オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版)   作:ぐにょり

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145 紛れる獣

今年にいかなる出来事が起きるか。

ここ数年は毎年の様にそれを意識して行動してきた。

グロンギのゲゲル、天使達の超能力者狩りとテオスのガチャ、ライダーバトル、スマートブレインの暗躍、偽りのバトルファイト。

基本的には明確に黒幕なり大ボスなりが存在しているわけだが、実のところを言えば、それらを排除したからと言って全ての問題が解決しない、という年も多い。

テオス周りは今は実行動を辞めて観察中というだけで何かしらのきっかけがあればまた動き出す可能性があるし、スマートブレインはオルフェノクを先導していただけで野良オルフェノクが悪さをする可能性は人間が悪さをする可能性くらいには存在し続ける。

 

今年に起きる最も大きなイベントと言えばオロチ現象であるが、その原因がどこにあるかはともかく、この現象を鎮めたとしても魔化魍そのものが世界から消滅する訳ではない。

そもそも自然から魔化魍が生まれるというシステム、これが消滅した場合、魔化魍を生み出していた穢がどこに行きどんな影響を齎すかわからないのだ。

魔化魍という、清めの音を使えば浄化できる形に形成されるのは浄化システムの一種であると捉えれば、魔化魍を発生させなくする、というのも危険な話になる。

今現在のこの星は内包するエネルギーや分子を循環させているだけで消滅する事はほぼ無い。

魔化魍を構成するものも例外ではない。

それを除外しようと思えば、どこかで全く知らない形で反動が出るものだ。

なら、対処法がわかっている形にとどめておく方が安心できる。

 

基本的に魔化魍に自然の中で遭遇するというのは不運な出来事だ。

国内で年間平均発見数、おおよそ百匹前後が普通と言えば、これに偶発的に遭遇する事の不運さがわかるだろうか。

キャンプをするとか、登山をするとか、海で釣りをするとか潮干狩りをするとか、そういう中で魔化魍に襲われるのは非常に稀な出来事で、死亡率とか死者数の話になれば交通事故の方が危険であるとも言える。

だからこそ、現代に至るまで魔化魍の存在は一般に知られる事無く隠蔽し続ける事が出来ていた。

加えて、最近では魔化魍以外の人間に害をなす存在も広く知られる様になり、都市部に出没する事のある人間サイズの魔化魍などはこれと誤認される事も多い。

なんなら一部の魔化魍などは警察のアギト部隊により消滅させられて、アンノウンの変種とかそういうものとして記録されたりもしている。

 

が、それで猛士や鬼の仕事が楽になるかと言えばそんな訳はない。

彼等は基本的に市街地をパトロールする中で偶然出会った魔化魍を退治する場合がある、というだけだからだ。

鬼の仕事で一番重要なのは魔化魍を清める事だ。

だが、鬼の仕事の中で最も時間の比重が大きいのは魔化魍の探索である。

やや忙しい時期の鬼のシフトはだいたい二週間連勤と少しの休日というサイクルになるが、この連勤の中で行う大半の仕事が現地でキャンプをしながらディスクアニマルを放ち、戻ってきたディスクアニマルの収集してきた情報をチェックすること。

 

当然、夜になったらぐっすりお休み、という訳にもいかない。

眠っている間に魔化魍なり姫や童子に襲われてしまえば死は免れない。

なので、基本的には仮眠を取る間にサポーターの飛車などに起きていて貰う事になる。

当然、異変を察知したサポーターが起こせる程度の浅い眠りになりがちだ。

起こせない程深い眠りについてしまっては見張りごと殺されて終わりである。

これをディスクアニマルで代用する事も不可能ではないが、気心の知れたサポーターと比べれば安心感は違うだろう。

 

因みに、鬼の殉職率は意外にもそれほど高くはない。

鍛え上げた鬼は中々死ぬ事は無いし、サポーターとしてついていく飛車も戦闘面で役に立つ事は無いがディスクアニマルなど駆使して鬼を助けて逃げる程度の事ならできる人員が揃っている。

最近では飛車が現代科学の粋を集めた鎧を着て積極的に手助けする、なんていう事もあるらしいが……、まぁ、使い方としては非推奨だろう。

本当の所を言えば鬼のなり手が多くなれば良いのだが、何事にも適性というものはある。

運動性能の話ではなく精神的な適性の方が重視されるが、自ら進んで命がけで魔化魍などという怪物と戦おうと志す人間でなおかつ精神的にも問題のない人間というのはそれほど多くはないのだ。

現在豚箱在中の桐生某などもこの適性が無い側に分類されるだろう。

 

