オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版) 作:ぐにょり
日が落ちる頃にもなれば、出現する魔化魍の性質も変化してくるのはおかしな話ではない。
魔化魍の出現と温度湿度気圧などは密接な関係にある。
当然その場の穢れの度合いにも連動しているのだが、科学的に観測できるデータと穢れがある程度リンクしているのは、赤心少林拳を始めとした武術で扱われる気が肉体に与える影響とよく似ている。
或いは、脳と魂に二重に刻まれた記憶という情報にも。
理屈としては単純明快で、海には海に纏わる魔化魍が、森には森に纏わる魔化魍が出現するのと同じく、シチュエーションに沿った、
真っ昼間の市街地に大型魔化魍がそう現れる事がないのは、そこに怪物が現れるイメージを多くの人間が持たないためであるとも考えられる。
ここ数年で真昼の市街地も油断できない場所として認知されはじめてはいるが、秘密結社がある程度人目を忍んで活動していた時期や、或いは情報操作が完璧だった頃のイメージが未だ根強いのだろう。
白黒のクグツに童子と姫、これらが特定の人間をモデルに量産されているように見えるのは、初期状態の人に知られず人をまともに襲って殺して喰らう事もできない魔化魍に狙った形を与える為だろう。
近いもので言えば人間の脳をユニット化した特定思念波発生装置のようなものだ。
何らかの条件付けを行う事で思考からノイズを除去し、目当ての魔化魍を発生させる事ができるし、育成そのものを任せる事もできる利便性も併せ持つ。
魔化魍のベビーシッターとしては完成されていると言っても良い。
鎧童子や乱れ童子の様な古い失敗作の再生産などを行い、新型の開発にも余念がない辺りは勤勉さも伺える。
新しい技術が蓄積された状態なら、昔に成功しなかった実験も成功するかも、という思考は大事なものだ。
閑話休題。
昼間の首都高に都市伝説ターボ系魔化魍が大量発生したのは俺の仕込みだが、これらが出やすいのは基本的に夜。
幻覚、見間違い、無責任な風説の流布によって発生する以上、視界が昼ほど定かではない夜の方がシチュエーションとしては合致する。
だが、ターボババアを始めとしたターボタイプは見た目のシュールさも相まって明確に時間帯を指定される事も無い。
だが、出やすい、ではなく、夜にしか発見されない都市伝説系魔化魍というものも存在する。
夜だからこその見間違い。
夜道を散歩している最中、突如として暗がりにぼうっと浮かぶ顔を見た、という話がある。
原因としては、夜闇に溶け込むカラーリングの服装で歩いている為に、首から上だけが浮いている様に見える、というだけの話なのだが……。
これが噂に転じて魔化魍ヒトウバンが発生したのではないか、という推論はよく聞く話だ。
後世スマホが発生した後には夜道でスマホを弄っている人の顔だけが画面によって照らされる事で似た噂が大量発生してヒトウバンが大量発生するのではないかと俺などは危惧しているのだが、それはともかく。
逆のパターンでも似たような噂話は発生する。
首なしライダーの怪。
暴走族に迷惑していた近隣住民が道路に張ったワイヤー(ワイヤーが張られた理由に関しては諸説ある)で、バイクに乗っていた人間の首が切り飛ばされてしまった。
首を無くして死んだバイク乗りの魂は死後も切り離された自分の頭部を探して、或いは自分の首を刎ねた犯人を探して走り回る、そんな噂話だ。
実際に道路で首から上がないバイク乗りを見たという話は多少聞く。
もちろん、その多くは見間違いだ。
黒いヘルメットをしたバイク乗りを夜道で見かけ、夜闇に溶け込んだヘルメットを認識できずに首なしライダーと誤認してしまう。
これをブラックマジック現象という(知能指数220)らしい。
因みに黒塗りつや消しフルフェイスヘルメットは自作しなくてもそれなりの数出回っている。
周囲からの視認性を考えたら禁止するなり蛍光板の組み込みを義務化するなりした方が良い気もするが……。
これを規制したとして、スポーツタイプの大型二輪に伏せるように乗った場合も首なしと誤認する場合があるので焼け石に水にもならないかもしれない。
首なしライダーは都市伝説型ではあるが、同時に古くから存在する魔化魍でもある。
古い時代に存在していた魔化魍がその発生条件を満たせなくなり自然消滅する代わりに、新たに発生した噂と習合する事で首なしライダーとなったのだ。
