IS Avenger's Story -復讐が渦巻く世界-   作:陽夜

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Dの戦士 / そして、動き出す時ーーー

 

 

 

 

 

「………………」

 

 

 一言も発することなく佇んでいる一機の乱入者。

 

 

「……なんだ、こいつは」

 

 

「さあね。ただ、こんな所に入ってくるなんて随分と実力に自信があるのは間違いないけど」

 

 

 互いに剣の矛先を乱入者へと向ける二人。

 

 

 すると、

 

 

『二機のISを確認。搭乗者《織斑 一夏》《凰 鈴音》と断定。

 敵対意識を確認。戦闘を開始します』

 

 

「ッ!来るぞ!」

 

 

 乱入者からレーザーが放たれる。

 

 

「(これは……ッ!!)

 一夏!!こいつ、間違いなくあたし達を殺しにきてる!!!」

 

 

 競技用のISにしては出力が高すぎる。

 下手に受ければISごと体を貫かれ、最悪の場合死に至ると鈴は即座に判断した。

 

 

 なんとか避ける二人。だが、続けて乱入者は後ろの装甲を開き『ミサイル』を発射させた。

 

 

「なっ!そんなものまで……!」

 

 

「鈴!このミサイル、追尾型だぞ!!」

 

 

「くっ、そ……!」

 

 

『ロックオンミサイル』

 撃墜するかターゲットに当たるまで追尾するミサイル兵器。

 

 

 射撃武装を持たない一夏では追ってくるミサイルを撃ち落とすことができず逃げるしかない。

 対して鈴は、龍咆で確実に落としていく。

 

 

「絶対に剣で叩き落とそうなんて考えるんじゃないわよ!このミサイルもアホみたいな出力なのは間違いないから!!」

 

 

「わかってるよ!!」

 

 

 既に自分へと向かってきたミサイルを撃ち落とした鈴。続けて一夏へと狙いを定めているミサイルを撃ち落とすべく龍咆を放つ。

 

 

「はっ!」

 

 

「うおっ!……助かったぞ、鈴」

 

 

「いいわよ、これくらい」

 

 

「……………」

 

 

「なんなのよこいつ、さっきから無言で撃ち続けてるだけで」

 

 

「…………まさか、権利団体の奴らが?」

 

 

「何?あんたもう狙われるようなことしてたの?」

 

 

「いや、まぁ、ちょっとな……」

 

 

「……あんたもあんたで無茶苦茶やってるわけね」

 

 

 ため息をつく鈴。

 実はちょっとどころではないぐらいの勢いで悪事を働く権利団体の人間と戦っていたのだが、それを鈴は知らない。

 

 

 そして、こんな状況にも関わらず乱入者は再び何もせず佇んでいる。

 

 

「(なんだ?どうして攻撃してこない。俺たちを殺すのが目的なら、わざわざ出方を待ったり様子見をする必要はないはずだろ)」

 

 

 疑問が浮かぶ一夏。

 すると、千冬から通信が入る。

 

 

『織斑、凰!無事か!』

 

 

「!千冬さん……」

「ああ、無事だぜ千冬姉」

 

 

『織斑先生だと……まぁいい。

 それより、観客の避難が完了した。

 アリーナのドアが警報で閉ざされていたが、更識や他の2.3年生の誘導のおかげでなんとかなった。

 

 ……そいつはアリーナのシールドを突き破って乱入してきた不届き者だ。搭乗者の安否は問わないーーー潰せ』

 

 

 そう言い放って通信を切る。

 

 

「潰せ、って……あんたの姉いかれすぎてない?殺しても構わないって言ってるようなもんよ?」

 

 

「………今の、千冬姉に聞こえてるだろうから後でどうなっても知らないぞ」

 

 

 一気に顔が青ざめていく鈴。

 

 

「さて、ずっと待っててくれてるみたいだけど、何か変だと思わないか?鈴」

 

 

「あんたも気づいてたのね。おかしいとこだらけよ。動きも規則的だしね。

  考えられるとしたら………」

 

 

 

 

 ーーー無人機のISである可能性。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一夏と鈴が敵対者と戦っている頃、とある場所では。

 

 

 IS学園のアリーナでの戦いを映すモニターの前にいる3人。

 

 

「束さん、これってーー」

 

 

「くーちゃん」

 

 

「はい」

 