無論、この適性というのは長く猛士に所属する鬼としての務めを果たせるという意味での適性だ。

何しろ猛士……というか、鬼の歴史の中には普通に悪堕ちして人類を見限った鬼も居れば、鬼の力を魔化魍退治以外で悪用しよう、という輩も普通に存在する。

リ・イマジ世界における鬼の魔化魍化は長らく別世界であるが故のルールの違いではないかと思われていたが、後に元の世界においても過去似たような出来事が起きていた事が明らかになっている。

だからこそ宗家には鬼祓いの使命があったりする訳で……。

 

適性の無い、正しい心で鬼として活動できない事のなにがいけないかと言えば、それが端的に脅威になるという点だろう。

人間を守ろうという意識が無ければ魔化魍の存在を一般にばら撒く事も平気でするだろうという点も問題だが、やはり単純に自らを律しきれない鬼は敵として脅威になる。

鬼として鍛え上げた肉体が、人間の変じた鬼、という枠を飛び出して魔化魍に変化するとなればそれは並大抵の強さではない。

ただまぁ、これも凄い強い魔化魍が生えてくるだけなので、まだどうにかなる。

 

問題は。

人間の意識を残したまま鬼の枠を飛び越えたものだ。

肉体を一定の形に保つ術は古くから存在しており、ある程度の術者なら外見上、スペック上の若さを保つ事ができる。

肉体を保つ事は脳を保つ事でもあり、それと密接な関係にある魂の保護にもつながる。

理屈の上で言えば、肉体、魂を魔化魍の如く変異させた上で理性を保つのは不可能なことではない。

それは鬼への変化の更にその先にある技だとも言えるだろう。

だが恐らく、この段階になれば鬼としての活動はできない。

身体や魂が魔化魍と同質の存在になってしまえば、鬼の最重要の役目である清めの音による魔化魍退治が出来ないからだ。

 

この状態は猛士からすれば脅威でしかなく、術者が悪意あるものであればコレ以上に厄介な状態も無い。

人間の術士、鬼としての知識と知性を備え、魔化魍の如く人間を食らう事でほぼ無限に強くなれるとなれば、野心家はこれに飛びつかない筈も無い。

だからこそ、危険と目された鬼は容赦なく鬼祓いの対象となり、鬼となる力と知識を奪われたり、或いは殺されたりするわけだ。

 

実際、人間を食らう、というのはパワーアップ方法として効率が良い。

この世界の人間はアギトに至る可能性を持ち、それは長ずれば神へと至る。

魔石などはそういった人間の可能性を物理的な形に変換したようなもの。

人間は神様の卵と言っても過言ではない。

物理的に、或いは殺した上で単純に魂を食らっただけでその成長性の全てを奪う事はできないだろうが、餌としてみれば上等だ。

俺は人魂を食べてもそれ程パワーアップした感触が無かったので常食にはしていないが、或いは魔化魍の消化システムには魂や肉体から効率的にエネルギーを抽出する機能が備わっているのかもしれない。

 

それを解析する為にも、殺しても文句のでなさそうな鬼を理性ある魔化魍にする実験とかはしてみたい。

単純に野良魔化魍と魔化魍化した鬼であれば魔化魍化した鬼の方が人間の肉体に応用しやすいだろうという目論見だ。

が、それをするとどこからか悪事を嗅ぎつけた仮面の戦士達が駆けつけて何故か秘密を解き明かして物理的な性能差を無視して此方を殺しに来る可能性があるので、そうそうできるものではない。

 

なのでこれは意味のない思考だ。

魔化魍化した鬼に対する俺の感情というのは現時点で、空から自分に対する好感度マックスで何をやっても笑顔で許してくれるでもエッチな事をする時には恥じらいと少しの拒絶っぽい素振りを見せてくれる美少女が落ちてこないかな、という男子高生みたいなものだ。

出たらラッキー、くらいで考えておくのが良いだろう。

因みにお師さんには以上の可能性を踏まえて魔化魍に変じる予定が出来たら言ってくださいと伝え、死後の肉体提供に関してサインを貰おうと思ったが、以後お師さんは鬼の魔化魍化を予め予防する術の開発を始めてくれた。

まぁ、お師さんは悪意や野心ではなく復讐心の強さとやらかしから鬼を引退させられたので、魔化魍になる、という選択肢ははなから存在しないのだろう。

開発されるであろう術も完成すれば猛士の鬼達の間で役に立ってくれる筈だ。

 

