわけなくね?」

 

「いや……推測だけど、人格というより、必要なのは()なんだと思う。そんで、こればっかりはインスタントに作った人格だと不足があるんじゃないかな、と」

 

割りと勘違いされがちだが、プリミティブな本能というものはそれほど強固にはできていない。

原始的な生物すら持つと言われる死への恐怖すら、一定以上にまで高まった場合、その個体は自分自身の生存を諦め、どうにか次の世代へと遺伝子を残すことを優先しようとする。

これが危機的状況での発情につながるわけだが、これは死を受け入れた状態に分類されてしまう。

 

「例えば私とか」

 

「絶対駄目。お前はもう臨気に目覚めてるけど、それ以前にお前だとほぼ間違いなく死ぬ」

 

俺の返答に、グジルはうへぇ、と口に出しながら眉をひそめた。

 

「ほぼ安全装置解除済みで割りと高位のアギトでもある私を殺せるような毒を精神的に強いだけの人間に投与しようとしてんの……? ていうかしてるのか」

 

「してるのだ」

 

実際、自分の目的が果たせたら別に死んでもいいや、みたいなタイプは確実に死ぬのだ。

新薬、『臨死の恍惚(ニアデスハピネス)』は、俺の記憶から抽出した、人間が死ぬ直前の感覚を追体験させるものだ。

俺の記憶を元に再現した、脳細胞が機能を停止していく感覚を味わう事ができる、ただそれだけの効果しかない。

言ってしまうと、ボケていない状態での完全に穏やかな人体の機能停止を生きながらにして体験するものなので、苦痛すら存在しない。

苦痛すら存在しない、のだが、多少なり死への肯定的な意識があるとこの感覚に引っ張られて本当に死んでしまうのである。

しかもなまじ苦痛が無いばかりに死に引っ張られて死を肯定しやすくなってしまうというおまけ付きだ。

 

「苦痛のない死の安らぎを振り切って、それでも絶対に生きてやる! みたいな気持ちがあれば戻ってこれる……筈だ」

 

「筈かい。ていうかさ、臨気の覚醒ってもう技術的に確立してなかった?」

 

「今の方法だと実質拷問みたいなものだからなぁ……一般受けするカジュアルな覚醒方法があれば間口も広くハードルも低くなるかなって」

 

そもそも、諸々の技術で無理矢理に生かし続ける事ができる治療体制があるからこそ成り立つ修行法なのだ。

世間から見れば黒沼流に勝るとも劣らない気狂い集団にしか見えないのが臨獣殿の現状だ。

理屈を知らなければ、或いは知っても、よくある格闘系漫画の巨大な地下施設で死をも厭わない組み手稽古を延々続ける悪の武門と変わりはないだろう。

これを全人類……とまではいかなくとも、俺の認識する範囲、しいて言うなら日本国内に普及させるのは難しい。

ブレインスクラッチから出した簡易倍力服の売れ行きは良いが、あれも生存率を上げるというよりは襲われた時の死ぬまでの時間を長引かせる程度の性能しか無いし……。

 

「人類そのものの強制改造が駄目だとなると、臨気の習得が一番強化に繋がるし、一度覚えれば外部装置が必要無いから万人が手を出しやすいだろ?」

 

「その遠回りは一番の近道ではない方の遠回りなんじゃねーかなぁ」

 

これでも食って一旦落ち着け、と、差し出された器から漬物を摘む。

落ち着いて頭を回した結果空転していたのだが……。

 

「気分転換にどっか出かけてきたら? ランドの年パス使う?」

 

「こないだ都市伝説の魔化魍出たのに普通に営業してんのかランド」

 

「丁度あたしとジルが居たんよ。詳しく経緯を語るとバイクヒーローの夏映画くらいの長さになるけど」

 

ああ、そりゃ……。

 

「春映画みたいな事件に巻き込まれてもやだからやめとくわ」

 

―――――――――――――――――――

 

そういう訳で奥多摩にやってきた。

簡易アニマルソルジャーどもの様子を確認するついでにすこしばかり体を動かして気分転換だ。

ついでに、何匹か食べる用に持って帰るのも良いだろうか。

グジルに愚痴聞いてもらっちゃったからな、お土産として良さそうな、戦闘個体として不適格な脂の乗ったやつを探してみよう。

 

