オリ主で振り返る平成仮面ライダー一期(統合版) 作:ぐにょり
ブレイド……BOARD製のライダーシステムには割と致命的な欠陥がある。
使用者の心に恐怖心が存在した場合、適合レベルによってはそれが増幅され、使用者に破滅のイメージを植え付けるのだ。
これが軽度であれば問題ない様に思えるだろうが、実際に一号システム、ギャレンの使用者は植え付けられた破滅のイメージによって心臓を初めとした複数の臓器に影響を与えることになるのだ。
ワンチャン、この世界でなら他にもパワードスーツの類が存在しているし、そんな不可思議な欠点くらいは開発段階で取り除いていてくれるかな、とも思ったのだが、BOARDのコンピュータから盗み見したギャレンバックルの設計図を見る限りでは、順当にその精神作用は使用者を悩ませているだろう。
開発者である烏丸所長はこれを一切システム上の欠陥であると認識しておらず、原因は恐怖心を抱く使用者の方にあり、これを解決したいなら心から恐怖心を取り除けばいいなどと供述している。
脳改造でも推奨しているのだろうか。
恐怖して戦えないなら恐怖心を取り除けばいいとか、所長は全世界で恐怖心と向かい合いながらも戦い続けている戦士の方々に謝るべきだろう。
まぁ、適合者が無理矢理に戦わせられるタイプのシステムではない、というのは良いのかもしれないが、この緊急時ではただの足かせだ。
恐らくこの欠陥は使用者の精神状態……テンションに合わせて性能を向上させよう、というシステムの名残だと思うのだが、それならそれで最初から使用者に仕様の説明をしておくべきではないだろうか。
その点で、本来は別の目的のためであるとはいえ、使用者の精神状態を戦闘に適した状態に持っていく機能を搭載したレンゲルバックルは確かに完成されたシステムであると言えるだろう。
カテゴリーA、スパイダーアンデッドの意識を使用者に注入するスパイダー・スピリチアをオミットして、ギャレンやブレイドの使用する小型スパコンを搭載すればそれだけで旧BOARD製ライダーシステムの欠陥を全て排除した新システムとして運用できるだろう。
理屈の上では、ラウズアブゾーバーがあれば、レンゲルでもキングフォームになれる。
ブレイドの、同じスートのアンデッドを全て融合したイレギュラーなキングフォームはあくまでも使用者である剣崎一真の融合係数がイレギュラーなのであって、ブレイバックル自体はあくまでも旧式のシステムに過ぎない。
まぁ、何かの拍子に目覚めて人を襲いかねないアンデッドの封印されたラウズカードを常用するというのも危険極まりないので、これを完全にそのまま複製して使う事はないだろうが、参考資料として使うならギャレンとブレイドの設計図、そしてレンゲルバックルがあれば十分ということになる。
ラウズカードは最終的に一つ所に集められて封印される。
カードの研究に関してはその後で良いので、先ずはレンゲルバックルの作成から始めてもらわなければならない。
ピーコックアンデッドの研究所での、ガラス戸と鉄格子を破れない情けない三葉虫くんやカリスVSブレイドの戦いも開発の貴重なデータになる。
つまり、カリスにはブレイドの戦いぶりをみて辛抱たまらなくなるまでは研究所に留まってもらわなければならない。
はっきり言って、ここから暫くアンデッド周りの戦いを観察する必要はない。
なんなら天王寺の方がミラーワールド越しに見ていて興味深いレベルだ。
人造アンデッド……この時点ではトライアルシリーズか。
実際、完成品の人造アンデッドも資料として拝借するつもりではあるが、実用品として見た場合はこのトライアルシリーズの方が使い勝手が良いだろう。
機械獣であるヘキサギア、アギトの力をゾイドコアに見立てて作ったヘキサギアの発展型であるゾイド、半機械半天使の人造人間であるFAG及びメガミデバイス。
