もしもバーン様が逆行したら?   作:交響魔人

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何日たった、という描写は入れて居ませんが、軍団を動員したりするのは大変なのでそれなりに作戦行動には時間がかかっています。ルーラやリリルーラ、キメラの翼はあるのですけれど。


ロモスの最期!

鬼岩城にて。

 

「何!ほ、本当か!」

「はいっ!オーザム、ベンガーナ、パプニカ、カールは陥落!」

「でかした!これで氷炎軍団、妖魔士団、不死騎団、魔影軍団、そして超竜軍団も動員できる!

よし!全軍団長に通達しろ!各軍団長は精鋭のみえりすぐり、クロコダインと合流して総攻撃をしかけよ、と!」

「全軍動員させないのですか?」

「だ、黙れぇ!」

 

 ハドラーは壁にかかったカレンダーに拳を叩きつける!

 

「あと一週間後に、期日である三か月目になるのだぞ!」

「一週間あれば全軍動員も可能かと」

「それで万が一落とせなければどうなる!俺も出る。アークデーモン共にも通達しろ!」

「はっ、腕が鳴ります」

「お前は残れ」

 

 余りにも無慈悲な言葉に、アークデーモンはドヤ顔を浮かべたまま硬直する。

 

 

 

 

 その日、ロモス王宮は混迷のただ中にあった。

 

「ドラゴン、サタンパピー、爆弾岩、アンデッド、巨大な鎧のモンスターが!」

「…魔王軍の戦力は百獣魔団だけではなかったのか…」

 

「魔王ハドラーを確認しました!」

「なんと。あのハドラーが生きていたとは…ふむ。これは厳しいかもしれないねぇ…」

 

 ブロキーナ老師は嘆息する。数はさほど多くないが、どうやら精鋭をえりすぐって送り込んできたようだ。

 

 

「他の国々は大丈夫なのでしょうか?」

「あ、アバンは!勇者アバン殿は!」

 

 騒ぐ他の官吏を見、ブロキーナは最悪の事態を想定する。あのアバンが。ここまでされて動かないはずがない。

 その彼が動かないという事は既にこの世に…

 

 

「ほ、報告します!魔王軍が総攻撃を仕掛けてきました!」

「…ワシが行こう。」

 

 

 歩きながら、ブロキーナは考える。

 あの後、マトリフはパプニカ王家に仕えたが、佞臣の讒言とパプニカ王家直属の女官へのセクハラで追放。

 ロカは病を得て死亡。レイラは一線を退いた。そしてアバンはおそらく…

 静かに闘気を立ち昇らせ、ブロキーナ老師は進む。

 

 

 

 ロモス王国の大通りにて、ブロキーナ老師は自然な体勢で待ち構える。

 

「…あれが。」

「先陣は切らせて貰う。行け、亡者の群れよ!」

 

 最初に動いたのはヒュンケル。アンデッドモンスター達が一斉に襲い掛かる!だが

 老師の拳の前に、容易く粉砕されてしまう。

 

「なるほど、少しはやるようだな」

「キヒヒ、やれっ、サタンパピー!」

 

 命令を受け、メラゾーマが何発も撃ち込まれるが、当たらない。

 その身のこなしを見、これではらちが明かないとザボエラは考えている間に、岩が数個投げ込まれる!

 

「なっ!おぬし!」

「コイツはよけきれねぇだろっ!くたばりやがれ!」

 

『メガンテ!』

 

 爆弾岩の爆発で、大通りに穴がいくつも空くが、ブロキーナ老師は悠然と佇む。

 

「なっ?!コイツ…」

『…行け!デッドアーマー!』

「お前も行け」

 

 らちが明かなない。そうみてミストバーン、バランは部下に命じる。

 それに答え、魔影軍団最強の駒と、超竜軍団のドラゴンが一斉に襲い掛かる!

 だが

 

「…猛虎破砕拳!」

『?!素晴らしい…』

 

 一撃でデッドアーマーが大破させられたことに、ミストバーンは敵ながら嘆息し

 

「閃華裂光拳!」

「?!あれはマホイミ!!奴は僧侶なのか!」

 

 ドラゴンの騎士であるバランは、配下のドラゴンが絶叫を上げ、のたうち回る姿から敵の技を分析する。

 

「ああ?何だマホイミって?」

「確か回復魔法をかけすぎると、肉体の回復機能が暴走する魔法じゃな…じゃがあれは通常のホイミより魔法力を多用するはずじゃて」

「ほぉ。って事はコイツは俺様の獲物って事だな?」

 

 他の軍団長には通用するだろうが、俺様には通用しねぇ。そう思い前に出ようとするフレイザードに待ったがかけられる。

 

「やめて置け、フレイザード」

「…魔王、ハドラー」

「…14年ぶりか。貴様には随分と苦戦させられたが…ここで終わりだ。バラン、ミストバーン。そいつを殺せ」

 

 軍団長を二人も差し向ける。

 過剰過ぎる戦力投入だが、魔王軍の精鋭では相手にならないなら最大戦力を差し向けるしかない。

 

「残りの軍団長はロモス王宮を南北から攻めたてろ。今日で、ロモスを落とす」

 

 刻限は残りわずか。ここで失敗などしようものなら…

 全軍団長の脳裏に業火のビジョンが浮かび上がる。

 

 

 

 残りの軍団長は精鋭と百獣魔団の一隊を借り受け、それぞれ攻め込む。もはや碌な抵抗も出来ずに制圧されていくロモスだが、ある戦線は未だ持ちこたえていた。

 

 

「猛虎破砕拳!」

「ドラゴニックオーラ!」

 

 バランは一撃を正面から抑え込む。全開で守っているが、それでも苦痛を感じ、顔を歪める。

 その攻防の最中、ミストバーンが闘魔傀儡掌で縛ろうとした直前に、するりとすり抜ける。

 

「…まるで枯れ葉を相手にしているようだ」

『…それでも寄る年波には勝てぬとみえる』

「何とも元気な老人だ。だが」

 

 真魔剛竜剣をバランは抜く。

 

「見切った。」

「……」

 

 その双眸と構えから、ブロキーナは己の死を悟った。逃れる術は無いだろう。

 せめて、せめてこの者だけでも!

 フルパワーで攻撃しようとした直前、バランの額が光る。

 

 直後、老師は空を仰ぎ見ていた。腹が、痛い。

 ややあって、老師の意識は暗転する。

 

『紋章閃か』

「かかりおったな…フン、戦いの年季が違うわ。」

 

 そう言い捨てて、バランは剣を一閃させる。

 

 

「これで最期、か。何とか期日までには間に合ったな」

 

 

 その日、ロモスは灰になった。

 




クロコダイン、ヒュンケル、フレイザード、バラン、ザボエラ、ミストバーンが同時に現れて襲い掛かってきた場合、真っ先に何をするべきでしょうか?

私はマホカンタを唱えるのが最善手だと思います。

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