「ここ、ここ」

 

獣道すらない草木を分けながら踏み入ると、綺麗にカットされた巨石で作られた空間にたどり着く。

この謎の石切場、まるで栃木とかその辺の石切場みたいで良いんだよね……。

ワンチャン、他所の星の連中が根城にしてそうな雰囲気があるが、奥多摩の森は既に俺の支配下だから不審な連中が居れば流石に気付く。

ヘルヘイムの実は他惑星に持っていけば栽培も容易だし、ヘルヘイム自体は焼き払えばいいから対処が楽な方だし。

やっぱり人里離れた隠れ家持ちの敵対種族は殲滅が楽で良いな……。

 

「よしよし、君は身が良く引き締まっていて……戦闘向きだね、行って良し」

 

堂々とした足取りでやってきた鹿の体を撫でながら観察し、解き放つ。

この森の生命体は総じてアンデッド由来の精神感応システムが原型のネットワークを形成し、総体として知性を持つが、個体毎にも元の知性が存在している。

なので、俺の指令に逆らうものは今のところ居ないが、何も命令しなければどう動くかには個体差がある。

さっきの鹿は死にたくないので自分を高めた上で媚びを売るタイプだ。

 

目に留まらない様に息をひそめる個体も多い。

元の野生に近い生活を、簡易改造で強化された能力で便利に過ごす個体などはこの傾向がある。

こういうのは餌を潤沢に食べているので美味い。

 

「そこの猪くん止まって」

 

石切場の様なスペースの外に居る猪に声をかける。

丸々と太った立派な猪だ。

で、体の傷跡が少ない。

観光客の捨てた食べ物を漁っていたか、ゴミ捨て場を漁っていたか。

或いは木の実の成るタイプの木と共生関係になっていたか。

喋る力も衰えつつある乙事主の配下達とは比べ物にならない程に清潔感もある。

 

ふごふごと大きく丸い猪が嘶き、走り去っていく。

いや、猪はアンデッドの性質を素直に受け継いで突進力がある筈なので、逃げるにしては遅すぎる。

しかも向かう先は崖だ。

水落ちでもして生存ルートを狙っているのだろうか。

だがこいつは水辺に居ても血抜きと解体がやりやすくなるだけで生存ルートには繋がらない筈だ。

或いは最後に故郷の森を一目拝んでおこう、みたいな感傷か。

崖の手前で猪が振り返る。

こっちに来いくらいの意味合いだろう。

 

この森の猪は改造してあるから頑丈とはいえ、下手に崖から落ちて全身の毛細血管が破れたりすると肉質が悪くなる。

興奮させないよう、番組開始から一時間四十二分辺りの船越英一郎気取りで崖際に近づく。

 

「お」

 

金属片が落ちている。

美しく分子構造が整えられた、同種の素材と比べてなお高い品質のものだ。

こんなものをこの日本で作れるのは俺くらいのものだろう。

拾い上げて日に照らして確認しても、実に良いものだという事が良くわかる。

 

軽量で結構頑丈!

人間大の装甲服背面に取り付けられる母衣(揚力を生み出す翼。航空力学的には装甲を纏った人間を浮かす程の力はない)と合当理(ジェットエンジンに相当。当然これそのものに人間を飛翔させるだけの出力は無い)で飛行できるギリギリのラインを攻め、それでいて呪術的な兼ね合いもあってそもそも使用できる材質にも制限がある中で選別された特別な素材だ。

こんなものは、ウチが猛士に卸している劒冑以外に使用されている筈がない。

 

「〇四式の母衣かぁ?」

 

限界高度から地面目掛けてまっしぐらに加速して激突したりすれば流石にバラバラになるが、どうもそういう壊れ方ではない。

切れ味鈍めの刃物がぶち当たった感じだろう。

そういえば、武者童子とかの実験の時期だった。

劒冑は軽量化の観点で制限があるとはいえ、鬼の皮膚よりは格段に頑丈な筈だが、成る程、武者童子は数打ち程度なら破壊できる程の膂力があるのか!

