オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版)   作:ぐにょり

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129 蜘蛛の巣に絡む蜘蛛

作中で使用された、アンデッドの攻撃バイオリズムを察知する機能を持つアンデッドサーチャー。

コレはプログラムがインストールされたPCとアンテナのセットで運用されるのだが、当然ながら穴がある。

これが意図的に天王寺によって仕込まれたものなのか、仕様上の穴なのかは不明だ。

サーチャーは明らかに戦闘状態……というか、攻撃状態にあるアンデッドの全てを察知出来ていない。

ピーコックアンデッドの人間態での戦闘行動、或いはセンチピードアンデッドが巣穴に選んだ洞窟で人間を襲っていた時、数え始めればサーチャーが見逃していた戦闘状態のアンデッドの反応というのはきりがない程に多く存在する。

 

アンテナの感度の問題というのもあるのだろう。

余程強烈な電波でなければアンテナ一つで受信できる訳でもない。

アンデッドが興奮状態になるたびに強烈な電波が発信される、というのでなければ、アンデッドサーチャーには子機というか、現地でアンデッドの状態を把握する為のセンサーが別途存在していると考えるのが正しいし、調べればそれらしきものが各種携帯会社の中継機に紛れる形で存在している。

各種センサーを搭載し、近隣のアンデッドの状態を観測し発信する、アンデッドセンサーとでも言うべきものだ。

このセンサーがアンデッドの反応を捉え、始めてサーチャーに向けて電波が送信される。

実際はこの無数の中継機兼観測機である無数のセンサーとセットでアンデッドサーチャーと呼称されるわけだけれど。

 

当然、中継機の範囲外で活動するアンデッドの反応などは捉えようがないというのが現実なのだろう。

それを無視してアンデッドサーチャーに頼った索敵を行っているのは、彼らの認識の中ではBOARDが壊滅している為に、残った設備や資材でやりくりするしかない、という考えがあるためだろう。

 

当然、このセンサーの位置だって天王寺は把握しているし、増やす事も、或いは意図的に機能させないという事も可能になる。

アンデッドと人間の融合……人間がアンデッドになるためのデータを収集する上で剣崎のバイタルデータは収集し続ける必要があるし、不慮の事故でデータを集め終わる前に死なれても困る。

また、最強の人造アンデッドを完成させる前に全ての最後の一匹を除くアンデッドが封印されてしまえば計画以前に自分も消えかねない。

例えばこのハートのキング、エヴォリューションパラドキサなどはトライアルBに与えられた施設に保管されていたし、このダイヤの10・シーフカメレオンとクラブの8・ポイズンスコーピオンなどはティターンの材料として使われる予定だった。

この三枚に限らず、作中に登場したアンデッドの内何割かは、彼が意図的にタイミングを図って解き放ったものも存在するのだろう。

カテゴリーキングの一匹、タランチュラアンデッドが自ら封印されようとしている場面で唐突に現れて人間を襲うでもなくピンポイントにブレイドを襲ったバッファローアンデッドなどは間違いなく奴の手の中にあると見ても良い。

アンデッドの封印を解く事は機械的なシステムで可能であるし、あれだけ好き勝手暗躍しておいてアンデッドが研究所に攻めてきたら抵抗する戦力は一切ありません、なんて事も無く、研究所にはトライアルシリーズのAとCが詰めている。

万一解き放ったアンデッド達が反逆してきても大丈夫、という事だ。

 

天王寺はゴルゴム傘下に居た頃に築き上げた巨万の富と権力、人脈を用いて計画を推し進めている訳だが、アンデッドに関してはこのサーチャー、及びセンサーだよりであると見て良い。

逆に、このセンサーを欺いてしまえば彼らの目耳を潰したも同然となる。

白井邸にあるアンデッドサーチャーにのみ反応するように仕向けたセンサーをいくつか設置し、偽の情報をサーチャーに向けて送信するように仕向けてしまえば、そこに剣崎、ブレイドを誘導する事も可能となる。

これの良いところは、俺の思考を盗聴する事が可能であると思われるヒューマンアンデッドはともかく、表面上肉体を運用しているジョーカー、或いは、他のアンデッドの持つアンデッド察知能力には引っ掛からないので、ブレイドのみを誘き寄せる事ができる点だろう。

来たるべき時に備えるなら、必須の技術だ。

 

