Extra life01 面倒事
俺━━ロイが教師になりたての頃。
これからのことに様々な予感を感じている矢先にそれは起こった。
「おっぱい!」
「触らせろ!」
「キャァァァァァッ!」
女子生徒の服を弾けとばしていく
「はぁ……、こういう面倒はごめんなんだがな………」
俺は嘆息しながらも近くにいた一誠を殴り飛ばす!
快音と共に一誠は吹き飛ばされていき、その他数人の一誠を巻き込みながら霞のように消えていく。巻き込まれた一誠も同じように消えていった。
「何なんだ、これ………」
俺は拳と消えた一誠たちがいた方を交互に見る。確実に殴った感覚はあったから幻の類いではなさそうだ。だが、なんで一誠が大量発生しているんだ?
俺はそれを感じたが正面に目を向ける。一誠の増援が複数、何人いやがるんだよ………。
俺は再び溜め息を吐き、一誠たちを蹴散らしていく!戦争経験者を舐めんなよ!
数分後。
「数だけは多いな、面倒くせぇ……」
「ロイ様、怒るのもわかりますが落ち着いてください」
「そうは言ってもな、ソーナ。俺は面倒が嫌いなんだ」
「そうでしたね………」
俺は生徒会室で軽く休憩していた。中には少し前に紹介してもらった生徒会の面々。全員疲弊した様子で肩で息をしている。
長い黒髪が特徴の『
「増殖した兵藤一誠くんが女子生徒の制服を次々と弾け飛ばしています。数は不明です」
「俺だけでもざっと五十は片付けたが、これは多すぎるぞ。少なくても二百はいるな」
俺の言葉に、任務中のレストランで見た『
「この短時間でざっと五十って!俺たち生徒会全員でも三十ぐらいですよ!?」
「ああ、面倒だが、コツコツ片付けてまわった」
「マジですか………」
匙の言葉を流して俺は言う。
「さて、原因をリアスに聞きに行くか。匙、行けるか?」
「え?あ、はい!」
男である俺と匙で動きだそうとするが、扉に手をかけた瞬間に気配を感じた俺たちは扉を押さえる!
ダンダンダンッ!
「開けろー!」
「おっぱいの匂いがするぞ!」
「ここだ!こっちだ!」
外から一誠たちの声。何かヤバイ事を言っているが、今は押さえないとな!
「匙!踏ん張れ!負けたら終わりだぞ!」
「わかってますよ!」
二人して踏ん張り、男数人分の腕力と張り合う!だが、ちょっと辛いな!多勢に無勢だ!
俺がそんなことを感じていると、それにボーイッシュな女子、
「とりあえず、ここは私と元士郎で押さえます!先生はリアス先輩たちの方に!」
「了解だ!離すぞ?いいな!」
「「はい!」」
二人が返事をしたら、俺は頷いてから手を離す。
「うおぉぉぉぉっ!」
「はぁぁぁぁぁっ!」
俺が手を離すと、二人が叫びながら踏ん張り始めた。
俺はそれを確認しながらソーナに言う。
「そんじゃ、リアスたちに対策を聞きに行ってくる。おまえらはうまく籠城しておけよ?いいな?」
「わかりました。桃、
「「はい」」
ソーナの言葉に二人の『
俺は生徒会室の窓を開けて下を確認する。一誠たちはいない、今なら行けそうだ。
「そんじゃ、後でな」
俺はそう言い残して窓から飛び降りる。全身のバネを使って着地を決めて周囲を警戒。大丈夫そうだ。
俺は新校舎から旧校舎を目指して駆け出した。
走ること数分。
俺の耳元に連絡用の魔方陣が展開された。俺は足を止めずに耳だけかたむける。
『お兄様、聞こえますか?』
「ああ、聞こえる。今そっちに向かっているところだ」
『わかりました。こちらで作戦を開始するので合流してください』
「わかった。まあ、終わらせてくれてもいいがな」
『お兄様、緊急事態なのですから、できるだけ急いでください!』
「わかったわかった。怒るなって」
俺はそう言って連絡用の魔方陣を消して速度をあげていった。
さらに走ること数分。遠い………、旧校舎遠い………。
俺がこっちに来たことを後悔していると旧校舎の周辺に一誠たちが群がっていた。
よく見ると、リアスたちが釣竿を片手に一誠たちを一本釣りしていた。餌は、エロ本か何かだな。
俺は首をかしげながら近くの木に背を預けて作戦の経過を確認する。
「……………」
「……………」
ドゴンッ!
「がはっ!?」
俺が背を預けた木に隠れていた一誠を無言で殴り倒す。これでまた一人っと。
俺がそれを済ませると同時にリアスたちが引っ込んだ。俺はその隙に旧校舎に入ろうとするが、ほぼ時間をおかずに、なぜかバニーガール姿の朱乃が出てきた。
「イッセーくーん!おっぱいですわよー!」
俺は突然の発言に硬直した。それから回復した瞬間に、
「「「「「「「おっぱい!」」」」」」」
どこからか大量の一誠が現れた!どこに隠れてやがった!?
驚愕している間に俺は一誠たちの波に飲まれて朱乃の方に運ばれていく。
一誠たち突然の朱乃の距離がある程度縮まったところで彼女はSっぽい笑みを浮かべて手を空に向ける。
「雷よっ!」
カッ!ドオオオオオオオオオンッ!
稲光と共に雷が降り注いできた!こ、これはヤバイかもな!
俺がそう思った瞬間、俺と一誠たちを雷が包み込んだ!
「ギャアアアアッ!?」
一誠たちは当たった瞬間に消えるが、俺はそれが出来ないため最後まで痺れるはめになった!