それは戦国時代辺りから発生が確認されていた首なし武者であり、更にその源流を辿るとアイルランドのデュラハンの伝承に行き着くのではないか、という話もある。
もっとも、海外での魔化魍の発生率を考えた場合、デュラハン辺りは海外独自の種族である可能性も考慮しなければならないだろうが……。
そういう訳で、攻撃能力に乏しいと思われがちな首なしライダーだが、猛士所属の鬼の中ではかなり嫌われているくらいに厄介な魔化魍である。
刀、槍は当たり前、弓矢に下手をすれば鉄砲などを模した飛び道具を使う事もある。
当然バイクに乗っているので機動力も生半可なものではない。
噂話の首なしライダーなら通り過ぎるだけのものもあるが、魔化魍なので人を食う為普通に通り道に居る人間は全員標的。
なんなら何かの間違いで原典である首なし武者の状態で出てくる、或いは首無し武者の状態で乗り物はバイク、なんて事もある。
当然、首なしライダーの目撃情報は道路上に限られるので周辺には民間車両が多く現れるので下手にライダーを事故らせると巻き込み事故が起きる。
これが一番猛士と鬼に嫌われる要因だろう。
ターボ系とは分類が異なる魔化魍ではあるが、首なしライダーは都市伝説型でありながら古くから鬼との交戦記録が残されている昔なじみの敵でもある。
だが歩行者からの目撃例もある為に特定の条件を満たさないと認識できないという事も無く、停止すると消滅するなんていう特性も無く、分類として夏の魔化魍という訳でもないので分裂を気にする事も無く、大質量を持っている訳でもないから警察の装甲服でもそれほどダメージを気にする事も無いので、今回に限ってはそれほど厄介な相手でもないのだ!
死者なし、重傷者なし。
ターボババアを始めとしたターボ魔化魍に直接的にダメージを受けた人員に至っては0人。
バイクがクラッシュして爆発に巻き込まれた、とかの場合は打ちどころの関係で捻挫や打ち身などが発生してしまったが、その程度ならば軽傷と言っても良い。
最後の最後に現れたフルアーマーフルウェポン首なしライダー軍団もなんなく撃退し、今回のターボ魔化魍掃討戦は大成功を収めた。
矢を射掛けられて運悪くグランメイルを抜かれてしまった方々も居るが、基本的にはそれくらいのもの。
レンタルしていたラピッドレイダーが数台オシャカになってしまったが、それはやむを得ず転倒した際も搭乗員を守るために最適なクラッシュの仕方をした為である。
むしろ、搭乗者の装備がミラーライダーの廉価版でしかない現在の警察の装甲服でも、高速走行中にバイクで転倒しても軽傷で済ませられる、というデータが取れたのは大きな収穫と言って良い。
「お疲れ様」
発生の確認できた魔化魍を全て撃破したが、警察の仕事はまだまだ続く。
戦っておしまい、という形にできないのが、仕事としてこういう事をする人たちの辛いところだ。
これから戦いのあった道路一本一本をゆっくりと辿りながら弾丸やら薬莢やらを回収し、現場検証が入り、その現場検証では実際に発砲含む戦闘行為を行った人員が立ち会う。
更に帰ってからは装甲服に装備された記録装置を確認し、それを見ながら報告書を作成し……。
そういう諸々を考えればお疲れ様、というのもおかしな話ではあるのだけども。
実際、父親がこういう現場で働いている様子を初めて現地で確認したのだ。
缶コーヒーと共に、労いの言葉の一つもかけてあげたいと思うのが子の心というもの。
「ん……、ああ、お疲れ様、お前も」
アタッシュケース大の警察正式採用装甲服の待機形態に腰掛けて休憩していた父さんが、手渡した缶コーヒーを受け取りながら労いの言葉を返してくる。
サボっている訳ではない。
現場検証に必要な人員が到着するまでの束の間の休息だ。
一晩徹夜くらいで何を、と、そんな事を言う輩が居たら前に出て欲しい、生きたままプラズマになる貴重な体験をさせてやろう。
一晩ただ起きていたのではない。
一晩中装甲服に身を包み、一晩中バイクやトラックを運転し続け、その中で幾度となく現れる人型魔化魍や童子と姫を相手に戦闘行為を繰り返していたのだ。
作戦規模として見れば何度かあった東京大襲撃とそう変わらない。
実戦闘時間で見ればグロンギの時やテオスの時を確実に超える。
むしろ警察側から見れば、去年は無かったそういう大規模戦闘が時期がずれ込んでここに来た、くらいの感覚ではないだろうか。
実はこれからこれを超える規模の魔化魍大量発生が一年以内に場所を限定せず全国規模で起こりますよ、などと言えばどうなってしまうのだろう。