少し先の話はともかくとして。

シーフカメレオンとポイズンスコーピオン。

この二枚から開放されたカメレオンアンデッドとスコーピオンアンデッドの利用価値は高い。

 

スコーピオンアンデッドのアンデッドポイズンは言ってしまえばシュルトケスナー藻の簡易版で生物の闘争心を高める効能があり、この成分を分析すればとても良い薬が手に入るだろう。

なんとなれば抗体を先に用意してしまえばそのまま使うのも良い。

戦いたい、強くなりたい、という意思に勇気が追いつかない、という、願いと本能の一致しない人には良いカンフル剤になるだろう。

勿論、そんな偽りの戦意では結局の所使い捨ての雑兵にしかならないだろうが……まぁ、そういう選択肢も持っている、という事が重要になる時もある。

 

そして問題のカメレオンアンデッド。

これは合体アンデッドであるティターンにも引き継がれた能力であるのだが、これは光学的なものだけではない、物理的な肉体変化能力を備えている。

その力は極めて強力で、当然の如く質量保存の法則など無視して人間の子供に化ける事すら可能。

しかし、この能力すらティターンとして合成される事で劣化したものである事が後に明らかになる。

いや、或いはその能力を危険視した天王寺によって意図的に能力を劣化した状態でティターンとして融合させられたのか。

とある世界線では、アンデッドとなった剣崎を人間に戻そうとアンデッドの研究をしていた橘さんによってうっかり開放されてしまうのだが……。

なんとこの時、トライアルBの残したキングフォームのデータを元に、能力をほぼ完全に再現した状態でキングフォームへと擬態してみせたのである。

その戦闘力たるや、ギャレン、カリス、レンゲルの三人を相手に一歩も引かぬ戦いぶり。

オリジナルには普通に負けてしまうが、それでも十分すぎる再現力だろう。

 

さすがのカテゴリー10。

時間を止めるスカラベ、散々悪用されたテイピアと同格なだけはある(センチピードは除く)。

上級アンデッドの持つ洗脳能力に一切抵抗できない、強気な委員長や女上司や女騎士やメスガキレベルで催眠耐性の無い下級アンデッドでさえ無ければ、普通に地上がカメレオンの支配する世界になっていた可能性だってあっただろうに。

或いは現在の実は周囲の景色に溶け込もうとしている訳ではないカメレオンではない、地上の支配者になったカメレオンが彼と同程度の擬態能力を持っていたなら、或いはリザードアンデッドのもたらしためっちゃVやねん恐竜億年大帝国のような連覇すら可能だった可能性すらあるというのに……。

 

まぁ可能性は所詮可能性に過ぎない。

あのレースはあの馬が出場できていれば勝っていた、みたいな話で、そもそもまともに戦場に立てない時点でそいつは負けている。

そして敗者は勝者の餌だ。

それは恐らくどんなアンデッドがバトルファイトに勝ったとしても変わらない世界の真実の一つだろう。

食物連鎖などと言うが、結局勝ちと負けが連なって出来たものなので弱肉強食というルールを否定できる訳ではない。

 

「そういう訳でどうだいニー君! 君の新しい身体は!」

 

最初期型から数えて何度目かの強化改造を終えたニー君が手術台から降りる。

ニー君にはある程度アンデッドの細胞が集まった時点で再改造……新たに製造したニー君の細胞ベースのトライアルからパーツ移植を繰り返す事で、新たな能力が正常に動作するかを試して貰っている。

最終的には全ての能力を統合した小型ケルベロスの様な形になると思うのだが、可能な限り有用な能力は残しておきたいという事で、一つの肉体に別種のアンデッドから製造したトライアルに発現した能力を劣化しないように組み込み続けるという実験なのだ。

 

「さぁ、まずはカメレオンのパワーを試してみよう。好きな姿に変わってご覧」

 

そう言うと、装甲を七色に煌めかせ、確かめるように爪を出し入れしていたゲーミングニー君の姿がムクムクと大きくなり、ユナイト陽炎のそれへと変身してみせた。

変身までのタイムは二秒、まぁまぁだ。

次いでノータイムで抜き手が飛んでくる。

首でなくその下、胸骨のすこし上の辺りが狙い。

首ほど的が小さく無く、大体の装甲服だと装甲と可動部の隙間がある急所、生物でも大体がやや柔らかく出来ている部分だろう。

爪先にはなんと、僅かながらモーフィングパワーまで充填されている。

ただの抜き手ではなく桜花二度咲きを模倣しているのだ!