その後、数回に渡って俺は痺れることになった!
「申し訳ございません!」
「いや、いいさ。避けれなかった俺にも非はある」
俺は旧校舎、オカルト研究部の部室で謝られていた。髪の毛が爆発しているがな。
俺は頭をかいて髪を元に戻しながらアザゼルに言う。
「で、次はなんだ?何かあるんだろ?」
「ああ。次はリアスに━━━」
「バニーガールをさせたらおまえの首をはねる」
俺は銃剣の刃をアザゼルの首に突きつけて言った。さすがのアザゼルもこれには焦りながら言う。
「やらねぇよ!おまえに何されるかわかったもんじゃねでからな!」
「ならいい………」
俺は銃剣を異空間に戻しながらそう言った。ついでにアザゼルに訊く。
「で、あの一誠どもはなんだ?」
「あれはドッペルゲンガーだ。試しに作ったらあんなことになった」
悪びれた様子もなくアザゼルはそう言った。こいつ、一回死なないとダメな気がするんだが………。
俺は嘆息しながら次の作戦を決行させたのだった。
数分後。俺は作戦を許可したことに深く後悔していた。
俺の視線の先には悪役の格好をしたアザゼルと、奴に捕まったお姫様の格好をしたリアスの姿。
アザゼルが提示した作戦がこれだ。
リアスを人質にして助けに来た奴を狩る!
まさしく悪役の作戦だ。これが思いつくなら最初からやって欲しかった。
俺はそう思ったが同時にこうも思った。
「最低な作戦だ」
「………最低な作戦です」
俺と小猫が異口同音で言った。妹が人質って、考えてみると最低だよな。
俺がそんな事を思っているうちにドッペルゲンガーたちは次々と狩られていくが、校舎とか校庭への被害もとんでもないことになってきた。
それにしても、ドッペルゲンガーたちは必死だ。一誠がリアスをどう思っているかは別として、あいつらは本気でリアスを助けようとしている。
その時、最後に残ったドッペルゲンガーが叫んだ。
「何としても、部長を助けるんだ!」
ドッペルゲンガーも、その大元も、存外いい奴かもな……。
俺は銃剣を取り出して一気に駆け出す!それと同時にアザゼルがドッペルゲンガーに向けて放ったビームを当たるギリギリで弾き返す!
俺に続いて駆け出していた一誠がドッペルゲンガーの手を取って立ち上がらせる。
俺はそんな二人を守るように立ちながらアザゼルを睨む。
「考えてみれば、悪いのは八割おまえだよな?アザゼル」
「あの、残り二割は?」
「おまえのその性格だ!」
後ろにいる一誠のぼやきに振り向きながら返して、アザゼルに視線を戻す。
「ロイ、テメェ、裏切るのか!?」
「騙して悪いが、俺はリアスたちの味方だ。行くぞ一誠!」
「「はい!」」
俺たち三人は駆け出し、アザゼルを目指す。
「舐めるな!」
アザゼルはビームを連射してくるが、俺は余裕でそれを避けていく。一誠たちが当たりそうになると木場とゼノヴァアをはじめとしたリアスの眷族たちがフォローしていた。
どんどん距離を詰めていく俺たちに、アザゼルは焦りながらも黒い翼を展開、上空へと逃げようとする!
俺は素早く真下に回り込むと一誠の方を向いて両手を重ねて腰より下へ。俺が頷くと一誠も頷き返してさらに加速してくる!
俺の両手に足をかけた瞬間、俺は全力で一誠を上空へと放つ!
「行ってこいっ!」
「はいっ!」
勢いよく飛んでいった一誠は勢いを殺すことなくアザゼルを少し強引に捕まえた!
「こ、この俺が!?こんなところで!ギャアアアアッ!」
断末魔のような叫びが学園にこだました。
「チッ。大勢で俺をいじめやがって」
顔に
「元はと言えばおまえのせいだろうが!いいか!?俺は面倒が嫌いなんだ!」
俺が語気を強めにそう言った。アザゼルは静かに唸るだけだ。
最終的に最後のドッペルゲンガーはアザゼルをボコボコにした後に消滅してしまった。だが、その表情は満足げなものであり、一誠は敬礼で彼を見送っていた。
で、今回の事件は女子生徒たちの記憶を消すことで無事に解決………、
「いや、完全に消すと障害が残っちまうからな、ドッペルゲンガーの部分だけを消した。つまり、女子たちは裸にされたことは覚えているぞ」
アザゼルは思い出したように言った。それは、つまり……。
俺は窓から外を見る。視線の先には殺気を放つ大量の女子生徒たちが殺到してきていた!
「一誠、ちょっといいか?」
「なんですか?」
まだ外を見ていなかった一誠を手招きし、俺の横に来させる。そして、無理やり体を掴みながら窓を全開にした!
「このままだと帰れないからな。あとの面倒はおまえに任せる」
「え?ちょっ!?マジですか!?」
「ああ。それじゃ、逝ってこい!」
「ギャアアアアッ!?」
俺は一誠を投げ飛ばして女子たちの中央へ。殺気立つ女子たちに囲まれた一誠は、ここにも聞こえる声で、
「マ、マジかよ!?夢ならさめ━━━━!」
何かを言い残そうとして女子たちに飲まれて見えなくなった。
俺たちは一誠という尊い犠牲に感謝しながら、各々手早く帰り支度を整え、そのまま帰宅したのだった。
幕間編①はいきなりですがこれにて終了。次から放課後のラグナロクに入ります!
誤字脱字、アドバイス、感想など、よろしくお願いします。