話が逸れた。

とにかく、猛士が従来の人員にUギアや現代式の鬼の鎧を行き渡らせても人手不足である事には変わりない。

更に言えば、恐らく、魔化魍の出現率はここ数年の間でかなり上がっている。

思えば地元も中々に魔化魍の出現率が高かったので、知らずの内にゴルゴムの尖兵などに片付けられている魔化魍などを含めれば本来はもっと出現しているのだろう。

地元の魔化魍が勝手に片付いていなかったのは、俺がある程度弱体化させる事を見越して手を出していなかったと考えれば得心が行く。

それを責める理由も無い。

手はあるに越したことはないし、都合の良い者が居れば利用するのは当然の事だ。

言ってしまえば俺が猛士に手を貸しているのだって、彼等の存在が俺にとって非常に都合の良いものだから、という話になってしまう。

 

そう。

ある程度頭が回るものは、都合の良いものを利用しようとする。

利用しようとするから、排除しない。

思わず受け入れてしまうのだ。

 

実際に都内を中心に頭の良い猫が愛玩と小間使の半々くらいの意図で人間に養われる事が多くなっているという。

普通に考えて、下手な人間程度に器用で小賢しい子供程度に頭の回る猫など存在自体が異常だが、登場から数ヶ月もしない内に彼等は人間の生活圏に浸透し始めている。

何故か?

頭がよく、ある程度の意思疎通ができる猫というのが、人間にとって非常に都合が良いからだ。

仮に飼うとして、彼等にはトイレのしつけなどは必要なく、破壊していけないものを指定する事ができ、毛玉など吐き出す時にゴミ箱に自発的に移動して吐き、およそ猫を飼う上で問題となる部分が丸々都合の良い形に変化している。

最早飼うというより、愛玩とある程度の家事手伝いを条件に快適な生活を提供するという直接的な契約を猫自身と交わしたという例も生まれ始めている。

 

明らかな異常事態だ。

警察もこれに対応する動きが無いでは無かったが、実害が今の所発生していない為に本腰を入れての捜査は行われていない。

とあるエリート警官がお高い革靴にうんちをなすりつけられた程度の話ならあるが、警察とのトラブルはその程度のもの。

 

このように人間は、自分に害がないものには意外と鈍感だったりする。

見た目上は非力そうな小娘達でしかないFAG。

基本的に鏡の中にしか存在せず、人間を襲わないヘキサギア。

振る舞い以外はそこらの猫と変わらないニャンニャンアーミー。

 

強大な力を持つ軍団を、人に見えないところに隠しておくのは限界がある。

木を隠すなら森という。

見慣れたものの中に、見た目では区別できない形で紛れ込ませる。

人の営みの中にある、人と同じ見た目をした、人と同じ営みを行う別のものを見分けるのは難しい筈だ。

猫に関しては、それこそ人の中にアギトや超能力者が見つかりだしている昨今、猫の進化系が生まれ始めたと、勝手に解釈するものも多い。

納得しようと思った時点で、人は勝手に自分の中で辻褄を合わせてしまうのだ。

 

猛士の人手不足を補う手として考えたのがFAGの大量投入だ。

頑張って作れば、FAGはアギトの力を自家増殖させなくとも一年に一万人くらいは余裕で増やせる。

が、これは増やした分の戸籍を用意する手続きが面倒になる。

人口が増える事でこの文明に出る影響は良いものばかりではない。

手間は少ない方が当然良いし、普段の生活圏である人類文明に不備を出す訳にも行かない。

 

翻って、彼等に手助けが必要な領域がどこか、という点を考えよう。

それは当然活動中の大半を過ごす事になる山岳部を始めとした自然地帯だ。

一番良いのは、全国の山岳部や海岸線を全て今の八甲田山のように改造してしまう事だろう。

地下に大型のインフィニティパワーユニットを設置し土地に無理やり生命力を溢れさせ、それを吸い上げて強化されるトライアルシリーズ、アニマルソルジャーを設置。

脇を固める様にヘキサギアを解き放てば、魔化魍は出てきた瞬間に捕らえられて鬼の到着待ち、という状態が出来上がる。

が、そこまで派手に手を入れてしまうと、魔化魍のバックに居るか居ないかわからん相手にも対策を取られてしまう可能性があるし、記録が残れば未来人が何かしらのちょっかいをかけてくる危険性もある。

表向き、自然そのものは何一つ変わっていない。

そういう風に見せるのが一番だろう。

 

―――――――――――――――――――

 

東京都西多摩郡奥多摩のとある山中。

静けさとは程遠い、獣や虫が蠢き木々がざわめく森の中、常とは異なる音が響いている。

大型の獣が走る音に似ているだろうか。

いや、熊の駆ける音ですらもう少し大人しいだろう。

人間大のものが木々を、大地を蹴りながら飛び回る音は、自然をただ生きる獣はそうそう出すことも無い激しさを伴っている。

 