警察の予算が増えたりするのだろうか。
警察側に魔化魍という存在のメカニズムを詳しく説明する事ができないとか、オロチ現象に関してはまだ確実に発生すると証明できる程の証拠がないとか、そういう理由で暴露はできないのだけれど。
「今回は助かったよ。お前のところのバイク、良いな。母さんにプレゼントとかしたら喜ぶんじゃないか?」
「母の日に実家に送った。業者呼んでガレージもちょっと広くしたし」
「孝行ものだな」
「今年の父の日は楽しみにしていてね」
「あんまり大きいのは駄目だぞ。今アパート暮らしなんだから」
「流行りものの小物だから邪魔にはならないと思うよ」
トラックダウンとスケアクロウで蓄積した、AIを外付けにして動く小型ヘキサギアのさらなる派生型だ。
手のひらサイズのお人形で見た目も良しのお掃除及び害虫駆除用ロボとして安価に売り出す予定の品である。
が……、父さんがしたいのはこんな話ではないだろう。
「びっくりした?」
「ああ……、まぁ、久しぶりに会ったら、社長なんてな、それに」
ちら、と、視線がこちらの服に向く。
警察署に向かった時はスーツだったが、今は厚手のズボンにフード付きローブ。
今回の作戦で手出しする場合は警察の目もあるという事で出どころを疑われる疑似デッキと明らかに銃刀法違反の疑いを掛けられる劒冑は封印。
臨気凱装でも良かったが、猛士との歩調を合わせるという事で鬼としての変身で対応させて貰うための装備だ。
「男子三日会わざれば、なんて言うでしょ。今どき珍しくないって、変身くらい」
「どこかで習ったのか?」
「この変身は全国各所に教えてるとこがあるよ」
「そうか、しかし、お前がな」
「空手も剣道も父さんに習ってたしね。どこ行っても筋は良いって言われるよ」
何故かそれ以外のとこで怒られたりするけど。
「今どきはこれくらい自己防衛できないと」
「否定しきれないのが、悲しいところだ」
息が抜けるような声で力なく笑う父さん。
思い浮かべているのは未確認事件の頃か、テオスの軍勢か、マッドアークの群れか。
それらの事件で警察は確かに尽力したし、それで減った被害は確かにあるが、守りきれたかと言えばそうでもない。
どの事件でも多くの民間協力者の助けがあったし、近年の事件の始まりと言っても良い未確認関連事件にしても五代さんという民間協力者が居てこそ成り立ったものだ。
警察の力不足はまさしく警察こそが骨身にしみて感じているのかもしれない。
「……実のところ今回のこれ、災害みたいなものでさ。どうしたって定期的に起きるものなんだ」
「災害、か。本当なら、警察の仕事ではないな」
「専門家も居るからね。でも、専門家でなくても動かないといけない時はある。専門家だけじゃ手が足りない時が。これも一種の災害救助とか、避難民の誘導とか、そういうものだと思う」
「自衛隊の仕事でもあるな、今は難しいが」
「別に、自衛隊だけって話じゃないよ。備えて、必要な時に、必要な動きが出来ればいい、皆で」
「皆で、か。市民に過剰な備えを強いるのは辛いところだが、必要な事か、今となっては」
「そう大した話じゃないよ。避難場所とか避難経路を覚えて防災袋を用意するようなものだし、準備や用意をしないのも自由」
ローブの襟を掴んでパタパタと扇いで見せる。
「当然、俺は準備万端」
少しおどけた言い方をしてみせると、父さんは小さく吹き出した。
「そういうところは変わらんな」
「親の教育が良かったからね」
しばし笑い合う。
こうして、俺が戦うに足るだけの力を得られたのも、幼い時分から好きに学ばせてもらったお陰だ。
多少は違和感なく赤子や幼児らしく振る舞おうという努力はしたが、親に全てを隠し通せるものではなく、育児の経験が無かった父も母も多少なり不自然さを、或いは気味悪さを感じる部分もあっただろう。
だが、それでも父さんと母さんは俺を我が子として愛し育ててくれた。
俺はそれを失う事を良しとはできない。
失った時、この魔石と直結した脳でも決して良い気分では居られない事が理解できるからだ。
彼らを失わない為、転じて俺の心の平穏の為。
これまでも、これからも、必要な分の備えを積み重ねていこう。
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でも必要な要素ツムツムは自分だけやってれば足りるって訳でもないのが悲しいところだ。
防災用具を用意していても身近な人が用意していなく、分け合う事になれば不足するかもしれない。