戦力として不足がある、とは言わないが……、戦力のバリエーションは多いに越したことはない。
一種を起源とした戦力だと、それを無効化された時点で総崩れする危険性だってあるのだ。
何より、トライアルシリーズはねじこんを介さず純粋な科学力で製造できるという点がとても良い。
ケルベロスにしろティターンにせよ、ねじこん経由で作られているため、それは本当に人造と言って良いのか、という疑問も残る。
また、これらはアンデッドの細胞と他の生き物の細胞を組み合わせる事で作るという関係上、通常の施設では細胞を培養する時間の関係で中々量産が効かないという欠点が存在するが、これも俺が作る分にはいくらでもインチキができるので問題にもならない。
そして、ここに一体のアンデッドが存在する。
しばし蘇生措置を続ける事で物理干渉が可能になるまで修復を果たしたプラントアンデッド君だ。
どのくらいで実体を失いアンデッド概念的な何かに変わるかもわかったので、それを考慮し、細胞を採取する。した。
アンデッド封印後も切り離した細胞が残るのはカリスの挙動で判明しているのだが、万が一という事もあるので、切り離して良い限界まで細胞を細切れに切り離し、培養槽につけておく。
実のところを言えば、現時点でトライアルシリーズの製法に関しては一応の完成を見せている。
万が一、俺と同じ様な世界に生まれ変わった方が居た場合は、『Black and White』というキーワードを覚えておくとBOARDの記録を参照できるので、こちらを参考にして自己改造に挑んでみるのも面白いかもしれない。
無論、BOARDは公式にはこれを記録していないので、可能であれば天王寺の私的な研究機関からデータを抜くのも忘れてはいけない。
トライアルシリーズはあくまでも複数の生物の細胞を掛け合わせて新生物を作る技術でしかないが、これを応用すればこの平成の世で改造人間を作り上げることも不可能ではない筈だ。
俺なら絶対やらないが。
そして、これに掛け合わせる細胞だ。
人間社会に潜ませるなら人間ベースの方が良いだろう。
元の素材となる人物は気にしなくていい。
見た目と記憶は別人から転写する事が可能だ。
情報漏えいを起こさず俺に逆らわない、というのが絶対条件になる。
この時点で友人知人は全員無し。
というかオリジナルが存在する時点で人格と記憶の複製は悲劇を生みかねないので、オリジナルの人物が居ないのが望ましい。
人格だけ、というのなら、まだ実体を与えていない尖兵──FAGが幾つかあるが。
どれをベースにするかは実に悩む。
初期アーキテクトに最新のアーキテクトの情動部分のみシステム化して組み込んで搭載するのが一番面倒が少なくて良いのだが……。
芸がない。
何も遊びでやっている訳ではないが、発想力を枯渇させるのは頂けない。
妥当なものがあるからこれでいいや、という思考は、優れた脳機能を持つ凡人でしか無い俺には堕落にしかならない。
才能で劣るものは、それが自分から捻出されるものであればなおさら、新しい発想を取りこぼすべきではない。
いざ、ひらめきが必要となった時にとんでもなく回り道をすることになりかねない。
なので、人間ベースのものはひとまず置いておく。
人間ベースの怪人制作は延期として。
楽しい楽しい動物実験の時間だ。
これならば倫理的問題は実質無いものとして扱える。
ベースとなるのはもちろん熊だ。
熊は戦闘単位としてとても良い。
山に潜ませておく分には保健所から介入が入る事も無い。
犬猫ベースで作って街に潜ませておくと保健所に連れて行かれる可能性が高いからな……。
飼うのもやだし。
やっぱりペットとして飼うならロードインパルスの様に生物としての面倒な部分を大部分カットできるものの方が優れている。