「なんだ?」

 

音の出処を見る一人の男、猛士に所属する鬼であるヒビキは、見慣れた化生である怪童子と妖姫が、自らの解き放ったディスクアニマルではない何かに追い立てられているのを目撃した。

童子と姫を追い立てるのは一見してなんの変哲もない鹿。

だが、それは異常だ。

童子も姫も、或いは魔化魍も、野に生きる獣に意識的に害をなす事は無いが、野生動物はそれらに積極的に関わることもしない。

まして、猿の類と比べてもなお俊敏な童子と姫を相手に、四足で地面を駆ける鹿では追い立てる事などできよう筈も無い。

 

だが、その鹿はトリック映像の如き現実離れした瞬発力で木々を蹴りながら二体を追い回している。

当然、童子と姫、それも怪童子と妖姫の姿を取った状態であれば、自分達の邪魔をする獣程度ならば軽く縊り殺してしまえるだろう。

だが、それをしない、できない。

距離があり、留まること無く動き回る為にわかりにくいが、その鹿は明らかに一般的な鹿と比べて一回り以上大きく、そして、頭部の角も嫌に攻撃的な鋭さを備えている。

 

ざし、と、枯れ葉の積み重なった山土を鹿が踏みしめ立ち止まる。

ちら、と、鹿が視線を獲物と見立てた童子と姫から逸らし、ヒビキを見る。

 

「む」

 

ぴったりと合い、しかし、野生のそれと比べて非常にはっきりとした意思が感じられる視線に、ヒビキは我に返り鬼の意匠が刻まれた音叉、変身音叉『音角』を取り出し、開く。

手近な岩に軽く当て、涼やかな音色を響かせながら震える音角を額に当てる。

すると、たちまちの内にヒビキの身体が炎に包まれ、その身体を覆う衣服を焼き尽くす。

後には青とも紫とも見える滑るような不思議な光沢の肌、二本角に赤い隈取に似た模様を持つ頭部を備えた、一匹の、或いは一人の『鬼』が現れた。

 

鬼の変身というのは決して静かに済むものではない。

肉体を変じる過程で炎や風、雷などが発生する為に、事前に変身を済ませておいてある場合を除いて、鬼が出た、と、確実に周囲に知られる事となる。

だが、響鬼の身を包んだ鬼火の光も音も、共に童子にも姫にも届かなかっただろう。

響鬼の変身に合わせるように、鹿が刃の如き角から強烈な稲妻を発生させていたのだ。

 

劈くような音と共に、大気を切り裂きジグザグに折れ曲がりながら迸る稲妻が目を焼き、思わず木から落下する怪童子と妖姫。

急な斜面の途中だ。

木から落ちた後は勢いよく斜面を転がっていく。

響鬼ののっぺりとした顔面に牙にも似た尖りのある口が開き、吐き出される高熱火炎が怪童子へ吹きかけられその身を炎で包む。

夜の森の中に聞くに堪えない断末魔が響き、怪童子は跡形も残さず灰と化した。

 

では、妖姫はどうか。

怪童子と異なり、妖姫には鹿の放った稲妻が直撃していた。

身体を焦がす高熱と高圧電流にもんどり打ちながら、しかし直接的な衝撃を受けたために遠くに吹き飛び、響鬼の吐き出した鬼火の被害をまぬがれていた。

 

だが、それは死が先延ばしにされただけに過ぎない。

稲妻に弾き飛ばされた(或いは全身に流された電流によって意図せずに跳躍した形になったか)妖姫は重力に引かれて地面に落ちるよりも前に、より直接的な凶器に身体を貫かれ、勢いよく地面に叩きつけられた。

妖姫の身体を貫いたのは黒い鳥の羽。

異様に鋭く高い強度を備えるそれは天然の羽手裏剣とも呼べるものだろう。

血液に相当するものだろうか、白い体液を垂れ流しながら這いつくばる妖姫の視界の隅に、異様に巨大な鳥が見える。

黒い鷲。

長大な鉤爪を備えた足をぶら下げた鷲が、妖姫をあざ笑う様に空を滞空している。

 

妖姫の姿が人に似た姫のそれに戻る。

既に死に体、見た目とは正反対の低い声はうめき声にしかならない。

今にも崩れさらんとする姫に、斜面を下ってきた響鬼がゆっくりと歩み寄る。

哀れんでいる訳ではない。

姫は死に体ではあるが、完全に死んだ訳ではない。

この状態を擬態するものも、或いは死に際に良からぬ事を行うものも、確かに存在する事を響鬼は理解しているのだ。

近寄りすらしない。

半ば死体と化した姫は、童子と同じくその身を焼かれて灰に。

 