避難経路を覚えていてもその経路を違法な路上駐車で塞がれてしまうかもしれないし、パニックを起こした避難民が起こしたトラブルに巻き込まれるかもしれない。
仮面の戦士を始めとした人類の自由のために戦ったりする人たちもこういうトラブルによってスムーズに戦えない事が多い。
自由には責任が伴うとかそういう話ですらない。
自由にも限度というものがあり、他人に迷惑をかける類の自由はある程度規制されるべきでもある。
これを解決する場合、結構な割合で自分一人の能力を高める事で解決しようとしたりする人が多く見受けられる。
それはそれで素晴らしい事と思うのだが、俺はそれをしようとも思えないので、自分にできることは自分でやってもらうべきだと思う。
誰しもが生き残るために最適の行動を取れる訳ではないのは知っている。
知っているが、できないなら、まぁ、できないなりの結果しか来ないだろう。
それで死ぬのもその人の勝手だ。
戦わない、死を受け入れる、というなら、是非もない。
価値観が合わないので、説得しようという気にもならない。
無論、相手が死んで俺が悲しい人の場合はなんとかするが。
梅雨の間に夏の魔化魍に変化しそうな都市伝説型魔化魍を始末している間に、世間はすっかり夏になってしまった。
去年にグジルが漬けた梅酒もよく浸かり、浸かっていた梅を使用したスウィーツも中々の出来栄え。
大瓶で漬けた半分ほどが一晩の内に難波さんの胃袋へと消えてしまったが。
すっかり夏なのだ。
「このアームドセイバーは出来損ないだ。鬼には使えないよ」
ぺいっ、と、試作アームドセイバーを投げ捨てる。
どすっ、と音を立てて床に突き刺さったそれを見て、歌の上手そうなおっさんが瞬間湯沸かし器の如く顔を赤く染めた。
「何だとぉ……! 使ってみせた上でそう言うか!」
「自分基準で物を作るなって言っているんですよ!」
Uギアを初めとした技術提供の功績で吉野とも繋がりを持てた為、少し前から開発に少し手を貸していたが、この中年は中々に厄介だ。
どういう厄介かと言えば、呪術方面の小沢澄子と言えばわかるだろうか。
その上で、自分の天才性にそれほど自覚が無く、鍛え上げれば皆自分と同じ程度の事はできる、と考えている部分すらある。
名を小暮耕之助、かつて疾風鋼の鬼と呼ばれ、一日で十体の魔化魍を倒した事もある歴戦の戦士だ。
冷静に考えればなぜ一日で十体もの魔化魍の相手をしなければならなかったのか、という疑問も浮かぶが、少なくとも現代の鬼はそういう超過労働は想定していない。
しかし、その活躍が誇張でもなんでもないのは、現役を退きながらも未だ安定しているこの中年の体内を流れる気の安定性を見てもわかる。
現役時代の彼はそれこそ常時響鬼紅の様な状態だったのではないだろうか。
だが、気の流れ以外、物理的な部分でははっきり言って見る影もない。
彼を再び現役の鬼として稼働させようと思ったら、それこそ新しく肉体を生成してそっちに脳を移植するくらいしなければできないだろう。
一日で十体の魔化魍を倒したというのも異常事態に巻き込まれたというより、彼の現役時代は多くの鬼が似たような地獄のシフトで働いていたのだろう。
現役を終える、引退するというのは、文字通りの意味で完膚なきまでに戦えない程に肉体が限界を迎える、という事だったのだ。
つまり逆説、彼の言う鍛え方の足りている鬼、というのは、最終的に気の制御に寄って肉体を強化しなければ常人並みの生活もできなくなる程に肉体を酷使する事を前提とした鍛え方なのである。
「こんなもの現代の鬼に使わせてみなさい、良くて変身能力の喪失、下手すれば体内で音撃が共鳴反応を起こして五体がバラバラになりますよ!」
いくら技術的にも物資的にも協力的であるにしても、外様の人間である俺がこのアームドセイバーのテストに採用された理由もこれならわかる。
こんなものを身内の鬼でテストして、貴重な人員をむざむざ消費する訳にはいかなかったのだろう。
あわよくば、協力的とはいえ直接的な戦力ではなく、いつ鬼の力を悪用するか、技術を流出させるかわからない俺をこの実験で始末してしまおうというどこかしらの思惑もあったのかもしれない。
そして、この中年は頑固ではあるが間違いなく善人でもある。
猛士の外に居る鬼というイレギュラーではあるが、これまた善意の協力者であることは間違いない一般人が、自分の作り出した武装の実験でバラバラになり再起不能、或いは死!
