グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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life10 脅威の英雄

俺と小次郎の得物同士がぶつかり合い、甲高い金属音が耳元で鳴り響く。

そして、再び始まったのはお互いの剣撃の読みあい、撃ち合いだ。

俺の袈裟斬りを避け、小次郎は突きを放ってくる。それを右の剣で反らして左の剣を振り下ろせば、いつの間にか引き戻されていた太刀で防がれる。

金属が擦れあう嫌な音を聞きながら、俺は後ろに飛び退いて小次郎を睨む。

小次郎は口元に薄く笑みを浮かべると再び構える。俺も深く息を吐き、柄を握り直す。

片方を投げて注意を逸らすのも、落下した剣を当てるのも無理。真正面から行っても受け流されるか、つばぜり合いになる。だったら━━!

俺はジグザグの軌道で動き出す!フェイントを織り混ぜ、いつ仕掛けるかを惑わす。久しぶりの全速力だが、小次郎はこちらを目で追ってきている!

俺は一気に小次郎の背中を取るように加速し、肉薄した瞬間に剣を振り下ろす!目で追えても反応しきれていないな!

俺がこの一撃は入ると確信していたが、

 

「舐めるなぁッ!」

 

小次郎が体を縦軸回転。遠心力を乗せた一太刀を俺に放ってきた!

俺は一刀でそれを止め、もう一刀を構わずに振り下ろす!が、小次郎はうまく体を捌いて避けて見せた!

俺が追撃しようとしたが、小次郎はすばやく後ろに飛び退く。頬には汗、相当焦ったようだ。

小次郎は汗を拭いながら太刀を肩に担ぐ。

 

「いやはや、反応が遅れてしまったわ。力勝負は苦手なのだがな」

 

「弱点を晒すか。舐められたもんだ」

 

俺が肩をすくめながら言うと、小次郎も不敵に笑む。

 

「弱点が知られても、そこを突かせなければ良いのだ。……それが難しいのだがな」

 

小次郎は苦笑するように言った。確かに、こいつと力比べの状況にすることは難しいだろう。

俺は左の剣を逆手持ちにし、改めて突撃するために足に力を込めていく。

一気に接近して叩き斬るッ!

やることが決まればあとは簡単だ。それを実行するのみ!

俺はその場を飛び出して小次郎の元に向かう!真正面からの接近に小次郎は一瞬目を見開いたが、すぐに構える。

小次郎の間合いに入り、小次郎が水平に太刀を振ろうとした瞬間、俺はその場を跳躍する!

俺の足元を刃の銀光が通り過ぎていき、驚愕する小次郎の上も通り過ぎた瞬間に体を捻り、右の剣に落下のエネルギーも乗せた一撃を放つ!

小次郎は小さな舌打ちをすると体を反転、俺の一撃を受け止めた!同時に足が地についてつばぜり合いになる。

甲高い金属音が二条城に響き渡るが、それを無視して剣を押し込んでいく。

いい反応だが、まだだ!

俺は剣を押し込みながら左の剣を逆袈裟に振り上げる!

小次郎は押しきられる覚悟で後ろに下がろうとするが、遅いな!

左手に何かを斬った感覚。だが、浅いか!

後ろに飛び退く小次郎。腰から肩にかけて(かみしも)が斬れており、血が滲んでいる。

小次郎は荒くしなった息を落ち着かせるように努めているが、休ませるかよ!

俺は左の剣をブーメランのように投げつけ、同時に駆け出す!

小次郎は慣れた様子で投げつけた剣を上に弾きあげ、俺との接触に備える。が、俺は再び跳躍。今度は頭の上を通りすぎるのではなく、もっと上までだ。

俺は打ち上げられた剣を回収、先ほど以上の落下のエネルギーを乗せた二刀を振り下ろすが、小次郎は素直にその場を飛び退いて回避する!

俺は飛び退いた小次郎を追撃するために一気に間合いを詰めて斬り込んでいく!

再びの斬りあい。激しく火花を散らせながら俺と小次郎は競り合う。だが、疲労が出てきたのか、小次郎の動きが鈍くなってきている!

俺はバツ字に剣撃を放ち小次郎を怯ませると、一気に踏み込みながら突きを放った!

