グレモリー家の次男 リメイク版   作:EGO

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life05 作戦確認

会議の翌日な朝。

俺━━ロイとリアスたち、ソーナたちは再び地下の大広間に集まっていた。学校がある日なのだが俺たちはそれを休み、学校には俺たちを模した使い魔を送る予定だ。

ロキとの決戦が間近に迫り、少しでも体を休めないとならない。本人たちは残念がっていたが、これは仕方ないことだ。

アザゼルがぶつぶつと何かを言いながら部屋に入ってくる。一緒に入ってきたロスヴァイセの手には豪華な装飾が施された小さなハンマー。それを大事そうに持っている。

 

「オーディンの爺さんからのプレゼントだとよ。━━ミョルニルのレプリカだ。ったく、あのクソジジイ、マジでこれを隠してやがった」

 

あの会議の後に一誠たちがミドガルズオルムから仕入れてきた情報を元に、俺たちは対策を進めている。あのハンマーもそこから用意したのだろう。あの感じだと、無理してオーディンから借りたようだ。

 

「伝説の武器のレプリカとは、いいもん借りれたな」

 

俺の一言にアザゼルは頷く。

 

「北欧の雷神トールが持つ伝説の武器。レプリカとはあえ、神の雷が宿っていることには変わりない」

 

「はい、オーディン様はこのミョルニルのレプリカを赤龍帝さんにお貸しするそうです。どうぞ」

 

一誠はそれを恐る恐る受けとると、興味深そうに見つめている。

 

「オーラを流してみてください」

 

ロスヴァイセの指示で一誠はミョルニルに魔力を送り込む。すると、ハンマーが大きくなっていく!

一誠の身の丈を越すほどの大きさとなり、一誠は支えきれずにそれを床に落とす。

俺は落下の振動に耐えながらミョルニルを見る。大きすぎる、修正が必要だ。

 

「一誠、オーラを抑えろ。少しはマシになる筈だ」

 

持ち上げようと必死になっている一誠にそう告げる。一誠は返事をしながら頷き、少しずつオーラを抑えていく。それにあわせてミュルニルも小さくなっていった。

ちょうど、両手で持てるほどの大きさだな。あれぐらいならどうにかなるだろう。

俺が頷いていると、一誠は言う。

 

「ロイさん!小さくはなりましたけど、めっちゃ重いんですけど!」

 

「そこは禁手(バランス・ブレイカー)になればどうにかなるだろう。とりあえず、一旦ストップだ」

 

一誠はミョルニルから手を離すと、それの大きさが元のものに戻っていく。

それを確認したアザゼルが言う。

 

「レプリカとはいえ、かなり本物に近い力を持っている。本来なら神にしか使えないが、色々と調節して悪魔でも使えるように変更した。一時的なものだが、十分だろ」

 

「それと、練習でも下手に振り回すなよ?もしも雷が出たら、この町が消し飛ぶ」

 

「マジっすか!?うわー、怖い!」

 

今さら一誠はビビり始めた。本番は手加減なしでそれを扱うことになるから気をつけてほしい。ロキもろともこっちまで消し飛びたくないからな。

一誠にミョルニルの譲渡を終えるとヴァーリチームも合流する。それを確認したアザゼルは咳払いをして俺たち全員に言う。

 

「さて、作戦を確認する。まず、会場で奴が来るのを待ち、そこからシトリー眷族の力でおまえたちをロキとフェンリルごと違う場所に転移させる。転移先はとある採石場跡地だ。存分に暴れろ。ロキには二天龍を、フェンリルにはそれ以外の全員をぶつける。フェンリルには『グレイプニル』という鎖を使って捕縛する。グレイプニルはダークエルフの長老に強化してもらっているから詳しくは後だ。それと、当日にはタンニーンが参戦してくれるそうだ」

 

最後にいい情報があったな。タンニーン、ドラゴンを絶滅から守るために悪魔に転生した元龍王。そいつが参戦してくれるとは、ありがたいな。

 

「最後に、匙」

 

アザゼルに呼ばれて匙は首をかしげる。

 

「なんですか?」

 