性能を落として使いやすくする事を渋っていたおっさんも流石に反省してくれるだろう。
そんな思惑が透けて見える。
「君は使えただろう! それとも君は猛士の鬼よりも優秀だとでも言うつもりか!」
「素材的にも構造的にも無改造の鬼と比べて確実に優秀ですが何か? こんな失敗作はこうだ!」
地面に突き刺さった試作アームドセイバーを蹴り上げ、
「破ッ!」
殴り砕く!
試作アームドセイバーは粉々だ!
悪は滅びた。
因みに設計図は存在するし希少金属の類も使われていないので再生産は可能だ。
こんな糞設計で再生産なんて絶対させないけどな!
「ああぁぁぁぁ!! なんて事を!」
開発局中に響き渡る様な美声で絶叫したおっさんがぷるぷると指を震わせながらこちらを指差す。
「俺が科学と呪術と武道(及び魔石関連技術を始めとした諸々)の粋を集めた超人で無ければ死んでいたような武器を生身の猛士の鬼に使わせられるわけが無いでしょう! 俺がテスターに選ばれた意味を少しは考えなさい!」
「それが年長者に対する口の利き方かぁ!」
「こんな武器を身内に使わせようと考える人間を敬えるか! 安全意識持って出直してこい!」
猛士の……というより、吉野の上層部の思惑がどうであれ、俺がここで開発に挟まる事ができてよかった。
この段階のアームドセイバーを並の鬼に使わせていたら一時的な変身能力の喪失では済まなかっただろう。
最終調整を童子達に奪わせて洋館の男女任せにすると想定したとしても、最低限、猛士の鬼が起動実験で死ぬようなバカバカしい結果は避けなければなるまい。
誰しもが生き残るための最適な努力をできる訳ではない。
怠けるのもそれで死ぬのも自由だ。
だが、戦うと決めた、それも、自分以外の為に戦うと決めた人間に限って言えばそうではない。
人の命を背負おうと思うのなら、その人間はより最適に近い努力をするべきだし、可能であれば結果はしっかり出すべきだ。
彼が、通常ならばまともな生活を送ることもできなくなるまで戦い抜いた戦士が、それでも誰かの為に努力をしようというのなら。
その成果が正しく発揮されるように努力するのは、最終的には俺の負担を減らす事になる。
と、今は思っておこう。
とりあえず使える程度にはなった現代版アームドセイバーの設計図のお礼として。
しばらくそうおんやらびょういんやらでかけなかった
戦闘シーンを書くだけのカロリーが無いのもそうだけど、このタイミングで主人公が手出しするとただの蹂躙にしかならんという難しさもあるのでカット
☆しばらく見ない間に息子が社長で鬼になっていた一般装甲服警官パパ
冷静に考えるとクウガの時代から未確認対策本部に居たんだからこの人、五代さんとも面識があるんだよな……
設定的に間違いなく常人なんだけど常人の中では積み上げた経験値はかなりのもの
何らかの加護があるにしても対グロンギやら対テオス軍勢やら対マッドアークなどを乗り越えてきた歴戦のモサモサ
掃討戦終盤に参戦してきたフルアーマー首なしライダーに乗っていたラピッドレイダーを射抜かれてクラッシュしたが、経験が功を奏して装甲を生かした前回り受け身で無傷で着地、からの追撃の轢殺攻撃(刀地面にガリガリ付き)に対してナイフ一本で迎撃しようとしたところを息子に助けられて事なきを得る
でもこいつ冷静に考えたらクウガ警察の流れを組むからユニコーン系列のナイフがある時点で首なしライダーくらいならアギト部隊の到着までの時間稼ぎくらいどうにかなってた可能性はある
☆首なしライダーの怪
ブラックマジックじゃないのでうわぁぁぁぁぁ(人格交代)する必要もない