かわいいしな。
そうして。
魔石に一時的に接続して変異した熊の細胞をベースに作り上げたのが、このトライアルシリーズ番外、試験体一号だ。
これは貴重なデータを残してくれたので、標本として分解して保存するのではなく、ある程度の指示を与えた上で八甲田山の奥地、赤心寺周辺に解き放っておいた。
魔石の影響で二足で立ち上がった際は十メートルにも迫るほどに巨大化した体も、トライアルシリーズ特有の擬態能力でどうにか三メートル級に押さえている。
なお、今回ばかりは義経師範の闘争本能を刺激して撃滅されても困るため、予め師匠に相談した上で開放している。
戦闘形態では十メートルクラスの全身から毒蔦を伸ばして相手を拘束し、毛皮の上から鋲付きレザーアーマー(これは魔化魍ではありません、と大書したもの)を纏った様な姿の熊など、師範が見かけたら修行の為に襲いかかるに決まっているのだ。
見た目は完全に怪獣映画になってしまい、とても市街地で使えない代物になってしまったが、野生の熊ではなく熊の細胞をベースに作ったアンデッドの特徴を備える改造生物なので、基本的には大人しく、餌も殆ど必要としない。
厳密には生物でないアンデッドの細胞である、という点もそうだが、プラントアンデッドの細胞を使用したのも良かったのか、土地に文字通り根を張って栄養を補給できる、というのも嬉しい誤算だ。
地下基地に設置した複数の大型インフィニティ・パワー・ユニットとオメガリアクターの影響で八甲田山自体が異様に生命オーラに満ちた土地になってしまったので、バランス調整には丁度いい筈だ。
……バランスを取ろうと思ったら同じ個体をあと十体は放流しないといけないが。
この試験体には、観測装置を設置した特製の洞穴で、超能力の修行をしつつ、土地の余剰エネルギーから発生率が上がり続けている魔化魍の対策をしてもらう事にした。
試験体の戦闘データ収集にもなり、なおかつ超能力が発現した場合はその練度を上げるのにも繋がる効率的な行動だ。
最近魔化魍増えておかしいなぁお前何かやったかやったな、みたいなノリで俺に冤罪を擦り付けてくる義経師範をなだめる意味でも魔化魍駆除は重要になってくる。
無駄がなくて大変よろしい。
さて。
そんな訳で、そろそろ現実に目を向けなければなるまい。
最新のベルトであるレンゲルバックルの製造の為にはいくらかのデータが必要になる。
そのためにハカランダの人たちには大人しく人質になっていてもらわなければならない。
のだが……。
ハカランダの中に不審な人物が居る。
古臭い革ジャンにライダーパンツを決めた、もさもさパンチパーマのおっさんだ。
この人物が、店員の親子の目を盗んで、爆弾をこっそり店の外に持ち出してしまった。
それだけなら、まぁ、問題はそんなに無い。
ピーコックアンデッドの臨時研究所では既にブレイドと絶滅済みアンデッドとカリスの三つ巴の戦いが始まっており、ハカランダの内部を見張るものは居ない。
戦闘データは確実に取れている筈だ。
だが。
あの革ジャンとライダースーツ。
先日の戦闘ログで見かけたものと同じ服装だ。
あのデザインの革ジャンは最近の流行ではない。
そう同じものが出回っている筈がない。
―――――――――――――――――――
ハカランダの正面、入り口を出た後にはスロープが設置されている。
そこをゆったりと、紙袋を手に下げた中年の男が歩いていた。
ボサボサのパンチパーマに革ジャン、ライダースーツ。
時代がかった服装と言って良いだろう。
散歩でもするかのような軽い足取りの男の目の前に、行く手を遮る様に一台の大型トライクが滑りこむ。
「おっと」
横滑り気味に入ってきたトライクを避けるように大げさに仰け反ってみせる男。