 

まぁ、場所が悪かったというのもあるだろう。

劒冑の主戦場は一応地上だが、母衣と合当理を展開している最中はその限りではない。

また、仕手の肉体を包み込む形で装着する為に体躯も一回り大きくなる。

避けたつもりで、普段の肉体に無い部位に攻撃が当たってしまう、というのは想定の範囲内のミスだ。

だから、基本的に地上戦を行う場合は母衣と合当理を格納する。

そこから戦場を変えようと崖から飛び降り、母衣と合当理を展開し終える前に凶器を投げつけられ、自由落下の最中であった為に避ける事も出来ずに墜落した、というところか。

 

ぴぎぃ、と、猪が誇らしげに崖に向けて嘶く。

崖下に流れる川には装着状態のまま脱ぎ捨てられた量産型の劒冑、〇四式竜騎兵。

機能不全を起こした……というより、空蝉の術の様に、死体が打ち捨てられている風を装う為にあの形で放置したのだろう。

劒冑の構造の知識がなければ、鎧武者が川の中で俯せに討ち死にしているように見えなくもない。

 

「良くやった」

 

フゴフゴと鼻を鳴らしながら顔をすり寄せてくる猪の頭に手を乗せる。

ばちん、と、良く張ったロープを切断する様な音と共に猪の体が崩れ落ちた。

ぴくぴくと痙攣する猪の頭を掴んで持ち上げ、崖の先に脚を踏み出せば、周囲の茂みから、或いは崖下から蔦が伸び、空中で互いに結びつく様にして足場を形作る。

 

崖下の川に着地。

ざぶざぶと川の中を歩き、脱ぎ捨てられた劒冑を待機形態に変形させ、これも持ち上げる。

母衣は破損しているが変形は可能でインナー部分も裂けていない。

だが、飛行能力を失して墜落したなら中身の人には多少なり怪我をしているかもしれない。

川でこいつ()を捌いて肉にして差し入れしてあげよう。

内臓系は捌いた直後にしか食べられない珍味だからな、珍しいもの好きのあの人ならきっと喜んでくれるだろう。

ついでに劒冑の使用感とか確認できたらいいな。

 

 

 

 

 

 

 





短め短め
でも書けば進むし今回も大体夏休みが終わったくらいの時間軸に進められた
なのでこれはこれで問題あるけど問題なし
長く書きたい時になったら長く書けば良いのです


☆画面裏で健気な人体実験を繰り返す少女with難波製作所の人々、そして日々少女の形をした感情がそれなりに豊かな自分を慕う部下達を使って危険なネビュラガス圧縮実験を行うベンチャー企業の若き社長
侵食系ダメージを内在する無数の魂で分割して受ける為ネビュラガスの悪影響を受けにくく、ネビュラガスを使用した変身システムに肉体が適応していく
死に難さ、という一面で見ると作中随一の性能だが、当然ながらネビュラガスの人体実験として見るとまともなデータは取れていない
まぁそれでもやらないよりはマシ、くらいのデータは取れているし変身システムの完成度が上がっているのは確か
でも安全性を高めた設計でも万一ネビュラガスが漏れないとも限らないしそもそも噴霧機能もつけちゃったので、ちゃんとした毒性を確かめる為にどこかで人体実験はしないとな、くらいの方針
順序は逆だけどトランスチームガン(試作)からネビュラスチームガンにまでツリーを伸ばせば変身後の単純性能は高められる
なお一番正確なデータはベルトによる肉体変異履歴を参照できて内部の魂の様子を観測できるやつが持ってるので、ネビュラガスの人体への影響は葛城おじさんよりも浦賀青年の方がより正確に把握している
正確に把握した上で自分を今の立場に据えた謎の男は圧縮実験を成功させた上でより強力な兵器を君なら絶対に作れる! 俺を、或いは君を信じて実験に従事してくれる部下たちを信じて!みたいな事をいってくる
ドライバーそのものはともかく、最終的に浦賀さんが一番性能高いの作れる可能性高いしそのためには多少追い込んだ方が良いからね
部下への愛着が湧きすぎると、人造人間では正確なデータは得られない!みたいな言い訳をして最終的に自分自身で人体実験初めて原作通りに顔が焼けただれたりしそうだけど、そんな状態になっても部下の少女たちには優しいんだよね……
自分と部下の少女たちが自由になるには、この現状から抜け出さなければならない!みたいな発想がどこかで生えてきてもおかしくはない立場にある
実は仮面ライダー発生ルートの途上に居るのでは?
量産の効く人格バックアップも容易な人造人間に入れあげるとはけったいなやつだ、面白い遊んでやろう
みたいな事を言わなければなんとかなるかもしれない
複雑なフラグ管理とかをぐにょりができない為そういう面倒くさいルートは発生しないといいなって思いました
意志のない実験用クローンが送られてきた時にそれで実験できるくらいに倫理観が削れていれば敵対ルートは遠のく
でもその時は部下達の方が倫理観とか情緒関連が育ってて部下を守るために死んだ魚の眼でクローンに非道な実験を繰り返す浦賀さんを痛ましげな瞳で見つめたりそっと寄り添って背中抱いてくれたりするんだろうな……
そんでくじけたりしそうになると護衛のエーデルワイスさんがですわ口調で叱咤激励してくれたり護衛の猫が腹を見せて撫でても良いアピールをしてくれたりする(実際撫でさせるかはその時の気分による)
困ったことに実験に必要なものは申請すると即日で届く為、ネビュラガスの圧縮実験は確実に成果を上げつつあるし影の護衛がミラーワールド側に張り付いているので進捗は常に把握されているぞ!どうする浦賀青年!