でも今ブラックマジックって言うとどっちかって言えばブラック・マジシャンになるのではないだろうか
どっちも古いんだけども魔化魍としての首なしライダーの起源は更に古い
首なしライダーとしての起源だけでも七十年台くらいにまで遡れるけど
デュラハン伝承と混じって魔化魍ヒトウバンが同時に出現する場合もあるが、この世界の海外は色々と危険そうなので普通に妖精としてのデュラハンが存在する可能性はある
ただまぁ全身黒のライダースーツはかっこいいのでそれが刀や剣を構えてても普通にかっこいいから違和感は無い
タイミング的(2005年)には黄色いメットを装備した状態で大鎌を使うグラマラス首なしライダーワンチャンあったかもしれないが警察装甲服部隊とアギト部隊が普通に強かったので今や確認のしようもない
各種武装は魔化魍なので普通の武器と比べてなんだか特殊なお陰で未契約グランメイルなら容易く貫く矢とかを発射できるけど、魔化魍として再現できるのは見た目とある程度の動きだけなので戦国武者の技量とかは持っていない
ので、実は長物対決になったら警察に普通に完封されたりする
でも同じくバイクに跨った童子と姫が現れるので戦う時はせめて同数で挑もう
☆紅白にも出場常連の疾風鋼の鬼
自分ができてたからそれができない今の鬼は怠けてる、みたいな人
・同世代の元鬼が他に出てきていない
・何故か一日に十体の魔化魍の相手をした経験がある
・オロチ現象でも無いしおそらく夏の鬼でもない
激務で引退率より死亡率が高いのが当たり前だった時代を普通と認識してしまっている悲しい人という可能性が非常に高い
原作よりもアームドセイバーの要求耐久度が高いのはこの世界だから
この状態のアームドセイバーで変身できれば恐らく原作の響鬼装甲よりも強くなれるがそれには常時響鬼紅で居られるくらいの練度が必要
さもなきゃ改造手術
なお本人は一種のチャクラコントロールで全身を日常的に補強している
日常的に響鬼紅と同じ様な強化形態を人間態のままやっているような状態だが、これを切ると起きている事も不可能
提案されていないから受けていないだけでクローニングした肉体に脳みそ移せるよ、ってなったら普通に受けて現役復帰する可能性がある
開発部としても優秀なので自分で開発した装備のテスターを自分でこなす、くらいの使い方になるかもしれないけど
それくらい意識が高い人、という事に今作ではしてある
まぁある程度古い猛士の人間だから朱鬼さんの事も知ってるだろうしね
いきなりアームドセイバーの開発に関わってきた主人公に対しては最初は疑わしく思っていたがアームドセイバーを普通に起動できたので口では文句を言いつつも気に入ってはいる
☆試作型アームドセイバー
一種の妖刀
並の鬼が使うと一時的な変身不能どころの話ではなく、変身に使用した清めの音が体内で複雑に共鳴し合った末に炸裂
血霞になって死ぬ
運が良ければ全身の神経が断裂して全身麻痺で済む
主人公曰く、生身の人間の身体に雷が落ちたらこんな感触(人間態で幹部クラスの怪人を鏖殺できるスペックからの感想)
なおこうなった原因としては主人公が外部からもたらしたり猛士の資料から発掘再開発した技術が盛り込まれているという一面もある
でも疾風鋼の鬼はこれでいけると思っていた
表側の原作ルートで関わる話が無いのでザクザク飛ばして行きます
明日夢くんにもしいたけ嫌いにも関わらない!
この時期ならこのへんのこういう話見たいな、みたいな意見とか貰えるとそれはそれで助かります
無い場合はザクザク行きますしあってもこりゃ書けないなってなってもザクザク飛びます
それでもよろしければ次回も気長にお待ち下さい