IS Avenger's Story -復讐が渦巻く世界-   作:陽夜

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第二十八話

 

 

 

「あ」「あっ」

 

 

 放課後、廊下を歩いていた鈴と本音は偶然出くわした。

 

 

「……あんた、この後暇?」

 

 

「え?……うん、特に何もないよー」

 

 

「じゃあちょっと『お話』しましょ」

 

 

「いいよ〜」

 

 

 あっさりと行動を共にし始める2人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所を鈴の部屋に移し、互いに椅子に腰掛ける。

 ルームメイトであるティナ・ハミルトンは今出払っており、部屋には2人しかいない。

 

 

「まずは自己紹介からね。

 あたしは凰 鈴音。2組のクラス代表兼中国の代表候補生をやってるわ」

 

 

「私は布仏 本音、お姉ちゃんが生徒会のメンバーなんだ〜」

 

 

「呼び方は本音でいいかしら。あたしは鈴でいいから」

 

 

「うん、よろしくねーりんちゃん」

 

 

 笑みを浮かべ、友好の印として握手をする。

 

 

「それで、早速本題なんだけど」

 

 

「うん」

 

 

 少し鋭い目付きになる鈴。

 

 

 

 

 

 

「ーー本音、あんた龍也のことどう思ってるの?」

 

 

 

 

 

 

「………………えっ?」

 

 

 

 

 

 

「…………いやいや、えっ?じゃないわよ!」

 

 

 思わず立ち上がる鈴。

 まさかここで相手が呆気にとられるとは思わなかった為だ。

 

 

「私が、りゅ〜くんを?」

 

 

「そうよ。あんなにベタベタしておいて、今更何もないなんて言わないでよ?」

 

 

「そ、そんなこと言われても〜」

 

 

 もじもじと照れてしまう本音。

 

 

「……ああ、もう!まどろっこしいわね!

 

 

 好きなんじゃないの!?龍也のこと!」

 

 

「ーーーーーーーッッ!!」

 

 

 噴火したかのように顔を真っ赤に染める。

 それを見ただけで鈴は察した。

 

 

「ほら、その反応が答えじゃない」

 

 

「だ、だって〜」

 

 

「だって何よ」

 

 

「う、うう〜」

 

 

 落ち着きを見せない指をモジモジさせること数秒して、本音は答える。

 

 

 

 

「は、恥ずかしいんだもん……」

 

 

 

 

 視線を下に向け、少し体を縮こまらせて言う本音に鈴はーー

 

 

 

「(か、可愛い……!

 

 はっ!危ない、なんて恐ろしい子!)」

 

 

 

 ーー内心、既にやられかけていた。

 

 

「ま、まぁいいわ。あんたの事はわかったから」

 

 

「……そういうりんちゃんは、りゅ〜くんのことすきなの?」

 

 

「へぇっ!?」

 

 

 今度は鈴が素っ頓狂な声を上げる。

 

 

 

 

「あ、あたしは………ま、まぁ、好き、かな?」

 

 

 

 

「お〜」

 

 

「そ、その反応やめなさいよ!」

 

 

「えへへーそっかぁ。りんちゃんも私とおんなじかぁ〜」

 

 

「…………なんで嬉しそうなの?普通、嫌がるもんでしょ」

 

 

 自分の想像と異なった展開に、疑問が浮かぶ。

 

 

「ううん。私はりゅ〜くんと一緒にいられるだけで幸せだからー」

 

 

 えへへーと笑う本音が天使に見えたとかなんとか(鈴視点)

 

 

「そっか。あんたいい子ね」

 

 

「そんなことないよー、私だって嫉妬するもん」

 

 

 昼間のケースがそうだし、それ以外にも些細なことでやきもちを焼くことだってある。

 

 

「……うん。本音ならいいかな」

 

 

 小声で何かを決心する。

 

 

「?」

 

 

「ねえ、一つ提案があるんだけど」

 

 

「え?」

 

 

「ふふん、それはねーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、セシリア」

 

 

「なんですの、一夏さん」

 

 

「なんだよあれ」

 

 

「……わたくしが聞きたいですわ」

 

 

「「はぁ……」」

 

 

 2人が見ているものはーー

 

 

 

 

 

 

 

「はい、りゅ〜くん、あーん♪」

 

 

「あむ。……うん、美味しいよ本音ちゃん」

 

 

「ソースが付いてるわよ、まったく」

 

 

「悪い、ありがとな鈴」

 

 

「いいわよこれくらい。ほら、まだまだあるんだからたくさん食べなさい!」

 

 

 

 

 

 

 ーー地獄のように甘い空間。

 つい先日修羅場だった3人が、1日経てばあら不思議、カップル(3人)のようになっているではないか。

 

 

「あいつら、昨日は修羅場みたいな雰囲気だったよな?」

 

 

「ええ、ですがどうやら、仲は良くなったようですわね」

 

 

「……彼女達公認の二股になるのかなぁ」

 

 

「……そうですわね、おそらく」

 

 

 そう、昨日本音と鈴が結んだ協定は、『龍也は2人の共有財産』であるということだ。

 最も、龍也本人はそれを知らないが。

 

 

 そして今は、2人が手作りした昼食を、俗に言うあーんで食べさせている最中だ。

 

 

「(それにしても鈴のやつ、中学の時とはえらい違いだな)」

 

 

 親友2人がイチャイチャしている様は、なんだか気恥ずかしいものがある。

 

 

「ふふ、まるで夫婦ですわね。2人いますけど」

 

 

「完全に新婚だな。2人いるけど」

 

 

 疑問や違和感を捨て諦め、暖かい目で(無理矢理)3人を見るセシリアと一夏。

 そこに、箒がやって来る。

 

 

「遅れてすまない、ってどうしたのだ?………な、なななななんだあれは!!」

 

 

「あ、やべっ」「あら、箒さん」

 

 

 

 

 

 

「ほら、鈴。あーん」

 

 

「あーん、っと……んん〜美味しい♪」

 

 

「お前らが作ったんだろうが……」

 

 

「りゅ〜くんりゅ〜くん、私にもちょーだい?」

 

 

「おう、ほら、あーん」

 

 

「あーん♪」

 

 

 

 

 

 

「は、破廉恥だ!!!」

 

 

「破廉恥って……いつの時代ですの箒さん」

 

 

「箒はこういう奴だよ、セシリア」

 

 

「ふむ、そうですか」

 

 

 何かを考え出すセシリア。

 そっと箒に近寄り、耳元で小声で言う。

 

 

「(箒さん、そんな様子では一夏さんとイチャイチャするのは厳しくてよ?)」

 

 

「(な、何を言うんだお前は!?何故私が一夏と……)」

 

 

「(あら、そういうことでしたらわたくしの勘違いでしたわね。申し訳ありません♪)」

 

 

「(くっ、セシリア……!)」

 

 

「なんだよ、2人で俺を除け者にするなって」

 

 

「ふふっ、早くわたくしたちも食事を済ませましょうか」

 

 

「………ふん!行くぞ!」

 

 

「お、おい!ちょっと!」

 

 

 3人は速やかに食事を済ませ、すぐに異色のオーラを放つ食堂から出たとか。

 

 




『鈴ちゃん』という呼び方は、簪に対する『簪ちゃん』と同じ感じでお願いします。
りんりんにさせるのはちょっと‥‥ねぇ?



いい子×いい子=ハーレム になるんですね。

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