その手の中の紙袋が僅かに浮かび、
手の中が軽くなった事に男が驚くのと、トライクのライダーの手元に紙袋が現れるのは同時。
フルフェイスのヘルメットを被ったトライクのライダーの手の中で、紙袋がくしゃりと縮み、野球ボールほどのサイズに圧縮され──爆発。
音も衝撃も熱も、全てが手のひらサイズに圧縮された空間の中だけに収まり、周囲には爆発したという事すら悟らせない。
トライクのライダーが拳を作る。
と、手の上にあった球状の爆発が、ぎゅん、という音と共に更に縮み、消滅。
「おみごと」
ぱちぱち、と、茶化すように革ジャンの男が手を打ち鳴らす。
対し、もう一人の男はトライクから降りず、高所から革ジャンの男を見下ろしている。
「どういう事か、説明して貰いますよ。
フルフェイスのヘルメットを取りながら、酷く熱の無い視線を下ろす小春交路。
「話をするってんなら、もう一人を待ちましょうや、
その視線を受け、革ジャンの男──太刀川洋は、ハカランダの敷地入り口を顎で示す。
もう一人。
いや、それを一人と数えて良いのか。
数分の時間を置き、安全運転で帰宅した相川始は、太刀川の顔を一瞬怪訝な顔で眺めた後、まるで別人の様に穏やかな、深い笑みを浮かべた。
「先日は助かりました」
「いいって事よ。ウチの……恒例行事みたいなものなんだろ?」
一瞬前の侵入者を見る警備員の様な硬い表情からは想像もつかない柔らかな物腰からの礼に、太刀川はむず痒そうな顔をしながら、ひらひらと手を降って返す。
次に、始の顔が、交路へと向けられた。
「
「俺ぁまだ何もしていませんが?」
「いや、わかるよ。君が居なければ、私は
始の、何もかも知っているのだ、と言わんばかりの言動に、交路が隠しもせずに舌打ちをする。
「場所、変えませんか。立ち話で済ますには、聞きたい事が多い」
「俺は構わねぇけど」
「さて……私はともかく、彼がどうか」
彼が、という始の言葉に、交路がハカランダへと視線を向けて呟く。
「昨今は、ガス漏れなども多いと聞きますが。あのお店、何か対策でもされておられます?」
ぶる、と、始の腕が震える。
恐怖から、ではなく、まるで腕一本、僅か一瞬のみそこに別の感情が載った様な動き。
一瞬だけ怒りを見せた腕で口元を抑え、始が苦笑いを浮かべた。
「あまり、挑発しないでくれるかな。彼はピュアなんだ」
「人間に染まったのを、ピュア、というのも不思議な話ではありませんか」
「で、どこでお話を?」
「良い店があります。余計な耳も目も無いところが。おじさん、バイクは?」
問いかける交路の目の前で、太刀川の元に一台のバイクが独りでに近づいてきた。
白いフルカウルの大型バイクが人間抜きでゆっくりとバランスを取りながら動いている様子は、この現代においてもそう見れる光景ではないだろう。
その様子を見て、眉をしかめる交路。
「そういう目立つの、やめてくれません?」
そう言い放つ交路が跨るトライク──外見だけを似せた代車で車検をくぐり抜けたロードインパルスのビークルモード──も、またその威容だけで周囲の目を引いている。
車幅車高共に乗用車ほどもあり、殆ど車の上に跨っているようなものだ。
そんな後ろめたさは一切感じさせる様子もない。
「鏡持ってきてやろうか?」
「もう持ってる」
―――――――――――――――――――
そういう訳で、いつもの純喫茶『壽』にやってきたのだ。
「たぶん、勝とうと思えば勝てただろう。今回に限れば」
相川始……いや、
水を吸った紙包みは蛇や虫のように伸び、いや、文字通りの意味でその姿を変え、小さな蛇ともミミズとも付かない生き物の様なものに変じたかと思えば、それは蛹に、そして蝶に転じ、霞のように消えていく。
恐ろしく精緻な
魂ある生物を作った、というより、生き物を分子機械として捉えて再現しているのだろう。