 

 

 

「ーーおい、何だよ、それ。何でそんなの持ってくるんだよ」

 

 

 

 

 クロエの手には、『Darkness』のメモリとロストドライバーが。

 

 

 

 

「行って、りゅーくん。これがキミにできる私の、最後の手当て」

 

 

「もう一度、戦ってください『龍也様』。貴方のお友達が、待っています」

 

 

 

 

「束さん、クロエ………俺は………」

 

 

 迷っている一人の少年の手を、天災は優しく自分の手で包み込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーいっくんと、いっくんのお友達を、助けてあげて」

 

 

 

「………!束さん……」

 

 

 

 ーー俺も、覚悟を決めるか。

 

 

 

「クロエ」

 

 

「はい」

 

 

「ドライバーとメモリを」

 

 

「どうぞ、龍也様」

 

 

「ありがとう」

 

 

「調整は完璧。全部りゅーくん用に直してあるよ」

 

 

「ああ、ありがとう束さん」

 

 

「うん」

 

 

「それじゃあーー行ってくる」

 

 

 

 ドライバーを腰に装着する。そして、メモリを指で押し、

 

 

 

 

『Darkness』

 

 

 

 

 

 機械音が告げる。戦士の名を。

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーー変身」

 

 

 

 

 闇が少年の身体を包み込む。

 

 

 

 背中には6枚の翼。

 

 

 

 そして、再びここに誕生した戦士の名はーー

 

 

 

「さて、行くか。あいつらの所へ」

 

 

 

「いってらっしゃい」「お気をつけて」

 

 

 

  仮面ライダー『ダークネス』

 

 

 そして、戦士は飛び立った。

 

 

 

 

 

 

「『橘 龍也』。出るぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………行っちゃったかぁ」

 

 

「………束様」

 

 

「ごめんね、くーちゃん。私のわがままを聞いてもらって」

 

 

「いいえ、いいのです」

 

 

「………はぁー、私の最初で最後の別れ《失恋》かぁ。やっぱりやめとけばよかったかも」

 

 

「倒せるでしょうか、あの無人機《ゴーレム》を」

 

 

「大丈夫だよ、きっと。りゅーくんなら……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私達が信じてる《ヒーロー》ってやつなら、きっとね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、こいつが無人機だとしてどうする。あの出力のレーザーなんて喰らえばひとたまりもないぞ」

 

 

「……正直、きっついわね。一撃であいつを倒せる攻撃手段があればいいんだけど‥‥」

 

 

「……あるぞ。一撃であいつを倒せる攻撃」

 

 

「…………は?」

 

 

「いや、俺の白式の単一仕様能力ってーー」

 

 

 鈴に零落白夜の事を話す一夏。

 すると、とんでもない事を聞いた鈴は唖然とする。

 

 

「……あんた、そんなもん持ってたのね。だからずっと機を伺ってたんだ」

 

 

「あ、ああ。でも、俺じゃあいつに近づく前に撃たれちまうかもしれないぜ」

 

 

「………さっきの試合で手負いのあんたと違って、あたしにはまだSEが十分残ってる。

 あたしが陽動になるわ、あんたが決めなさい一夏」

 

 

「え?……ちょ、おい!鈴!!」

 

 

 敵に向かって駆けていく鈴。

 敵機からレーザーが放たれる。

 

 

 だが、鈴には当たらない。

 紙一重の差で全て避けていく。

 

 

「す、すげえ……」

 

 

「(無人機だか知らないけど、舐めんじゃないわよ!!あたしは中国の代表候補生、凰 鈴音なんだから!!!)

 はぁっ!!!」

 

 

 懐に入り、格闘戦へ持ち込む鈴。

 

 

「ぐっ、何こいつ、硬すぎでしょ……!」

 

 

「鈴!!!」

 

 

「あたしは大丈夫だから!!あんたはチャンスを待ちなさい!!」

 

 

 自分の攻撃が通らないとなると、頼みの綱は一夏の零落白夜しかない。

 

 

「(もう引けないでしょ、あたしは………!!