元々、ニー君は手術前に赤い霧を吸わせる事で魔石の出来損ないである神経瘤を持つ動物、仮に魔獣と呼べるものへと変貌させる事で微弱な再生能力と通常の動物とは一線を画する知性を持たせている。

故に俺の肉体を模倣する為の下地は出来ている訳だが……。

 

「なるほど、コレが性能の劣化」

 

抜き手はユナイト陽炎より(だいぶ)遅い。

理屈の上で言えば、物理的に完全再現すればユナイト陽炎の手刀は俺のそれと同じ速度にできる筈なのだが。

この僅かな劣化があるためにバトルファイトでは勝者になりきれなかったのだろう。

飛んでくる抜き手の手首を掴む……つもりが、なんと手が半ばから割れて牙を持つ顎門となった。

がぶり、と、腕を噛まれると同時に流される複雑な成分を持つ毒物。

なるほど、これがアンデッドポイズン。

だけでなく、別種の猛毒も混じっている。

壊死したところにモーフィングパワーも流し込まれ、次の瞬間には死滅した細胞が爆発物へと変換される事だろう。

技の概要を知らなければ、という話ではあるが。

 

毒物の組成を組み換え、破損部分の修復に使う。

流し込まれたモーフィングパワーは無力化済みだ。

二度咲きはそも不意打ち専用。

来る、とわかった状態なら魔石の戦士ならば人体発火合戦と同じく容易く無力化が可能なのである。

問答無用で細胞の死滅部分を増やす為の神経断裂手を使っていないので対処も容易い。

 

「体内の魔石はどれくらい模倣できてるかな? さ、()()()()()だ」

 

腕に噛み付いた、ニー君の手刀から変じた顎門。

そこに、噛み付かれた部分から強化神経を通して行く。

モーフィングパワーによる再生能力の応用だ。

メリメリと音を立ててニー君の擬態したユナイト陽炎の腕の内部に強化神経が通っていき、周辺の細胞を()()()()()()()()()()修復して(作り変えて)いく。

材料の殆ど無い状態からでも肉体を再生できるのだが、当然、自前で材料を用意してやればそれを作り変えるだけで済むのでより素早く肉体を再生できる訳で。

それを応用し、触れた相手の肉体を自らの肉体の一部として再構成する技術だ。

無論、そんなものが通じるのは魔石を持たずモーフィングパワーを持たない相手か、格下の魔石の戦士のみだ。

 

モーフィングパワーによる他者の肉体の取り込み……同化。

これに対して同じくモーフィングパワーによる自己修復で対向して同化を拒絶、或いは同化し返す。

これがモーフィングパワーの練度が同じ魔石の戦士なら拮抗する形で同化を留める事ができるし、片方の練度が勝っていればそちらが徐々に相手の肉体を同化していくことになる。

この様子がちょっと手押し相撲に似ているなと思った為、このモーフィングパワーの鍛錬法を俺は手押し相撲と呼ぶことにしている。

どこかのタイミングで安全に人類を魔石の戦士化できる場面が見つかった時の為に考案した幾つかの楽しくレクリエーション感覚でできるモーフィングパワーの鍛錬法の一つだ。

ニー君にもちゃんとモーフィングパワーが使えるようになるかもしれない、と思って教えておいたものなのだが……。

 

抵抗なく腕一本がこちらのものになってしまった。

見ればニー君はユナイト陽炎の肩口から取り込まれた腕を自切し、その姿を一瞬で元の猫のそれへと戻してしまった。

前足を一本失った状態で仰向けに寝転がり、ゴロゴロと喉を鳴らして見せている。

 

──んぁぁぁぉ、んにゃ、ぁおぅ……

 

めっちゃ媚びた声で鳴いている。

その上で時折ちらちらとこちらの顔色を伺っているのが良くわかる。

あげくそのまま頭部をこちらの脛に擦り付けてきた。

 

「ニー君はさぁ……」

 

奪い取った片腕、擬態の解けたそれを切り離し、めっちゃ擦り寄ってくるニー君の肩の切断面に押し当てて修復する。

そのために伸ばした手にも顔を擦り付けてくる。

挙げ句舌でぺろぺろ舐め回してくるのだが、ザラザラしてくすぐったい。

ニー君に喋る機能をつけなくてよかった。

彼が喋りだしたらきっとこういう時とんでもなく調子の良いおべっかを口にしたりするのだろう。

 

