IS Avenger's Story -復讐が渦巻く世界-   作:陽夜

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今回から第5章、福音編になります。
前回の途中に登場した"ドラゴン"というキャラはオリジナルになります。詳細は後ほどストーリで分かります!

それではどうぞ。


第5章 少年はやがて闇へと堕ちる 〜side 橘 龍也〜
波乱の予感!?休日デート! その1


 

 

授業もなく生徒達が自由に一日を使える休日の二日間。

そのうちの一日を使って龍也や鈴達は臨海学校に必要な物を揃えるべく近くのショッピングモール『レゾナンス』へ買い物に行こうとしていたのだが、

 

「ーーなあ、いいだろ?俺達と遊ぼうぜ嬢ちゃん!」

 

「ですから、何度も言っている通りわたくしはーー」

 

「(…なんでこうなったかなぁ)」

 

時間は昼前。場所は世間一般によく目印として使われるであろう大きい街灯の下。

龍也は三人の少女と約束した待ち合わせの時間より1時間程早く着いたのだが、そこには見慣れたブリティッシュガールが風貌の悪い男達三人に絡まれていた。

 

「(本音ちゃんの時もそうだけど日本も案外平和じゃないねぇ。このご時世にナンパなんてする度胸のある男がいるなんて)」

 

なんて考えながら足は既に少女の方へ向かって歩き出している。本来であれば一人で少し中を探索しようと考えていたのだが仕方ない。

 

「悪い、待ったかセシリア」

 

「えっ?あっ、龍也さん…」

 

「行くぞ」

 

三人の間から無理やりセシリアの手を取り引っ張り出す。が、

 

ガシッ

 

「痛っ…!」

 

「おいおいいきなり何すんだよガキ。この子は今から俺達とお楽しみなんだけど??」

 

男はセシリアの腕を掴み行かせないようにする。

 

「誰があんたらとお楽しみだって?それより、その手離せよ」

 

「お前がどっか行くってんなら離してやるよ!」「ひひひっ」「大人しく帰れよ坊主」

 

「(あーめんどくせえ。あんまり手荒な真似はしたくないんだけどなぁ)」

 

中学生の時より考えが少し大人になった龍也だが、男に強く腕を掴まれ苦痛に顔を歪ませているセシリアを見て即断即決。行動を開始する。

 

「ーーだから、離せって言ってんだろうがクソお兄さん達よ」

 

「なっ、ごはぁっ!?」

 

瞬時にセシリアと男の間に割り込んだ龍也はまずセシリアの手を掴んでいる男の懐に入り顎に掌底を打ち込む。そのままよろけた影響で力の抜けた男の手をセシリアから離す。

 

「あ、兄貴!?このっ…!」

 

「(ちっ、大人しく引いてはくれねぇか…!)」

 

仕方なく応戦態勢に入ったその時、

 

ピーッ‼︎

 

「こら!そこの君達何してる!」

 

「げっ、警備員!」「ま、マジかよ!誰かチクったな!」「逃げるぞ!」

 

笛を吹き龍也達の元へ駆け寄ってきた警備員を見て男達はすぐさま退散した。

 

「(周りで見てる誰かが知らせてくれたのか)」

 

もう大丈夫か、と判断し肩の力を抜く。

 

「大丈夫かい?さっき近くにいた僕に此処で揉め事が起きていると教えてくれた人がいてね」

 

「そうでしたか。助かりました、ありがとうございます」

 

「うん。特に問題はなさそうだね。彼女さんも怪我はないみたいだし、それじゃあ二人ともデート楽しんで」

 

「でっ…!?」「あははは…はい」

 

無事を確認した警備員はすぐにその場を離れる。

残ったのは、顔を赤くするセシリアと頬を掻く龍也の二人。

 

「…とりあえず中入るか?」

 

「は、はいっ!!」

 

上擦った返事をしてしまうセシリア。動揺は隠せなかったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助かりました龍也さん。あの方々がしつこく迫ってくるものでしたから困っておりました」