理論上、魔石の戦士の持つ能力は、全て将来的に人類が進化の先に獲得しうるものだ。
故に、ヒューマンアンデッドがその力を使えたとしても、不思議ということも無い。
ヒューマンアンデッドの、嫌に好意的な視線がこちらに突き刺さる。
「君が、我々の道を切り開いた。一万年前にもなし得なかった事だ」
最初に褒めから入る奴は信用ならない。
ヒューマンアンデッドとしての権能なのか、俺がこの数年で何をしたのか知っている素振りを見せた上で、というのも気に障る。
正体を把握しているぞ、という匂わせをまずしてくる辺りが実に人間らしい。
「だったらそのまま勝てば良かった」
「確かにそれで一万年の安寧は得られただろう。昔なら」
「無効試合狙いか?」
俺の言葉に、ヒューマンアンデッドは澄まし顔でコーヒーを啜った。
「後始末を任せる相手も居るからね」
アルビノジョーカーの事も想定済みか。
だが。
「それは俺の事? それとも、
ストレートに尋ねてみると、ヒューマンアンデッドの横に座っていたおじさんがくつくつと笑い始めた。
じろりと睨んでみせると、すまんすまんと軽く謝ってみせる。
「いや、本当にすまん。だが、ゴルゴムはもう無い。それだけは間違いない」
「そりゃあ、ゴルゴムはね。でもねおじさん。その身体の再改造を行った組織は? 結城丈二だの本郷猛だのがやってくれた、なんて言わないだろうね」
おじさん……母さんが良くバイクを修理に出したり輸入バイクに手を出したりする時に仲介として使っているスズキ輪業の店主。
スズキ輪業の店主なのだから鈴木のおじさんだろう、くらいに考えていたが、恐らく彼の真の名前は太刀川洋。
仮面ライダーブラックを打倒するためにゴルゴムによって製造された訓練用の標的としての改造人間である、ブラック・ダミーの七号だろう。
ブラック・ダミーは世紀王の資格でもある賢者の石を埋め込まれていない以外は世紀王ブラックサンとほぼ同等の身体能力を持つ、という触れ込みである。
そして、ブラックサンの機能に、人間態の時に体内をスキャンされた場合のステルス機能などは存在していない。
まして、訓練施設で改造されてその施設内で殺されるのが役目と言っても過言でないダミーに、そんな御大層な機能を搭載する筈がないのだ。
今も俺は、魔石の戦士としての超感覚を用いて、彼の身体を覗いているが、その身体構造は人間のものと相違無いようにしか見えない。
テオスとしての権能を用いて、辛うじて違和感を得られる、というくらいか。
「そりゃあ、元ゴルゴムの科学者連中がやってくれたのさ」
「糞が」
「口が悪いですぜ」
そりゃあ、そうだ。
考えても見れば当たり前の話で、俺は盛大な勘違いを一つしていた事になる。
この世界には俺の知る無数の要素が含まれている。
現代の猛士は俺のよく知る、映像作品そのままと言っても良い組織体制ではある。
しかし、過去の文献を遡ればその起源に関しては江戸時代付近に一人の人間の協力者から始まった、という話と、もともと国のお抱え術士集団だった、所謂文字媒体版の過去が入り混じった様な状態になっている。
ゴルゴムという組織の規模を見誤っていた。
そも、ゴルゴムの痕跡をたどる、という考えが間違っていたのだ。
人間の文明が産まれる前から存在して暗躍していた、というのなら、どこにだってゴルゴムの根は張っている。
頭を潰したというのなら、残りは自然消滅するだろう、という考えは甘すぎる。
仮に、漫画版のゴルゴムが混ざっている、或いはそちらが主体であるとしたら。
俺の視点では人間に見えるが、実は改造人間である、という場合も多くあるのだろう。
この時代に社会が崩壊していない、という時点で、少なくとも結末に関してはTV版準拠かそれに近い形になっているのだろうけれども。