「いい、機能は確認できた。異常は無い?」

 

──なん

 

どっちなんだい、と言いたいが、同時にうなずいたので大丈夫なのだろう。

 

「じゃあ、次はいよいよ実践編だ」

 

―――――――――――――――――――

 

呼子の洞窟は立入禁止区域の中にあり、しかも最近はアンデッドが現れて次々と人を襲っていた事もあり、以前から入り込んでいた命知らずの馬鹿くらいしか足を運ぶものも居ない。

そして、この場所で無数の被害者が出たことからも明らかである様に、この場所には天王寺側の任意でしか起動しないセンサーしか設置されていない。

これに少し細工を施してやれば、滅多な事では人の訪れることの無い、それでいて見晴らしも良いスペースが生まれるというわけだ。

 

洞窟入り口の足元を少し整えて、キャンプ用のチェアとテーブルを並べれば、それだけでもうくつろぎのスペースに早変わり。

マルダムールの木戸さんに教わったやり方で入れたコーヒーに、たっぷりのミルクと砂糖。

斜め前に座るニー君にはたっぷりのホットミルク。

コーヒーは猫には毒なのだ。

しかし、今のニー君のボディだとどういう反応になるのか……。

 

ざり、と、砂を踏む音。

わざと立てた音なのだろう。

洞窟にチャイムなんてものは無い。

不用意に近づいて不意打ちを狙っていると思われるのも、戦いを好まない彼からすれば面白いものではないのかもしれない。

それなら声を掛けてくれれば、とも思うのだが、傍らに居るニー君の存在が、声をかけるのを躊躇わせているのだろう。

 

「ある種の蜘蛛は、体毛をセンサーにして風から色々なものを感じ取ると言いますが……」

 

「ああ、スパイダーアンデッド……同種の気配ともなれば、コレほど分かりやすいものも無い。斬新な招待状だ」

 

ゆっくりと歩み寄る足音の主、チベットの民族衣装に身を包んだ精悍な面持ちの中年男性が、視線をちらりとニー君──スパイダーアンデッドに擬態しホットミルクを舐めるニー君へと向ける。

 

「彼は無闇に戦いを挑むタイプではありませんよ。これとは違ってね」

 

ぺら、と、クラブのAのラウズカードを取り出し、ひらひらと振って見せる。

既にカードからカテゴリーエースの邪悪な意思は感じ取れない。

いや、より鋭敏な感覚で探ってみればわかると思うが、他の一般的な封印されたアンデッドよりも更に沈静化されている。

普通に戦い負けて封印されたアンデッドと比べても、なお徹底的に敗北とそれに伴う苦痛と喪失を刻み込んである為だ。

封印する前のシチュエーションが封印後の内部の意思にも影響するのは、それこそレンゲル周りのキング、クイーンの件で立証されている。

より安全な封印を施そうと思うなら、封印する前にこそ手間を多くかける必要がある、というわけだ。

 

「痛ましい話だ」

 

彼は自らの超感覚で、封印されたスパイダーアンデッドの精神状態を察知したのか。

その状態に至るまでにどういう行為が行われたのか、余程鈍くない限りは察しが付くのだろう。

 

「でも必要な事ではありますよ、人間にとっては」

 

どうぞ、と、残り一つの席を差し示す。

コーヒーは蜘蛛にとっては酒類かそれ以上の劇物なので、他には温かいミルクティーなどを用意しているが、ここまで警戒されていると飲んで貰えるかどうか。

椅子に中年男性──嶋昇が座るのを確認し、ニー君が机にホットミルクの入ったマグを置き、擬態を解除する。

猫の姿に戻ったニー君はマグの中に頭を突っ込みホットミルク舐めを再開する。

これから行われる話自体にはそれほど興味がない、という様子だ。

嶋さんは一瞬だけ猫の姿に変じたニー君の姿に驚きの表情を見せるが、すぐに柔和な笑みを浮かべるとミルクを舐めるニー君の背を少しだけ撫でた。

生き物……特に、戦いに適さない脆弱なものに接することに慣れた動きだ。

ニー君も嫌がる様子を見せない。

撫でられるのを気にせずミルクを舐め続けている。

彼ほど人間慣れした猫は居ないし……いざとなれば、人間、いや、そんじょそこらのアンデッド程度ならどうとでもなる、という自信の現れでもある。

自分は器が大きいから撫でさせてやっている、というスタンスなのだろう。

 