小次郎は太刀の刀身でそれを受けながら勢いを殺し、殺しきれなかった勢いを受けて十歩分後ろに下がる。

小次郎は地面をスライドするように勢いを殺し、息を吐いた。

 

「なりふり構わず、か。今さらだが、お(ぬし)は勝つためには手段を選ばない者だったのだな」

 

「戦争経験すりゃ、嫌でもこうなるもんだ」

 

俺も軽く息を整える。そろそろ決めて、誰かの援護に行かないとな。

俺が再び構えると、小次郎は再び不敵に笑む。こいつ、常に余裕は崩さないってことか。

 

「ならば、それを正面から打ち負かすまでよ」

 

「なに?」

 

俺が聞き返すと、小次郎が構えを変える。

昼に見せたものと同じだ。重心を低く、太刀を地面と水平に、俺に背中を見せるほどの無防備な構え。

一気に踏み込んで斬ろうとも思ったが、第六感がそれをさせない。下手に近づけば、殺られる………っ!

俺が防御の構えを取ろうとした瞬間、

 

「我が秘剣━━『(つばめ)(がえ)し』ッ!」

 

小次郎が技名を告げる。俺の頭部に向けた一撃、左肩に向けた一撃、脇腹に向けた一撃、それらがほぼ、いや()()()()同時に放たれる!

 

「━━━ッ!」

 

俺は反射的に後ろに下がりながら頭部と脇腹に向けられた一撃を受けたが、同時に左肩を激痛が襲いかかった!

 

「チッ!」

 

俺は舌打ちをしながら後ろに飛び退く。また左肩か……。くそ、いてぇ………!

俺は歯を食い縛って痛みに耐えながら、左肩を押さえて小次郎を睨む。

小次郎は不敵に笑むかと思いきや、驚愕の表情を浮かべていた。

 

「頭部と腹部を守ることで肩を捨て、刹那の時間で半歩下がることで腕の切断は避けた、か。いい判断だ」

 

「それは、ありがたいが。どんなトリックだ?」

 

「トリック?そんなものはない。ただ素早く太刀を三度振ったまでよ。だが、少々疲れるのでな、そう何度も使えるものでもない」

 

━━━━ッ!

 

ただ素早く振っただけ!?たったそれだけで同じタイミングで三連撃がとんできたのか!?

俺が驚愕していると、

 

「イリナさん!」

 

アーシアの悲鳴混じりの叫びが聞こえた!

 

「あら?こちらはまだやっているんだ?」

 

声の方に目を向けると、ジャンヌが血まみれのイリナを抱えていた。

 

「ま、彼らよりはやるんじゃないの?」

 

次はジークフリートの声。奴は六本の腕で木場とゼノヴィアを抱えている。

 

「俺がそっちの奴とやれば良かったぜ」

 

ヘラクレスが何かをこちらに放り投げてきた。俺はとっさにそれを受け止めたが、それは銀髪を血に濡らしたロスヴァイセだった。

くそ……っ!やられちまったのか…………!

見れば、鎧を纏った一誠も膝をついている。あいつはまだやれる気のようだが、限界が近いようだ。

 

『グオオオオオオンッ!』

 

ヴリトラの咆哮。見ると、ヴリトラが御大将の尻尾に縛られて苦痛の声を漏らしていた。

俺は怒りを押さえるために歯を食い縛り、曹操たちを睨む。

曹操が柄で肩を叩きながら言う。

 

「悪いな、赤龍帝、ロイ殿。どうやら、フィナーレだ。あなた方は確かに強い。けれど、英雄には勝てない。悪魔や堕天使、ドラゴン、妖怪が手を結ぶというのなら、英雄として立ち上がらないとさ。人間が魔王やドラゴンを倒すのは人間なのは自然なこと。それが俺たちの行動原理さ。そして、ロイ殿、あなたにはここで死んでいただく」

 

曹操がそう言うと、イリナを放り投げたジャンヌ、木場とゼノヴィアをその場に置いたジークフリート、首を鳴らすヘラクレスが俺の方に来る。が、小次郎は不満そうに後ろに下がった。あいつ、俺と一対一で勝負でもしたいのか?

俺は息を吐き、自分を落ち着かせるとロスヴァイセを寝かせる。

俺はロスヴァイセや一誠たちから離れていく。左肩から絶え間なく血が出ているが、今はそれどころじゃねぇ。

俺が足を止めると、相手の三人は俺を囲むように陣取る。

何だろうな、戦争の頃を思い出す。ああ、そうか、コカビエルの時に以来か、ここまで俺がキレてるのは………。

俺は両手の剣を異空間にしまい、両手に滅びの直刀を生成する。左腕に力が入らなくなってきたなら、軽いこっちのほうがやり易いだろう。

 

「来な…………」

 

俺が呟くと共にジークフリートが飛び出して斬りかかってくる!

一本を右で、もう一本を左で受けると残りの四本も振られてくる。

俺は羽を展開して各所に刃を形成、それで残りの四本を受け止める!