「おまえも作戦で重要だ。ヴリトラの(セイクリッド)(・ギア)があるしな」

 

アザゼルの一言に匙は目玉が飛び出るほど驚いていた。

 

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!お、俺もですか!?て、てっきり会長たちと転移させるだけかと………」

 

「ああ。おまえは現場でのサポートだ。ヴリトラの力はそれなりに優れているからな。二天龍の支援をやってもらいたい」

 

「サポート、支援………?」

 

「そのためにはちょっとトレーニングが必要だな。試したいこともある。ソーナ、こいつを借りるぞ」

 

「よろしいですが、どちらへ?」

 

ソーナの質問にアザゼルは楽しげに笑いながら返す。

 

「冥界の堕天使領━━グリゴリの研究施設まで連れて行く」

 

あんな楽しそうなアザゼルは見たことがない。これは、大変なことになりそうだな。

 

「そんなわけで、行くぞ匙」

 

アザゼルは逃げようとした匙の襟首を掴んで、そのまま魔方陣を展開した。

 

「マジかよ!?た、助けてぇぇぇぇぇっ!兵藤ぉぉぉぉぉっ!ロイせんせぇぇぇぇいっ!会長ぉぉぉぉぉっ!」

 

俺はおまえを忘れない。魔方陣の光に包まれていく匙を、俺は惜しむように手を振って見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会議が終了すると、俺は一誠の自室にお邪魔してミョルニルの練習に付き合っていた。万が一の暴発に備えて俺とリアスが横で見てやっているのだ。

 

「どうだ、いけそうか?」

 

「はいッ!鎧を着ればどうにか………」

 

少しだけ魔力を込めたミュルニルを持ちながらイッセーが言う。それなら問題はないか。

俺が頷くと同時に魔方陣が展開され、そこからグレイフィア義姉(ねえ)さんが現れる。手には書類の山だ。

 

「お嬢様、ロイ様。グレイプニルに関する書類です。当日、戦場に直接鎖が送り届けられることになっております」

 

「ありがとう、グレイフィア」

 

「ありがとうございます、義姉さん」

 

リアスが書類を受け取り、俺はそれを除きこむ。ぺらぺらとページがめくられていき、少しではあるが理解できた。

すると、一誠がミュルニルを置いて、恐る恐るリアスと義姉さんに話しかけた。

 

「あ、あの。部長とグレイフィアさんがいるので、ちょっと訊きたいんですが………」

 

「なんでしょう?」

 

「え、えっと………」

 

一誠は遠慮がちに義姉さんに訊く。

 

「朱乃さんについてです。どうしてお父さんと仲が悪いんですか?俺、バラキエルさんがそこまで悪いヒトには見えないんですが………」

 

俺は首をかしげ、リアスと義姉さんはお互い目を合わせる。そのあと、リアスが口を開いた。

 

「……悲しい記憶よ」

 

 

 

 

 

 

「「……………」」

 

話を聞き終えた俺と一誠は何ともいえない空気に包まれてた。

朱乃の母親はバラキエルを恨む連中に目の前で殺されてしまった。そのせいで朱乃は堕天使にいいイメージを持てなくなり、父親であるバラキエルを避けている。

それから数年。独りで各地をさまよっているところをリアスに拾われ、現在に至る。そして、リアスの『女王(クイーン)』となったことや、一誠の加入を皮切りに昔に比べてだいぶ明るくなってきてたと………。

俺は一人、自分の部屋のベッドに横になり、天井を見上げる。

俺が考えても仕方のないことだが、朱乃は本当にバラキエルを嫌っているのか?本心は本人にしかわからないが、朱乃は…………。

俺は溜め息を吐きながら体を横に向ける。本当に、これは俺が考えても仕方ないのないことだ。それに、わかったところで俺にどうこうできるものではない。できるとしたら、一誠ぐらいだろう。

俺はそう結論つけると一度大きく溜め息を吐き、目を閉じる。

ロキとの決戦は間近だ。朱乃には悪いが戦闘に集中しなければならない。

誰も死なせないために。全員で学校に通うために………。

 

 

 

 

 

 




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