「この子は?」

 

「ゲーミングキャットのニー君。俺はその保護者の……そうですね、甲虫の鎧の者と言えばわかりますか」

 

「なるほど、君達があの噂の戦士か。本当に人間だったんだね」

 

「疑われていましたか?」

 

「スペードのキング……コーカサスは享楽主義だからね。お遊びの一つかとも思っていた」

 

「こっちは真剣ですよ」

 

「そうだろう。この子を見ればわかる。君は……どちらかと言えば、ギラファに似ているのだろう」

 

この子、と言いながらちらとニー君を見る。

戦力であり、先の擬態が見かけ倒しのものではない事を理解できているのだろう。

なるほど、光栄だ。

恐らく作中一番真面目に自らの種族繁栄を考えて動いている真面目なアンデッドだろう。

 

「私を封印したいかね」

 

「いいえ。……いえ、封印自体はしたいと思いますし」

 

「今にも封印の準備はできている?」

 

頷く。

 

「ラウズアブゾーバーが渡ったのは確認できましたからね。私達の言葉で言えば」

 

「私は用済み、ということになるか。だが」

 

だが。

封印される訳にはいかない。

というのもそうだろうが、それだけではない。

この男、嶋さん、タランチュラアンデッドは、俺がわざわざ彼を呼び出した別の理由がある事を理解している。

話が早くて助かる。

ティーポットを傾け、中のロイヤルミルクティーを空のティーカップに中身を注ぐ。

カップは温めた状態で、ティーポットは中身を淹れた時点で時間の流れを弄って停滞させている。

何時でも、とまではいかないが、結構な時間淹れたてのミルクティーを味わえる優れものだ。

 

「私自身、戦い、バトルファイトというものに強い興味を持つことが出来ていない。……今は」

 

今は。

彼は今現在の自分の心がどれほどの期間許されたものであるか、はっきりと理解できている訳ではない。

という事を理解できているタイプだ。

それは恐らくBOARDのライダー達にも、烏丸所長にも進んで口にする事はない部分だろう。

或いは、自覚していても、普段はそれを認識する事が許されないか。

種族全体の戦略を崩さない為のものだろう。

だが、ここでは口に出来た。

何故か。

 

「アンデッドの心というものは、アンデッド自身の意思力だけではどうにもならない部分がありますからね。でも」

 

彼は、いや、彼らは、何かしらの予感を得てここに来たのだ。

今戦うのでもない。

戦いを避けて真の勝利を目指すのでもない。

新たな選択肢。

それが齎される予感を。

 

「今回のバトルファイトの中で戦わないという選択肢を選んだ貴方に、耳寄りなお話があります。貴方だけが得をするものではない、俺とあなた方、互いに利を得ることのできる、そんなお話が……」

 

語尾を濁し、カップを差し出す。

俺の持つマグとは異なる中身のカップだ。

なんとなれば毒物が入っているかもしれない明らかに怪しいカップ。

甘い香りと暖かな湯気を立たせる、一見すれば魅力的に見える、しかし、あからさまに出されれば疑わざるを得ない一杯。

 

「なるほど……」

 

そう呟くと一瞬目を瞑り、

 

「面白そうな話だ」

 

不敵に笑いながら、彼はカップを受け取った。

 

 

 

 

 

 

 

 




ゴキブリ退治に備えて蜘蛛を飼う話


☆なにか企んだり猫を改造したりする怪しいやつ
手術後に体の具合を聞いてくるやつってだいたい怪しいし、配下を従えた状態で余裕たっぷりに敵を待ち構えて交渉に入るやつはだいたい黒幕
これで高層ビルの頂上階とかでケーキつくってたら役満ね
その点こいつはなにか作る時は大体地下だから平成視点ではセーフ
昭和視点?
採点したいなら日本に戻ってこいや!
嶋さんまで巻き込んで何を企んでいるんだ……
何を企んでいるんだ?(素朴な疑問)
大まかに考えては居るけどまぁ嶋さんは悪いことにはならないよ
ここに来て原作キャラは殺さないムーブとかひよりやがったなこいつ
これはSS書きとして敗北確定ムーブやな
ガハハ負けたな那珂ちゃんの風呂食って寝ます