 

「なにっ!?」

 

「舐めるなっ!」

 

驚愕するジークフリートを全力で蹴り飛ばすと、ジャンヌが操る聖龍の尻尾が振り下ろされる!

俺はそれをバック宙でそれを避け、尻尾に直刀を突き刺して動きを封じ、

 

「らぁっ!」

 

「くっ!」

 

聖龍にまたがるジャンヌに斬りかかるが、生み出した聖剣で受け止められた!

つばぜり合いをしていたジャンヌは無理やりそれを打ち切ると、聖龍を乗り捨ててその場を退避。すると、

 

「だっしゃぁぁあああああっ!」

 

ヘラクレスがミサイルを放ってくる!

俺は直刀を回転させるように投げつけ、ミサイルを迎撃、撃ち漏らしたミサイルはしっかりと避けていく!

ミサイルを避けきって着地をすると、

 

『お……い』

 

謎の声が耳に届く。俺が警戒していると、英雄派の三人も周囲を警戒しているようだ。

 

『……ぱ………』

 

……?「ぱ」って何だ?

俺と三人が首をかしげていると、その言葉が耳に届く。

 

『すごい、おっぱい』

 

……………は?

 

『大変なおっぱい』

 

「「「「は?」」」」

 

俺と三人の反応が見事にシンクロした。って、何だ今のは!声は、一誠の方からか!

 

「一誠、どうし━━」

 

「「「「「おっぱい!おっぱい!おっぱい!」」」」」

 

一誠を中心にして陣形がくまれている!?何だあれ!変な人(?)が一杯いるんだが!?何か、ひとつだけ俺と背格好が似たものがある気が………。

 

「「「「「おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい」」」」」

 

そんな事はどうでもいい!これはヒドすぎる!

多分これを見ている奴全員がそう思ったはずだ。じゃなきゃおかしいって!

 

「………おっぱいゾンビか」

 

「うむ。世界は広いな」

 

曹操と小次郎まで変なことを言い出した!?いや、確かにそう見えるが!

俺が心の中でツッコミを入れていると、そのおっぱいゾンビが何か魔方陣みたいになり始める。

するとイッセーが何か覚悟を決めた表情になる。あいつ、何をするつもりだ!?

 

召喚(サモン)おっぱい!」

 

その声と共に魔方陣的な何かからまばゆい輝きを放ち始め?!そのまま光が強くなっていき、二秒ほど経ち光が止むと、そこには、

 

「な、何事!?ここは!?イッセーじゃないの!それにロイお兄様!?その肩はどうなさったのですか!?それよりもどうして私はここに!?しょ、召喚されたの!?え?え!?」

 

リアスがいた。着替えていたのか下着姿だ。

………どうしてこうなった。英雄派の連中も反応に困っているぞ。

突然の事の連続に俺たちが唖然としていると、

 

「な、なんなの!?光が私を包んでいくわ!」

 

リアスが光り始めた!どういうことだ!?まったく、わけがわからん!

って、よく見たら光ってるのはリアスじゃなくてリアスの胸か!じゃなくて!

 

「一誠!説明しろ!どういうことだ!?」

 

「ロイ先生!今は静かにしててください!」

 

お、おうスゲェ迫力だ。戦闘中にあれを出して欲しかったな。

俺が一誠の迫力に圧されるように黙りこむと、一誠が兜を収納してリアスに向けて微笑む。

 

「イッセー?」

 

リアスはなんとも言えない顔してるが、一誠は正面から言う。

 

「部長!乳をつつかせてください!」

 

「「ッ!?」」

 

俺とリアスはその発言に━━━絶句した。

 

「よくわからないわ。よくわからないけれど、わかったわ!」

 

「いや、何でだ!?」

 

「ロイ先生!ですから!」

 

「だぁぁぁぁ!わかったよ!」

 

俺はしばらく静観(見てはいない)を決め込むことにした。今のうちに体力回復をしたいが、血が足りねぇかも。

 

「いきます!」

 

おうおう、やれやれ。だが、後で説教させてもらうおう。あいつ、リアスの胸を何だと思っていやがる!

 

「……ぁふん……」

 

リアスの吐息が聞こえた。その瞬間俺の視界の端に閃光が映る!

 

「こ、これは!あ、あああああ!」

 

リアスの声に反応して振り向くと、リアスが光を放ちながら天に昇っていっていた。

一誠は手を合わせてるし、後で説教じゃなくてボコボコにしてやる!

 

「なんだったんだ、あれは?」

 

曹操が言うこともその通りだ。てかその反応が普通だ。

すると突然、一誠が凄まじいオーラを放ち始めた。

 

 

 

 

 

 

 




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