臨死の恍惚(ニアデスハピネス)
投与して死ななければ臨気の放出が可能になる新薬
というのは結果論的な話であり、基本的にはただの致死毒
効果は単純に記憶の追体験でしかないので現代医学だとなんで死ぬのか解明できない
脳細胞が緩やかに死滅して記憶も意識も消えていく感覚を疑似体験できる
無意識的に抱えている、普段思い出さない様にしているストレスも消えていく
抱えているストレスが重い程に安らぎを感じてしまい、死の幻覚を受け入れてしまうと肉体もそれに追従して機能を停止してしまう
無理やり引き戻す事で蘇生もできるが、被験者は所謂死の安らぎを体験した事でストレスを抱えた状態そのものに更に強いストレスを抱える様になってしまい、この薬への強い依存、或いは痛みのないと思われる形での自死を試みたりするようになる
ストレスが限りなく少ない個体であっても生きていくことへのモチベーションが低ければ同様の症状が見られる
名前は被検体であるクローン達が語った、死に際の一切ストレスの無い、生きていては味わえない安らぎを語る恍惚とした語り口から
水飲んだらうめーし陽にあたったらあったけーし腹から笑うとおもしれーし犬かわいー!
みたいに生きてるとめっちゃ楽しいし誰が死ぬか千年万年生きても生きるのに飽きるなんてありえないぜ!みたいな精神だと自力で戻ってこれる
臨気が目覚める薬、ではなく、死を目の前に死を拒絶する気持ちが最大限増幅されるから結果的に臨気が目覚めている、というからくり
臨獣殿の戦士は見習いも含めて敵ぶっ殺すまで絶対死んでやるか! みたいな思いを最初から抱えていたりする人間が多く、修行もそういう気持ちを増幅する項目があり、なおかつ修行の中で対面する死に際が大体苦痛と共にあるのでこういう事故死は極めて少ない
なお、臨気を使えるようになる、であって、臨技を使える様になる、という訳では無い

☆簡易倍力服
アギト編から龍騎編辺りで主人公が人間態時に偶に装備していたものの進化派生系
少し厚みのあるボディスーツで、外部からの圧力を受けた部分が硬化する事で対物理防御能力を備え、筋肉の膨張などによる内部からの圧力で硬化する事でものを支える動きなどを支える形で補助する
服の下に着込んでも日常生活に支障がない厚みで作ると対怪人戦闘に耐えうる性能にできなかった為に実用化されていなかったが、商売の種とする為に販売開始された
一般人襲われシーンで雑に怪人に殴り飛ばされる時も頭部を守れば死なないくらいには頑丈
介護とか工事現場とかの他に、パワードスーツ独自開発の為に自衛隊が買い込んだりしている