☆すげーパワーもらう度になんか下剋上狙ってくる改造猫
でもこのSSは神様転生SS黎明期の神様から力貰った直後に反逆したらうっかり殺せてしまう様な神様は存在しないんだ悪いな
でも知っての通り全ての猫は自分が可愛いことを理解した上でそれを全開で利用してくるから下剋上失敗したらすっぱり諦めて全力で媚び始めて猫駆除を阻止しようとする
猫は駆除されないSSだから安心して欲しい
人類に敵対するなら猫では無いものとみなされるのでご安心だ
今回で変身能力を得たし細胞採取できたアンデッドのもので使えそうな能力は大体持ってる
アンデッド特有のテレパシーも使えるが言語は猫語なので猫の鳴き声を相手の脳内に垂れ流しにするだけしかできない

☆覚悟をキメてナチュラルは置いてきた嶋さん
同種のエースの気配に呼び寄せられて来たらカテゴリーエースがマグカップ持ってホットミルクを延々ふーふーしてる場面に遭遇したがシリアスは崩さなかった偉い人
前の話にも書いたが本人はともかくタランチュラ全体の方針として長期戦に持ち込んでの生き残り優勝を目指されている頭脳派
どれくらい頭脳派かと言うと剣崎達BOARD生き残りチームに対して烏丸所長とチベットの背景を合成したクソコラで一発で信頼を勝ち取る事ができる
きっと今ブレイドが放映されたらあのクソコラが出た回はツイッターとかでクソコラ選手権が流行って烏丸所長がいろんなとこでいろんな相手と握手させられるし全く関係ないクソコラを剣崎達が見せられることになる
なんでこのルートになったかって言うとこの人あんまり真面目に戦ってないから戦闘力とかできることがわかりにくいんだよね……
でも背中の腕とか使ってかっこよく戦う事はできそう
マーベル映画のメカスパイダーマンスーツみたいな受け身はできそう
タランチュラだから多分毒とかもできるんだろうけど、本当に嶋さんの時とキャラが合わないな……
なお、アンデッド特有のテレパシーで延々猫の鳴き声が聞こえてきていたのを不審がって来たというのが誘いに乗ってやってきた理由の半分くらい

☆アンデッドの中の特異点カテゴリー10
結構な割合で切り札になり得る特殊能力持ちが揃っている
時間を止める、封印されたアンデッドを解放する、挙げ句の果に一つのスートのアンデッド全てと融合したとかいうインチキ臭いライダーとかいう明らかにアンデッドという枠を越えた存在にまで擬態する
などなど、部下にして操ればコレほど頼もしいものは無い能力持ちの下級アンデッドなので、恐らくそのバトルファイトは他のどのカテゴリーのアンデッドよりも過酷なものとなっただろう
なあアンデッドに効くか不明な毒が武器のセンチピードアンデッドくん!大変だったろ!
上級アンデッドから沢山のスカウト(洗脳)が来たりしたよな!なぁ!
みたいな事はいじめなのでやってはいけない
でもいじめなのでやってはいけない、って言われるのも惨めそうだよなあ……
実際、洗脳が一匹にしか使えない、とかの制限が無い限り、カテゴリー10の内三体を先に洗脳して戦力化できた上級アンデッドが勝つ、みたいなところはありそう
なお、それらに勝ったヒューマンアンデッド


オリキャラばっかでやるとぜんぜん振り返ってない、ってなるからちょっと原作キャラを出すテスト
いや、ブレイドの原作キャラと絡むと自然と天王寺の方に情報が行くからこういう絡ませ方しかできんのでこうなったというか
その点、この次の響鬼とか、情報隠しようが無い電王とか、わりとガバガバでも許されそうなカブトとか、なんなら本編始まる前にとりあえずD&Pは滅ぼしておいても良さそうなキバは原作キャラと絡めると思うので
あと前も言ったネオグロンギ代表の二十二号です、をやるためにディケイド編はやりたいし、なんなら一期じゃないけどWのテラー・ドーパント相手にも、恐怖心を抱いた相手に対しては常に同じ対応をしてきたのだ、みたいな仮面ライダーWRTAルートとかもやりたいのでまだまだネタは尽きない
なんなら橘さんを味方に入れたからにはフォーゼでそっくりさんネタはやりたいよねって
つまり完結ははるか遠くなので、それでもついてきてくれたり最後までついていくかはともかく今は見ておいてやろうって人は、次回も気長にお待ち下さい

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