また、バランと渡り合えるホルキンスの剣技も凄いですが、オリハルコンの真魔剛竜剣と渡り合えるホルキンスの愛剣も凄いと思います。一体誰が作ったのでしょうか?
ホルキンスはカール王国の騎士団長でした…大変申し訳ありません。
城塞都市リンガイア。堅牢で知られたこの王国を担当するのは、超竜軍団長バランとその配下の竜騎衆、そしてドラゴン軍団である。
「ここがリンガイア…堅牢ですなぁ」
「うむ、ワシも初めて見るが…これはすさまじい」
「バラン様、配置は完了しました。いかがいたしますか?」
「ラーハルトは北門を、ボラホーンは西門、ガルダンディーは東門を、私は南門から攻める。一時間後に総攻撃だ」
「「「はっ」」」
部下が出撃したのを見て、バランは眼前の城塞都市を見る。
堅牢だ。だが。
「ヴェルザーの居城には及ばぬな」
この分ならば、竜魔人になる必要はないだろう。
一時間後。総攻撃が開始される。
リンガイア王宮にて
「ど、ドラゴンの軍団が!」
「配置は?」
「北門と南門のドラゴンが多いです!西門と東門は若干手薄ですが…」
「ぬうっ…バウスン!」
「はっ」
「北門へ向かえ!西門、東門は陽動、敵の狙いは北と南であろう。」
そこまで言うと、リンガイア王は傍らの客将を見る。
カール王国から軍事指南として訪問していた兄弟だ。
「ホルキンス殿、大変申し訳ないが脱出を。お二人が脱出する時間は用意する」
「いえ、我らも助力します。魔王軍相手に背を向けたとあっては、先代騎士団長ロカ様に顔向けできません」
「感謝する。では南門へ向かって頂きたい!」
「お任せを」
リンガイア王は部下の猛将を迎撃に向かわせる。
北門にて。
「フン、所詮は人間か」
「ぐっ…コイツ、早い!」
リンガイア兵をラーハルトは蹴散らす。魔族の血を引く自分はともかく、
人間である母まで迫害した人間という種族その物への憎しみと、深い絶望。
「お、おお!魔物め!お前はもうおしまいだ!」
「ほう?」
ラーハルトは途端に態度が変わるリンガイア兵を内心見下す。
出てきたのは、なるほど。少しは骨がありそうだ。
「魔族…では無いな、混血児か?」
一目で見抜かれた事に内心驚くが、表情を変えずにラーハルトは対峙する。
「ここの指揮官だな?」
「いかにも。我が名はバウスン!」
「ば、バウスン様!奴は混血児なのですか?」
「そうだ。」
「に、人間の血が混じっているのに魔物に味方するとは、何と言う恥知らず!」
槍を構えるラーハルト。
「俺はおしゃべりをしに来たわけじゃあない。構えろ」
「…そうさせて貰う。行くぞっ!」
リンガイア兵は呆然としていた。カール王国の英雄ホルキンスは剣の達人。
彼と比べればバウスン将軍は若干劣る。それでもトップクラスの武人だ。それが
「ぐっ、くそっ!」
バウスンが振るう剣はかすりもしない。一方でラーハルトの攻撃はバウスンに手傷をつけていく。
「うぉおおおおっ!」
一撃を与えんと全力で攻撃しても、その一撃が当たらない。
焦りと、徐々に失われる体力と全身から発生する痛み。
素早さでは遠く及ばない、ならば。
バウスンは剣を構える。かくなる上は一撃をあえてくらい、カウンターを狙う!
危険ではあるが、これ以外に手は無い。
「…覚悟を決めたか!」
放たれた一撃をこらえ、必殺の想いを込めて振るう!だが手ごたえが無い!
「?!」
自信の身体を見ると、そこには槍では無くて手甲が刺さっている。
狙いを見抜かれていた事にようやく気が付くバウスン
「しまった!」
「ハーケンディストール!」
呆然とするバウスン。直後に鎧と剣が砕け散り、倒れ伏す。
「所詮は人間か。」
敵兵を見るラーハルト。
「ば、バウスン様がやられた…?」
呆然としているリンガイア兵の前で、ラーハルトは槍を下す。
「…終わりだ」
「何、を…アガッ?!」
絶叫を上げて倒れ伏すリンガイア兵達。
いつの間にか斬られていた。
ドラゴン達を呼び寄せ、ラーハルトは城門への攻撃を開始させる。
東門を担当するガルダンディーの前に立つのは、リンガイア兵の守備隊。
魔法使いと戦士の二人組が指揮を執っていたが…
「ぐううっ!」
「な、何だ、力が…」
ガルダンディーの放った羽根に魔法使いは魔力を奪われ、戦士は体力を奪われる。
配下の兵士はスカイ・ドラゴンに次々と焼かれていく。
「死ねぇっ!」
「ガハッ!」
「ゴハッ!」
ガルダンディーのレイピアに貫かれ、指揮官達が戦死する。
それを見届けたガルダンディーは家族であるスカイドラゴンのルードに乗り、城門の破壊に取り掛かる。
西門を担当するボラホーン。
魔法使いと戦士の指揮官が指揮を執っていたが…
「ぬぅん!」
「ぐわぁああああああ!」
その剛腕の前に戦士は一撃で仕留められてしまい、魔法使いのメラゾーマは吹雪に圧倒され、そのまま氷漬けにされてしまう。
「フン、ひ弱な人間どもめ。」
配置されているリンガイア兵達は城門を閉ざし、守りを固める。
「…やれ」
ボラホーンの命令を受け、配置されていたドラゴン軍団が城門に襲い掛かる。
南門。ここを守っているのはカール王国の英雄、ホルキンス。
対するは、ドラゴンの騎士、バラン。
バランの命令を待っている、超竜軍団のドラゴン達とヒドラ、そしてリンガイア兵達は眼前の戦いを固唾をのんで見守っている。
バランが愛剣、真魔剛竜剣を一閃させればホルキンスはそれを受け流し、
ホルキンスが鋭い突きを繰り出せばバランはそれを躱す。
十合、二十合と渡り合う二人。
「ぬぅん!」
バランが渾身の力を込めて真魔剛竜剣を振り下ろす!剣ごと相手を両断、この一撃で終わらせるつもりだったが
「?!」
折れない、斬れない。相手の剣は自分の真魔剛竜剣より劣るはずなのに。
つばぜり合いが続き、ややあってホルキンスは大きく下がり距離を取る。
「……」
完成されたドラゴンの騎士である自分と剣技で互角とは。
やや侮っていた。戦力を冷静に分析するバラン。
「ふむ、これ以上時間をかけられんな」
「時間、だと?」
当惑するホルキンス。バランの額に奇妙な紋章が浮かび上がる。
「?!な、何が起こっている…?」
バランが剣を高く掲げる。陽光を反射し、輝く刀身。その切っ先に…
「ギガディン!」
雷が落ち、刀身が激しい紫電を帯びる。
「ば、馬鹿な!剣と魔法を同時に操れる訳が」
「受けよ、我が秘剣!」
「ぐっ!」
ホルキンスも愛剣を構え、迎え撃つ。
「ギガブレイク!」
「?!」
ホルキンスが最後に見た光景は、愛剣が砕け散り、紫電を帯びた刀身だった。
その日、リンガイアは陥落した。城塞都市リンガイア。その最期は一日と持たず、非常にあっけない幕切れだったという。
神「おお!リンガイアよ!バランと竜騎衆が率いる超竜軍団に一日で陥落させられるとは情けない!そなた達にもう一度チャンスを与える!バランが攻めて来る当日まで逆行させてやろう!」