どちらにせよ、太刀川のおじさんと同じ偽装が施されているとすれば、それは脅威の一つと言っていい。
「勘違いしない方がいいけれど」
と、ヒューマンアンデッドが口を挟んだ。
「彼らは君のとっての敵ではない。そうだろう?」
「おう。あのお方……俺達のヘッドは、何も世界征服だの、人類滅亡だのがしたい訳じゃないからな。ゴルゴムの組織力も、便利だから支配して使ってるに過ぎねぇ」
「あの御方?」
「平和を望んでらっしゃるのさ。今の平穏な生活と家族こそが、世界征服だの、人類の行く末なんぞより、何倍も大事なんだと」
「それに関しては、私も保証しよう」
あ、あんたほどの実力者が言うなら……。
という訳でもなく、あの力、そしてプラントアンデッドの実験結果、BOARDの研究データから、恐らくアンデッドが各種族の集合無意識的存在なのはほぼ確定している。
つまり、俺の秘密がほぼ全て抜かれているのと同じ様に、あのお方とやらの思惑も全て把握している筈だ(これも隠蔽なりする技術は存在するだろうが)。
その彼が保証する、というからには、その言葉が真実であるなら、確かに俺と周囲の平穏、そして生活する上で重要な社会インフラを破壊しない相手とみなして良いだろう。
「……じゃあ、今回の件、俺達は協力関係であれる、と、そう考えて良い?」
「というか、もう協力してるんだな、これが」
「は?」
「丁度、アンデッドを使って世界を支配しようとしているものが居るだろう」
「あいつも、元は旧ゴルゴムの傘下に居たのさ。今は独立している
それは暗躍しているのではないか。
……とはいえ、既にそんな企みを抱いている表向きの大物が居るのなら、あえて自由に動かして破滅させる、というのは策としてありだ。
それに、無効試合を狙う、というのなら、戦力が整っているタイミングで行う方が確実だろう。
正式なバトルファイトが行われる時代、テオスがやっぱり気が変わったとか言い出して人類をまた滅ぼそうとしていないとは限らないのだ。
アークオルフェノクの時に俺がやったことの規模拡大版の様なものなので強く文句を言う筋合いは無い。
「ジョーカーは?」
「彼は全てのアンデッドを封印できれば良い。ここでの会話は、ぼんやりとしか覚えていないだろうし、それで時折頭痛がしたりはするだろうけど」
なに、最後には封印されるのだから同じことさ。
無感情なシステムでしかないジョーカーに、最後に人間として、それも、それなりに良い環境で生活をさせているんだ。
相乗りさせて筋道を誘導する代金としては、十分過ぎるんじゃないかな。
そう答え、一切悪気も無さそうなヒューマンアンデッド。
他愛ない話をするように笑うその顔が、恐らく今の人類の総意、というものなのだろう。
ああ、なるほど。
こんな世界で、人類が未だに発展し続けられるわけだ。
実に頼もしい限りじゃないか。
一番厄介な悪党は、正義の味方の堪忍袋のラインを弁えて動く、殴り殺せない奴らなのだ
話し合い回でした
☆まさか(後戻りできない黒幕勢への道に)引き込まれてる?
いや元から自分から足を踏み入れてるだろ、という話
でもまだ自分から意図的に人類への損害を出そうとはしていないからセーフ
大体の悪党は自分以外と比べて自分はまだマシだと言いながら踏み外していくのだけど
今回で言うと熊改造はらくらくセーフ
魔化魍の出現率上昇は山にゾイドを放って間引きさせているのでギリギリセーフ
新ゴルゴム(?)との接触はややアウト
あの御方に関して探らないのは自分の情報をある程度握られているため
勝ちに行ける状態になったら同盟は即座に蹴るだろうとは思う
悪の秘密結社が潜んでるどころか社会システムの根幹に組み込まれてるとか、やっぱり戦力はいくらあっても全然足りないじゃないか!
