IS Avenger's Story -復讐が渦巻く世界-   作:陽夜

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第三話 一夏の目的

 

 

 

 1日の授業が終わり、放課後になった。

 

 

「……くっ!はあ、はあ、はあ……ッ!!」

 

 

「どうした箒、もう終わりか。」

 

 

 二人がいるのは、剣道場。

 今二人はまさしく試合をしている真っ最中だったが、その様子はーー

 

 

「……っ!はぁぁぁぁっ!!!」

 

 

「……ふっ、はっ!」

 

 

「ぐあっ……!く、っ……」

 

 

 ーーー圧倒的だった。

 試合を始めてわずか数分。

 最初は動かず互いを探る二人であったが、箒から仕掛けた。

 

 

 だが、一夏には一発も当てる事ができなかった。

 面を狙えば全て弾かれ、突きを狙っても躱されてしまう。

 そして、一夏からの鋭い攻撃は受け止めれば力で押し返され、突きであれば避けることもままならない速さ。

 もはや手詰まりであった。

 

 

「(強すぎる……!一体、どうすれば、ここまでの力が……!)」

 

 

 中学生の時、剣道の大会で優勝するほどの実力を持つ箒。

 自惚れではないが、自分の実力に自信を持っていた。

 昔は互いに切磋琢磨し努力していた。

 しかし、そんな箒ですら全くと言っていいほど歯が立たなかった。

 

 

「箒が弱いわけじゃない。俺は、強くなった。これが今の、俺の剣だよ、箒。」

 

 

「一夏、お前は……!どうやってここまでの力を……!」

 

 

「……やらなきゃいけない事が、あるんだ。」

 

 

「ここまでの力を手に入れて、何をするつもりだ。剣の道で、世界でも取るつもりか?」

 

 

「そんな綺麗事じゃない。俺がするのは………復讐だ。」

 

 

「……復讐、だと?それはどういうことだ」

 

 

「詳しくは言えない。箒を巻き込むわけにはいかないから。

 それに、これは……俺の問題だからな。」

 

 

 剣道場を出て行く一夏。

 その後ろ姿を見送る箒。

 

 

「(一夏……私がいない間に何があったのだ。どうして復讐など……)」

 

 

 箒しかいない剣道場は、静寂で包まれ、寂しさを醸し出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わり、再び廊下へ

 これからどうするかを考えていた一夏の元へやってきたのは千冬。

 

 

「織斑」

 

 

「どうかしましたか、織斑先生」

 

 

「お前に専用機が渡されることになった」

 

 

「専用機、ですか」

 

 

「ああ。男性操縦者のデータ収集が目的といったところだろうがな。

 それに、ISを使わずに戦うわけにはいかないだろう?」

 

 

「そう……ですね」

 

 

「お前も分かっているとは思うが、学園内であの力を使うことは禁止にする。万が一にも誰かに見られたりしたら、大事になりかねん」

 

 

「わかってますよ、織斑先生」

 

 

「ふむ。それと……」

 

 

 千冬から一夏に鍵が渡される

 

 

「これは?」

 

 

「お前は今日からここの寮に住んでもらう。男性操縦者を学園内に置いておきたいと、上からの指示でもある」

 

 

「あー……そりゃそうか」

 

 

「まだお前が帰っていなくて助かった。伝えるのを忘れていたからな」

 

 

「はは、しっかりしてくださいよ、織斑先生?」

 

 

「揚げ足を取るんじゃない、全く」

 

 

 軽く出席簿で叩かれる

 

 

「……一夏」

 

 

「?いきなりどうしたの、千冬姉」

 

 

「この学園では、やっていけそうか?」

 

 

「え?……うん。まだ1日目だけど、みんな受け入れてくれた……のかな?まぁなるようになるよ」

 

 

「そうか」

 

 

「……大丈夫だよ。ISだからって、訓練に手を抜いたりしないし、ここにいる人達に何かしようとか、ないから」

 

 

 千冬はIS学園の教師だ。生徒を心配する気持ちを察したのか一夏は姉を気遣う。

 

 

「無理はするなよ、何かあればすぐに私を頼れ。」

 

 

「うん、そうさせてもらう」

 

 

「……よし、もう行け。荷物は生活に必要なものだけ持ってきてある。職員室の私の机に置いてあるから山田先生辺りに取ってもらえ。

 私はこれから理事長に報告書を提出してこなくてはならないからな。」

 

 

「わかった。ありがとう、千冬姉」

 

 

 こうして千冬は理事長の元へ、一夏は職員室へと向かって行った。


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