☆千葉ニーランドとそこに現れる姉妹の鬼
人の噂の多さと人の多さから割りと都市伝説魔化魍が発生しやすいが、大体大事になる前にこいつらがなんとかする
地下に建設された違法カジノ型魔化魍、子供だけを狙い食らう巨大な凶悪人型鼠魔化魍などをめぐる冒険がまれにあるが、一部目撃者は不定期のヒーローショー的なものとして認識していたりする

☆一番取りたい戦法は相手陣地への爆撃
スマブレへの対処が楽だったので、一箇所に集まる系の連中は与し易いなぁとか思っている
核ミサイルは消滅できても適当なそこらの物質が何故か核爆発を起こしたり、いきなりあちこちプラズマ化したりついでに大地一面が可燃性物質になるのを止められるかなぁ?
クウガ編ラストバトルとか現在進行系の響鬼編を考えると地脈攻撃もあり
しかし仮に二期編があっても鎧武編はそんなシンプルにはいかない
或いは徐に始まる遺伝子強化竹と遺伝子強化虎杖と遺伝子強化葛の移植実験
友人を大事にするが、大事にするの基準は安全と並んで自由意志が挙げられる為、本人が望んでやっている危険行為に関しては致命的なものを除けばそんなに止めたりはしない

☆しなやかな肉体と稲妻発射能力を備えるシカくんはさながら森の代表面
戦闘に耐えられる肉体がそんなに美味しくなさそうなので許された
魔化魍に関しては撃退したりしなかったりするが、それもまた森の意志なのだ……
幾度かの魔化魍との交戦、鬼との共闘をへて、なーんだ専門家がちゃんと相手してるんじゃーん、ってなってる
鬼が居ない時はちゃんと働くのでご安心だ

☆人懐っこくて賢く餌を手に入れる事ができる愛嬌のある猪くん
強烈なタックルを放つ必要がない生き方を学んだ
それが許される立場に無く、丸々太って美味しそうだった為に脳味噌を電流で焼き切られてしまった
捌く直前まで手動で生きている時と同じ生命活動を維持する電気信号を流されている為極めて新鮮
食用に耐えうる

☆この話は原作で言う28話とか29話辺りなんだけど崖から落ちて今まさに猪の内蔵を食わされそうになってるのは鋭鬼さん
ちょうどこの話で武者童子と鎧姫相手に敗走して崖落ち水落ちしてダジャレ言いながらリベンジマッチ仕掛けるのが以前少しだけ話に上がった劒冑を使いこなしている設定の鬼だったので絡みに行かせる
なんでこの人かって言うと
だいじょぶかい!
俺は一晩寝て、英気を養ってきたから、大丈夫!
よーし、行くぞ!
くらいしかセリフが無く、スーツ繋がりで朱鬼とつながりが無いでも無いから好き勝手やれるかな、って思ったので
次回はこの人との会話劇からスタートして……戦闘シーンを少し入れて?
くらいの形で行く
いきなり30話から入るのはちょっとキャラの強烈さとかでカロリー高いかなって思ってのワンクッション
原作の本筋だと響鬼さんが明日夢くんに良い話してるシーンだから変に混ぜっ返したくないという事情もある


因みに、本編書き終わってからあとがきを書くと何に注釈入れればいいか忘れちゃう問題を解決する為に今回本編とあとがきを行ったり来たりしながら書く、みたいな事をしてみているのですけれども
ワードで書いてて合計文字数があとがきと合わせた文字数で出てくるから本筋が短めでもなんかいっぱい書いた気分になってしまう事に気がつけました
情報としてこれ本筋と関係ある?みたいな話ばっかりだけど、どれが情報としてノイズなのか後に回収される話になるかは現時点ではわからないので何もかも話半分に見ていてもらえると助かります
そんなので良いのだろうか……
わからないけど、まぁ続きを読んでみなければわからないものよ、みたいな感じでもよろしければ、次回も気長にお待ち下さい

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