ブレイド編でも戦力増産の為に動き回ります
目指せ全アンデッドの細胞採取
☆秘密結社ゴルゴム
滅んだよ
たぶん歴史上何度か滅んで新体制になってるんじゃないかな
一年の間に何度も禁酒を熟す禁酒のプロみたいな滅亡のプロ感ある
創世王を倒しはしたけど、創世王が直接組織運営に口出ししていた訳でもないので、運用していた入れ物はまるっと残る
原作だとそこんとこ触れられなかったけど、後釜が入ってこなければ自然にゴルゴムの一部だった事も人員の新陳代謝で忘れていける筈だった
でもこの世界はブラック原作ではないので、最悪悪意ある種族に乗っ取られていた事を考えればまだマシな状態
取り敢えず今ある社会を維持する事を目的として動いている
ええとね……近いところを挙げると……
惑星O-50のオーブの光?
を大分非情にした感じ
☆あの御方
>あやつマーン!<
創世王亡き後のゴルゴムを乗っ取り、やや平和よりの運営を行っている
実は行動基準はかなり主人公に近い
一体何者なんだ……
☆太刀川洋
主人公の地元でスズキ輪業という二輪車専門のお店をやっている改造人間
旧ゴルゴムの活動中、原作エピソードを消化した後に『あの御方』に拾われ、再改造を受けた後に打倒ゴルゴムの為に暗躍する
死にかけのところを助けてもらったという恩義、一応組織が全体として前よりも改善されている為に従っている感じ
原作でも描写があったが、身体能力はブラック並という触れ込みだが一般怪人に苦戦している為、実は元スペックはそんなでもない
なおゴルゴム、そしてその後に現れた帝国との戦闘経験値
未確認やアンノウンとの戦いでも裏であれこれ動き回っていた
☆ヒューマンアンデッド
人間の集合無意識てきなあれ
人間の強いところと汚いところと邪悪なところと綺麗なところがまぜこぜになってる
テオスの支配率が下がり、人類のアギト化が解禁された為にめっちゃ強化されてる
人類が持ちうる力はだいたい使えるが、それでもアンデッドの範疇に収まる程度でしかない
カテゴリ2?
前回優勝で弱体化受けた後に強化されただけだかランクの低さとかノーカンでーす
汚いなさすが人間きたない
☆囚われのジョーカー
抵抗しないアンデッドを何の疑問も抱かず封印してしまうのはシステマチックな存在故の危うさでもあるのだ
普段の主体はジョーカーにあるが、時折ヒューマンアンデッドに乗っ取られていることにも気づきつつそれに拒否感を抱けない
永遠に封印され続ける最後の土産に人間としての楽しい時間をプレゼントされている
助けてライダー!
☆試験体一号
普段は身体の各所から毒蔦を伸ばした大きめの熊として洞窟で瞑想している
その実体は十米級の巨大怪獣
なのだけど、ベースとなるアンデッドが毒蔦なのでそんなに強くはない
まぁそれでも巨大さとか人間混ぜじゃなくて熊混ぜなのでその分のアドバンテージで並のトライアルシリーズになら押し勝てる
弱点は人里に降りると絶対に騒ぎになるから山からは出られない事
☆神秘の八甲田山
霊的視覚で見ると明らかにこの数年でオーラが濃厚になってる
日々ゾイドが魔化魍を喰らい、その中で八甲田山を訪れた青森方面担当の鬼と映画でよくある野獣の鼻先に手を当てて心を通わせるシーンとかを繰り広げている
☆青森担当の鬼
俺居る
という疑問を挟めない程には忙しいけど他の区域と比べるとめっちゃ協力者が多いから総じて少し楽ですらある
実は山に満ちるインフィニティ・パワー・ユニット由来のエネルギーに晒されて変異しているからそう感じるだけで、普通なら過労死するレベルで魔化魍と戦っている
最近山で見かけるゾイドに背中を許してもらったりしてこの世界ではいち早くゾイドワイルド方式を習得した
これでいいのかと書いてから思う事はあるけれど
何を書くべきかわからん時は
書けるものしかかけんし
書いたら書いたでなんか満足するところもあるので
書いた分を撤回することはたぶん無いです
そういうSSなので、それでも良ければ感想とか今回も次回もよろしくお願いします
次回は市街地の人が多い場所にアンデッドが出た時の場合、みたいな話になると思います
つづく