「悪いね」

 

それは姫に対する理由の知れない謝罪の言葉か。

いや違う、意味合いとしては感謝の言葉であり、向ける対象は明らかに童子と姫を追い立てていた鹿に向けての言葉だ。

応じるように鳴り響く、古いドアの軋む音にも似た鹿の声。

それだけではない。

鬼の視力を持ってしても見通せぬ夜闇に包まれた深い森の中から聞こえる、幾つもの獣の声。

僅かな灯りを、未だ燻る童子と姫の燃え殻を反射して光る無数の眼、眼、眼。

そのどれもが響鬼の姿をはっきりと捉えている。

 

「おぉう」

 

思わず怯み、しかし、立てた二本の指を振り、別れの挨拶。

異様な出来事ではあるが、近年では猛士で鬼として過ごす中でも経験したことのない様な出来事は増えつつある。

その多くが凶事である事を考えれば、奇妙ではあるが恐らく自分に味方してくれた、という事実だけでも、礼儀を尽くすには十分であると思えた。

 

踵を返し、響鬼が走り出す。

童子と姫は倒した。

だが、肝心要の魔化魍、ヤマビコは影も形も見当たらない。

既に人を十分に喰らい成長してしまったのか?

人里に降りていれば騒ぎになり確実に連絡が来る。

目撃証言が出てから既にある程度の期間がある以上、それなり以上に育っているのは確実だろう。

早く見つけ出して祓わなければならない。

急ぎキャンプ地に戻り、ディスクアニマルをチェックし、再び探索を始めなければならない。

 

鬼の脚力で走る響鬼。

すぐさまその場から姿は見えなくなる。

その走った道筋を迷うことも見失う事もなく、一匹の鹿が、ゆったりとした足取りで追いかけ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





試行錯誤試行錯誤
話数はあるんだから一つの話をしっかりめにやっても良いのだ
時間稼ぎとも言う
次回は原作四話くらいの時間軸、響鬼さんが香須実さんと合流した辺りから始まります

☆なんの変哲もない森の動物達
なんの変哲もない動物達
人がアギトに変身するんだから鹿が角から稲妻を放っても鷲がその場で羽ばたきもなく滞空して羽手裏剣を飛ばしても不自然ではないのだ
冷静に考えると本当にこの世界なら勝手にそういう動物が生えてきてもおかしくはないので白状するが当然自然物ではない

☆森の動物たちが相手でも挨拶を忘れない気さくなお兄さん
落ち着いて聞いてほしいんだけど31歳は世間的にはお兄さんじゃなくておじさんだと思うの
お兄さんと呼ばれるのは若く見えるイケメンだから?
いや呼ぶ方の年齢に準拠していたりするのだ
汚れ好きの土方の兄ちゃん(45)とかも呼ぶほうが53歳だから兄ちゃん呼びなだけだしね
でもお兄さんとかお姉さんって呼んでた対象って自分の年齢が上がってもお兄さんでお姉さんなんだよね……
タマ姉をタマお嬢ちゃんとか呼び方変えたりしないでしょ?
と思ったけどタマ姉を現役で知ってる人らもだいたい結構なおっさんである
気をしっかり持って聞いてほしいんだけどトゥーハート2の発売年は響鬼の前年2004年でもう17年前なんだ
若かりし頃に憧れたヒーローやヒロイン達の年齢を僕たちはいつの間にか追い越してしまっているんだ
悲しいねバナージ
でも、もう俺の方が年上になっちまったな……って言いながらお墓に生前の好物だった酒をかけるムーブは一度はやってみたいものではあるけど掃除が大変だから実際はやらない
まぁ君の未来は始まったばかりって言うけどもう結構長期に渡って続いてるよなって話ね
君だけに見える明日に走れましたか……?
私はすぐに転けてしまって今でも這いずり回ってます
遥か遠くに地平線は見えてたと思うんすけど、光は溢れてたかなぁ……極夜なのかなぁ……


響鬼編がどうなるかわからないので当然何を描けば良いかはわからないのだなぁ
何を描けばよいかわからない時にどうするか、みんなわかるかな?
そう、粛清だね
でも粛清は91話で書いたから駄目だね
だから色々書きます
で、しっくりくるのが書けたらそれを軸にしていきます
暫く迷走するので物好きな方はお付き合いいただければ
どれくらい迷走しているかって言えば未だに原作キャラとどう絡ませるかを迷ってるレベル
よそよそしく行くかあだ名をつけるかもわからない
それでは次回も気長にお待ち下さい

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