 

 

 これ以上『友達』を失わせないんだから!!!!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鈴が戦う様子を、一夏は見ていることしかできない。

 

 

 自分がトドメを刺すためにそのチャンスを作ろうとしてくれている。

 

 

「(ーーッ、何が仮面ライダーだ。何が世界で一人目の男性操縦者だ。結局俺は、護られてるだけじゃねぇか)」

 

 

 《世界最強の姉》に、《中国で代表候補生にまでなった友達》に、そして、《死んだ龍也》にも護られているばかりだった。

 

 

「(俺は………)」

 

 

「きゃ……あああああああああっっ!!!」

 

 

「!鈴ッ!!!」

 

 

 徐々に押され始めた鈴。

 遂には倒れ、地にひれ伏してしまった。

 

 

 無人機のSEは半永久的に自己供給できる。

 僅かにしか削ることのできない鈴では、足止めは出来ても決定打にはならない。

 これこそまさにジリ貧となってしまい鈴のSEが一方的に減るだけであった。

 

 

「くっ!うおおおおおおっ!!」

 

 

「一夏!?」

 

 

「はぁぁぁっっ!!」

 

 

 敵に向かって突撃し、剣を振る一夏。

 だが無人機は、その剣に斬られることがまずいのをわかっているのか回避する。

 

 

 そしてーー横薙ぎに殴り飛ばされる。

 

 

「ごっ、がぁぁぁぁっ!!!」

 

 

「一夏ぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

 アリーナの壁に思いっきり衝突する一夏。

 

 

 壁は崩落し、瓦礫の中に埋もれる。

 

 

 

 

 

 ーーそんな一夏に狙いを定める。

 

 

「ちょっと、やめてよ、ねえ…………まって」

 

 

「……………」

 

 

『無人機』は何も発さない。

 

 

「にげて、にげてよ、いちかぁ……

 

 

  お願いだから、逃げてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

 泣き叫ぶ鈴。

 

 

 だが、瓦礫から出てくる者はいない。

 

 

 そしてーーー

 

 

「…………」

 

 

 ーーー無慈悲な一撃は放たれた。

 

 

「あ、ああ、ああああああああっ………」

 

 

 砂煙が、舞う。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ、ひっく、ぐすっ」

 

 

「……………」

 

 

 今度は、泣いている鈴に向けて、射出口が向けられる。

 

 

「いちかを………一夏を返してよおおおおおおおお!!!!!!」

 

 

 叫びは、届かない。

 

 

 ーー2発目のレーザーが、放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ!一夏……!」

 

 

 管制室で見ていた千冬。

 隣には箒とセシリアが。

 

 

「そ、そんな、一夏……」

 

 

 膝から崩れ落ちてしまう箒。

 

 

「…………くっ!」

 

 

 拳を思い切り壁に叩きつけるセシリア。

 

 

 既に突入を試みていた。

 だが、『どの壁も全て壊せなかった。ブルー・ティアーズを持ってしてもだ』

 

 

「(わたくしは、肝心な時に何もできない……!クラスメイトが助けを求めているというのに……!!)」

 

 

「逃げろ、逃げてくれ、凰」

 

 

 千冬の呟きも届かない。意味をなさない。

 

 

 そしてーー2発目のレーザーは放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だがーーーそのレーザーは鈴には届かなかった。

 

 

「…………な、にが起きた」

 

 

 再び大量の砂煙が舞い、アリーナの様子が見えなくなる。

 だが、千冬は確かに見た。

 

 

 

『何者かが凰の前に立ち、レーザーを叩き落としたのを』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アリーナでは、砂煙が舞っていた。

 

 

「(…………なんで私、まだ生きてるの?)」

 

 

 レーザーが当たらなかった。

 

 

 狙いを外したのか?いや、そんなわけない。

 

 

 じゃあ何故ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『無事か、鈴』

 

 

 

 

「…………え?」

 

 

 

 

 

 

 声がする。

 

 

 

 

 自分の前方、砂煙の中心から。

 

 

 

 

 

 

『一夏にレーザーは当たってない。俺が斬り落とした』

 

 

 

 

 

 黒い鎧を纏い、背中から6枚の鋭く尖った翼を出している目の前の何者かは言う。

 

 

 

 

「………!そう、なんだ……よかった、よかったよぉ………!!」

 

 

 

 

『……泣いているところ悪いが、あいつを連れて下がってろ』

 

 

 

 

「………あなたは、誰なの?」

 

 

 

 

『俺は……』

 

 

 

 

 

 何者かは言うーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『俺は、仮面ライダー……ダークネス』

 

 


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