 

「気にすんな。まぁセシリアぐらいの美人なら迫る気持ちもわからんでもないけどな」

 

「(……先程助けていただいたのに加えてこの無自覚タラシっぷり、鈴さん達がいなかったらわたくしが落ちていたかもしれませんわ)」

 

レゾナンスの中を歩く二人。龍也がセシリアに着いて行く形になっている。

 

「それで一人で何しに来たんだよ。買い物か?」

 

「ええ。水着やその他の必要な物は本国から取り寄せたのですが一つだけ忘れていた物が…ありましたわ。これです」

 

「日焼け止めのクリームか。女の子には大事だな」

 

目的の物はすぐに見つかったようだ。

 

「龍也さんこそお一人なのですか?」

 

「いや、1時間後に鈴達と合流する予定だ。ちょっと暇だったから中をぶらぶらしようかと思ってな」

 

「ふふっ、デートの下調べとは男性として素晴らしい心掛けですわね」

 

「そのデートの前に今はセシリアとデート中だけど「龍也さんっ!!!」ははっ、悪い悪い」

 

「もうっ、わたくしはこれを買って来ますわ!全く…」

 

会計を済ませるためにレジへと向かうセシリア。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この後はどうするんだ?」

 

「寮へ戻りますわ。一人でショッピングモールを歩いても楽しくありませんもの」

 

「(…なんか悲しくなってきた)」

 

無意識に少しだけディスられる龍也。

 

「じゃ、じゃあさ!俺に少し付き合ってくれよ!」

 

「…ナンパというやつですの?本音さんの時といいやはり「いや、そういうんじゃなくてね!?」

 

「セシリアにこの後予定がないなら鈴達が来るまでの間でも話相手になってもらえないかと思っただけだよ」

 

「わたくしは都合のいい女ですのね…「いやもう勘弁してくださいセシリアさん!!」ふふっ、冗談です。少しだけでしたら付き合って上げてもよろしくてよ」

 

「おおっ、心の広い女よ!流石は英国淑女だな!」

 

「や、やめてくださいまし!恥ずかしいですわ!…それで、何方へ行かれるのです?」

 

「そうだなーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁぁぁ…!か、可愛い…!」

 

「(俺が連れて来たのに俺より楽しそうで何よりだよ英国淑女さん)」

 

龍也がまず向かったのはペットショップ。

 

「あら、此方にも愛らしい目をした子が…ふふっ、愛おしいですわぁ」

 

普段のセシリアでは絶対に見せないような蕩けた目をする。

 

「セシリアは動物好きなのか?」

 

「え?あ、はい。大きい犬よりは小さいの犬の方が好きですわ」

 

横並びになってショーケースの中のちっちゃい犬を眺める。

 

「しかし可愛いなこいつ」「同意しかありませんわ」

 

食い入るように見つめる二人。テコでも動きそうにない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっ、と!セシリアも中々上手いじゃないか」

 

「このレーザーポインターは高性能ですのね。しっかりと狙った場所を撃ち抜いてくれますわ」

 

「時代の進化ってやつだな…お、最終ステージか」

 

「ふふふ、このままゲームクリアといきますわ!」

 

ゲームセンターで迫り来るゾンビを撃ち抜く射撃ゲームをやる二人。

周りの人々は足を止めその様子を見ている。

 

ザワザワ

 

「お、おい、あの二人ノーダメージで最終ステージ入ったぞ!」

「あの嬢ちゃん只者じゃねぇ、上手すぎだろ!?」

「すごーい…」

 

「(ん?なんかギャラリーが出来てるな)」

 

バァン‼︎

 

【FINISH‼︎】

 

「「「お、おおおっ!史上最高得点!!」」」

 

「もう終わりか」「随分と呆気なかったですわね」

 

「「「(なんだよこいつら、化物か…!?)」」」

 

周りの客が軽く引くほどあっさりとした様子の二人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次は何方へ行かれるのです?」

 

「そうだな、あっちの「きゃぁっ!」ん?どうしたセシリ…おっと」

 

移動の途中に龍也の後ろを歩いていたセシリアはこけてしまう。

すると、そのまま前に倒れるので、

 

ぽふんっ

 

「大丈夫か?」

 

「は、はい…」

 

振り返った龍也の胸に飛び込んでしまう形になる。

 

「気をつけろよ。お前の顔に傷が付くのは見たくないからな」

 

「あ、あの、その」

 

「なんだ?」

 

「ち、近いといいますかなんというか「わ、わぁっ!?す、すまん!」い、いえ…」

 

密着している距離に気づき慌てて飛び退く龍也。

 

「(龍也さんの匂いを感じましたわ…はっ!?わたくしは何を…!)」

 

一人悶々とする少女。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、このネックレスとかセシリアに似合いそうだな」

 

お手洗いに行っているセシリアを待っている間、近くのアクセサリーショップで物色をしている龍也。

 

「(まぁ貴族からしたらこういう所の安物じゃあんまり喜ばないのかな。彼氏とかなら別なんだろうけど)」

 

次はイヤリングでも見に行くか、とその場を離れようとした時、

 

トントン

 

肩を叩かれる。

 

「ん?戻ってきたのか「ねぇ」セシリ…えっ?」

 

聞こえてきたのは先程まで一緒に居た少女と別の女の声。

思わず振り返るとそこには、

 

「り、鈴…?」

 

「あんたは約束の時間すっぽかしてこんな所でなぁにしてるのかなぁ…?」

 

「…げっ、マジか!?」

 

時計を見た龍也は驚く。鈴達と約束をした時間より30分過ぎていたからだ。

 

「どういう事か説明しなさい」

 

「い、いや、これは、そのぉ…」

 

冷や汗を垂らしながら言い訳を考えていると、

 

「お待たせしました龍也さ……なっ、り、鈴さん!?」

 

お手洗いから戻ってきたセシリアが合流する。

 

「…………ふぅん。なるほどねぇ」

 

「り、鈴?」

 

「ふ、ふふふ…」

 

下を向き意味ありげに笑う鈴。

そんな鈴の背中から鬼のようなものが浮かび上がる。

 

「あんたって奴は!!あたし達との約束より他の女と遊ぶ方が大事かー!!!」

 

「ち、違うんだ!話を聞いてくれ…「問答無用!!」へぶしっ!?」

 

全力のグーパンを顔に受け吹っ飛ぶ龍也。時間も忘れてデートを楽しんでいた罰だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、やっと来たおにい…ちゃん?」

 

鈴から龍也を見つけたとの連絡を受けて待ち合わせ場所で待機していたシャルロットと本音。そこに龍也達が"三人"で現れる。

 

「な、なんでセシリーがいるのー!?」

 

「セシリアとデートしてたのよ此奴。あたし達との約束時間も忘れるくらい楽しそうにね」

 

「違うって何回も言って「ふんっ」いってぇぇぇ!?」

 

「申し訳ありません二人とも。偶然ここで出会ってわたくしの買い物の護衛をしていただいてたのです」

 

「ふーん」「うそだー」

 

全く信じていない様子。それもそうだ、時間も忘れるようなら護衛ではなくそれはもうデートだろう。

 

「当初の予定とは違うけどセシリアも連れて五人で行くわよ。このまま帰すってのも可哀想だしね」

 

「…まぁいいよ。私もセシリアとも仲良くなりたかったから」「私も賛成ー」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「さ、行くわよ」

 

四人で再び中へ入って行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、俺の事は無視ですか?見えてないフリですか?そうですか。…帰ろうかな「早く来なさい荷物持ち」…はーい」

 

すぐに後を追いかける龍也だった。

 




アンケートにコメントを書き込んで頂いた方々ありがとうございます。



セシリアに出番をあげたかったので書きました。ヒロインにするつもりはない…と思われる()

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